推薦コメント
「事実」はそこにあるのに、それを隠蔽しようとする「暴力」に対して、私たちはどれだけのことができるのか。今日、歴史に向きあうとき、それでもなお絶望が許されないとすれば、どのような構えをもってすればよいのか。本書が伝える、沈黙せる「事実」の重さを、私たちはどうやって受けとめればよいのか。本書はけっして後味のよい書物ではない。それは、こうした問いを私たちに遠慮なく突きつけてくるからである。
赤井御門守さん
推薦コメント
渡辺浩氏は丸山眞男の最後の弟子。日本政治思想史というと、原武史、苅部直の両氏が活躍中ですが、彼らは渡辺氏から巣立ちました。そして、あの湯浅誠氏も門下生。本書は壮大な知的スケールで徳川王朝論を展開しています!
白水社編集部 竹園公一郎さん
推薦コメント
数々の弾圧を受けながらも、知性とユーモアでしなやかに生き抜いた社会主義者・堺利彦の「生き様」に深く感動。惜しくも年末に急逝された著者の気迫が伝わってくる、まさに2010年を代表する1作だと思います。
tさん
推薦コメント
現在を考えるための決定的な2冊(※『スラムの惑星』(明石書店)と合わせて。)
河出書房新社編集部 阿部さん
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財政破綻をおこしつつ移民と共存しているEU諸国の若者のリアリティは何処にあるのか。革命でも社会運動でも暴動でもなく、なぜ蜂起なのか。ジョルジョ・アガンベンをも刮目させるジュリアン・クーパとは何者なのか。斜陽する日本の黙示録として読むこともできるポスト・シチュアシオニストの必読書。
intellipunkさん
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推薦コメント
ルネサンスの魔術的世界観を暴いたイエイツの代表作。他のイエイツの著書でも必ず言及され、待ち望んでいた本です。
iさん
推薦コメント
「我思う、ゆえに我あり」は本当なのか。個人的に疑問だったことがらに光を当ててくれた。
オモトヨシヤさん
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〈エス〉とは何か。英語を習い始めたとき、誰もが一度はつまずく「形式主語It(ドイツ語ではes)」と、精神分析の〈エス〉が、同じものだなんて考えてもみなかった。推理小説を読むような、序盤の精神分析の〈エス〉の所有権をめぐる争いから、ランボー、ニーチェを経てリヒテンベルクまで遡り、ホロコーストにも関わるユダヤ思想を経て再びフロイト、そして圧巻のラストまで、引きずり込まれるようにして読んだ。その間、この本と出会わなければ、一生思考しなかったであろう数々のことを考えた。無駄のない透徹した文章に導かれて、気がつくと自分にこんなことが思考できるのか、と思うようなはるかはるか遠く、はるかはるか高みにつれていかれていた。脳みそがひっくりかえるような読書体験だった。
そうしてたどり着いたエピローグは、どこまでも透き通っていて、思想史の本なのに、その理由もその個所も説明できないけれど、とにかく涙が出た。凄絶な輝き。エピローグにはその印象しかない。このエピローグを読むという体験をするためだけでも、読む価値が十分にある。
no nameさん
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推薦コメント
美術史における「無形のもの」たちを論じ1冊にものした大作。オルタナティブのカオスを形にするというのは途方もない作業だったと思います。
河出書房新社営業部 竹花さん
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私は生まれてきた時代を間違えたんじゃないか」―人生のうちでそう思ったことが、何度もある。私はこの時代の、この文化を享受したかった。真っ黒でぶ厚い一冊の頁を繰りつつ、また私はこの時代への思慕を鬱積させた。
内藤聖子さん
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推薦コメント
総ページ1068。束の厚さ約5cm。重量700g。ほぼ文庫本サイズ(B6変型版)にもかかわらず、これ見よがしの単行本やすまし顔の辞書などまるで問題にならない圧倒的な存在感。この美しくも危険な匂いを放つ書物に一目惚れしない読者はきっといない。鮮やかな色で彩られた表紙、見栄えがする奇抜でスタイリッシュなデザイン...マーケットを意識した「アイドル」のような人文書が出まわるなか、少々無骨ではあるがダントツのイケメン本である。まずは眺め、手にとり、撫でまわせ。中身にフラれるのはその後だ。
後藤亨真さん
推薦コメント
ひとりの男の生き方から「ことば」というものに迫る。彼は、言語は言語で表現できないと結論付けずに、それに歯向かった言語学者だった。事業は完成を見ることはなかったけれど、途上にあるということが僕には寧ろ潔く思えた。
田川洋平さん
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ドイツ語学の天才と呼ばれた関口存男の生涯を追い、「ことばのうちにあってことばで語りえぬもの」を追求する。語学の領域を超えて哲学にまで踏み入っていくのは何も関口だけではない。他ならぬ著者自身がそれと向きあうためにことばを哲学する。『青色本』と併せて読むとより一層興味深い。
榎本周平さん
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推薦コメント
現在を考えるための決定的な2冊。
河出書房新社編集部 阿部さん
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私たちの同時代に、絶望的な都市環境を生きる圧倒的な人々がいるという現実を突きつけられる。第三世界都市や先進国のインナーシティが羅列され、微細にその窮状が描写され続けると、マジックリアリズムともいえそうな不幸な惑星が浮かび上がる。スラムの記述は量から質へ転化し、世界認識が刷新された圧倒的読書体験。ジジュクをも大儀へ駆り立てた、惑星規模の変化は見過ごせない。
intellipunkさん
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推薦コメント
このような本を読みたいと思っていました。この著者の次の一冊をたのしみにしています。
no nameさん
推薦コメント
世界史をその構造から紐解いた本書、「歴史上の出来事」には殆ど触れていないが、その分じっくり「構造」について考える事が出来た。何よりも交換という概念が個人的に新鮮だった。世界史を見つめる視点を増やしたい人にお勧め。
yukiwoさん
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代表作『トランスクリティーク』より読み易く、ラストは感動すら覚えます。『トランスクリティーク』がゼロ年代の50冊ならば、『世界史の構造』はテン年代の50冊にはいること、間違いなし!
tさん
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推薦コメント
これだけのものが売れること自体、大変なこと。良くも悪くも「20世紀」を知るための必読書。現実の「正義」をわかりたいなら本書こそ読んでほしい。内容、質量ともに、今年の最大の収穫だとおもいます。同業者として本書の編集者に敬意を払います。
作田彬太郎さん
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質量共に最強のスターリン伝。周辺人物の描写も丹念で、信念に燃えて死体の山を築いた赤い騎士団の全体像が初めて詳細に分かった。特に秘密警察長官で強姦魔のベリヤが、いかに有能で先見の明があったかなど意外な話も多く、最後まで飽きさせない。それにしても、死者が統計資料でしかないクレムリンからの景色を彼らと共有していると、粛清が必然だったように感じられてくるから怖い。
鈴木英生さん
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推薦コメント
今時、正義について語るなんて。金があり力があるのが正義。でもそれ、本心ですか?あなたの良心を、正義を、こんな時代だからこそ大切に。これはその正義がエゴに陥らないための本。さぁ、これから正義を語ろう!
牧千暁さん
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本書は常に私達の身近にありながらも、いつか選択を迫られるような問題からスタートする、「正義」とは何かを探す旅にあなたを連れて行ってくれます。 哲学の巨人たちを水先案内人 とするこの旅の後、あなたにとっての「正義」とは何かが見えてくるかもしれません。
宮本博さん
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推薦コメント
イタリア77年運動がなげかけ、現代においてまさに直面している視座を明確に語る書。造本も素晴らしく、常に鞄にしのばせておきたい1冊です。
河出書房新社営業部 竹花さん
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フェリックス・ガタリや粉川哲夫氏などから伝聞でしか伝えられなかった、伝説のイタリア・アウトノミア運動史が、その当事者から語られる。しかも2010年の日本の読者へ向けアップデートされた形で。パンクとポスト構造主義が混ざりあった「未来のことなんて心配するな、そんなものはないのだから」という認識。メディアアクティビズム、オペライズモ、ポストフォーディズム、認知資本主義など先進イタリア現代思想の源泉を確認できる。
intellipunkさん
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推薦コメント
旅人の目でローマの町を覗いてまわるという手法のおかげで、とてもリアル感があるし、わかっている情報が少ない章もうまく読ませる、アイディアをうまく生かした一冊(著者は確か著名なジャーナリストなので、そのおかげかもしれない)。「―だ」で終わる文が多い点は、普通の人文書より圧迫感があるので、好みが分かれるところか。
白水社 Kさん
推薦コメント
まさか文庫になるとは思いもしなかった。ヴィトゲンシュタイン中期の作品(講義)であり、『論理哲学論考』の言語観を問い直す作品だ。ちょうど転換期でもあるため、入門書としても最適。これを機に『茶色本』の文庫化も熱望!
榎本周平さん
推薦コメント
昨年末の創刊から間もないので今も再読中なのだがそのたびに新鮮な発見がある、まさに「新しい」言論誌。話題の非実在青少年問題から、『東京から考える』(NHKブックス)の発展形とも読める「ショッピングモール」論に、文系・理系の枠を越えて語られる「パターン・サイエンス」の可能性まで、多岐にわたるトピックが自分の生きている「現在」に対して次々に新しい視点を投げかけてくる。なかでも巻頭言の「創刊に寄せて」は、言論を再び世界へ開く!という東浩紀編集長の強い思いが込められていて、これからの思想を考える上で必読。早くも次号が楽しみでならない。
竹内 誠人さん
推薦コメント
できる/できないで得/損が決まるのはおかしい、「できる」と「受け取る」をつなげる理由はないのだから。簡単で別な姿の世界、を歌えないなら、字を書く、社会学者の、社会のしくみを根源から問い直す(たぶん)希望の書。
松野享一さん
推薦コメント
国政から経済、宗教、文化活動等々テーマ別構成と1000年の通史を巧みに組み合わせた、新しいビザンツ帝国史の本。ビザンツ文明が周辺地域に伝播し、様々な形で継承されていったことがよくわかります。
乃野木早人さん
推薦コメント
上野氏が言うように、本書を読んでそんな時代があったのかと思われるような社会になるのは、いつになるかわからない。しかし『女ぎらい』を読みつつ、少しでもこのように感じる人を増やしていくことが、我々がミソジニーを克服する術なのである。
大畠裕史さん
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あとがきにも書かれていたとおり、不愉快な読書体験だった。見てみぬふりをして生きてきたものを抉り出して直視させられ、読んでいると自分の経験や感情にも思い当たるところがぼろぼろこぼれてきて止まらなくなる苦しい読書にだった。それでも読んでよかった。なぜつらいのか、腹が立つのかわからずにいたことの仕組みがわかった。何より自分がつらかったということがわかった。そのことで、今後苦しさや腹立ちを覚える経験を防げるわけでもなければ、そういった感情を減らせるわけでもない。けれど「見えた」ことだけでずいぶん楽になった。自分とそして他人のミソジニーと共に生きて行く覚悟ができた。
no nameさん
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推薦コメント
生命について、また人間の「本質」について改めてつきつけられました。忘れられない、衝撃の一書です。
tさん
推薦コメント
地球温暖化やサステナビリティ(持続可能性)などが注目を集めるなか、一番身近な「土」から環境を考えさせられました。
吉武創さん
推薦コメント
訳者あとがきによると原題の直訳は「本からはなれようたってそうはいかない」という意味だそうだ。イタリアの言語学者であり文学者であるエーコと、フランスの脚本家カリエールという、二人の巨匠による対談。中世の写本、15世紀インキュナブラ、現代フランス映画など、あらゆる芸術と書物と文学と書誌学についての碩学の二人による話は、ヨーロッパ的知性の受け皿、伝達、保存、継承のために、紙の書物がどれほどの役割を果たしてきたのかということを、わたしたちに教えてくれる。
橋元博樹さん
推薦コメント
本来、宗教的集団であったユダヤ人を「近代化」し、民族創出・国家樹立まで成し遂げたイスラエル国家は、ユダヤ人の宗教的アイデンティティー喪失という皮肉な結果を迎える。国民国家論として秀逸であり、宗教を論究の基礎においている点で類書にない魅力を持つ。
三木哲夫さん
推薦コメント
投票していいのかどうかわからないけれども、現代の情勢を見据えるヒントになると思う。
オモトヨシヤさん
推薦コメント
人物史を通じ、古代アテネの民主政の歴史を描き出す一冊。民主政成立期から、ペリクレスの時代、そして日本では比較的手薄なペリクレス以降のアテネ民主政の歴史について知ることができ、かつ国政を担うことの重さや厳しさを感じさせてくれる本であると思います。
乃野木早人さん
推薦コメント
昨年はサンデル・ブームでしたが、「政治哲学の復権」(藤原保信)はやはりロールズから。そういえば『ソフィーの世界』のときの哲学ブームは、阪神大震災とオウムに揺れた95年。格差に無縁......ブームの背後に転変あり。合掌です。
白水社編集部 竹園公一郎さん
推薦コメント
毛沢東を扱った書籍は数あれど、右にも左にも偏ることなく、そのまんまの毛沢東を描くことに成功しているものはほとんどありません。そんな中、本書はその稀有な例外となっています。そして、やはり現在の中国を理解するには、毛沢東から始めないとならないと思わせます。
染井吉野ナンシーさん