紀伊國屋書店:紀伊國屋じんぶん大賞 読者と選ぶ人文書ベスト30

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紀伊國屋じんぶん大賞 読者と選ぶ人文書ベスト30

2026年2月1日(日)から受賞者のコメント、推薦コメント、選考委員の選ぶ1冊などを掲載した小冊子を店頭で無料配布します!※在庫がなくなり次第終了となります

2026年2月1日(日)から受賞者のコメント、推薦コメント、選考委員の選ぶ1冊などを掲載した小冊子を店頭で無料配布します!※在庫がなくなり次第終了となります

ランキングのベスト30すべてをフェア展開する店舗は下記8店舗です。
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じんぶん大賞2025フェア開催店舗ベスト30
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ベスト10
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ベスト5
厚別店入間丸広店西武渋谷店玉川高島屋店笹塚店イトーヨーカドー木場店吉祥寺東急店国分寺店福井店mozoワンダーシティ店名古屋空港店高槻阪急スクエア店堺北花田店泉北店加古川店クレド岡山店ゆめタウン廿日市店丸亀店いよてつ髙島屋店ゆめタウン博多店熊本はません店熊本光の森店あらおシティモール店鹿児島店高尾店下高井戸店橋本店桜上水店京王稲田堤店八幡山店久我山店小田急相模原店永福町店つつじヶ丘店狛江店旭屋書店 船橋店旭屋書店 イオンモール浦和美園店旭屋書店 志木店旭屋書店 新越谷店旭屋書店 アリオ上尾店旭屋書店 なんばCITY店旭屋書店 ららぽーと甲子園店旭屋書店 イオンモール奈良登美ヶ丘店

大賞のみ
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紀伊國屋じんぶん大賞2026

(2024年11月~2025年11月出版の人文書/第16回)

「読者の皆さまと共に優れた人文書を紹介し、魅力ある『書店空間』を作っていきたい」─との思いから立ち上げた「紀伊國屋じんぶん大賞」は、16回目を迎えました。おかげさまで、本年もたくさんのご応募と推薦コメントをお寄せいただきました。
一般読者の方々からいただいた推薦投票を元に、出版社、紀伊國屋書店社員による推薦を加味し、選考委員による持ち点評価を加え事務局にて集計し、ベスト30を選定いたしました。

* 2024年11月以降に刊行された人文書を対象とし、2025年11月1日~ 11月30日の期間に、推薦投票を募りました。当企画における「人文書」とは、「哲学・思想、心理、宗教、歴史、社会、教育学、批評・評論」のジャンルに該当する書籍(文庫・新書含む)としております。
* 推薦コメントの執筆者名は、一般応募の方は「さん」で統一させていただき、選考委員は(選)、紀伊國屋書店一般スタッフは所属部署を併記しています。

紀伊國屋じんぶん大賞2026 大賞『斜め論―空間の病理学』
松本卓也さん特別寄稿

斜め論―空間の病理学

 この受賞の報せを受け取ったのは、ちょうど昨年の秋から在外研究のために滞在しているフランスの地でのことでした。
 『斜め論 空間の病理学』の完成には、本書の第一章に相当する最初の原稿執筆から数えると約一〇年という長い歳月を要しました。まさに難産の末にうまれた本ですが、必ずしも内容面において書くことが難しかったわけではありません。むしろ、この一〇年間(あるいはそれ以前から)の自分自身の生活や臨床の中で抱いていた、きわめて個人的な思いが書くことを妨げていたのでした。そのことは、あとがきでも触れたとおりです。
 しかし、運命とは不思議なものです。本を書き上げ、出版されたのを見届けると、私はあたかも「出し逃げ」のような形で日本を離れてしまいました。けれども、こうして物理的な距離が生まれたことで、本書に対しても、ある種の客観的な距離をもって眺めることができるようになった気がします。
 いまあらためて本書を読み返してみると、もともとは個人的な思いから書き始めたものであったはずなのに、ひょっとすると「現代」という時代の空気、あるいは精神医療や思想の現場で起きていた地殻変動のようなものを、図らずも捉えていたのではないかと思うようになりました。私の個人的な問いが、いつの間にか「垂直から水平へ、そして斜めへ」という、「現代」を覆う普遍的なテーマへと接続していたのかもしれません。今回、多くの読者や書店員の方々に評価していただけたのも、そうした時代の変化に対する共感があったからではないかと想像しています。
 本書は、私が日頃取り組んでいるラカン派の精神分析とは、少し異なる領域を扱ったものです。いま私はフランスで、その精神分析を、その本拠地で一から学び直す日々を送っています(その成果は遠からずお見せできることでしょう)。ラカンの生きた20世紀、そしてフロイトのことを考えれば19世紀という、「古くて遠い」世界──もっとも、その考えは今でも十分にアクチュアルです──に没入する前に、「現代」の切実な課題──すなわち、垂直的な権威の否定から水平的なつながりの肯定へ、しかしその水平化が単なる平準化という管理に堕することの拒絶、そしてそこから導き出される「斜め」というあり方──を、日本語で徹底的に考え抜くことができたのは、私にとって本当に幸運なことでした。「現代」のあり方について整理できたからこそ、いま腰をすえて過去の知と、そして自分自身とも向き合えているような気がします。
 私にとって、大学の外の読者に向けて物を書くことは、漢字で書く堅苦しい「人文」というよりも、ひらがなの「じんぶん」と表記されるような、もう少し柔らかいもののようです。それは、哲学や現代思想、あるいは臨床や政治といった専門領域の垣根を越え、けれども人文学の知見も参照しながら、さまざまな領域を斜めに横断して思考することの可能性そのものを指しているのかもしれません。本書が、そうした「じんぶん」的な知のあり方の一つの実践として、読者の皆様の手に届いたのであれば、著者としてこれに勝る喜びはありません。
 最後になりましたが、本書の刊行に尽力してくださった出版社の方々、そして何より、この本を手に取り、選んでくださったすべての皆様に、心からの感謝を申し上げます。

松本卓也さんプロフィール写真(写真=北原千恵美)
写真=北原千恵美

松本卓也(まつもと・たくや)
1983年、高知県生まれ。2008年3月、高知大学医学部医学科卒。2015年3月、自治医科大学大学院医学研究科修了、博士(医学)。2016年4月より、京都大学大学院人間・環境学総合人間学部准教授。専攻は精神病理学。
著作に、『人はみな妄想する 増補新版』(青土社)、『創造と狂気の歴史』(講談社)、『ジャック・ラカン フロイトへの回帰』(岩波書店)、共編著に『コモンの「自治」論』(集英社)、『京大1969「自由の学風」の闘争史』(青土社)など。

*プロフィールは当時のものです。

▶2026 小冊子 PDF版

 
歴代 紀伊國屋じんぶん大賞
202520242023202220212020201920182017201620152013201220112010
*紀伊國屋じんぶん大賞2014は欠番です。
紀伊國屋じんぶん大賞の歴史

紀伊國屋じんぶん大賞は「今こそ!人文書宣言」企画第20弾として、読者の皆様に"2010年に刊行された「人文書」ベスト3"についてアンケートを募集したところから始まります。
紀伊國屋書店新宿本店5階人文書売場(当時)にて扱っている書籍(小ジャンル分類:哲学・歴史・宗教・心理・教育・文芸批評)に限定させていただきました。

その後「紀伊國屋じんぶん大賞 読者と選ぶ人文書ベスト30」として毎年アンケートを募集。翌年の初めにベスト30を集めたブックフェアを開催するようになりました。

2014年から名称をフェア開催年に変更。第4回目までは「2013年のベスト30」=「じんぶん大賞2013」としていましたが、第5回目は「2014年のベスト30」=「紀伊國屋じんぶん大賞2015」と表記するようになりました。そのため、2014年は欠番となっております。

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じんぶんくん
2024年、紀伊國屋書店新宿本店人文書売場に誕生した、月がわりの選書棚「じんぶんや」。
"じんぶんくん"はその選書リストを掲載していた小冊子の4コママンガとして生まれたキャラクターです。(紀伊國屋じんぶん大賞2016小冊子より)
紀伊國屋じんぶん大賞のポスターや小冊子にもたびたび登場しています。

じんぶんくんじんぶんくんじんぶんくん

紀伊國屋じんぶん大賞2026

(2024年11月~2025年11月出版の人文書/第16回)

紀伊國屋じんぶん大賞2026 👑 大賞 👑

推薦コメント
自分のいまの生き方は垂直的なのか、水平的なのか。「垂直」と「水平」という思考枠組みは、曖昧な世界をきれいに整理してくれて、それら抜きには何も考えられなくなるほどの、強い概念でした。間違いなく今年一番影響を受けた「哲学書」です。
藤井翔太さん(出版関係)
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推薦コメント
垂直、水平、斜め…。「あぁはいはいよくある感じね」と読み始めたらビックリ! 議論の整理の周到さ、「斜め」の概念がもつ射程の広さ・深さにすっかり魅了されました。心のみならず、人間とは何か、現代とは何かを考える強力な武器がここにあります。
(選)髙部知史
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推薦コメント
高みに向かおうとする、または深さを重視する「垂直」の考え方では語れないものがある。かといって、人々を平準化する横並びの「水平」にもまた不足がある。そこで導き出されるのが、水平に少しの垂直性を加えた「斜め」である。本書は、二十世紀から現在までの思想、哲学、精神分析の変遷を追い、「斜め」を開いていこうとする試みであった。特に「生き延び」という思想に着目した第三章に胸を打たれた。たった一度きりで終わる何かではなく、続いていく「生」をみつめるためにも「斜め」は有効であるだろう。
(選)山田萌果
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推薦コメント
精神病理学を専門とする著者が、「心」や「ケア」をめぐる臨床・歴史・思想について、10年をかけて書いた総決算。「当事者」といった言葉のつくられた場所へと遡行することで、本来の輝きを取り戻そうとする試みである。そのさいに見えてきたのは、「斜め」の思想だった。人文書を読む喜びを思い出させてくれるような一冊。
柴山浩紀さん(出版関係)
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推薦コメント
個人的にとても大切な一冊になった。一人思い上がって理想を抱くのをやめて、他者との関わりを持つことで初めて回復する、という垂直から水平への動き(=斜め)は、統合失調症ではない自分のこれまでの軌跡にも当てはまるところがあると感じた。意志の力で革命的な何事かを成し遂げようとするのではなく、他者とつながりながら日々の苦労を絶えず生き延びていくことこそが重要だと再認識させられた。
匿名希望さん(会社員)
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2位

推薦コメント
自分も普通にできているのに、何が起きているのか説明できない「会話」。例文が身近で分かりやすく、さらに興味が広がり、新たな世界へと誘われる。「ゆる言語学ラジオ」ファンとしては、あとがきには涙せずにはいられないが、それを抜きにしても良書に違いない。
山内みゆきさん(保育士)
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推薦コメント
YouTubeが面白く書籍を買いました。言語に関する知識がたくさん詰まっており、博物館の展示物を見ているような気分になります。初心者にも読みやすく、テンポ良くまとめてあります。あとがきに至っては感動的でちょっぴり涙が出ました。著者の熱意が感じられる一冊です。
岸田瑞枝さん(会社員)
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推薦コメント
深くて細かい言語学の世界を読みやすく紹介し、かつ好奇心を刺激するのが良い。以前出した共著よりも専門的なのに読みやすくなっている。今現在だけではなくこれからもじんぶん的書籍の入り口になれるのではないか。
(選)生武正基
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推薦コメント
「ゆる言語学ラジオ」のわかりやすさ、楽しさが書籍になった感があります。言語学の研究者ではないからこそ、言語学には素人だったオタクだからこその目線で一冊飽きることがありません。あっという間に読めると思わなかった、のに、あっという間に読めてしまう本!
足立真穂さん(出版関係)
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3位

推薦コメント
生活を送るとき、人と会話をするとき、私はちょっとした他者との差異にどうしようもない不安を感じる。そんなときは過去の哲学の道を歩んだ人たちに聞いてみる。が、実は哲学の道を歩んだ人たちも完璧ではないみたい。『クィア・レヴィナス』では、一般的な解釈としてあるものをもう一度、全ての人に開ける形で再解釈を試みる。あらたな可能性を提示することで未来に生きる人、今を生きる人を包むことができる。それは違うことを恐れないことかもしれない。
横沢あんねさん(大学生)
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推薦コメント
哲学史のビッグネームともいえるエマニュエル・レヴィナスの著作をクィアの観点から読み解いていく試み。レヴィナスはフェミニズムの観点からは批判されうる、父親と息子をテーマとした繁殖に関する議論等を抱えてるわけだが、著者はそこに裂け目を見出している。ジャンルとしては難解で知られるレヴィナスに関する研究書だけれども、やわらかな記述を成功させているように感じた。
匿名希望さん(アルバイト)
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推薦コメント
異性愛中心主義的な「人間」観のもとで読み解かれてきたレヴィナスの理論が、自身もジェンダー・クィアである筆者の手によって、クィアに・ひらかれた形で鮮やかに再提示されています。単にクィア・哲学研究として価値があるのみならず、すべてのマイノリティ性を抱える人々を勇気づける書であると感じます。
はなさん(学生)
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推薦コメント
クィアについて、感情論でも政治的正しさでも医学でもなく、哲学書として真正面からていねいに論じている貴重な本。レヴィナスの著作をクィアリーディングしていくその過程は、さまざまな思考の起点となる。こんな本を待っていた。
やまこさん(ITエンジニア)
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推薦コメント
レヴィナス初心者でも読めるクィア・リーディングの本でした。斜めに読む、精緻に読む、そういった読みがクィアな世界を開いていきます。双極症で認知機能が低下して何も読めなかった毎日。でも、識字障害のある著者が書いたこの本はするすると頭に入っていきました。クィアな世界のみならず、ディスアビリティにも人文の世界、クィアの実存を知らせてくれる、私にとって大事な一冊です。
匿名希望さん(学生)
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4位

推薦コメント
タイムラインを流れていく「思想強めの」言葉、不正や過ちを拡散するショート動画、愉快な小ボケ、過ぎ去ったミームを駆使する広告ポスト、インプレゾンビ、英雄的な出来事。SNSというプラットフォームは、暴力的だが享楽的で依存性が高く、「次の一手」がないと抜け出せない。本書で提唱される新たな戦略としての「庭」には、とてもワクワクさせられた。
(選)小山大樹

5位

推薦コメント
想像を絶する殺戮を体験した人々が、喪失の後に続く日々をどう生き、どう傷を癒すのか。生きるとは「分かち合うこと」であるという在地概念は自分には恐らく真には理解できていませんが、インタビューと著者の精緻な分析から、西洋医学では捉えきれないその深い蓄えが垣間見え、人が共に生きることの強さを思い知ります。
(選)後藤渚

6位

推薦コメント
二段組500頁を超える大著をどんどん読み進めることができたのはなぜだろう。豊富な市井の人々の声を題材とし、明確な問題意識と方法論で記述していることはその大きな理由である。だが、2025年という現在において、過去にあったこととは思えないような気持ちを読者に想起させる、そういう力があるようにも思う。
(選)大籔宏一

7位

推薦コメント
自分にとって、遠いものだったカウンセリングがどのように行われているのか、心が変わるとはどのような過程なのか。著者の東畑さんが読者に寄り添いながらガイドしてくれる一冊。 自分がたいしたことないと見過ごしてきた過去は、たいしたことではないんだ、と気づくきっかけになった。それが有り難くもあり、心に沁みた。
こばやしまりこさん(出版関係)

8位

推薦コメント
同性婚が実現した台湾と、困難に直面する韓国。似て非なる隣国の比較から、東アジアの「今」が見えてくる。政治や法制度の壁に挑み、自らの「生」を勝ち取ろうとするマイノリティの人々の闘争は、民主主義とは何かを私たちに突きつける。今年一番の傑作だと思いました。
高田謙太さん(会社員)

9位

推薦コメント
「人類の学」たる人類学がたどり着いた存在論的転回の理路をかけぬけながら「バラバラな世界をバラバラなままつなぐ」思考の回路を探す本書の試みは、多様性についての既存の枠組み —たとえば保守vsリベラルという二項対立— から距離を置き、別の議論の可能性をひらく。今の人類に必要な書である。
森口武さん(大学院生)

10位

推薦コメント
他者に恋愛的・性的に惹かれることがなく、今まで感じていた他人との違和感はこれだったのかと、性的指向に名称があるというだけで救われる人もいるだろうし逆に不安になる人もいるかもしれない。多様性の時代というのであれば恋愛をする人もしない人も自由なはずだ。
匿名希望さん(書店員)

11位

推薦コメント
生き物との共存・共生が叫ばれる現代社会において、「人間は生き物をどのように死なせているのか」「われわれはどのような死や死体と共にありたいのか」という、ふだんタブー視され目を背けられている現象に新たな角度から光を当てた名著。
西江仁德さん(研究者)

12位

推薦コメント
「飢餓は人を平等に殺さないのだ」。食と暴力の関係は、なお等閑視されていると言ってよい。本書は、「食権力」を鍵概念に、第一次世界大戦における被害者としてのドイツ、ナチスの飢餓政策、さらにイスラエルによるガザへの構造的暴力という、洗練された飢餓政策を読み解いていく、飢餓と暴力の現代史である。
(選)松野享一

13位

推薦コメント
タイトルが想像をかきたてる。編集は発信されたものに手を加え再構成するもの、ケアは体や心に手を添えるものというイメージ。「ケアをひらく」シリーズを作ってきた編集者の数々のエピソードが、自分だけの記憶だったものにふれてくる。本が見えている世界を編み直してくれるようで、お守りにしたい一冊。
mizuiroさん(司書)

14位

推薦コメント
「会話は共同作業」という言葉が印象的だった。確かにそう思うし、政治家の発言の数々は言葉を軽んじていて、その共同作業を放棄していると感じる。「おわりに」にあった「意味の表裏の揺らぎはコミュニケーションを豊かにする」という言葉にはなんだかホッとした。言葉の面白さや会話を楽しむことも人生の醍醐味だと思う。
石井妙子さん(出版関係)

15位

推薦コメント
大乗仏教の最重要書かつ最難解書を、はじめて論理的・テクスト内在的に読み解いた稀有な本です。主に仏教者に向けた温泉での講義がもとになっているため、分厚くて骨が折れるものの、根気よく読んでいけばナーガールジュナのロジックが腑に落ちてきます。仏教とフランス思想に通暁した著者ならではです。
吉田岳史さん(一般)

16位

推薦コメント
素朴な問いから深淵な問いまでを貫く著者の徹底したスタイルは、僕のような初学者が読んでも響くものがあり、得がたい経験となりました。どうか一度実際に手に取って最初の数ページを読んでみてほしいです。きっとその後に幾度となく響くものが残るはずです。
トリさん(介護職)

17位

推薦コメント
今、あらゆる場所/場面で人生の物語化が推奨されている。物語というものは人を動かす大きな力を持つ。しかし一方で実態との間に大きな乖離をもたらす危険性もある。本書では安易な物語化に警鐘を鳴らし、その代替としてゲーム・パズル・ギャンブル・おもちゃという4つの人生の捉え方を提示する。人生の、新たな選択肢を得られたように思えた。
坪井謙典/天王寺ミオ店

18位

推薦コメント
個別に語られてきた3人の女性の書き手・思想家を一つの「思想文学」という地図上に再配置しその思想を交差させながら、1950年代の「サークル運動」が目指した創造的な抵抗性に光を当てる力作。前作『中上健次論』から引き継ぐ「再/開発」論を九州というトポスからも試みようとする著者の継続的な熱意も感じられた。
匿名希望さん(大学院生)

19位

推薦コメント
男性の身体が雑に扱われるという問題、知的水準によって男性に優劣がつけられる世相、男性に対する加害者ラベリングなど、女性差別の問題に反対する立場に立脚しながら、男性をめぐる複雑なテーマをギリギリでせめており、これまでの男性学の議論にはない鋭さを感じます。取り上げられている「名著」の解説も明快で、とても参考になりました。
匿名希望さん(研究者)

20位

推薦コメント
賛成か反対かと聞かれれば自分の意見は言えるけど…実際の「死刑」のことをどのくらい知っているでしょうか。知っておきたいこと、言われてみれば悩んでしまうこと、最も厳しい刑罰だからこそ、視点は複数あります。「あんな奴は死刑にするしかない」と思った時こそ読みたい1冊です。
南口芙美さん(会社役員)

21位

推薦コメント
昭和期のイメージに引きずられがちだが、近年変化をとげ、一定の形式にそって自由度の高い表現がされたステージを見せてくれるストリップ。劇場の外にはその内容は表に出ないため、章立てて解説してくれる稀有な書籍である。
つるさん(会社員)

22位

推薦コメント
私たちは差別という言葉を用いて同じ内容を了解できているのか。文字通り、「差別」を「可視化する」野心的で誠実な試み。同時に、現段階では何が言えて何が言えないのか、他にもどういう可能性がありそうなのかを丁寧に積み重ねていく、学問とはどんなものか自体に触れられる良書。
ロッタさん(書店員)

23位

推薦コメント
私たちは常に言葉を使っている。にもかかわらず、全てを理解は出来ず、伝えることも難しい。その事実を切り捨てない「だからこそ」という姿勢に、新たな視点を貰えた。孤独は悪ではなく、自分を確立するために必要なこと。孤独ゆえに、言葉を知ろうとし、言葉を大切に使うことが出来るのだろう。
(選)岸香菜子

24位

推薦コメント
人間の身体を起点として(決して中心ではない)環境という言葉がいかに無頓着に使われているかを指摘し、生類という言葉を提案する論考集。コロナ禍以降に流行している除菌殺菌、無香、無毛除毛などのあらゆる穢れへの反発の流れはいつまで続くのだろうか、という問いが常に巡る。そんな本である。
(選)坂下慧

25位

推薦コメント
本書が書かれた目的は、あの戦争を「われわれ」化することだという。『「あの戦争」は何だったのか』という問いを通じて制作される「われわれの物語」。「あの戦争」を問うことは、結局のところ、「われわれとは何者か」を問うことにほかならない。
倉津拓也さん(書店員)

26位

推薦コメント
20世紀から21世紀にかけて大きく変化し続けているメディア環境。生成AIというパンデミックを目の当たりにしている今、これからの私たちはどのように情報社会と向き合うべきなのだろうか? メディアの歴史を辿りながら、21世紀の時代精神を考察しよう。
浦山夏/新宿本店

27位

推薦コメント
え!魔女ってまだいるの?! タイトルに惹かれて手に取り、まえがきを読んで、買わずにはいられませんでした。「魔女大国ルーマニア」に暮らす言語学者の快著。専門的でありながら、魔女や魔術についてのエッセイは読み進めるのが楽しく、好奇心が満足する読書体験でした。
小柴典子/仙台店

28位

推薦コメント
論理実証主義のもとに集った志高き哲学者たち。彗星のごとく現れる、やりたい放題のカリスマ。反ユダヤ主義によって糊塗された殺害事件――。一大学派を形成しつつも戦争が離散に追いやったウィーン学団の誕生と思想を回顧する…だけでなく、彼らの科学哲学が現在に息づいていることをも証明する、めくるめくノンフィクションです。
(選)後藤渚

29位

推薦コメント
「哲学」はその始まりからして西洋のもので、「日本哲学」が語られるのは必ず明治期以降となるのが通例だったように思います。本書では「哲学」を再解釈したうえで、縄文文化や仏教到来、「日本人」概念の成立などを読み解き、明治期に繋げることで新たな地平を開いており、「列島哲学」の今後の展開が楽しみになりました。
(選)小山大樹

30位

推薦コメント
共依存や親密性といった、切実な問題を文芸作品などのフィクションの批評を通して論じる。共依存は悪いもの・親密性はよいものとただ決めつけずに、人が関わることで起きる心の複雑な動きを丁寧に描写する。
(選)藤木耀

選考委員があらためて光を当てる、この一冊

推薦コメント
自分で選んでおいてどうかと思わなくもないが、本書より先に、どうしても本書から読むのであれば「はじめに」だけを読んで、立岩真也と出会って欲しい。あの独特のうねうねした、とはいえわかりやすくないわけではない、文章を新しく読むことは出来ないけれども、残された文章はある。本も、そうではないものも、多くある。
松野享一/学術和書部

推薦コメント
食事を作る、看病する等の行為だけがケアではない。たとえ行為としてはたった数分でも頭の中は一日中フル稼働の状態で、来る日も来る日も正解もわからず走り続ける。本書はそんな「名もなきケア労働」にしっかりと光を当て、詳細に言語化した一冊。ケアをする人がもっと不安なく進めるように、もっと不安を共有し一緒に進めるように、すべての人に読んでもらいたい。
津畑優子/学術和書部

推薦コメント
学校の中にある空気感がリアルに感じられ、それでも自分を信じて切り進んでいく著者の熱意が伝わってくる。どんな場面であっても人間関係は最終的には個人と個人とのやり取りであり、学校も例外ではないということを教えてくれた。
東二町順也/新宿本店

推薦コメント
世界文学全集・日本文学全集の編纂や、科学への知見と旅の経験を元にした小説世界、社会的な文明批評で知られる作家、池澤夏樹。聞き手の尾崎真理子とともに、彼が敗戦の年に生を受け、この80年のあいだに体験した社会の変動と個人としてのあり方をつまびらかに語り、彼の言葉が人びとに与えた影響を俯瞰的に示す。
藤木耀/学術洋書部

推薦コメント
元々の本が2014年に刊行されているのでここで提示されている「ポストリスク社会」とでもいうべき思想は別に新しく感じない。ただ、ここで行われている無編集にも思えるような思索の痕跡はいまだに揺るがない価値がある。
坂下慧/新宿本店

推薦コメント
「問いはかくれている」哲学を難しいと考える人は多くいると思うが、ありふれた日常の生活や言葉の中に疑問を感じ、考えることは哲学であると教えてくれる第一部。第二部では「これがそうなのか」と、幼少期に読んだ本の言葉を世の中に感じ取り思索して、生きづらさを和らげることや、他者との共生を考えるきっかけを与えてくれる。
西口正一郎/横浜店

推薦コメント
オーストリア皇妃・エリザベートを暗殺した男、ルイジ・ルキーニ。彼が何を考え、何に突き動かされたのか。本書には資料以上の凄みがあった。現代の我々が理解し得ないところに、歴史は宿る。彼の頭部は、未だウィーンで保管されているという。暗殺事件から約一三〇年。ホルマリンの中で、どんな夢を見ているのだろうか。
岸香菜子/札幌本店

推薦コメント
「居つく」という武道の言葉がある。力んで固まった状態などのこと。これをいかに避けるかが目指すところのひとつであるようだ。本書で中心にすえた「流動性」を意識しながら読み進めるうちに、ふとこの言葉を連想した。力まずあるがままに世界を、意識を、動きの中で捉える、ということであろうか、などと思いが膨らむ一冊。
大籔宏一/梅田本店

推薦コメント
数字は嘘をつかないと言われるが、恣意的に利用すればいくらでも嘘になる。歴史学も過去の記録を都合よく使用したり、ある立場を正当化するために利用したりできる。歴史学の大家が歴史の論文を解説しつつ、歴史学とはどういう学問かを紹介。歴史学の一端に面白く触れられる良書。
武内一貴/泉北店

推薦コメント
ヒップホップに始まり、映画や文学、そして世界情勢について、社会思想や哲学を縦横に参照しながら、暴力や搾取、バイナリーな社会システムへの抵抗の方法を探る批評集。これぞ「批評」! という読みごたえの一冊。
藤本浩介/シンガポール本店

推薦コメント
『到来する女たち』(渡邊英理・書肆侃侃房)を受け、再読した一冊。生を分割する「生政治/死政治」への抵抗を、森崎和江を中心とした「文学史の主流に登録されてこなかった」人物たち・作品群に見出した労作。断続的な自然災害や、米を中心とした物価高騰が続くいま、もっと読まれてほしい一冊。
小山大樹/北海道営業部

推薦コメント
5つの月が街を照らし、海水はレモネードになり、パッションの調和による生活…。ぶっ飛んだ未来視の背景にある時代への不安・閉塞感は現代にも通ずるものがあります。固定観念に縛られない空想・妄想は変革への第一歩。その勇気をもらえる1冊です。
髙部知史/京都営業部

推薦コメント
メディアは「ありのまま」の美しさを推奨し、消費を促す。しかしそこでの「ありのまま」とは当然、見た目に何も手をかけないことを指すのではなく、私たちは「ありのまま」を美しくするための努力を促されている。個人史とも結びつくルッキズムの問題は答えが出るものではないが、言語化していくことが重要だろう。
山田萌果/札幌本店

推薦コメント
「結婚」という言葉、制度を冷静な目で捉え直すことのできる一冊。著者が計量社会学も専門にしていることもあってか、(良い意味で)ドライに結婚・家族関係についての議論が展開される。コストやメリット、社会的システムの観点から結婚について語られるのは新鮮でした。日本に限らず、世界的な結婚が考慮に入れられているのも興味深い。
木村颯/東京営業本部

推薦コメント
「乱視読者って何?」という疑問は、10分も読めば自ずと納得。まさしく乱視読者な著者による縦横無尽な熱いSF語りに、思わず「参りました」と言いたくなります。全文掲載されているジーン・ウルフの掌編「ガブリエル卿」とその読みも妙味です。
後藤渚/横浜営業部

推薦コメント
出版元や本のビジュアルは人文書らしからぬ。しかし哲学者である著者が提示する「やさしさとは」の問いはシンプルかつ深く、そして日々の生活に直接結びついている。この本を読むことによって日常のやり取りに思考が備わる。同著者だけでなく多くの人々がこの本のテーマをさらに発展させることを期待する。何故って私も「やさしい」を継続したいから。
生武正基/教科書・ブックセンター事業推進本部

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