紀伊國屋書店:【新宿本店&大学ブックセンター合同開催】大学出版部協会フェア ~今こそあなたに寄り添うこの1冊を!~ (*7月6日まで開催)

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【新宿本店&大学ブックセンター合同開催】大学出版部協会フェア ~今こそあなたに寄り添うこの1冊を!~ (*7月6日まで開催)

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一般社団法人大学出版部協会は「大学と社会を結ぶ  知のネットワーク」として、学術文化の向上と社会の進展に寄与することを目的に、1963年に設立されました。現在、全国24の大学出版部が所属しています。このたび各出版部による、現在を 考え、未来を読み解くための「知」のラインアップを揃えました。選りすぐりの個性あふれる一冊一冊をどうぞお楽しみください。

新宿本店 大学出版部協会フェア 1-2

新宿本店 大学出版部協会フェア 2-2

本フェアは、紀伊國屋書店新宿本店(3階 レジ前フェア台)および大学ブックセンター各店 ※にて実施いたします。ウェブストアではジャンル別にタイトルを公開中です。


※紀伊國屋書店ブックセンターは、一部のブックセンターを除き、基本的には各施設に所属する職員・学生の方を対象とした店舗となっております。一般のお客様は原則としてご利用頂けません。開催店舗により日程が異なりますのでご注意ください。大学ブックセンター各店でのフェア詳細は「教育と研究の未来」記事よりご確認ください。

※協会所属出版部の一部につきましては本フェアの出品が無い出版部もございます。予めご了承願います

【参加出版社】 北海道大学出版会 東北大学出版会 流通経済大学出版会 専修大学出版局 玉川大学出版部 東京大学出版会 東京電機大学出版局 法政大学出版局 武蔵野大学出版会 武蔵野美術大学出版局 関東学院大学出版会 名古屋大学出版会 名古屋外国語大学出版会 京都大学学術出版会 大阪大学出版会  関西大学出版部 関西学院大学出版会 九州大学出版会

【参加出版社(新宿本店限定)】慶應義塾大学出版会 中央大学出版部 明星大学出版部 早稲田大学出版部

北海道大学出版会

アイヌの出自を持つ著者の「私」が、自己の存在を歴史化し、沈黙を構造化することで「サイレント・アイヌ」が生きる世界の一端を明らかにする。名もなき人びとが生きた歴史とはどのようなものであったのか、なぜ「私」の姿は人びとに見えないのか。家族史・自分史を紡ぎながら、マイノリティ等の声なき主体の問題を描き出す。

「北海道命名150年」をアイヌの人たちはどのように見つめていたのか。開拓を否定するのではなく、この土地が持つ悲しみや努力や希望の物語をアイヌと和人が共に継承するために……。30名を超えるアイヌの人たちが多様に紡ぐ、過去と現在、そして未来への思い。

文学、映画、オタク文化、ミステリなど、台湾において戦後日本のサブカルチャーがどのように受容され土着化していったのか、また、台湾から日本のサブカルチャーは何を逆輸入しようとしたのか。戦後から現代にいたるサブカルチャー史を、日本と台湾双方の観点から明らかにする。

日本文化はいかにして形成されたのか。最初からあったのではない、東アジアの交流を母胎として生み出されてきたのである――文化を政治や外交との絡み合いのなかで捉え、対中国・朝鮮、蝦夷地、琉球、境界の島々(竹島や尖閣諸島)を視野に入れ、日本文化の形成と諸相を縦横に論じる。

日本の文明化と独立保持のために奮闘した福澤、福澤を原点に近代日本を批判し、真の民主化と国民主義の革新を求めた丸山。幕末から明治、戦前から戦後の「脳中大騒乱」時代、日本の変革に賭けた二人の知的格闘を跡づけ、近現代日本思想史を統一的に捉える。

東北大学出版会

東北大学文学部で学べる26の学問分野について、担当教官自らがその奥深さや魅力を紹介する。人文社会科学の未来を担う人への1冊。

「生死」の究明こそ、人間の永遠の課題である。いつか訪れる「死」を想いつつ、満足のいく「生」の実現を考える碩学たちの論考集。

「世界政策を推進する強力な中央は、公然の戦争あるいは不可視の戦争にパルチザンを動員し、とはいえ、ときに切り捨てる」(C・シュミット)。生まれ育った場所に根づくパルチザンではない、グローバル・パルチザンのことである。その彼ら彼女らは、シロアリのように侵入して国家や地域社会を蝕み、家庭をも蝕む。富や命、名を奪い、子までを奪う。……これは、ナチス親衛隊の「全体主義」から「テロとの戦い」へと連なる政治的系譜の一齣ではなかったか。本書はその系譜に抗して、戦争は正規兵がなすべき、ささやかでも講和を重ねるべきことを論じた。

東日本大震災から10年の経過を契機とし、最新の知見と研究成果から得られる「災害」への取り組みを多角的に論じる。

人によって語られた・・・・言葉がときに当人の何たるかを語る・・ときがある。あの「3・11」での津波の災禍を、「海が牙をむいた」と表現する人もいれば、「自然が伸びをした」と語った人もいた。「牙をむく」や「伸びをする」という言葉そのものが、その語り手自身の海についての暗黙の了解を如実にもの語っており、さらには海をそのように理解するその人の何たるかを、すなわちその人の存在そのものをおのずと言外に語り出している。言葉には存在が宿るのである。本書はそのような立場から、言葉と人との根源的な関わりを思索する挑戦の書である。

流通経済大学出版会

近年、これまで男性ばかりであったコーチングの現場に、少しずつではあるが女性が増えてきている。それは日本代表や国内トップリーグといったトップスポーツでも同様である。また、日本国内で指揮を執る外国人女性コーチもおり、女性コーチは国を超えて、活躍の場を広げていることが分かる。ただし、女性コーチの数は依然少なく、とくにトップスポーツで活躍する女性コーチはごく僅かである。また、様々な研究においても、女性はあらゆる競技種目、競技レベルにおいて、コーチになったり、コーチとしてのキャリアを積み重ねたりする上で多くの課題に直面することも明らかになっており、コーチングの現場は依然女性が活躍しづらい環境のままとなっている。にも拘わらず、日本国内における女性コーチに関する問題を体系的に整理した書物は存在せず、女性コーチの現状を知ることが出来る資料は限られている。そのような状況を鑑み、女性コーチの実際について理解を深めることを目的として本書は編まれた。本書では、まず第1章にて女性コーチに関する歴史的・学術的背景と現状について紹介する。第2章では、各競技で活躍する女性コーチに対するインタビューから、彼女たちのキャリアや現在のコーチングについて紹介する。女性コーチのこれまでの歩みを通じて女性コーチが直面する障壁について広く認知されることにより、女性コーチを取り巻く環境の改善に寄与することが出来れば幸いである。さらに、女性コーチになるというキャリアの選択肢を可視化することにより、コーチになりたい女子・女性アスリートが増えることも期待したい。

角本良平は超人的な研究活動を行い膨大な数の貴重な研究実績を残したが、その事後的整理がなされているのかと問えばその限りではない。角本の生誕から百年を過ぎた今日、その研究の旅路を辿っておく重要性は極めて大きい。角本を忘却の彼方に置くとすれば学界の損失でもある。

角本は自ら考え、自ら現場を冷静沈着に観察し、それを可能な限り客観的データで確認した。その研究プロセスから数々のユニークな提案を行った。それらを全10章で紹介するのが本書の大きな狙いである。先行文献の乏しかった中での都市交通の研究、東海道新幹線建設事業での経験を生かした通勤新幹線構想、高速道路料金決定原則での時間便益算定への疑念、土光臨調に先立って分割民営化を提唱した国鉄改革論、その視点からの道路公団改革、郵政改革への評価等多岐にわたる角本の主張を整理・紹介する。その上で交通の本質を文化、哲学、宗教との関連での探究に努めた。

角本交通論の特色は実学であり、その手法を演釋・帰納ではなく、類推、類型に求めた。その背景には角本の人並外れた豊富な研究量があり、実学としての交通学の体系化が生み出された。角本の交通探索の偉大な足跡を振り返る意義は大きい。

本書は、スポーツの個別史に長い間取り組んできた秋元忍、新井博、鵤木千加子、榎本雅之、小谷究、後藤光将、谷釜尋徳、福井元、山脇あゆみの各研究者が、それぞれのスポーツ種目の技術・戦術史について紹介したものである。
個々のスポーツの間には平面的な横の時間軸で見た場合に、人間が使用・相手にする用具・道具・自然とプレーヤーの身体との間の隔たり(大きさ・形・重さ)は、全て違う。そのため、各スポーツ種目のもっている技術・戦術は、全て違うものである。また、縦の歴史的時間軸で見た場合に、時代毎の社会状況、科学、指導者、ルール、用具など、大きなものから小さなものまでの何らかの要素・要因で、技術・戦術が変わると考えられる。
そのため、各執筆者が自分の対象とするスポーツの特徴をどのように考えているかが、技術・戦術の歴史的変化を分析する上での力点になっている。
また、歴史研究者が鋭い現代的視点を持たなければならないことからすれば、現在のスポーツ界の動向に対する各執筆者の意識が分析の力点に幾らか関係してくる。 今回、各執筆者はスポーツ種目の技術・戦術史として重要と思われているテーマや時期について、自分の思惑で自由に取り上げている。現時点でのスポーツ種目史の専門家たちの考える技術・戦術史について、触れてみてください。

「病者の撲滅」を目的としたハンセン病療養所を国が設置したのは1909年。それから110年経過した現在もハンセン病療養所は存在し、そこに暮らす人々がいる。
ハンセン病は死に至る病ではなく、約70年前には治療法が確立していても隔離政策は継続された。ハンセン病療養所への隔離は、地域、家族だけでなく社会からの排除を自身に内在化させた。
本書では、療養所で暮らす病歴者の自発的な表現活動を通して「自己差別」から自身を解放し、社会を動かしていく道筋を明らかにする。 第一章は、療養所入所前、入所後に病歴者が経験する「自己差別」にいたる仕組みをたどる。
第二章は、新たな価値を創造した当事者運動に焦点をあてる。当事者運動が入所者に何をもたらしたのか、運動の積み重ねが社会に与えた影響に注目する。
第三章は、「病者の撲滅」から新たな価値の創造への兆しを個人の多様な姿をひもといていく。
第四章は、新たな価値の創造が個人から個人、地域社会、次の世代へと拡がる動きを追う。

「コンテンツツーリズム」や「聖地巡礼」という言葉を聞いたことがありますか。「人」をコンテンツとする観光形態である「ファンツーリズム」も注目されています。これらは新しい現象、いまどきのブームのように言われることもありますが、そもそも観光は、時代とともにその形を変え、古くからその時代ごとの「コンテンツ」を対象の一つとしてきました。コンテンツツーリズムやファンツーリズムは、観光の本質としては変わらないものです。では何がこれまでと違うのでしょうか。
憧れの俳優、応援するアイドルのコンサートやイベントに参加するために移動するファンツーリズム・・・本書はこれを詳細に分析し、こうした現代的な観光に迫ります。ファン自身をも変える「力」をもつファンツーリズムは、読者のみなさんが観光研究の広さに気づくきっかけになるでしょう。

慶應義塾大学出版会

▼ロシアはなぜクリミアに侵攻したのか
法の支配を無効化し、民主主義を混乱に陥れ、歴史を葬り去る「永遠の政治」。
プーチンによる「永遠」の体制は、純潔無垢なるロシアの復活を唱え、 EUの破壊を画策し、遂にはウクライナの混乱に乗じてクリミアを併合する。

ロシアはなぜクリミアに侵攻したのか――。

20世紀末、ソ連が崩壊し、冷戦が終結したのに伴い、
自由民主主義の勝利が確定したかに思われた。
一部の識者は、平穏でグローバライズされた未来を確信し、「歴史の終焉」を宣言した。
だが、そう信じたのは見当違いだった。
2000年にロシアの大統領となったプーチンは、
オリガルヒ(新興財閥)とファシズムを混交させた新たな権威主義体制を構築し、
ロシアに新たなファシズムが現れたのである。
法の支配を無効化し、民主主義を混乱に陥れ、
歴史を葬り去るプーチンの「永遠の政治」は、やがて、
純潔無垢なるロシアの復活を唱え、EUの破壊を画策し、
遂にはウクライナの混乱に乗じてクリミアを併合する。

プーチンの思想に鋭くメスを入れ、右傾化する世界の実態を捉える世界的な話題作。

▼格差がファシズムを呼び寄せる
ヨーロッパにおける相次ぐ右派政権の誕生、イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領誕生。西側を結束させてきた民主主義の価値観は、いまなぜ動揺し、世界は混乱しているのか。新たなファシズムの台頭に警鐘を鳴らす。

トランプはなぜ大統領になれたのか――。

2010年代、ロシアに起こった富者による支配を正当化する
権威主義体制は東から西へと広まった。
それを助けたのは、ロシアによるウクライナ侵攻と、
ヨーロッパやアメリカに対するサイバー戦争である。
ロシアは、世界中のあらゆる場所に、ナショナリストやオリガルヒ、
急進派の協力者を見出し、西側の制度や国家、価値観を解体したいというその欲望は、
西側自体のなかにも共鳴者を見出してゆく。
ポピュリズムの隆盛やイギリスのEU離脱(ブレグジット)、ドナルド・トランプ大統領誕生は
いずれもロシアが目標とするものだったが、それらが達成できたのは
西側社会や民主主義自体の脆弱さが露見したのだとも言える。

民主主義や法による支配を脅かす、新たなファシズムの台頭に警鐘を鳴らす『暴政』の姉妹篇。

多様化する取引、激化する融資競争

「消滅論」さえ囁かれ、苦境が取り沙汰される地銀・信金信組など地域金融機関は、半面、人々の生活の基盤となる地域経済を守り維持する支柱でもある。収益力の低下や熾烈な融資競争、激甚化する自然災害と疫病など困難な環境を克服し、リスクをとりながらも地域社会とともにいかに生き延びてゆくかを、経済学的手法を用いて丁寧に解説した注目の一書!

▼ミクロの金融ビッグデータを用いた精緻な実証など最新の研究成果をふんだんに取り込んだアカデミック・アプローチをとりながら、専門家以外の読者や地方金融機関に勤務する実務家など幅広い層にもわかりやすく現状を伝える画期的な意欲作!

▼フィンテック技術など多様化する金融サービスへの適合、激化する融資競争、金融機関同士の経営統合など現在地方金融機関が超克しなければならない喫緊の課題への対応策を丁寧に分析するとともに、激甚化する自然災害や疫病など、地方が直面する困難な環境を克服していくためには何が必要かを、きめ細やかに解説する。

▼「地銀は生き残れるか?」などを標題とする他の多くのビジネス書とは異なる、本格的アプローチ!

冷戦、ポスト冷戦、その先の世界へ

第二次世界大戦終結後、国際政治の構図はどのように変化してきたのか?

アメリカ・中国・ロシアの外交とヨーロッパ、中東、アジアの地域情勢が複雑に絡み合う現代。
主要国の外交や地域政治の構図とその変化を浮き彫りにする、新しい視点の入門書。

各章に日本に焦点を当てる節を設け、激動する国際情勢に日本がそれぞれの時代でどのように向き合ってきたかもたどる。

近代日本の誇る教養主義の「裏通り」を一望する!

軟派出版の世界で、道楽知識人たちは国家権力と戯れ、一大文化空間を築いた――
「低俗」出版文化の歴史と「書物」「エロ」への欲望を可視化する意欲作 近代日本の出版文化は、岩波書店と講談社に代表される「知識人/大衆」という対比構造によって、しばしば教養主義の観点から論じられてきた。しかし、読書が大衆化した時代に、この図式に収まりきらない非正統的で「知的」な地下出版空間が存在した。
本書では、これまで閑却されてきた非公刊の軟派出版(性風俗、猟奇、犯罪を取り扱った刊行物)とその版元に注目し、教養主義の言説空間との関係性から捉え返すことで、地下出版界をメディア史的に体系化する。
「好色出版の帝王」梅原北明、「書痴」斎藤昌三、「軟派出版界の元老株」伊藤竹酔、「毒舌和尚」今東光など、多くの出版人の足跡を追いながら、同時代の社会運動や芸術運動とのかかわりのなかで広がった「知のネットワーク」を明らかにする。

専修大学出版局

過労自死の特徴とはどのようなものか、なぜ人は仕事との関わりの中で命を絶つに至るのか。判例をデータ化した比較分析とケーススタディにより過労自死を考察する。

本書の目的は特定の経済政策の有効性の考察ではない。
経済政策が実現、成功、あるいは失敗するメカニズムを理論的および実証的に解明することである。

災害は弱者を襲う。コロナ禍と福島原発事故、両者のつながりは何か。安全と安心の二元論を超えて、今あきらかになる排除されてきた「社会の病」の存在。
新型コロナでも、原発事故後の復興課題でも、みんな精いっぱい頑張って努力を続けているのに事態は思うように改善しないのはなぜか。問題の所在は、科学(事実)と政治(価値理念)、命と経済、安全(客観)と安心(主観)、専門家と素人、理系と文系の対立にある。二項対立によってこぼれ落ちてしまい、その存在さえ見えなくなってしまう社会の病をあぶり出し、コミュニケーション不全の原因を明らかにする。それが、本書のテーマである。

4中央銀行によるマネタリー政策とプルーデンス政策においてみられる相違点を、中央銀行の成り立ち、組織の仕組み、各国・地域が置かれた金融・経済環境の違いなどの面から考察する。新型コロナ危機対応を踏まえた政策についてもそれぞれに整理して将来の展望を行う。

メーカーとの共同開発やメーカー製造による協働型プライベートブランド(PB)がどのようにシェアを拡大したのか、消費者からどう評価されているのかを調査・検討し、メーカーや小売業に対し今後のPBを示唆する。

玉川大学出版部

国立大学と私立大学のはざまで公立大学はその存在もふくめて微妙な位置に立たされていた。地方都市に公立大学を作るのが抑制された時期もあり、存在価値を失っていったのだが1990年代以降次々と新設の地方公立大学が開校していった。一体なぜ?そして人口が減少する将来、公立大学はどう生き延びていけばいいのか明らかにする。

古くから重要視されながらも、あまり実態が把握されてこなかった日本のゼミナール教育の特徴を多様な角度から分析。歴史的経緯、現状と課題、さらに学生の学びの様子と社会とのつながり等、歴史的・量的・質的研究アプローチを用いて明らかにする。ゼミのイメージを具体化し、今後のより良い実践へつなげることを目指す。

20世紀、年少者たちは様々な方法で「家族」のなかに囲い込まれ、「消費社会」から遠ざけられていった。彼・彼女らは、漫画・アニメを大量に消費することで、大人たちを批判し、家族へ反抗した。「消費社会」を超える夢や妄想を受け止め、越えていくまったく新しいサブカルチャーの姿が見えてくる。

これからの社会では人工知能(AI)についての知識が必要というけれど、なんだか難しそう…と思っていませんか? 本当に必要なのは、プログラミングなどの技術そのものではなく、その技術をどう活用するかという論理的な考え方を身につけること。本書でAIとうまくつきあい、その知恵を社会に活かす方法を学びましょう。

テーマの決め方から、情報収集、効果的なプレゼン資料の工夫など、ラーニング・スキルの「技」を見開きで紹介。探究型学習に好適。

中央大学出版部

本書の特色は分権化、広域化、民営化、規制緩和、財政改革、組織再編、公務員制度改革、独立行政法人改革や公益法人改革などの現代的課題に即した制度分析を行い、組織理論を駆使して制度と管理の技術的な把握を行っている。権力と技術、分業と調整(協働)のテーマでマクロ的な構造認識とミクロ的な技術把握という設定を行い、依拠すべき研究蓄積に基づいた議論の体系化・理論化を試みた。本書の現状分析や理論構築は他の行政学教科書と比べて綿密かつ詳細である。本書は現代行政の制度改革に関心を持つ人びとを対象としており、公務員試験の受験を予定している人びと、現役の公務員、公共の活動に関与する人びと、一般市民にも有益である。

『アーサー王神話大事典』や『中世の祝祭』などの著作で知られるフィリップ・ヴァルテールが、主として中世期の文献に登場する「女神」や女神的存在を、ユーラシア神話の観点から分析した12編の論考をまとめた独創的な論文集。2019年7月に刊行された『英雄の神話的諸相』に続く、『ユーラシア神話試論』の第2巻。4部構成の本書では、第1部でケルト文化圏の女神が見せる3者1組の姿、第2部でヨーロッパの女神の動物への変身、第3部で異界に位置する女神の住処が取り上げられ、第4部で妖精メリュジーヌとトヨタマヒメなどの日本とヨーロッパの女神および女神的存在が比較検討されている。

20歳の頃、あなたは、どんな本を読んでいただろうか?ドストエフスキー、村上春樹?それとも太宰治?文学、歴史、社会、哲学などの魅力に否応なく惹き込まれ研究を生業にしてしまった者たち。底無しの「学問沼」に引き摺り込まれ、今は知の達人になってしまった11人が、それぞれの沼から、皆さんに呼びかける途轍もない本。20歳の頃、こんな本を読み、これほど心を震わせ、最終的に今の研究にのめりこんでいったと赤裸々に語る告白の書。教員と大学生が、同じ地点に立ち、一年かけて試行錯誤しながら一緒に授業を創造していった。最後は、比類のない本書を創り出した。学問、読書、本、出会いに少しでも興味がある人には、必読である。

これから自分が何を学んでいくか悩んではいないか。あるいは大学での学びに関心を抱くことができず、挫折してはいないか。無限に広がる学問の世界に足を踏み入れることは難しく、まして主体的に学びに取り組むことはなおさらだ。本書は「時間・記憶・記録」という共通テーマで、各学問分野のスペシャリストたちが分かりやすく知の世界を開示していく。また学生によるコラムは、読者に近い視点から各学問の魅力を伝え、あなたと学問とを結ぶ架け橋になるに違いない。中央大学文学部の一年間に及ぶ「本づくり演習」を通じて学生と教員がともに創り上げた本書は、本格的に学びをスタートさせたい人、今まで学びを遠ざけてきた人にとって必読である。

東京大学出版会

「紀伊國屋じんぶん大賞2022」3位

「読むなよ,絶対に読むなよ!」

ラッシャー木村の「こんばんは」に,なぜファンはズッコケたのか.ユーミンの名曲を,なぜ「恋人はサンタクロース」と勘違いしてしまうのか.日常にある言語学の話題を,ユーモアあふれる巧みな文章で綴る.著者の新たな境地,抱腹絶倒必至!
【東京大学出版会創立70周年記念出版】

古今東西の古典を素材に、法がさまざまな学問領域や社会生活に密接に関わることを解き明かした新しいガイド。考えながら読み進め、グループワークで活用することにより、「課題を発見し多角的に吟味する能力」「多様な価値観を持つ人々とコミュニケーションする能力」「現代的課題の解決のために行動する能力」の習得へ誘う。高校生から社会人まで、ディスカッションしながら楽しく学べるユニークな授業を遂に書籍化‼

定評ある辻日本美術史の補訂版.縄文からマンガ,アニメまでを視野に入れ,日本美術に変わらずあり続ける特質を大胆に俯瞰する.最新の研究動向をふまえて記述をアップデート,よりわかりやすく解説.重要な作品を加えてさらに充実したニューバージョン.オールカラー.【東京大学出版会創立70周年記念出版】

初学者向けの基礎事項から実務家向けの最新トピックまで,会社法のすべてを解き明かした概説書.基本原則や制度趣旨など初歩から分かりやすく解説するとともに,実務上の運用や争点など実践的な知識も数多く提示する.2021年3月施行の令和元年改正に完全対応するほか,最新の動向を踏まえて更に充実の改訂第3版.

「人間とは何か」という問いに「進化」という側面から光を当て、生物としてのヒトという視点で行動や心理をとらえたロングセラー・テキストの全面改訂第2版! 新たに共著者を迎え、分子生物学・化石人類学を含む研究の進展に対応し、生活史・進化心理学の研究法・文化進化について章を設けるなど、内容を刷新。

東京電機大学出版局

ハンダ付けが不要の「ブレッドボード」。様々な電子回路を気軽に実習できる。電子部品についての基本や、アナログ回路・デジタル回路の基礎を学べる。

カルマンフィルタの理論をわかりやすく丁寧に解説した教科書。学習の手助けになるよう演習問題も数多く掲載。初学者必読の書。実践に役立つMATLABのプログラムも掲載。パソコンでシミュレートを行うすべての学問領域が読者対象。

地球の物理量(温度・周波数など)を宇宙から計測し、地球の状態を把握する技術について、初学者向けに体系立ててまとめたテキスト。人工衛星によるデータの取得や原理、データの処理法について解説。JAXAに所属し長年にわたり宇宙の研究に携わった著者ならではの視点でまとめた。

科学で偉大な発見・発明をした偉人の業績と生涯を分野別に紹介するシリーズ。会話調の平易な語りと多数のイラストで興味関心を深められる。各章末エピローグで、偉人の精神を受け継ぐ研究者等が最新の話題や新たな展開を紹介。2022年より高校の新学習指導要領にて「探究学習」が導入、さらに様々な分野を統合し新しい創造を目指す「STEAM教育」で、自ら問い立てし自律的に探究する偉人は最良のモデルとなる。科学への興味関心を喚起するとともに、探究の重要性と社会への影響や価値の大きさを理解する機会になる。

法政大学出版局

二十世紀の全体主義の惨禍を、一人のユダヤ人女性として、亡命知識人として生きたハンナ・アーレント。政治的公共性や市民的自由がグローバルな危機に瀕し、民主主義の未来が脅かされる現在、彼女の思考の遺産から私たちは何を学ぶべきなのか? ベテランから若手まで総勢50名の気鋭の執筆者が、主要なテーマ群を最新の視点で掘り下げる決定版の入門書。各著作の解題や略年譜も付す。

「20世紀アメリカ・ジャーナリズムの業績トップ100」の第1位に選ばれた、ピューリッツァ賞作家ハーシーによる史上初の原爆被害記録。1946年の取材による1~4章は、6人の被爆者の体験と見聞をリアルに描いて世界に原爆の惨禍を知らしめ、原水爆禁止・核廃絶の運動に影響を及ぼした。85年の再訪で成った5章「ヒロシマ その後」では、原爆症との闘い、市民としての生活・仕事・活動など、稀有な体験者たちの戦後史をヒューマンな筆致で跡づける。

主体/客体あるいは人間/自然といった近代的世界認識を超え、脱中心的なネットワークとして社会を記述するアクターネットワーク理論。アーリ、ラッシュら多くの社会学者に影響を及ぼし、技術社会論、情報論、経営学、地理学、人類学、哲学、アートにもインパクトを与えた方法論を、提唱者であるラトゥール自身が解説する。現代の知見をふまえてアップデートされたラトゥール社会学の核心。

自分と異なる他者への嫌悪や抑圧は、差異を取り除き、同一にすればなくなるのだろうか。正義の分配的パラダイムの限界を指摘し、性や人種、年齢や文化などの差異を認知して肯定する都市の公衆と民主主義にこそ、著者は希望を見いだす。差異と正義に関する社会的・規範的な理論としてもはや古典とされる、政治哲学者ヤングの主著ついに翻訳。

17世紀のジャンセニズムの拠点として著名なポール・ロワイヤル修道院。その学校でアルノーとニコルが執筆した本書は、デカルトやパスカルの最新哲学を取り入れた論理学の教科書であり、現代までフランス人の思考方法の規範となった古典である。リセや大学で使用され、翻訳を通じて広く西洋知識界に浸透し、フーコー『言葉と物』でも扱われた著名なテクストを、1683年の第5版からついに全訳。

武蔵野大学出版会

ネットで悪質な書き込みをされたら…
あなたはどうしますか?
ネット中傷の現状とその具体的な対策方法を
やさしいイラストと共に解説!

危険ドラッグはなぜ生まれたのか?
危険ドラッグは脳にどう作用するのか?
危険ドラッグはなぜやめられないのか…?
薬学部の教授である薬の専門家が、危険ドラッグのすべてを、豊富な図版を使ってわかりやすく解説する(2016年に出版された『危険ドラッグ大全』の増補版)。

その医薬品はなぜその名前になったのか? 日本の医薬品1321点を網羅し、誕生した背景や特徴、エピソードなどから、その医薬品名の由来を解説。 医療従事者にはもちろん、薬剤師国家試験対策にも活用できる事典。

樋口一葉の『たけくらべ』の原文(文語)を漫画のフキダシに収めて解説! 日本古来の言葉の優美が味わえるこれまでになかった文学BOOK!

「親鸞の言葉を、読者に届くように語ることはできないものか…?」小説家であり、武蔵野大学の教授である著者が、可能な限りわかりやすい言葉で解説した「超口語訳版の歎異抄」。日本の仏教がよくわかる「仏教の歴史」付き。

武蔵野美術大学出版局

原弘が拓き、勝井三雄により啓かれた
視覚伝達デザイン学科の基礎課程の展開を
170作品と11の論考により追究

勝井三雄は「教場はアバンギャルドな創造の器である」と明言した。教育の現場は既存デザインの再生産の場ではなく、学生と教員が「今と社会」に対峙し、絶えずデザインとは何かを問う研究の場であり、新しいコミュニケーションのかたちを模索する実験場である。本書では、これを実践するためのカリキュラムが編まれた経緯、その成果である170作品を15のカテゴライズで紹介。11人の教員の論考とともに独自の教育メソッドを開示。

反芸術からもの派まで
1970年前後のアートシーンにおいてあらわになった
観念(イメージ)と物質(モノ)の抗争と対立を解き明かし
〈見るということ〉をめぐる、制作と批評の軌跡を検証する

1960年代の「反芸術」から戦後日本美術の重要な美術動向である「もの派」へ、そして、ハイレッド・センターによる山手線事件、赤瀬川原平の作品を発端に社会現象にまでなった模型千円札裁判。1960年代から70年にかけての日本現代美術の事象を、当時の批評家や作家の実践を通して読み解く。イメージかモノかという困難で切実な問題に、当時の美術の最前線にいた作家や批評家はどう対峙したか—。

中原佑介、W.ベンヤミン、中平卓馬、李禹煥、関根伸夫、赤瀬川原平、高松次郎、中西夏之、G. バタイユ、M. デュシャン、刀根康尚、J. ケージ、森山大道、榎倉康二、栗田勇、R. モリス—。彼らの批評と実践を検証し、日本現代美術の軌跡を追う。

日々の暮らしの「あたりまえ」を問い直し
独特の造形・行為を見出す行為から
新しい民俗学がはじまる!

ヴァナキュラーとは「人々の生活から育まれた」固有な文化である。現代を生きるわたしたちは、いくつもの小さなコミュニティを同時に生きている。学校や職場、地域社会や家族、ネットの世界にも、人の営みはあらゆるレベルでヴァナキュラーを生み出し続け、そこには素朴な問いが潜んでいる。みずから問いを見出し、それと付き合い続けるのが、本当の意味でのフィールドワークであり、ここに民俗学をまなぶ意義がある。

かつてない「読む彫刻」ついに誕生!
彫刻を観ない人に捧げる
彫刻オタクによる愛の歌

「構造を被覆する表面によって成立する彫刻の系譜を確認する」という共同研究に、彫刻家、美術史家、学芸員9名が集結。お堅い命題に頭を抱えて議論百出。ついに満場一致で「ぺらぺらの彫刻」として追究開始。道成寺の鐘の内側は、内なのか外なのか? 禅問答に悩むごとく、ある者は触覚から、ある者は空洞から、ある者はピカピカから、ある者は時代の空気から…横山裕一に章扉を描かせ、溢れる彫刻愛は「読む彫刻」を生み出した!

かつて大災害をもたらした火砕流が流れ下った雲仙普賢岳山麓。
自然の圧倒的なエネルギーと人間の営みの関わりを探る、
思索と行動と鎮魂のアート・プロジェクトの記録。

長崎県島原半島に聳える雲仙普賢岳が1990年11月、198年ぶりに噴火した。翌年6月、大火砕流が発生し43人もの死者・行方不明者を出したほか、多くの建物などが被災する大惨事となった。その犠牲者のひとりである新聞記者が遺した一枚の写真との出会いをきっかけに、1992年から現地を訪れ定点観測という手法で噴火後の自然と向き合う著者。身体を通して記憶の地層を掘り起こし、見ることの深さを問う表現を続けてきた、ひとりの美術家の25年にわたる活動の軌跡。記録写真を中心に図版を多数掲載。

明星大学出版部

現代の教育は誤ったイメージにとらわれていると、教育社会学者が「理論」と「データ」を多用して実証。教育問題を考察するための良書。最新の教育事情を反映した改訂版。

教育政策の法制・組織・財務の基礎的・基本的知識を全16章にわたり、主に教員及び教職志望者を対象にわかりやすく概説したもの。

学校とつなげ、学校で生かせる教職教養。
自然と教職教養が身に付く受験生必携の書。
現場の教員にも役に立つ。
長らく現場を指導してきた教員の教師力を学ぶ。

早稲田大学出版部

村上春樹氏のインタビューを所収! 日本記者クラブ賞に輝いた文芸記者の著者が、動物を手がかりに村上文学の森に深く分け入る 。 デビュー作の『風の歌を聴け』から『猫を棄てる』までを貫く核心のテーマとは 。好評を博した新聞連載記事を大幅加筆した待望の決定版!

村上春樹の文学世界を読み解く「記号」は中国であると考える著者が、「猫好きの村上春樹」と「猫嫌いで小鼠好きの魯迅」を照らし合わせることで、二人の文学世界を掘り下げる本書。 手掛かりは「魯迅」と「父親の中国戦線従軍体験」。そして「中国文化の村上受容」と「高橋和巳」。 比較文学的手法を駆使する著者にいざなわれ、村上文学の深淵をのぞくとき、その先には別の深甚なる世界が待ち受けていた―。村上が中国をどう見て、中国が村上をどう見ているのか。そして中国人は村上文学をどのように読んでいるのか。それらの考察を本書でくまなく展開する。「早稲田大学創立者・大隈重信没後 100 周年」( 2021年1 月10 日)の特別企画第2弾。

平和ボケしているのか。それとも戦争ボケしているのか―。広島市長が毎年8月6日に読み上げる「平和宣言」は、戦争被爆国になった日本の「戦争の世紀」を思い起こさせる特別な機会。その基調は原爆死没者慰霊碑に刻まれた「過ちは繰返しませぬから」である。 「核の時代」に生きる私たちは、「戦争の世紀」に犯した過ちを繰返さないと言い切れるか。1947年の第1回平和宣言は「原子力をもって争う世界戦争は人類の破滅と文明の終末を意味する」「永遠に戦争を放棄して世界平和の理想を地上に建設しよう」と呼び掛けた。 それから75年。核兵器の削減は進まない。平和宣言全文に加え、歴代3市長のロングインタビューを収めた本書。核兵器禁止条約が2021年1月に発効したのを機に、核廃絶と世界平和実現の道筋を示す。待望の「平和研究・学習のためのテキスト」が誕生しました!!  (制作協力:広島市、広島大学平和センター、中国新聞社)

満蒙開拓団の日本人たちは1945 年8 月、ソ連侵攻により満洲(現・中国東北部)に置き去りにされ、集団自決した。国策に従い彼ら彼女らを満洲へ送り込んだ村の有力者は、それを知り自らも死を選んだ。時代に踊らされ、時代に流され、時代に殺された人々。時代は国そのものではなかったか――。 著者初の書き下ろしは、村の有力者が書き残した日記を手掛かりに、満蒙開拓の深層、時代と侵略の真相に迫る。「満州事変90 年」に当たる2021 年の記念碑的ルポルタージュがここに誕生!!! きな臭い日中関係を再考するための糸口が本書に記されている。

首相を2度経験した大隈重信はちょうど100年前に亡くなった。英国の議会政治をモデルに日本初の政党内閣を誕生させた彼は、早稲田大学の創立者で知られる。1897年の卒業式で「諸君は必ず失敗をする。随分失敗をする(略)成功より失敗が多い。失敗に落胆しなさるな。失敗に打勝たなければならぬ」の名言を残した。「明治十四(1881)年の政変」で政界を追放された経験も背景に、失敗を乗り越える方法として「学問」の存在を訴えた。それから1世紀余。大学の基本理念(教旨)である「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」をもとに、人類が直面する21世紀の課題に「たくましい知性」「しなやかな感性」で挑む早稲田大学の過去・現在・未来を本書は照射する。「進取の精神」「久遠の理想」の源流に触れるとき「都の西北」は輝いて見えるに違いない。

関東学院大学出版会

本書は18世紀以来の英国の旅行文化について考え、湖水地方、ウェスト・カントリー、ワイ川、スコットランドを巡り、ロマン派詩人ワーズワス、コールリッジ、キーツらの旅を探った研究である。

なぜ、ヘミングウェイの描く妊婦は次々と死んでいくのか。数多くの傷病者を描くことでヘミングウェイは何を表現したかったのか。傷病に侵された登場人物たちは周縁的な描かれ方をされているものの、その陰画的存在はメイン・キャラクターを照射する極めて重要な役割を担っている。社会不安や権力への反発を投影する圧倒的な負の存在に着目しつつ、ヘミングウェイ・テクストの再読を試みる。

第1章は英国バプテスト教会における聖餐論争の歴史を詳述する。第2章、第3章は異なる角度から1930~40年代の日本におけるバプテスト教会を巡る諸相を紹介する。第4章はバプテスト草創期における指導者の主著からその神学的特徴を抽出し整理する。

医療・介護ニーズをもつ高齢者、分野横断的ニーズをもち孤立する高齢者が増えていく超高齢社会。そこでは多機関協働が標準的な支援スタイルとなる。その効果的な方法・スキルはなにか、利用者参加はどうあればよいか。政策の流れと支援の実際を踏まえて、論じる。

イギリス近代小説の起源に大きな役割を果したダニエル・デフォーは、曖昧な作家だといわれる。デフォーはさまざまな仮面を付け、さまざま声を借りて、数多くの政治的パンフレットや小説を書いた。本書は、そのような、さまざまなるデフォーの小説の多様性を追求する。

名古屋大学出版会

学際化がすすむ社会諸学のロジックをいかにして身につけるか。日本で初めて認識論から説き起こし、多様な調査研究手法を明晰に整理して、メソドロジーの全体像を提示する。社会科学を実践するための要諦をつかみ、創造的研究を生み出すための最良のガイドブック。

誰も教えてくれなかったガイドの決定版。技術マニュアルを超えて、博士号取得をその考え方から解説、論文の執筆計画から教師・学生のコミュニケーションにいたるまで、だれもが経験するプロセスへの対応をわかりやすく論じ、学生・教員から絶大な支持を集める世界的ベストセラー。

客観性とは何か。科学はいかにして「客観的なもの」と向き合うようになったのか ——。近世の博物学や解剖学から、写真の衝撃を経て、現代のナノテクノロジーまで、科学者の実践や「認識的徳」の展開をたどり、客観性の歴史を壮大なスケールで描き出した名著、待望の邦訳。カラー図版多数。

肝心な筋道だけをコンパクトにまとめた、待望の教科書。古典力学との対応にこだわることなく、量子力学をそれ自身で完結したものとして捉え、確率振幅からエンタングルメントや調和振動子まで、明快に記述。線形代数がわかれば、量子力学もわかる!

世界が違って見える。—— 概念は、思想家の身体を通して、ある時、ある場所で生まれ、受け手の身体を通して生を変えるだろう。ドゥルーズ、フーコー、ラカン、バルト、ガタリ、アガンベンらの、真に驚くべき概念たちとつきあい、それぞれの声や文体とともに、思想の核心を読みひらいた透徹の書。

名古屋外国語大学出版会

若者たちのための、コトバと文化と社会へのガイダンス、プレゼンテーション。韓国語、フランス語、タイ語、アラビア語、中国語、ポーランド語、インドネシア語、イタリア語、ロシア語、ポルトガル語、ドイツ語、スペイン語、ベトナム語、英語…14言語の特徴と面白さ、歴史や生物、ボランティア活動、音楽、ファッション、グルメ……これから生きていくあなたのお役立ちヒント満載・フルカラー版。何をしたらいいかわからない18.5歳へのバイブル!

シュールな檻。美しい罠。 本邦初訳…ロシア・アヴァンギャルドの傑作゠フレーブニコフ「虜囚」、現代中国に蘇る幻想゠王蒙「木箱にしまわれた紫シルクの服」、ブラジル文学の至宝゠ハトゥーン「大自然の中の東洋人」、イタリア・サルデーニャの荒々しい異界゠デレッダ「夜に」、アラブ文学への招待状、エジプトから゠タイムール「子供だった彼は、そして青年になった」、台湾人気作家の突き抜けた掌編゠李昂「モダンダンス」、イギリスの大家キプリング、真骨頂のインド味゠「ヨール嬢の馬番」+新訳…甘く痛ましい青春゠ヒュレ「初恋」、現代に刺さる告発゠フォークナー「ドライ・セプテンバー」、大人への跳躍と夢゠シュペルヴィエル「女の子」、美しい自然・郷愁・人゠李孝石「蕎麦の花が咲く頃」

各作品に詳細な解説あり。著者・主要著作紹介、作品の基本的解説、作品およびその国の歴史的・文化的背景や作家の文学史的な位置づけ、さらに幅を広げて読むための読書案内、訳者より個人的な思い入れや感想など。

ユーラシアからアフリカまで、世界の牧畜の今がわかる本。
人間と家畜と草原の共生、牧畜と牧畜社会の在り方を、日本のえりすぐりの研究者が描き出した。
12名の執筆者は、文化論、社会人類学、歴史学の研究に携わる。狭い研究領域に閉じこもることなく、様々な角度から牧畜社会の現状と歴史を描く。高校生にも読めるわかりやすさ。現地取材にもとづく具体的な「ルポルタージュ」も魅力。人類学、環境論、比較文化、地域研究の教科書にも好適で、高校生、大学生、さらには広く、ユーラシアやアフリカの社会・文化・歴史に興味をもつ一般読者にもおすすめ。牧畜民にスマホが似合う理由を知りたい人に⁉

知られざる小国ヨルダン。アラブ世界、中東政治の調整役として重要な位置を占める。そのヨルダンにおける女性たちの生き方、考え方を、迫力ある丁寧な現地聞き取り調査で綴った渾身のルポルタージュ。アラブの女性問題の一端が、生の声を通して語られる。家庭内での女性の位置、離婚、貧困からの脱出、「産む性」としての制限と格闘……。地位向上をめざす彼女たちとともに、JICAのプロジェクトが着々と成果を上げていく。またこの10年に及ぶシリアからの流入難民に対して、同じアラブ人として、女性として何を考え、どう行動したかも記録。襲いかかる新型コロナウィルスなど、アラブ世界の現実を読み解く最適のテキスト。

映画は誕生のときから〈世界へ開いた窓〉と呼ばれていました。彼方にある世界を覗き見るためのツールとして、重宝されてきたのです……。 この本でとりあげた国・地域は、南北アメリカから、ヨーロッパ、アジアまで広範囲に及びます。映画はハリウッドだけでなく、それぞれの国・地域の特性と混ざり合い、独自の文化を発展させていきました。
そんな世界の映画文化に触れられるのも、本書の魅力。

京都大学学術出版会

“弱さ”を“強み”に変えたヒトの歴史から学び,レジリエンス史観で危機の時代を乗り越える。大きな転換の時代にあって,レジリエンスすなわち「危機を生きぬく知」の視座から,700万年のヒトの来た道を振りかえり,人類進化と社会の変遷の歴史を丹念に見直すことで,多角的かつ包括的にヒトの特性をとらえ,これからの社会と生き方を考える。これまでの研究実践の成果を「より良き未来の選択」に活かすために。

七三一部隊創設者の石井四郎を筆頭に,大学が送り出したエリート研究者たちは細菌戦と毒ガス戦のために中国・ハルピンで人体実験を行った。彼らはなぜ易々と倫理を踏み越えたか? 戦後も医学界が一様に口を閉ざす中,本書は大学所蔵資料や米軍の記録から,巻き込まれただけではない組織の姿を浮き彫りにする。歴史と倫理に向き合う意味を問う。

2016年、京都大学理学研究科で型破りな教育プログラムが始動した。事前にゴールは定めないし、成果は出るか出ないかわからない。そんな「狙わない」知の冒険こそが、真に新しい研究を創出するのだという。溢れる好奇心を旗印に集ったメンバーが、数理という共通言語を介して交流しながらその先にある何かを追求する。京大理学が挑む知の航海記。

詩人・金時鐘が,「日本人だけのまちではない」と誇りをもって言いつつも「陰画」と表現した大阪の,在日朝鮮・韓国人集住地区。植民地主義とその崩壊の中で,公的な庇護無しに暮らしを営み,度重なる政治経済の変動の中でも,新しく外国人を流入させてきたその集住を【都市の活力】と捉え,土地取得・資本移動の緻密な分析から,地区形成の歴史メカニズムに迫る。日本の都市研究に新しい風を吹かす。

【推薦】佐藤文隆氏(元日本物理学会会長・京都大学名誉教授) 人類は二,三千年の文明とともにあり,この先達の遺産を受け継ぐのが読書である。二,三十年の実人生だけでは,食っていく単能な専門家にはなれるが,文明人にはなれない。そうはいっても専門への集中,研鑽も大事である。本書ではこのバランスを “「専門外」の四つのカテゴリー”という考えで上手にマネージする秘訣が提示されている。学術書編集の達人が披露する実践論であり,文明人になる人生の処方箋だ。

大阪大学出版会

住む人が減ったら、地域は再生できないのか?

『関係人口をつくる』の著者が、関係人口を社会学の見地から定義し、その役割を論じた本邦初の「関係人口の研究書」!
各地の事例と新たな理論の枠組みによって関係人口を位置づけ直し、人口減少時代の地域再生の方向性を示す。

「関係人口」とは、「定住人口」(移住)でもなく、「交流人口」(観光)でもない特定の地域に様々なかたちで関わる人々を指す語で、深刻な人口減少が進む地域社会の課題を解決するための新たな地域外の主体として近年脚光を浴びている。本書では、関係人口という新たな主体の存在と、関係人口が地域の再生に果たす役割を明らかにすることで、これからの人口減少時代における地域再生の在り方と、再生に向けた具体的な方法論を示す。新型コロナウイルスの影響を踏まえて今後の地域と関係人口を検討する補論も付しており、地域行政や地域づくりに関わる人必携の書となっている。 

『あなたは、どの外国語も正しく発音できます』

この本の指示の通り、きちんと声を出して繰り返し発音し、のどに手を当て、鏡で口の動きを確認しながら読み進めると、これまでどのように発音してきたかを自分で発見して驚き、問題点がよくわかります。

「歴史」は、”動かない過去”を暗記するだけの、役に立たない科目なのか?歴史学は、”稼げない”学問なのか?

歴史とは何か。歴史を学ぶにはどうしたらよいのか。歴史を学ぶ意味は何なのか。こうした問いに応えられる大人は、どれくらいいるだろうか。大阪大学史学系は、シルクロード史、東南アジア・海域アジア史、近現代グローバルヒストリーなど、定説や教科書記述に囚われず、地域の生活感覚に根ざした視点で歴史研究を推進し、高校教員と連携した「日本史を含んだ世界史」など歴史教育の刷新にも取り組むことで、国内外から注目を浴びてきた。本書では、こうした先進的な研究・教育を踏まえて、高校・大学の新しい教科書の背景にあるような歴史学の考え方や動向を理解し、歴史学の意味を再考する。そして、現代の諸課題につながるテーマに向き合い、眼前の世界や常識に縛られない批判的精神をめざすための素養を身に着ける。大好評『市民のための世界史』に次ぐ、今を生きるための歴史学入門。

●本書の特色
・「課題」と「資料」
古い知識・考え方の問題点や、新しい歴史学の要点・面白さに関わる「課題」や「資料」を足がかりにして、ヨーロッパ中心史観、国民国家史観、男性中心史観といった従来の歴史学・歴史教育を超えた歴史学を示す。「歴史を学ぶこと」に関心を持つ読者に新たな視点をもたらすだろう。例えば、「鎌倉幕府はいつできたのか?」。教科書で覚えた「いい国(1192)つくる」だけでなく、1183、1185年などの説もある。実はこれは、「何をもって幕府の成立と考えるか」という定義の問題であり、5W1Hを再考する問いなのである。

・「歴史の公式」
歴史の基本概念のリストや、歴史学の基礎的な対象・考え方、実際の歴史に広くみられるパターンを「歴史の公式」としてまとめる。歴史学の基本的な性格を押さえたうえで、新しい方法や世界史像を学び、汎用的な歴史的思考力を身に着けることができる。例えば、「内政がうまくいかない為政者は、外交や対外戦争でポイントを稼ごうとする」「戦争は勝った方が一方的に得をするとは限らない」など、歴史学の概念・論理から歴史の展開まで、まさに今を生きる我々が歴史を学ぶことの意義を実感できるだろう。

争いは、進歩や発展の原動力か?回避・解決すべき課題か?――
人間とは争う動物である。もちろん、人間以外のすべての生き物も、自らが生き残るために、そして子孫を残すために、同種内で、および他の種の生き物と日々争っている。それはふつう「生存競争」と呼ばれる。しかし、人間にとっての争いは、やはり特別な意味合いを有している。人口が爆発的に増加し、南極を除く地球の陸地のほぼ全体に生息域を広げ、そして高度に発達した国家と社会を形成した結果、人間は、国家と社会の枠組みの中で、および広く地球環境の中で、多種多様な争いを経験している。それは、食と性をめぐるたんなる「生存競争」という次元にとどまらない、複雑な様相を呈している。現代世界は、争いに満ちているといっても過言ではない。争いは、進歩や発展の原動力であると同時に、回避あるいは解決すべき課題でもある。
 本書には、教育学、心理学、文化人類学、動物行動学、共生学等、人間科学のさまざまな専門分野から争いというテーマにアプローチした成果が収められている。第1部では、学校、野猿公苑周辺、そして裁判といった様々な制度や空間における争いが考察されている。第2部では、日系ブラジル人やインドネシア、ベトナムを対象として、研究者が調査研究の対象としている人々における「争い」をいかに発見するのか、そしてそのことが、対象の人々のより深い理解にいかにつながるのかを知ることができる。第3部では、災害復興、家族・恋人間の暴力、オセアニアの伝統文化を事例に、私たちが争いからいったい何を学ぶことができるのか、考えを巡らせる。
 「争う動物」である人間は、他の存在との共存や共生をいかに実現することができるのか。本書はこの根源的な問いに対する人間科学からの挑戦である。

本書は中国語中~上級学習者、特に大学で中国語を専攻する学生を対象とした、台湾華語(台湾で使用されている中国語)の中級レベルの教科書であると同時に、多言語社会台湾へアプローチするための入門書でもある。台湾人の歴史、アイデンティティ、言語などの30のトピックで構成されており、語学教材としての使用だけでなく、中国語を通して台湾に対する理解を深め、あわせて多言語社会について考えるきっかけとなるような、社会言語学の導入教材としての役割も兼ね備えることを企図した。

関西大学出版部

さぁ、世界を変革しよう! キーワードは持続可能な開発。
大学におけるSDGsの位置づけはどうであろう。若い世代の人たちが、今の世界の現状とその課題を知り、自分たちの手でどのような社会を作っていくのかを考える場が大学でもある。その学びの過程でSDGsの意義と意味を考えながら、それぞれの専門の勉強を行う。関西大学は今まで、多くの地方自治体や企業との連携活動を推進してきた。
 本書はSDGsの課題解決に対する関西大学ならではの取り組みを紹介する。
SDGsの目標達成が展開するにつれて、今の世界社会が持つもうひとつの重要な課題が見えてくるように思う。それは、われわれ人類の精神性の進化、進歩についての課題である。
 21世紀に入り、地球という有限の環境の中での人類の継続性、ここに暮らす、すべての生物の将来を考える必要があることにわれわれは気づいた。
 今、ポストSDGsも視野に入れた、世界社会全体の持続的発展と、ひとりひとりの精神性の進化が問われている。
 本書がSDGsに対する読者の理解の一助になることを願う。

2022年4月より法律上18歳は「大人」です
「民法の一部を改正する法律」が2022年4月1日から施行され、成年の年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
これは18歳になったあなたを「大人」として認め、社会において「責任」ある地位を担ってもらうという意味では喜ばしいことでしょう。
一方で、これまで法律によって保護されていたものがなくなるということは、あなたがトラブルに巻き込まれる可能性が高まることを意味します。つまり、あなたが加害者になったり被害者になったりするかもしれないのです。

事業再生案件などを中心に取り扱う活動をする現役弁護士でもあり、関西大学大学院法務研究科の教授でもある著者。20歳前後の学生と接する機会が多くある、ゼミなども担当しています。
そんな著者だから、「大人」になるあなたにぜひ知ってもらいたいことがあります。 それは、法律に則って解決できる力「法的思考=Legal Mind(リーガルマインド)」のこと。この思考こそが、トラブルに直面したとき、あなたの助けになります。
法律上「大人」になったとはいえ、まだまだ社会経験はこれから。起こり得るトラブルを未然に防ぎ、回避するために、まずは法的思考=Legal Mindを身に付けることからはじめましょう。

本書では大人になるあなたが直面するかもしれない様々なCaseを想定し、法的思考=Legal Mindを養うトレーニングができます。具体的な事例から解決策を探り、シミュレーションを重ねます。自分がトラブルに直面したらどうすべきか、という観点で本書と向き合ってください。より実践的に法的思考を身に付けることができるでしょう。

「女らしくしろ」「女になるな」
日本の女子選手たちは、男子選手ならば経験することのない、こうした矛盾した要求を突きつけられる。なでしこジャパン、女子レスリング……2000年代以降、かつて「男の領域」とされたスポーツで活躍する女子選手の姿をメディアで多く目にするようになった。  強靭な身体と高度な技能、苦しい練習を耐えるタフな精神力や自律が要求されるエリートスポーツの世界。その中でも「男らしいスポーツ」とされるサッカーとレスリングの世界で活躍するたくましい「女性アスリート」たちはどう語られたのか。メディアの語りから見えてくる「想像の」日本人の姿とは。そこに潜むコロニアリティとは。また、トランスジェンダーへの差別が絶えない社会で、トランスジェンダーやシスジェンダーでない選手たちは、女子スポーツの空間や「体育会系女子」をめぐる言説とどのように折り合いをつけ、スポーツ界に居場所を見出してきたのだろうか。
 本書は、日本の女子スポーツ界を取り囲む家父長制的、国民主義的、異性愛主義的、そしてシスジェンダー主義的言説を明らかにし、抑圧の構造に迫る。同時に、その抑圧的環境を創造的に克服してきた選手たちにスポットライトを当てることで、「生きることのできるアイデンティティ(livable identity)」、そしてより多くの可能性に開かれた主体性(subjectivity)のあり方を探る。

大胆に、かつ冷静に。
報道の危機が叫ばれて久しい。そうしたなかで災害報道も苦境に瀕している。被災の現実を迅速に伝えようとしても、逆に被災者に迷惑をかけてしまう事態がネットにさらされ、「マスゴミ」と揶揄される始末である。情報の伝え手と受け手の信頼関係が底抜けしている。徒労感や閉塞感が充満している。情報テクノロジーが高度化すればするほど、情報空間は貧しくなってきているとさえいえる。
 これまでに何度も議論の俎上に載せられてきた「災害報道のベターメント」の問題に関して、解決に向けたあらたな一歩を踏み出すためには、虚心坦懐に理論の立脚点を問いなおし、実践上のアプローチをかえることが求められるのではないか。
 満身創痍の災害報道に対する特効薬はない。だからといって、場当たり的な対症療法に終始するのではなく、根本治癒を目指したものでなければならない。
 本書では「情報」の特性を再定義して、コミュニケーションモデルを描き直し、リアリティの水準から論を興す、新たな地平に立つことにした。人々の命を救う緊急報道、人々の命を支える復興報道、人々の命を守る予防報道の三局面に関して、災害報道のありかたをトータルな視座を確立しようとしている。
 自然災害・社会災害が頻発する現代社会において、災害報道をめぐる根本問題にメスを入れることは、すでに待ったなしの状況にある。大胆に、かつ冷静に。「災害報道学」(Disaster Journlism)の礎石となることを目指した待望の書が、ようやく世に放たれる。

ゼミ生の卒論がきっかけでハロプロアイドルにハマる「こじらせ」大学教授は、40代後半ではじめてアイドルに逢いにゆくことになる。その〈現場〉でさまざまな体験をもとに考察したアイドル文化論。稲場愛香さんが所属するJuice=Juiceのライブ、イベント、舞台に足しげく通ったレポート。オタクとの交流やメンバーとの「接触イベント」で分析したトップアイドルの〈現場〉とは?
本書は、現在のアイドルと、それをめぐるファンコミュニティと〈現場〉のありかたを論じることで、現代日本のアイドル文化の実態を広範に論じている、稀有なサブカルチャー研究書である。

関西学院大学出版会

沖縄をルーツに持つ作家や文化人の作品を分析。沖縄児童文学の系譜をたどり、その実態と課題を明らかにする。

沖縄の児童文学の系譜を作家・作品に即してたどりつつ、戦前戦後、米軍占領期から日本本土復帰という時代の接続期に着目し、作家の思想や子ども観を本土との歴史的関係性や占領下の文教政策との関係性において解明する。

離婚復縁を繰り返しながら互いを相棒と認めあう数奇な作家夫婦の関係を一次資料に基づき考察。多くの未発表作品と新事実を発掘。

金子光晴と森三千代。二人のDNAの二重らせんのような生き方と交流。そこから紡ぎだされた作品群。遺族や関係者の協力を得て多くの未発表作品と新事実を発掘し、この数奇な作家夫婦の関係を考察。

歴史の間に埋もれた台湾女性の主体的な文芸活動を文学研究の立場から掘り起こし、彼女たちの声を文学史に位置づける試み。

日本統治期に萌芽した台湾新文学において、専ら描かれる対象であった台湾の女性たちは、戦前戦後にかけ台湾の体制が大きく転換するなかで、いかに自らを自覚的に語るようになっていったのか。

ドイツでの庭のフィールドワークから生まれたエッセイと論文。具体的なディテールに目を向け博物誌的なまなざしで描く。

ドイツの庭をフィールドワークし、植生、動物、民衆的記憶、神話、伝承、生活史などを手がかりとして、その姿を具体的な手触りとともに浮き上がらせる一連のエッセイ集。学術論文2篇も収録。

人形浄瑠璃文楽の三味線、人間国宝七代目鶴澤寛治の記憶にだけ残る文楽の世界。その戦前からの道のりを文章で再構築する試み。

人形浄瑠璃文楽の三味線、人間国宝七代目鶴澤寛治の記憶にだけ残る世界を再構築する──。この試みによって、戦前から現代までの文楽の道のりが渡邉肇の写真とともに鮮やかによみがえる。

九州大学出版会

19世紀半ば以降、日本とロシアはサハリン島に進出し、以後同島は両国の国境地域となった。近世末の日露雑居期から第二次大戦までに起きた度重なる国境変動は、アイヌ、ウイルタ、ニヴフ、エヴェンキなど現地先住民の生活に大きな影響を与えた。

日本の主な支配地域であったサハリン南部(「樺太」)の先住民は、その少数性などから日本の植民地政策上さほど重要視されておらず、台湾や朝鮮のような植民地統治に対する激しい抵抗もみられなかった。また、第二次大戦後、台湾や朝鮮の民族籍を持つ者は平和条約発効とともに日本国籍を喪失したが、樺太の先住民の一部は戦後も日本国籍の保持が認められた。

このように樺太先住民は、台湾・朝鮮と異なる植民地としての歴史的背景を持つが、国民統合や戦後補償の観点から従来の植民地研究のなかでは台湾・朝鮮と同じ枠組みで語られることが多かった。そのようななかで本書は樺太先住民に対する法政策に注目し、帝国法制のなかで「辺境」の先住民がいかなる法的地位の変遷をたどったのか、その関連法の制定と運用をみていき、法秩序上の「国民」とは何か分析する。

第一次大戦をヨーロッパ文明の衰亡の過程として受け止めた大部分のイギリス人は、戦争を勝利で終えたにも関わらず、不安と恐怖と黙示録的幻想をもちつづけ、危機の言説を形成した。終戦は新しい時代のはじまりというよりも、むしろもっと恐ろしい災禍へ向かう通過点として捉えられたのだった。

災禍を未然に防ごうと、大規模な反戦運動が展開され、歴史学、経済学、心理学、生物学、遺伝学などの一連の科学者は戦争の原因を究明しようとした。トインビー、ホブソン、ケインズ、ウェブ夫妻、フロイト、ハクスリー兄弟、ウェルズら著名な知識人たちを本書はとり上げ、彼らは大戦間期の不安の文化のなかで同じ課題を共有したと論じる。

しかし、こうした努力にも関わらず、根本的な解決策を見出すことは叶わなかった。不況、人口危機、スペイン内戦といった一連の出来事を経て、ヒトラーのナチズムの脅威に直面したとき、イギリス国民は文明を救うためにヒトラーと戦うことを決意した。

イギリスの稀代の歴史家が、不安と恐怖と黙示録的幻想に彩られた戦間期を、膨大な一次資料の調査により解明した文化史研究の大著。

「人類の歴史の中でもっとも平和な時代はいつか?」という問いに答えるのはとても難しい。時代だけでなく、場所も限定して考えなければならないが、前1世紀から後3世紀にかけて栄華を誇り、パクス・ロマーナと呼ばれる平和を実現した古代ローマ帝国は、その有力な候補と言えよう。本書では、その古代ローマ帝国の「平和な時代」を、「戦争のない時代」ではなく、「危機管理に成功した時代」であったと捉える。古代ローマの歴史家、ウェッレイウス・パテルクルスは、アウグストゥス帝が帝国の隅々までもたらした平和によって、人々は追いはぎ、山賊の恐怖から解放されたと書き記しているが、だからといって無防備で郊外を歩くことができたわけではなく、様々な制度によって、あるいは皇帝の威光によって、犯罪の抑止が可能になったと考えるべきであろう。強盗、泥棒などの犯罪、あるいは水害や火災に対してもリスクマネジメントが効いていた時代なのである。

本書では、古代ローマを代表する3つの遺跡  後79年のウェスウィウス火山の噴火によって滅んだポンペイ、ポンペイと同時に火砕流によって生命を奪われたのちに泥流の下に沈んだ海岸に広がる街ヘルクラネウム、ティベリス川河口の要塞から発展した古代ローマの外港で後3世紀に最盛期を迎えたオスティア  での長年にわたる現地調査にもとづき、現代にも通ずる盗難・火災・洪水・疫病といった危機に直面した古代ローマ人が、それらにどのように対処したのか、そして文明の象徴でもあった都市・建築をどのように守ったのかについて、リスクマネジメントの観点から読み解く。また、各リスクに関連して、古代ローマの扉と鍵、窓と窓ガラス、建設現場について、トピックとして取り上げる。

文献や遺物から歴史を組み立てる歴史家、考古学者とは異なり、都市や建築、とくに実際に残っている遺跡から、危機管理を読み解いていくのが本書のアプローチである。レーザースキャニングや写真測量といった最新の計測技術を使って得られた実測データをもとにした水没シミュレーション、浴場の断面図、火災の痕跡写真など、多数の写真・図版を掲載し、ビジュアルから古代都市の実像に迫る。本書で取り上げた古代ローマ人が残した事例には、もちろん成功例だけでなく失敗例もあるが、彼らの「知恵」と「工夫」は、現代の我々にとっても示唆的である。

冤罪はなぜ起こるのか。

刑事訴訟法は明文で、「犯罪の証明があった」ときにのみ、有罪判決において「刑の言渡し」ができ(刑訴法333条)、「犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡しをしなければならない」(刑訴法336条)と規定する。しかし日本の刑事裁判実務では、裁判官の「自由心証主義」が過度に重視され、現行法上の有罪判決の前提である「犯罪の証明」が軽視されてきた。その結果、「裁判官の自由な判断」により誤った有罪判決を生み出す「暗黒裁判」が後を絶たない。

本書では、70数年に及ぶ現行憲法・刑事訴訟法の下で、絶えることなく続発する誤判事件の実態について、最初期から現代にいたる膨大な誤判例の中から23件の裁判を分析することで、誤判の決定的な原因を探った。そこには、別件逮捕を用いた自白獲得や共謀共同正犯の承認、情況証拠のみに基づく事実認定、捜査段階の調書への全面依拠、客観性を欠く供述証拠の「真偽」の判断等、憲法が保障する被疑者・被告人の人権を無視した実務の実態があった。本書はとくに論理的可能性と実在的可能性の違いに着目し、主観的・情緒的な「心証形成」を制約する、客観的・理性的な「証明」の論理を示すことによって、裁判官が誤判を犯す原因を明らかにし、冤罪を防止するための方策を提言する。

生きている言語は常に変化し続けています。現代日本語も「生きている言語」であり、「変化」を続けていると考えられます。では、この「変化」とは何でしょうか。これまで現代日本語の若者言葉に見られる現象は「乱れている」と言われてきました。文化庁の「国語に関する世論調査(平成19年)」でも、「今の国語は乱れていると思うか」という問いに対し、「乱れていると思う」という回答は79.5%に上りました。

しかし、本当に若者言葉は「乱れ」ているのでしょうか。もしそうだとしたら、どのように「乱れ」ているのでしょうか。言葉を扱う学問である言語学の先行研究を見ると、現代日本語の若者言葉は語彙など部分的な研究はあっても、流行語や俗語として考察されたものが多く、「言語変化」という枠組みでは研究されていませんでした。

そこで、1990年代後半から2000年代の若者言葉について、従来のルールでは説明がつかない斬新な用例を取り上げ、言語学的な分析を行いました。また、2010年代の若者言葉も収集・分析することで、どのように変化が進んでいったのか、その変遷についても社会言語学的視点を中心に、現代日本語における語彙・意味・文法・用法の「変化」について考察しました。様々な新しい用法や語彙を収集し、分析を進めていくうちに、若者言葉には言葉遊び・隠語としての機能のほかに、ある一定のルールが存在することが分かってきました。

日本語は変化し続けており、今後も変わり続けるでしょう。その中でも、若者言葉がどのような要因によって、どのように作られ、どの程度残るのかは分かりません。しかし、新造語はランダムに作られているようでいて、その実、ある法則に則っています。今後の若者言葉も、これまでと同様に新しい語彙が生まれ、その新しい語彙や用法は一定のルールに沿ったものとなるでしょう。

エネルギー溢れる若者たちが、言語変化の最先端で生み出し続ける「若者言葉」の世界を、言語学の窓から覗いてみませんか。

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