紀伊國屋書店 出版部 目録 [文学・芸術]

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2023年4月現在


8
46判 268頁 本体2,500 円
佐藤卓
2022978-4-314-01191-4
「ロッテ キシリトールガム」や「明治おいしい牛乳」などの商品デザインを手がけたグラフィックデザインの第一人者が,自ら手掛けたシンボルマークやロゴ120点の制作背景を解説する。日常に溶け込んださりげないマークはいかなる思考から生まれたのか。ブランディングに携わるすべての人に必読の一冊。

16
46判 400頁 本体1,800円
安田登
2021978-4-314-01180-8
古典には立派なことばかり書かれているわけではない。人の醜さ愚かさ,苦悩や煩悩やえげつない話――教科書には載らない部分こそ,真の人間の姿を教えてくれる。『古事記』『万葉集』から『南総里見八犬伝』『武士道』まで,学校の授業に面白みを感じずに遠ざかっていた読者に向けて,能楽界の奇才・安田登が軽妙な語りで古典の世界に誘う。

24
46判 320頁 本体1,700円
斎藤美奈子
2020978-4-314-01152-5
「ベストセラー」以上「古典」未満 読書界の懐メロ=中古典を一刀両断! 一世を風靡した本には,古典に昇格するものもあれば忘れ去られてしまうものもある。『白い巨塔』『タテ社会の人間関係』『日本沈没』『蒼い時』『なんとなく,クリスタル』『構造と力』『ノルウェイの森』……人気文芸評論家が,60~90年代初頭のベストセラー48冊の賞味期限を判定する。

25
46判 272頁 本体1,700円
荻原魚雷
2020978-4-314-01175-4
気力・体力・好奇心の衰え,老いの徴候,板ばさみの人間関係,残り時間……人は誰でも初めて中年になる。この先,いったい何ができるのか――。中年期に差しかかり,そんな迷いのただなかにいた著者の蔵書の一角を次第に中年に関する本が占めるようになった。中年期に書かれた,あるいは中年をテーマにしたありとあらゆる本を手に思考をめぐらせた読書エッセイ。

30
46判 248頁 本体1,400円
木皿泉
2019978-4-314-01168-6
「すいか」「野ブタ。をプロデュース」「Q10」「昨夜のカレー,明日のパン」「富士ファミリー」……観る者の心に刺さっていつまでも残る台詞の数々はどのように生まれたのか――人気脚本家・小説家のエッセイ集。「数十回観た」という熱狂的ファンで知られる伝説のドラマ「すいか」に通じる幻のデビュー作ラジオドラマ「け・へら・へら」シナリオも収録。

40
46判変型 304頁 本体2,700円
平出隆
2018978-4-314-01163-1
詩人・作家として根強い人気を誇る平出隆の自伝的エッセイ。幼少期から思春期にかけて出会った恩師や,稲川方人や河野道代ら詩の仲間,大学時代の恩師・出口裕弘,澁澤龍彥や川崎長太郎ら編集者として出会った作家たち――透徹した美の世界を創造する作家を育んだ豊かな源流が,鮮やかに描かれる。

88
46判 280頁 本体1,800円
シモーナ・スパラコ泉典子室月淳解説
2013978-4-314-01112-9
不妊の末に授かった息子には,出生前診断によって重大な疾患が発見された――選べるはずのないことを選ばされ,孤立感と絶望のあいだを揺れ動く35歳のフリーランス・ジャーナリスト,ルーチェの魂の彷徨を,著者みずからの体験をもとに描いて大きな反響を呼んだイタリアのベストセラー。ローマ賞受賞。イタリア最高の文学賞・ストレーガ賞最終候補作。

110
紀伊國屋映画叢書
A5判 256頁 本体2,200円
遠山純生
2010978-4-314-01068-9
ポーランド映画界で衝撃的なデビューを飾り「第三の新人」と呼ばれたスコリモフスキは,その後共産主義下の祖国を離れ,世界各地を流浪しながら映画を撮り続けてきた。オリジナル取材に基づく各時期の詳細な作品解説,本人の談話,撮影現場のルポ等,様々な角度からその世界を探究する。作家の全貌をコンパクトに見渡せる,待望のスコリモフスキ研究書。

111
最期の身ぶりによる聖書的物語
46判 972頁 本体6,600円
パトリック・シャモワゾー塚本昌則
2010978-4-314-01067-2
カリブ海の小さな島で,一人の老人が死の床に就いている。彼は,第2次大戦後に世界各地の植民地独立戦争に参加したかつての島の英雄である。今では忘れられたこの男が身ぶりで語るその生涯を,言葉の記録人が必至に書き取っていく。植民地支配に抵抗した男の闘いとは?その闘いの持つ意味とは?クレオール文学を越えた世界的傑作,ついに翻訳! 日本翻訳文化賞受賞。

124
速度と身体の大衆文化誌
46判 368頁 本体2,400円
原克
2008978-4-314-01035-1
20世紀前半に一世を風靡したデザイン,流線形。スピード化・合理化の時代を象徴するそのイメージは,自動車や機関車にとどまらず,日用品や大衆文化,女性の身体に至るまで感染症さながらに拡大適用されてゆく。本書は,科学/ファッション雑誌等を渉猟し,米国・ドイツ・日本でそれぞれ特徴的に展開した流線形イメージの系譜を比較文化論的に描く。図版170点

130
46判 204頁 本体1,800円
尾崎秀樹
2007978-4-314-01030-6
大衆文学は1920年に成立したといわれるが,著者は遡って江戸時代の講談,落語などの大衆文化の中にまで踏みこみ,「大衆とは何か」「大衆の望む面白さとは何か」の問いを軸に,日本人の精神構造にふれる何かをつかもうとする。理論は不要とみなされてきた大衆文学の領域に初めて分析の筆を入れ,日本の文学的伝統の中に正当に位置づけた力作。1964年初版を復刊。

142
〈新装版〉
A5判変型 138頁 本体2,200円
サルヴァドール・ダリ瀧口修造
2006978-4-314-01014-6
この異様な近代芸術批判は,滔々とながれるモダン・アートのあらゆる抽象的傾向と,かつて有力な拠点であったシュールレアリスムとに対して,ダリ独自の逆説的立場を主張したものである。展開する論理がいちいちダリ的な身振りに満ち満ちた奇文であり,かれの主張する古典主義は怖るべき逆説を孕んだものだということがわかる。――訳者・瀧口修造

163
ラフカディオ・ハーンと女たち
46判 232頁 本体2,100円
西成彦
2004978-4-314-00965-2
ギリシャに生まれ,アイルランド,アメリカ,仏領マルチニーク,日本と渡り歩き,フォークロア収集にのめり込んだ文化横断者ラフカディオ・ハーン。異文化を貪欲に吸収するその創作活動の命綱は,民間伝承の語り部としての女たちだった。ハーンを介さないと聞こえてこない声に耳をすませながら,ハーン研究の新しい地平を切りひらく渾身の論集。

164
46判 256頁 本体1,600円
斎藤美奈子
2004978-4-314-00958-4
商品情報を読むように,小説を読んでみよう。文学の面白さはストーリーや登場人物の魅力だけではない。作品に登場するモノやその描写を見ていくと,思いもかけなかった読み方ができることに気づくだろう。ファッション,風俗,ホテル,バンド,食べ物,そして「貧乏」。9つのテーマをめぐって,村上春樹から渡辺淳一まで読みくらべる,痛快無比の文芸評論。

165
46判 160頁 本体1,500円
佐藤雅彦
2004978-4-314-00963-8
テレビCM,映画,ゲームソフト,経済入門,教育番組……常に新しいジャンルに挑戦し,独自の世界を創造してきた表現者が長年温めてきた,初めての物語集。みずからの原風景とも言うべき「砂浜」を舞台に,少年たちの小さな世界をそのままそっと封じ込める。早乙女道春氏による生き生きとした挿絵,辻村益朗氏による飽きのこない装丁も味わい深い。

185
46判 298頁 本体1,800円
布施英利
2002978-4-314-00926-3
美は自然に学べ! 外に出て「自然に触れ合う」ことで,美的感性は磨かれ,素晴らしい絵が描けるようになる。本書は,そのための初めてのユニークで楽しいガイドブック。
野山や森,川や海での〈野外実習〉を絵のテーマである光・空間・動き・形と色・生命という5つのレッスンに分けて解説。ダ・ヴィンチ博士流「絵画教室」の完成版!

186
付・薔薇十字基本文書
〈普及版〉
46判 356頁 本体3,600円
ヨーハン・V. アンドレーエ種村季弘訳・解説
2002978-4-314-00931-7
17世紀初頭のドイツ,匿名作者による4つの「基本文書」公刊を機に姿を現わし,全欧に波及した思想運動を担った秘密結社「薔薇十字団」。ゲーテやモーツァルト,フランシス・ベーコンらのちの思想や文学にも大きな影響を及ぼした「基本文書」の全訳から,その謎に迫る。碩学・種村季弘による50頁におよぶ解説「ヴァレンティン・アンドレーエと薔薇十字団」を付す。

194
46判 304頁 本体2,400円
鈴村和成
2001978-4-314-00891-4
なぜ作家は恋愛小説を書き続け,人は読みついでゆくのだろう?
20世紀を代表する小説家,プルーストと彼を信奉していたデュラス――恋愛が重要な主題だった二人の作品を,「逃げ去る女アルベルチーヌ」をもとに,時に『源氏物語』の「宇治十帖」を参照しながら読みなおしていく。詩人にしてフランス文学者の著者ならではの,恋愛論として読む「恋愛小説論」。

195
46判 214頁 本体1,600円
橋本治夢枕獏いとうせいこう
2001978-4-314-00886-0
狂言,講談,琵琶――人気作家による新作台本と対談,エッセイを収録。「日本の芸能のわからなさ」の理由と「わかりかた」の秘密を書いた巻頭エッセイはじめ,対談には丁寧な脚注と写真が入り,入門書としても画期的な一冊。演者の野村萬斎,宝井馬琴,友吉鶴心と各作家の対談は,面白く貴重。古典芸能のファンだけでなく,わかりたい人にもお薦めの本。

201
46判 320頁 本体2,200円
ターハル・ベン=ジェルーン菊地有子
2000978-4-314-00883-9
魅惑の街・タンジェに住む少女ジーナは,成長して不思議な力を発揮し,自分や女たちを傷つけてきた男たちに復讐を始める。はたしてジーナとは何者なのか? 彼女の物語につかまった講釈師やスーフィの5人の謎の男,ジーナに付き従う5人の女の正体は? 物語はやがて,サルマン・ラシュディやアラブの現在に至る,壮大な流れに巻き込まれていく。

202
46判 294頁 本体2,200円
ジェローム・ワイドマン常盤新平
2000978-4-314-00879-2
1920年代のニューヨーク,ヨーロッパからの移民が暮らす貧しい町を舞台に,一人のユダヤ系少年の成長を描いた自伝的小説。愚直に自分の信念を貫く父親や生命力あふれる母親をはじめ,友達や教師,魅力的な町の人々を,少年の目から生き生きと描く。当時の移民コミュニティや大恐慌,戦時下の生活もよくわかる。

215
46判 264頁 本体2,600円
ジャック・ザイプス吉田純子阿部美春
1999978-4-314-00835-8
おとぎ話を子供の手に取り戻さなくてはならない。グリム兄弟やシャルル・ペローが加えた改変や,神話を持たない若い国・アメリカでディズニー映画はおとぎ話をどう変えたのか。また「オズの魔法使い」がアメリカ現代文学について与えた影響などを検証し,現代社会に必要な「本当のストーリーテリング」を考える。昔話研究の第一人者による画期的な1冊。図版多数。

216
46判 268頁 本体2,400円
フィリップ・コルブ権寧
1999978-4-314-00847-1
マルセル・プルーストと,彼の最愛の人,母との書簡集。16歳の時に最初のものを書き,母の死によって交信が永遠に途絶える彼の34歳までの149通を収録する。これらの手紙は,人格形成の重要な時期におけるプルーストの内面生活の深いところまで,われわれを導くものであり,彼が生長していった環境を十全に物語ってくれる修正なしのポートレートである。

217
46判 240頁 本体1,800円
ターハル・ベン=ジェルーン堀内ゆかり
1999978-4-314-00838-9
《これらの物語は愛についてしか語っていません。愛,すなわち孤独や秘密,それが生み出す無理解について/著者の言葉から》。アラブの男女の愛を描きつづけている,モロッコ人初のゴンクール賞作家による,16の愛の物語。夫を共有しようとした二人の女の企みの結末や,嫉妬に狂った男の選択――愛を求めて,互いに求め続ける男女の性愛を描いた待望の短編集。

223
小B6判 240頁 本体1,600円
田中貴子
1998978-4-314-00822-8
あまりにも自然なために,日本では見逃されてきた父娘関係を「源氏物語」や「無名草子」「とはずがたり」など女性が書いた古典文学から読み解く。天皇と皇女の危うい関係から女が女を躾る「女訓書」の世界まで,精密な読解と大胆な切り口で考察する。現代に通じる,家父長制や婚姻制度が整った中世,父の力はどのように娘たちを支配していたのか。画期的な文学史論。

224
"芸術創造の プログラミング"
A5判 320頁 本体3,800円
パメラ・マコーダック下野隆生
1998978-4-314-00830-3
絵の具を混ぜ,時には薄めながら自律的に絵を描き,二度と同じ絵を描かないコンピュータ,アーロンの誕生は芸術と哲学の世界に大きな波紋を投げかけた。芸術の創造性はどこへいくのか。美を理解しているといえるのか。それをつくったのは著名な画家ハロルド・コーエン。本書は,画家と彼が開発したアーロンが「成長」していく様を感動的に描いた二人三脚の物語。

225
46判 376頁 本体3,400円
日本マラマッド協会
1998978-4-314-00820-4
『モダン・タイムス』『マルコムX』など,日本でもよく知られたアメリカ映画35本を,アメリカ文学者が読みとく評論集。映像,ストーリー,社会の反応などから,時代時代の空気を読みとり,統計などの資料によって,アメリカ社会の現実と対応させながら論じている。それぞれの作品の見方を深めるとともに,アメリカ社会を知る入門書としても楽しめる。

238
完本
46判 464頁 本体4,800円
モーリス・ブランショ重信常喜橋口守人
1997978-4-314-00796-2
不在を存在させなければならない言語の宿命,それに賭ける文学者の虚構への熱情,これらが無を有に,否定を肯定に変え,沈黙から言葉を,死から生を生む。また,そのためにこそ,肯定を否定に,言葉を沈黙に,生を死に変えなければならない。揺れうごく作家の魂を文学の〈焔〉のなかにこそ見出そうとする,フランス批評の孤峰ブランショの珠玉の評論集。

239
A5判 622頁 本体5,700円
テリー・イーグルトン鈴木聡
1997978-4-314-00790-0
ジョイス,ワイルド,バーナード・ショー――ヨーロッパの辺境,アイルランドから,なぜかくも偉大な文学者たちが輩出したのか? 文学作品を大胆に読み解きながら,アイルランドの文化的・歴史的風土の根底に刻みこまれたイギリスによる苛酷な植民地支配の記憶に迫る。文化研究,ポストコロニアル批評にすぐれた示唆を与える力作。

240
46判 264頁 本体2,200円
ラファエル・コンフィアン恒川邦夫
1997978-4-314-00813-6
クレオール文学の若きリーダーである著者が,「シャバン」(混血児)と呼ばれる自らの少年時代を,闊達な文章で描いた話題作。カリブ海のマルチニックに育った少年が,奴隷だった自分たちの歴史を知り,やがて作家への道を選ぶまでを,カーニヴァルの喧騒や不思議な風習,魅力的な人物たちをめぐるエピソードとともに語る。カサ・デ・ラス・アメリカナス賞受賞作。

249
小B6判 252頁 本体1,748円
大河内昭爾
1996978-4-314-00745-0
文芸評論家として,数多くの新人を発掘し,また作家からの信頼も篤い著者が,思い出の本について語る。「昔の本には,いうにいわれぬ匂いがあった。単なるカビの匂いかもしれないが,なつかしい匂いである。その匂いを求めて,本の思い出をたどってみたい」。近代文学を中心とする名作を数多くとりあげ,文学案内としても,格好の一冊。

259
46判 178頁 本体1,553円
シモーヌ・ド・ボーヴォワール杉捷夫
1995978-4-314-00697-2
「つらい仕事である。死ぬことは。生をこんなに強く愛しているときは」。突然倒れた母親の病名は癌だった――ボーヴォワールが自身の母の入院からその死にいたる,4週間の出来事を書き綴った身辺記。愛する母を看取る苦悩の中で,それでも「母の死」という普遍的な問題に作家としての厳しい眼差しを向け,「人にとって死とは/つまり生とはなにか」を問いかける。

264
B6判 224頁 本体1,456円
銀座和光
1994978-4-314-00686-6
薔薇色,青磁色,マリンブルー,雲色――さまざまなジャンルで活躍する48人が,一つの色を選んで書いたエッセイをまとめたアンソロジー。女優が舞台で切り裂く絹の紅色,作家が出会った桜色の思い出,演出家が舞台に咲かせる緋色の花々――が語りかけてくるものは? それぞれの「人」と「色」がくりひろげる,魅惑の世界。

265
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 232頁 本体1,748円
森田喜郎
1994978-4-314-00639-2
西鶴,近松とならぶ近世文学の巨匠,上田秋成の小説の世界を,『春雨物語』の再評価を軸にして独自の視点から,秋成の文学観と人間観を浮彫りにする,気鋭の野心作。巻末に秋成の詳しい年譜も収録。
〈内容〉上田秋成の生涯/秋成の浮世草子/雨月物語/春雨物語/上田秋成年譜/秋成をより深く研究する人のために

266
夢と郷愁の詩人
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 200頁 本体1,748円
秋山清
1994978-4-314-00636-1
独特の女絵と宵待草のうたで一世を風靡した大正の画家・詩人竹久夢二。その人気は根強くつづき,今日また“夢二リバイバル”といわれ,一向に衰えることがない。あの耽美な詩と絵が何故こうもわれわれの郷愁をさそい,心をなごませるのか。著者はこの秘密を,単なる懐古趣味とみることなく,彼の生きた大正という時代の現実の中にさぐろうとする。秀逸の夢二論。

267
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 216頁 本体1,748円
北川透
1994978-4-314-00635-4
昭和初年代の,奇妙に無秩序な青春像の中で,中原中也は,秩序への違和とそこからくる挫折を,鋭敏な言語感覚で自由奔放にうたいあげた。本書は,著者自らの中也体験から,中也の抒情の真摯な表情とその不幸な耀き,更に,風土と近代との裂け目で苦しい告白を強いられたその詩の根拠を,詩の言語を通して,見事に浮彫りにする。

268
リアリズムの論理
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 192頁 本体1,748円
杉山康彦
1994978-4-314-00620-0
芸術は人間にとって何故によろこびであるか。この問いにマルクス主義的反映論でもって答えることはできない。芸術は,食い,作り,産み,奪うといった人間の実践とのかかわりにおいてはじめて,その正体を露わにする。この意味から著者は,まず人間とは何かということ自体を疎外論の視点から問い直し,それとのかかわりにおいて芸術の本質にせまろうとする。

269
わが聖地行
46判 320頁 本体1,942円
松永伍一
1994978-4-314-00693-4
エーゲ海に臨む半島の端にある「修道院国家」アトスは,地上の天国ともいわれ,千年もの長きに渡り静かな時を刻んできたギリシャ正教の聖地。一方,エルサレムはユダヤ,キリスト,イスラムの三つの宗教の聖地がせまい市の中で混在し,血で血を洗う混乱と戦争が続いてきた。「静」と「動」。「純」と「濁」。「単」と「複」。対極をなす二つの聖地で詩人が見たものは……

282
46判 232頁 本体1,748円
田中貴子
1992978-4-314-00578-4
人はなぜ〈悪女〉をつくりたがるのか? 〈悪女〉というのに,悪男とはなぜ言われないのか?
新進気鋭の国文学者である著者は,中世における悪女伝説を取り上げ,悪女が作りあげられていく過程をたどってゆく。そこには,男たちの権力的な眼差しが見え隠れしている。悪女について類型的イメージを抱く現代日本人への果敢な挑戦状!

318
〈新装版〉
46判 212頁 本体1,900円
諏訪優
1980978-4-314-01081-8
ケルアック,ギンズバーグ…保守的な価値観を全面的に拒絶し,人間性の原点に立ち返ろうとした,ビート・ジェネレーションたち。50年代半ばのアメリカに突如「詩をたずさえて登場した」ムーブメントを,現地との交流を通して同時代的に日本に紹介しつづけた著者が,「わが国の一人の詩人のビート観」として,運動終息後の1965年に考察した,基本の書。

319
実作品にみる撮影と編集の技法
A5判 800頁 本体8,000円
ダニエル・アリホン岩本憲児出口丈人
1980978-4-314-00292-9
「私たちの時代の偉大な映画はまだできていないのだ。それを作りだす一人になってみようではないか」――脚本,撮影,カット,編集などの技法を,著名な映画のシーンほか約1500点の図版を用いて分析し,実務的な立場から「映画の“語り方”」を集大成した,映像に関わる人すべてに必携の一冊。

353
ある女の回想3
46判 308頁 本体2,500円
シモーヌ・ド・ボーヴォワール朝吹登水子二宮フサ
1965978-4-314-00029-1
回想はようやく戦後に入る。フランスの代表的知識人として世界で注目を浴びるようになった二人。しかし彼らを取り囲む環境は厳しい。朝鮮戦争,アルジェリアの独立戦争,ドゴール政権の誕生。一切の俗物精神と果敢に闘いつつ,若々しい情熱をもって労作を生んでゆく彼らの姿は,単なる個人的回想にとどまらず,優れたフランス戦後文学史・社会史ともなっている。

354
ある女の回想3
46判 400頁 本体2,800円
シモーヌ・ド・ボーヴォワール朝吹登水子二宮フサ
1965978-4-314-00030-7
同上

346
ある女の回想4
46判 272頁 本体2,300円
シモーヌ・ド・ボーヴォワール朝吹三吉二宮フサ
1973978-4-314-00108-3
自伝四部作の完結篇。1963年以降の彼女の著作活動,読書生活,日本をはじめ中東,東欧,ソヴィエトなどへの旅行,友人たちとの交流,五月革命や女性解放運動への対応などとともに,現代の政治や文化のさまざまな問題に言及しながら,作家としての彼女の活動を自己の人生に明確に位置づけている。

347
ある女の回想4
46判 224頁 本体2,000円
シモーヌ・ド・ボーヴォワール朝吹三吉二宮フサ
1973978-4-314-00109-0
同上

355
A5判 160頁 本体2,800 円
アンドレ・モーロアニコ・ジェス写真朝吹登水子
1959978-4-314-01065-8
「〈パリの女〉であって〈パリジェンヌ〉ではないのだ」。女学生,市場のご婦人,お針子さん,バレリーナ,女優……。シャンソンに,映画に,ファッションに,そして小説に,個性の花を咲かせるパリの女たち。女を愛し,その才能を力いっぱい発揮させる女の都パリ。モーロアの麗筆とニコ・ジェスのカメラが1950年代に生きたパリの女たちの哀歓を豊かにうたいあげる。

356
46判 276頁 本体2,600円
ポール・アザール矢崎源九郎横山正矢
1957978-4-314-00003-1
大人が子どもの気持ちを理解せず,夢のない教訓だらけの本を与えてきたことを警告し,子どもの想像力を空高く飛翔させるためにどのような本を与えればよいかを,機知に富んだ軽妙洒脱な名文で具体的に説いた児童文学論。文学史の大家が古今東西の児童書を題材に,陽気な皮肉と風刺をまじえながら語った,子どもにかかわるすべての大人必読の古典的名著。

58
1918-1921
46判 848頁 本体17,000円
トーマス・マン森川俊夫伊藤暢章洲崎惠三前田良三
2016978-4-314-01133-4
生前,幾たびか自らの「古い日記」を焼いていたとされるマン。残されたのは,おそらくは『ファウストゥス博士』執筆のため取りのけられ,奇跡的に「後世のために救われた」第一次世界大戦期の日記と亡命以後の日記,27年分だった。本シリーズはマンの死から20年後にはじめて公にされた,この日記すべてに詳細な注を付した,文学・近代史研究に必備の資料である。

302
1933-1934
46判 736頁 本体8,544円
トーマス・マン岩田行一浜川祥枝森川俊夫
1985978-4-314-00456-5
1933年2月,講演旅行に出たままナチ政権下のミュンヒェンに戻る途を閉ざされたマン。1929年にノーベル文学賞を受賞し,世界的な名声を得ていたとはいえ,やがて58歳を迎えようとした年に,帰るべき家をなくしたマンの不安と焦燥と怒り。マンはスイス・チューリヒにひとまず居を定め,帰国の可能性を模索しながらも,小説『ヨゼフとその兄弟たち』の執筆を続ける。

290
1935-1936
46判 760頁 本体8,000円
トーマス・マン森川俊夫
1988978-4-314-00498-5
急展開をみせるヨーロッパの情勢。チューリヒの仮住まいを生活の拠点としながら,執筆の合い間にプラハ,ヴィーン,アメリカなどでの講演活動を続けていたマンだったが,ヒトラー政権がその非人間的性格を露呈するにつれ,ドイツに戻る可能性を断念。「人間愛」の思想に立ち返り,ついに亡命の意思を表明,国籍を剥奪される。

203
1937-1939
46判 984頁 本体12,000円
トーマス・マン森川俊夫
2000978-4-314-00855-6
第二次世界大戦前夜から開戦にかけて,緊迫する世界情勢のなかで綴られた日記。「ヒトラーの無血侵攻くらい厭うべきものはなく,それ以外なら何でもいいというほどだ」――政治の推移を見守りつつ,ヒトラーへの激しい怒りを募らせるマンは亡命の身の上からアメリカへの移住に踏み切り,ファシズムとの新たな闘いを開始する。

260
1940-1943
46判 1280頁 本体11,650円
トーマス・マン森川俊夫横塚祥隆
1995978-4-314-00717-7
戦乱のヨーロッパを追われたマンは,米西海岸で新生活を始める。本書に収められた1940年から1943年の4年間,マンはかつてない集中力と影響力をもって自身の時代のために活動し,「デモクラシーの巡回説教師」として講演活動を続け,ローズヴェルト大統領とも面談を果たした。激動の時代のただなかにあって記録された,歴史ドキュメントの傑作。

187
1944-1946
46判 928頁 本体14,000円
トーマス・マン森川俊夫佐藤正樹田中暁
2002978-4-314-00909-6
第二次世界大戦の嵐が吹き荒れるなか,アメリカに生活の拠点を移したマンは,精力的に活動を続ける。ラジオ放送でドイツへの呼びかけを行い,パレスティーナ白書について声明文を出し,ユダヤ人芸術家への迫害に抗議する――激動の時代のただなかで声をあげ続けるマン。やがてヒトラー・ドイツは崩壊し,ヨーロッパの再建の胎動が始まる。

177
1946-1948
46判 1000頁 本体16,000円
トーマス・マン森川俊夫洲崎惠三
2003978-4-314-00952-2
大病を患い,手術から生還したマンは,それまでにもまして執筆活動に情熱を燃やし,晩年の代表作『ファウストゥス博士』を完成させる。この時期,マンは戦後初めてヨーロッパ各国への旅行を敢行,戦争の傷跡を肌で感じ,講演をして歩くが,母国ドイツへの入国はかなわなかった。

166
1949-1950
46判 776頁 本体14,000円
トーマス・マン森川俊夫佐藤正樹
2004978-4-314-00971-3
16年ぶりに祖国ドイツを(東独も)訪問,ゲーテ賞を受賞したマンを待っていたのは,朝鮮戦争と東西冷戦のさなか,マッカーシズムが吹き荒れるアメリカでの「共産主義者」としての迫害だった。FBIの尾行もつくなかで,ヨーロッパへ住居を移すことを思案しはじめるマン。時代の証言者としてのマンの心中は?

125
1951-1952
46判 880頁 本体16,000円
トーマス・マン森川俊夫
2008978-4-314-01048-1
非米活動委員会が政治的・精神的雰囲気を支配していたアメリカに耐えられなくなったマンは,長期のヨーロッパ旅行を繰り返すようになる。一方で,ドイツの過去の清算の不徹底にも批判的であったマンは,「国民の精神的政治的指導者」として帰国してほしいとのドイツからの要請を断り,苦悩の決断としてアメリカでの生活に終止符を打ち,スイスへの移住を決める。

76
1953-1955
46判 934頁 本体17,000円
トーマス・マン森川俊夫洲崎惠三
2014978-4-314-01111-2
躊躇,逡巡の末,マッカーシー旋風吹き荒れるアメリカから,東西対立がなお市民生活に暗い影を落とすヨーロッパはチューリッヒへと移住。鬱陶しい政治状況,また老いにより衰えゆく力を自覚しながらも,レジョン・ドヌール勲章受章などの「祝宴」に鼓舞され,旺盛に執筆活動を続けるマン。しかし,最期の時は迫っていた。死の2週間前まで書き継がれた,最晩年の日記。

204
現代日本の劇作・英語版 第2巻
B5判変型 422頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2000978-4-314-10139-4
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第2巻。序文:別役実,解説:七字英輔。収録作品:岩松了『隣りの男』,成井豊『ハックルベリーにさよならを』,柳美里『魚の祭』,宮沢章夫『ヒネミ』,ダムタイプ『S/N』,飯島早苗/鈴木裕美『法王庁の避妊法』,松田正隆『月の岬』。

196
現代日本の劇作・英語版 第3巻
B5判変型 318頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2001978-4-314-10146-2
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第3巻。序文:別役実,解説:内田洋一。収録作品:渡辺えり子『ゲゲゲのげ』,市堂令『青い実をたべた』,大橋泰彦『ゴジラ』,横内謙介『愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸』,鴻上尚史『ララバイ または百年の子守唄』。

188
現代日本の劇作・英語版 第4巻
B5判変型 282頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2002978-4-314-10148-6
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第4巻。上演当時の貴重な公演写真も多数掲載している。序文:別役実,解説:西堂行人。収録作品:北村想『寿歌』,川村毅『ニッポン・ウォーズ』,鄭義信『人魚伝説』,岸田理生『糸地獄』,野田秀樹『赤鬼』。

178
現代日本の劇作・英語版 第5巻
B5判変型 382頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2003978-4-314-10154-7
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第5巻。序文:永井愛,解説:衛紀生。収録作品:藤田傳『黒念仏殺人事件』,つかこうへい『熱海殺人事件』,小松幹生『雨のワンマンカー』,山崎哲『漂流家族』,岡部耕大『亜也子』,竹内銃一郎『月ノ光』。

167
現代日本の劇作・英語版 第6巻
B5判変型 428頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2004978-4-314-10155-4
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第6巻。収録作品:別役実『病気』,井上ひさし『藪原検校』,唐十郎『少女都市からの呼び声』,佐藤信『阿部定の犬』,太田省吾『小町風伝』,斎藤憐『朝焼けのマンハッタン』,寺山修司『毛皮のマリー』。

155
現代日本の劇作・英語版 第7巻
B5判変型 448頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2005978-4-314-10156-1
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第7巻。収録作品:宮本研『明治の柩』,福田善之『オッペケペ』,秋浜悟史『冬眠まんざい』,秋元松代『かさぶた式部考』,清水邦夫『真情あふるる軽薄さ』,山崎正和『獅子を飼う』。解説:石澤秀二。

143
現代日本の劇作・英語版 第8巻
B5判変型 336頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2006978-4-314-10158-5
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第8巻。解説:今村忠純。収録作品:矢代静一『宮城野』,八木柊一郎『この小兒』,福田恆存『堅塁奪取』,木下順二『沖縄』,田中千禾夫『雲の涯』,飯沢匡『崑崙山の人々』,加藤道夫『思ひ出を賣る男』,三好十郎『胎内』。

131
現代日本の劇作・英語版 第9巻
B5判変型 464頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2007978-4-314-10160-8
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第9巻。解説:内野儀。収録作品:松尾スズキ『ヘブンズサイン』,ケラリーノ・サンドロヴィッチ『消失』,深津篤史『うちやまつり』,長谷川孝治『アザミ』,高泉淳子/伊沢磨紀『モンタージュ』,土田英生『初恋』。

126
現代日本の劇作・英語版 第10巻
B5判変型 320頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2008978-4-314-10181-3
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの最終巻。解説:山口宏子。収録作品:堤春恵『最終目的地は日本』,佃典彦『ぬけがら』,長塚圭史『はたらくおとこ』,岩崎正裕『ここからは遠い国』,畑澤聖悟『背中から四十分』。
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