紀伊國屋書店 出版部 目録 全分野(刊行年順)

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2023年4月現在


1
英国の二年間
46判 232頁 本体1,000 円
徳仁親王
2023978-4-314-01200-3
天皇陛下,青春時代の清新な英国留学記,新装復刊。1983年から約2年間を過ごされたオックスフォード大学での日常生活や研究生活,音楽活動,ご学友との交流,登山などのスポーツ,英国内外への旅。内側から英国を眺め,外にあって日本を見つめ直した「何ものにも代えがたい貴重な経験」。1993年に学習院より刊行されたものに,あらたに書き下ろされた後書きを付した。

2
46判 120頁 本体1,200 円
水島広子
2023978-4-314-01194-5
死にたいのではなく,こんなに生きづらい人生からおりたいのです――日本の自殺死亡率は先進主要7カ国(G7)で最も高く,特に女性の自殺死亡率は世界で2番目ときわだって高い。精神科医が,「消えてしまいたい」「もう終わりにしたい」「すべて投げ出してしまいたい」と思いながら日々を送る人たちに向けて,生きづらさを和らげるためのヒントをやさしく説く。

3
46判 272頁 本体1,800 円
吉川浩満
2022978-4-314-01193-8
哲学には入門しなくていい。門前で楽しめばよいのだ。文筆家・編集者・ユーチューバーとして活躍する著者が,コミュニケーションや政治,性,仕事,友人関係などをテーマに,暮らしの中で生じる哲学との出会いや付き合いについて,体験談を交えて考察する。自伝的エピソードの断片と哲学的思考が交差して織りなす,画期的な「哲学門前書」の誕生。

4
〈新訳版〉
46判 292頁 本体2,000 円
エリック・ホッファー中山元
2022978-4-314-01189-1
宗教運動,民族主義運動,ファシズム,ナチズム,コミュニズム,排外主義……何が人々を集団行動にのめりこませたのか? ヒトラーやスターリンの全体主義が台頭した1930年代にその熱狂の源泉について思索を始めたホッファーが,あらゆる大衆運動の特に狂信的な段階に共通する特性をあぶりだし,運動の発生・拡大のダイナミズムを活写する。社会思想の古典的名著の新訳版。

5
グローバル資本主義はいかに生まれたか
46判 852頁 本体4,500 円
スヴェン・ベッカート鬼澤忍佐藤絵里
2022978-4-314-01195-2
奴隷制,植民地主義,強制労働……社会的・経済的不平等や差別は資本主義の歴史の例外ではなく,その核心だった。膨大な資料をもとに5000年,5大陸にわたる綿とそれにかかわる人々の歩んだ道をたどり,現代世界の成り立ちを追究した,バンクロフト賞受賞作。

6
ベトナム戦争を報じた国際報道写真家の光と影
46判 408頁 本体2,500 円
松本直子
2022978-4-314-01192-1
ジャーナリズムや報道写真にとって〈真実〉とは何か――ベトナム戦争をいち早く報じ,「第二のキャパ」と呼ばれた岡村昭彦。反戦を訴え,生命倫理を説くその活躍をまぶしく見ていた姪はしかし,その逸話のところどころに違和感を覚えつづけた。そして,真の岡村昭彦の姿を求める旅が始まった。丹念な取材から人間・岡村昭彦が浮かび上がるとともに,その生きた時代が見えてくる。

7
2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い
46判 852頁 本体4,500 円
チャールズ・C. マン布施由紀子
2022978-4-314-01190-7
食料,水,エネルギー,気候変動――30年後に地球の人口が100億人に増えても全員この星で生きていけるのか? 科学で解決せよと唱える《魔術師派》と自然保護のために人口増加や消費を抑制せよと訴える《予言者派》の対立を軸に,敏腕ジャーナリストが圧倒的な取材量と筆力で人類の直面する危機を描いた,重厚なノンフィクション。

8
46判 268頁 本体2,500 円
佐藤卓
2022978-4-314-01191-4
「ロッテ キシリトールガム」や「明治おいしい牛乳」などの商品デザインを手がけたグラフィックデザインの第一人者が,自ら手掛けたシンボルマークやロゴ120点の制作背景を解説する。日常に溶け込んださりげないマークはいかなる思考から生まれたのか。ブランディングに携わるすべての人に必読の一冊。

9
46判 208頁 本体1,600 円
村中直人
2022978-4-314-01188-4
「叱る」には効果がないってホント? 「叱る」には依存性があり,エスカレートしていく――その理由は,脳の「報酬系回路」にあった! 児童虐待,体罰,DV,パワハラ,理不尽な校則,バッシング報道……。子ども,生徒,部下など,誰かを育てる立場にいる人必読! つい叱っては反省し,でもまた叱ってしまうと悩む,あなたへの処方箋。精神科医・松本俊彦氏推薦!

10
コンストラクタル法則による自然・社会・科学の階層制
46判 320頁 本体2,400 円
エイドリアン・ベジャン柴田裕之木村繁男解説
2022978-4-314-01196-9
「変化する自由がなければ,デザインも進化も,したがって未来も,何もない」――新たな物理法則〈コンストラクタル法則〉を提唱したベジャンが,諸領域で適用される同法則の理論的背景を解説しながら,〈自由〉と〈進化〉をキーワードに,よりよい未来に資する科学のあり方を説く。『流れとかたち』『流れといのち』に続く3部作最終巻にして集大成。

11
〈新装版〉
46判 336頁 本体2,500 円
E.M.シオラン出口裕弘
2021978-4-314-01181-5
生誕こそ,死にまさる真の災厄である。ただひとつの,本物の不運は,この世に生まれ出ることだ。――「暗黒のエッセイスト」が放つ,独特のユーモアと強烈な皮肉に満ちたアフォリズムに,読者は一瞬にして呑みこまれる。闇の底から生への呪詛を吐きつづけた異端の思想家シオランの〈痛覚で読むべき奇書〉。

12
〈新装版〉
46判 168頁 本体3,000 円
E.M.シオラン金井裕
2021978-4-314-01184-6
「私たちを聖者たちに近づけるものは認識ではない,それは私たち自身の最深部に睡っている涙の目覚めである」「最後の審判のときに,人が吟味するものはただ涙だけだろう」――暗黒の詩情にみちた暴力的文体で文明の虚妄を告発する特異なエッセイストが,祖国を離れパリに移った年に記した,思想の原点。痛切な悔恨の抒情を湛える,若き日の感情の激発。

13
46判 364頁 本体1,900 円
マーク・ボイル吉田奈緒子
2021978-4-314-01187-7
真の「幸福」とは――携帯電話,パソコン,洗濯機,電動工具,時計,ガスコンロ,蛇口の水も,一切ない暮らしが始まった。究極の生活から見えてきたのは……。3年間お金なしで暮らした著者が,今度は電気や化石燃料で動く文明の利器を使わずに,仲間と建てた小屋で自給自足の生活を始めた。地域の生態系と調和した贈与経済の中で暮らす1年を,詩情豊かに綴る。

14
基地の町・沖縄に生きる女たち
46判 428頁 本体2,300 円
アケミ・ジョンソン真田由美子
2021978-4-314-01182-2
二極化することでこぼれ落ちてしまう現実がある――日系アメリカ人4世の著者が,沖縄に生きる様々な立場の女性を訪ね歩く。沖縄戦で学徒看護隊に編成された女性,基地で働く女性,米兵との結婚を夢見る女性,アイデンティティに悩む「アメラジアン」,基地に反対する活動家。彼女たちの言葉から複雑で矛盾に満ちた沖縄の歴史と現実が浮かび上がる。ジョン・ダワー推薦。

15
世界の刑務所に正義を訪ねて
46判 460頁 本体2,100円
バズ・ドライシンガー梶山あゆみ
2021978-4-314-01179-2
大量投獄,人種間の不平等,抑止効果という幻想……受刑者の高等教育と社会復帰支援に携わる著者はアメリカが世界に輸出した刑務所システムに疑問を抱き,アフリカからアジア,南米,ヨーロッパまで世界9か国の刑務所をめぐることにした。刑務所とは懲罰施設なのか,更生施設なのか? 贖罪や許しは可能なのか? 司法と正義のあるべき姿を追う必読のルポルタージュ。

16
46判 400頁 本体1,800円
安田登
2021978-4-314-01180-8
古典には立派なことばかり書かれているわけではない。人の醜さ愚かさ,苦悩や煩悩やえげつない話――教科書には載らない部分こそ,真の人間の姿を教えてくれる。『古事記』『万葉集』から『南総里見八犬伝』『武士道』まで,学校の授業に面白みを感じずに遠ざかっていた読者に向けて,能楽界の奇才・安田登が軽妙な語りで古典の世界に誘う。

17
46判 200頁 本体1,800 円
リサ・フェルドマン・バレット高橋洋
2021978-4-314-01183-9
従来の情動理論に異を唱えて脚光を浴びた『情動はこうしてつくられる』の著者バレットの第2作。〈身体予算〉というたとえで脳と身体の機能を説明しながら,〈予測〉〈脳と社会の相互作用〉など近年注目されているトピックを歯切れよく解説する。脳を知れば,人と社会は変わる――「希望に満ちた」脳科学入門。

18
性別を超える脳の多様性
46判 208頁 本体1,800 円
ダフナ・ジョエルルバ・ヴィハンスキ鍛原多惠子
2021978-4-314-01185-3
〈女脳〉も〈男脳〉もない。人間の脳は一人ひとり異なっており,さまざまな特徴の入り混じる〈モザイク〉なのだ。画期的な「脳モザイク論」で脳の性差をめぐる議論に一石を投じた気鋭の神経科学者が,性別とジェンダーに対する固定観念を打ち砕くサイエンス読み物。9か国で刊行決定。

19
睡眠と夢の{謎}に迫る科学
46判 336頁 本体2,200 円
アントニオ・ザドラロバート・スティックゴールド藤井留美
2021978-4-314-01186-0
有史以来,人々を魅了してきた「夢」という現象はいったい何なのか?――1953年のレム睡眠発見を機に進展した夢の科学的研究は,21世紀の現在,核心に迫りつつある。夢研究の歴史をひもとき,典型的な夢,動物の夢,悪夢,明晰夢,創造力との関連性など数々の研究を紹介しながら,著者らが構築したNEXTUPモデルを解説し,その理論をもとに夢の正体に挑む。

20
46判 212頁 本体1,300円
エーリッヒ・フロム鈴木晶
2020978-4-314-01177-8
愛は,幸福に生きるための技術であり,学ぶことができる――「愛」という万人に切実なテーマに正面から挑んだ現代の古典。読み継がれて60年の世界的ベストセラーの訳文に30年ぶりに大幅に手を入れた改訳・新装版を,社会思想家エーリッヒ・フロムの生誕120年を記念して刊行!

21
〈新装版〉
46判 292頁 本体1,900円
エーリッヒ・フロム佐野哲郎
2020978-4-314-01176-1
To Have から To Beへ――。財産,知識,健康,社会的地位,権力……〈持つ〉ことがすべてでいいのか? あらゆる執着から解き放たれ,何にも束縛されず,変化を恐れない〈ある〉生き方とは? 日常の経験や先人たちの思想を例に,〈持つ様式〉と〈ある様式〉の生き方を比較・検討し,新たな人間像と社会のあり方を提唱した永遠の古典の新装版。

22
〈新装版〉
46判 200頁 本体3,000円
E.M.シオラン金井裕
2020978-4-314-01173-0
〈私にとってこの本は,ある種の解放,わが身を救う爆発であった。もしこの本を書かなかったら,私は私の夜に終止符を打っていたにちがいない〉――1933年のルーマニア,22歳のシオランが,狂気すれすれの危機的状況から脱出口として見出したのは「書くこと」だった。異端の思想家シオランの,誕生の瞬間を記録した処女作。

23
すべての原点となった大会
46判 240頁 本体1,800円
佐藤次郎
2020978-4-314-01172-3
リハビリの一環として始まった試みが,障害者を自立と就労に導いた。満足な車いすもなかった昭和半ばの日本で,「患者を見世物にするのか」と非難を浴びながらも大会の開催に尽力した医師・中村裕と,関係者らの奮闘を描くノンフィクション。〈日本が共生社会への第一歩を踏み出した瞬間を知った〉――日本パラ陸連会長・増田明美氏推薦。

24
46判 320頁 本体1,700円
斎藤美奈子
2020978-4-314-01152-5
「ベストセラー」以上「古典」未満 読書界の懐メロ=中古典を一刀両断! 一世を風靡した本には,古典に昇格するものもあれば忘れ去られてしまうものもある。『白い巨塔』『タテ社会の人間関係』『日本沈没』『蒼い時』『なんとなく,クリスタル』『構造と力』『ノルウェイの森』……人気文芸評論家が,60~90年代初頭のベストセラー48冊の賞味期限を判定する。

25
46判 272頁 本体1,700円
荻原魚雷
2020978-4-314-01175-4
気力・体力・好奇心の衰え,老いの徴候,板ばさみの人間関係,残り時間……人は誰でも初めて中年になる。この先,いったい何ができるのか――。中年期に差しかかり,そんな迷いのただなかにいた著者の蔵書の一角を次第に中年に関する本が占めるようになった。中年期に書かれた,あるいは中年をテーマにしたありとあらゆる本を手に思考をめぐらせた読書エッセイ。

26
人工知能時代に人間であるということ
46判 512頁 本体2,700円
マックス・テグマーク水谷淳
2020978-4-314-01171-6
超知能AIが出現したら何が起こるか――AI開発の指針「アシロマAI原則」の取りまとめに尽力し,AI安全性研究を牽引する「生命の未来研究所(FLI)」を共同設立した著者が,来るべき世界の姿と生命の究極の未来を考察する。労働,法律,軍事,倫理から,生命と宇宙,機械の意識まで,多岐にわたる問題を論じた全米ベストセラー。31か国で刊行。

27
幾何学から文化史まで
A5変型 304頁 本体2,700円
A. S. ポザマンティエR. ゲレトシュレーガー松浦俊輔
2020978-4-314-01174-7
古代から人々を魅了してきた“円”という図形は,シンプルながら非常に奥深い性質を備えている。数学的な基礎知識から,幾何学的な特質や定理,驚きの円充塡問題,作図法,古今の数学者が頭を悩ませてきた難問,美術や建築への応用まで――米国で数学教育に長年携わってきたベテラン著者が,さまざまな角度から円の全体像に迫る。

28
わたしたちに動物の情動がわかるのか
46判 408頁 本体2,400円
フランス・ドゥ・ヴァール柴田裕之
2020978-4-314-01178-5
死を嘆くカラス,後ろめたそうな犬,恩を忘れないチンパンジー……動物にも情動があると感じる数々の瞬間がある。だが動物の心の動きは,はたして人間と同じだろうか? 霊長類の社会的知能研究の第一人者が,これまで科学界が目を背けてきたテーマを綴る。22か国で刊行のNYタイムズ・ベストセラー。前作『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』の姉妹篇。

29
シュメールの粘土板からデジタル時代まで
46判 744頁 本体3,500円
フェルナンド・バエス八重樫克彦八重樫由貴子
2019978-4-314-01166-2
シュメールの昔から,アレクサンドリア図書館の栄枯盛衰,ナチスによる“ビブリオコースト”,イラク戦争下の略奪行為,電子テロまで。どの時代にも例外なく継承すべき叡智を失ってきた人類の“恥辱の年代記”。幼少期に地元図書館を洪水によって失った著者が,やがて膨大量の文献や実地調査により世界各地の書物の破壊の歴史をたどる。エーコ,チョムスキー絶賛。

30
46判 248頁 本体1,400円
木皿泉
2019978-4-314-01168-6
「すいか」「野ブタ。をプロデュース」「Q10」「昨夜のカレー,明日のパン」「富士ファミリー」……観る者の心に刺さっていつまでも残る台詞の数々はどのように生まれたのか――人気脚本家・小説家のエッセイ集。「数十回観た」という熱狂的ファンで知られる伝説のドラマ「すいか」に通じる幻のデビュー作ラジオドラマ「け・へら・へら」シナリオも収録。

31
万物の進化を支配するコンストラクタル法則
46判 404頁 本体2,200円
エイドリアン・ベジャン柴田裕之木村繁男解説
2019978-4-314-01167-9
「生命とは何か」という究極の問いに物理学の立場からアプローチを試みる本書で著者は,富と資源の流れ,階層制の遍在性,テクノロジーやスポーツや都市の進化,政治経済を支配する原理,時間や死の諸相までを見渡し,自身の画期的な物理法則「コンストラクタル法則」を武器に,生命を動かす謎に迫る。一般向けに同法則を説いた『流れとかたち』に続く第2弾。

32
科学者たちが語る地球外生命
46判 340頁 本体2,200円
ジム・アル=カリーリ斉藤隆央
2019978-4-314-01170-9
「地球外生命」の存在は,もはやSFではなくれっきとした科学として扱われ議論されている。天文学者はもとより宇宙物理学,化学,遺伝学,数学,心理学などの各分野を代表する科学者たちが,独自の視点で地球外生命について語る。極限環境下の微生物から生身の身体を捨てた知性体まで,多角的な視点で可能性を検証し,読者に新しい「エイリアン」像を提示する。

33
脳の隠れた働きと構成主義的情動理論
46判 620頁 本体3,200円
リサ・フェルドマン・バレット高橋洋
2019978-4-314-01169-3
脳は反応するのではなく,常に〈予測〉しており,各々の経験を基に自ら構築する〈情動概念〉(情動の経験や知覚を可能にする概念)が,情動を生み出している――著者が本書で主張する,この《構成主義的情動理論》は,従来の情動についての理論を覆すものであり,学術界に大きなインパクトを与えている。英語圏で14万部,13か国で刊行の話題の書。

34
ナチ宣伝相秘書の独白
46判 272頁 本体1,900円
ブルンヒルデ・ポムゼルトーレ・D. ハンゼン石田勇治監修森内薫赤坂桃子
2018978-4-314-01160-0
「なにも知らなかった。私に罪はない」ヒトラーの右腕としてナチ体制を牽引したヨーゼフ・ゲッベルスの103歳の元秘書が,69年の時を経て当時を回想する。その発言はハンナ・アーレントのいう“悪の凡庸さ”を想起させ,ナショナリズムとポピュリズムが再び台頭する現代社会へ警鐘を鳴らしている。20か国以上で刊行決定。映画「ゲッベルスと私」の書籍版。

35
〈新装版〉
46判 208頁 本体2,600円
加藤九祚
2018978-4-314-01158-7
1945年8月,旧関東軍の一員として満州で終戦をむかえ,以後5年にわたり東部シベリアの収容所を転々として抑留生活を送った著者が帰国後,彼の地で習いおぼえたロシア語の文献をひもとき,その歴史を日本で初めて概観した一冊。2016年,ウズベキスタンで発掘調査中に94歳で死去するまで生涯現役を貫いたシルクロード研究の世界的権威の出発点。

36
〈新装復刊版〉
46判 192頁 本体2,400円
久野昭
2018978-4-314-01162-4
「葬送の倫理的な意味は儀礼の形式それ自体にはない,そのような形式を通じて死者を葬送する主体の側にある,そこを見失うべきではないと思うのだ」――死者への思い,死者との関わりは生きている者にとってどのような意味をもつのか。形式としての儀礼が残ったのはなぜか。古人の死霊観や葬法の変遷から考察する。

37
ヴィクトリア期英国のスラムに生きる
46判 464頁 本体2,700円
サラ・ワイズ栗原泉
2018978-4-314-01161-7
19世紀末,所得階層別に色分けされたロンドンの地図で最下層が多く住むスラムとしてひときわ黒々と塗りつぶされたのがイースト・エンドのニコル地区だった――繁栄のきわみにあった大英帝国の首都に巣食うこの不条理と,「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれる福祉制度が萌芽するまでの時代を圧倒的な筆力で描いた,王立文学協会オンダーチェ賞ノミネート作。

38
46判 408頁 本体1,900円
ベンジャミン・ジェイコブス上田祥士監訳向井和美
2018978-4-314-01154-9
命を救ってくれたのは,別れぎわに母が私に持たせた歯科治療用の小さな道具箱だった――飢餓とシラミの蔓延する収容所生活,裏切りと拷問,非ユダヤ人女性との恋,SS隊員を治療し,死体から金歯を抜く……ナチス・ドイツの強制収容所で歯科医を務め,機転と知恵を働かせながら奇跡的に生きのびたユダヤ人青年が自ら綴ったスリリングなノンフィクション。

39
日本に暮らすムスリムに会いにいく
46判変型 292頁 本体1,700円
森まゆみ
2018978-4-314-01155-6
現在日本に暮らすムスリムは10万人以上,その出身国は100以上,世界には16億人以上のムスリムがいる。東日本大震災のすぐあとに被災地支援を始めた大塚モスクの活動を手伝ったのをきっかけに,イスラーム世界の扉を開いた聞き書きの名手が,日本に移り住み,働く12か国13人のもとを訪ねた。多様で豊かなイスラーム世界が見えてくる!

40
46判変型 304頁 本体2,700円
平出隆
2018978-4-314-01163-1
詩人・作家として根強い人気を誇る平出隆の自伝的エッセイ。幼少期から思春期にかけて出会った恩師や,稲川方人や河野道代ら詩の仲間,大学時代の恩師・出口裕弘,澁澤龍彥や川崎長太郎ら編集者として出会った作家たち――透徹した美の世界を創造する作家を育んだ豊かな源流が,鮮やかに描かれる。

41
〈新装版〉
46判 256頁 本体2,400円
志賀浩二
2018978-4-314-01159-4
「私たちは,日本的な感性の中で,もっと明確に,もっと自覚的に数学を感じとってもよいのではなかろうか」。幾何,数,微分積分,三角関数,方程式,数学史……つれづれに野山を旅するように数学を楽しもう。和歌や俳句を入り口に,数学的世界観や思考法をやさしく学べる一冊。

42
〈40周年記念版〉
46判 584頁 本体2,700円
リチャード・ドーキンス日髙敏隆岸由二羽田節子垂水雄二
2018978-4-314-01153-2
動物や人間の社会で見られる,親子間の対立や保護行為,夫婦間の争い,攻撃やなわばり行動などがなぜ進化したかを遺伝子の視点から解き明かし,生物観を根底から揺るがす衝撃の事実を鮮やかに描き出した古典的名著。新たに「40周年記念版へのあとがき」が収録された世界的ベストセラーの最新版。「英国史上最も影響力のある科学書」第1位。

43
ひとつの細胞から始まったわたしたち
46判 444頁 本体2,500円
ジェイミー・A. デイヴィス橘明美
2018978-4-314-01164-8
もっとも身近な驚異の世界――人体は複雑極まりないが,すべては直径0.1mmの受精卵というひとつの細胞から始まる。設計図面や現場監督が不在のなか,この小さな物質はいかにして人間になるのか? 受精卵の細胞分裂から,各器官が次々に形成されていって人体が完成するまでのヒトの発生という驚きの過程を,一般向けに図版を駆使して解説する科学読み物。

44
世界初のパーソナルゲノム医療はこうして実現した
46判 324頁 本体1,800円
マーク・ジョンソンキャスリーン・ギャラガー梶山あゆみ井元清哉解説
2018978-4-314-01165-5
2007年5月,ものを食べると腸に穴が開き,皮膚から便が漏れる奇病を患った2歳の少年がウィスコンシン小児病院に運ばれる。“10億人にひとり”レベルの症例で診断名もつかず,このままでは命がもたないと思われた――。2009年,ゲノム解析を初めて臨床に応用した事例を描く迫真のドキュメント。〈ピューリッツァー賞〉受賞記事を書籍化。

45
体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか
46判 328頁 本体2,200円
エムラン・メイヤー高橋洋
2018978-4-314-01157-0
「悩みで胃が痛い」「腑に落ちない」という表現はあながち比喩ではない。実際に腸には「第二の脳」と呼ばれる腸管神経系(ENS)があり,休むことなく脳と情報をやり取りしている。脳-腸-腸内細菌の情報ネットワークがいかに緊密で重要か,また,健康な体質に改善するための提言などを,脳と腸のつながりの研究における第一人者が解説する。

46
ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳 
46判 352頁 本体2,200円
アニル・アナンサスワーミー藤井留美春日武彦解説
2018978-4-314-01156-3
「自分の脳は死んでいる」と思いこむコタール症候群,自分の身体の一部を切断したくてたまらなくなる身体完全同一性障害,何ごとにも感情がわかず現実感を持てない離人症――当事者や研究者へのインタビューをはじめ,ドッペルゲンガー実験や違法手術の現場も取材し,不思議な病の実相と自己意識の謎に,神経科学の視点から迫る。

47
新宿、もうひとつの戦後史
46判 252頁 本体1,800円
稲葉佳子青池憲司
2017978-4-314-01151-8
〈らんぶる〉も〈スカラ座〉も台湾人がつくった――終戦までの50年間,日本統治下にあった台湾。8万人近くが“日本兵”として戦地に送られ,戦前から日本に“内地留学”していた者も多くいた。戦後,今度は一転,“外国人”として裸一貫放り出された台湾人は駅前のヤミ市で財をなし,焼け野原に新たに構想された興行街・歌舞伎町を目指した。初めて明らかにされる,貴重な時代証言。

48
お金を使わずに生きる方法
46判 496頁 本体2,000円
マーク・ボイル吉田奈緒子
2017978-4-314-01150-1
「お金がないと生きられない」というのは,ぼくらの文化が創りだした物語にすぎない――自然界や地域社会とのつながり,生の実感,持続可能な地球をとりもどすための新しい経済モデルを提起した,フリーエコノミー運動創始者による「カネなしマニフェスト」。貨幣経済によらない生活のノウハウも多数紹介。

49
46判 352頁 本体2,100円
ジョシュア・ハマー梶山あゆみ
2017978-4-314-01148-8
37万点もの歴史遺産はいかに救われたか――西アフリカのトンブクトゥは金や岩塩,奴隷などの交易で繁栄,イスラム文化が花開き,16世紀には100以上のコーラン学校やモスクが建てられた「古の学術都市」である。各家庭でひそかに保存されてきた往時の古文書の多くが図書館に納められて数年後,アルカイダがマリ北部を制圧した。全米で話題をよんだノンフィクション。

50
1950年代のマニュアルで人気者になれる?
46判 320頁 本体1,700円
マーヤ・ヴァン・ウァーグネン代田亜香子
2017978-4-314-01146-4
メキシコとの国境にほど近い中学で,優等生だけど引っ込み思案のマーヤはスクールカーストの最下層にいた。そんな彼女はある日出会った古本をきっかけに,自らの格づけを上げるべく実験をはじめることにした。まず用意するのは白い手袋にパールのネックレスにガードル!? アメリカに暮らす現代のティーンが自分磨きに奮闘した1年を綴った,全米ベストセラー。

51
46判 416頁 本体2,200円
フランス・ドゥ・ヴァール松沢哲郎監訳柴田裕之
2017978-4-314-01149-5
進化の末に動物は「賢さ」を獲得した。それは人間も,サルも,カラスも,イルカも,タコも,みんな同じである。われわれは自分たちだけが賢いと思っていないか? 霊長類の社会的知能研究の第一人者が,従来の人間中心の科学,動物研究のあり方に疑問を呈し動物の認知について捉えなおす。動物たちの驚きのエピソード多数。著者自身の手によるイラストも豊富。

52
生命はいかに調節されるか
46判 346頁 本体2,200円
ショーン・B. キャロル高橋洋
2017978-4-314-01147-1
「生体を維持するべく体内で様々な種類の分子や細胞の数を調節する分子レベルのルールが存在するのと同様に,一定の区域における動植物の種や個体数を調節するルールがある」――タンザニアのセレンゲティ国立公園を訪れた著者は,そこで得た洞察を理論化し《セレンゲティ・ルール》と名付けた。今日の生態系破壊の実相を気鋭の分子生物学者が鮮やかに解説する。

53
第二次大戦前のドイツの労働者とホワイトカラー
〈新装版〉
46判 450頁 本体4,800円
エーリッヒ・フロム佐野哲郎佐野五郎
2016978-4-314-01139-6
1929年に始められたアンケート調査は,単なる世論調査にとどまらず,被調査者の無意識の領域にまで踏み込むものだった。ワイマール共和国からナチス政権へと時代が変わる過渡期における働く人々の意識の底にひそむ本音を探り,未来を予測した本書は,フロムによる具体的事例の分析の書として,また歴史書としてきわめて貴重な一冊である。

54
46判 264頁 本体1,700円
ラース・スヴェンセン小須田健
2016978-4-314-01136-5
働くなかで,私たちは世界に爪あとを残してゆく。「仕事は人生の意味そのものを与えてくれるか」「自己実現の神話を信じすぎることで,かえって仕事が災いになってはいないか」「給料の額と幸福感は比例するか」ノルウェーの哲学者が,現代に生きる私たちが幸福で満たされた人生を求める中で,仕事がどのような位置を占めるのかを探求する。國分功一郎さん推薦!

55
コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年
46判 448頁 本体1,900円
アン・ウォームズリー向井和美
2016978-4-314-01142-6
カナダの刑務所で月に1度開かれる読書会。『怒りの葡萄』『またの名をグレイス』…本をかこんでのやりとりを通して,囚人たちは読書の楽しみを知り,自らの心情を吐露し,人種や宗教の壁を越え,異なる意見の持ち主の話にも耳を傾けるようになった。ボランティアとして運営に関わったジャーナリストが見た,囚人たちの変化とは。胸に迫るノンフィクション。

56
世界を変えた大陸間の「交換」
46判 816頁 本体3,600円
チャールズ・C.マン布施由紀子
2016978-4-314-01135-8
コロンブスのアメリカ大陸到達以降,動植物や病原菌,鉱物,そして奴隷が世界を行き交いはじめ,今日に連なるグローバル化が進んだ。これらの「交換」は,いかに世界を変えたか? 考古学や地理学,生物学などの最新の学術的成果や自身による取材を元に,今まであまり知られていなかった史実に光を当て,激動する15世紀以降の世界を描いた全米ベストセラー。

57
母とミシンの60年
46判変型 272頁 本体1,700円
鄭 鴻生天野健太郎
2016978-4-314-01143-3
もうひとつの「カーネーション」がここにあった! 日本統治下の1930年代の台湾に洋裁に夢を託した少女がいた。『主婦之友』『婦人倶楽部』…日本の婦人雑誌に魅了された少女は親の反対を押しきって洋装店の見習いとなり,やがて戦前の東京に留学を果たす。戦後,台南に自ら洋裁学校を開校する彼女が息子に語った来し方から台湾の近代が浮かび上がる。

58
1918-1921
46判 848頁 本体17,000円
トーマス・マン森川俊夫伊藤暢章洲崎惠三前田良三
2016978-4-314-01133-4
生前,幾たびか自らの「古い日記」を焼いていたとされるマン。残されたのは,おそらくは『ファウストゥス博士』執筆のため取りのけられ,奇跡的に「後世のために救われた」第一次世界大戦期の日記と亡命以後の日記,27年分だった。本シリーズはマンの死から20年後にはじめて公にされた,この日記すべてに詳細な注を付した,文学・近代史研究に必備の資料である。

59
脳・心・体のつながりと回復のための手法
46判 688頁 本体3,800円
ベッセル・ヴァン・デア・コーク柴田裕之杉山登志郎解説
2016978-4-314-01140-2
トラウマの臨床と研究を牽引する世界的第一人者が,精神疾患や自己免疫疾患,児童虐待,性被害の背後に潜むトラウマによる脳の改変のメカニズムを解き明かす。薬物療法や従来の心理療法の限界を示し,EMDR,ニューロフィードバック,内的家族システム療法,PBSP療法,ヨーガ,演劇など,身体志向の様々な治療法の効果を最新の脳科学で立証する全米ベストセラー。

60
その隠れた効用をめぐる実験
46判 284頁 本体1,600円
リチャード・スティーヴンズ藤井留美
2016978-4-314-01141-9
人間は未だ謎の宝庫だ。翌朝が会議でも深酒し,性欲に翻弄され,刺激を求めてバンジージャンプ!「クソ野郎!」と叫び高速道路をかっ飛ばす!――なぜ世間が眉をひそめるようなことをついやってしまうのか? 主流科学の陰にひっそりと咲くちょっと変わった科学研究に着目した心理学者が,一部の悪癖には効用があることを示す研究成果の数々をユーモラスに紹介する。

61
ナチュラル・エクスプローラーのすすめ
46判 432頁 本体2,000円
トリスタン・グーリー屋代通子
2016978-4-314-01138-9
未踏の地を求め肉体の極限に挑むことだけが探検ではない。日々のありふれた旅でも,面白い事件など何も起こらず,ただただ疲れるだけの行き帰りにも,その気になれば窓はあるのだ――大西洋を海と空で単独横断した著者が,ダーウィンら先人たちが道を行く途上で何に注意を払っていたのか,その視点の先をたどりつつ,身近な自然のなかで意識を開く技法を説く。

62
あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち
46判 298頁 本体2,000円
ロブ・デサールスーザン・L. パーキンズパトリシア・J.ウィンイラスト斉藤隆央
2016978-4-314-01144-0
ヒトの体には何兆もの細菌が住んでおり,人類は彼らと共に進化してきた。皮膚や内臓などの各部位で特有の生態系を築くこの細菌の群集はマイクロバイオームと呼ばれ,消化や免疫など,宿主=人間の生存に不可欠な機能を提供している。アメリカ自然史博物館に所属する二人の著者が,その基礎知識から研究の最前線までを豊富なイラストとともに解説する。

63
神経可塑性研究の最前線
46判 594頁 本体3,000円
ノーマン・ドイジ高橋洋
2016978-4-314-01137-2
脳卒中,パーキンソン病,自閉症,慢性疼痛,視覚障害など,治療困難と考えられていた神経に由来する機能障害の諸症状は,神経の可塑性を活用した治療で劇的に改善する可能性がある。米国で人気の精神科医が,難病を克服した数々の患者や医師, 関係者らを徹底的に取材し,回復までの驚きのエピソードと共に神経可塑性研究の最前線を綴った全米ベストセラー。

64
〈新装版〉
46判 372頁 本体2,100円
ジャン・ボードリヤール今村仁司塚原史
2015978-4-314-01116-7
他人との差異を示すためのファッション,インテリア,自動車からメディア,教養,娯楽,余暇,美しさ・健康への強迫観念,セックス,疲労,暴力・非暴力まで,すべては消費される「記号」 にすぎない――1970年にいち早く「消費社会」という概念を提示し時代を拓いた先駆的名著に,新たに「索引」と幻の原書初版からボードリヤール自身による写真2点を加えた決定版。

65
史上最も恐ろしい爆弾はこうしてつくられた
46判 352頁 本体1,900円
スティーヴ・シャンキン梶山あゆみ
2015978-4-314-01127-3
第二次大戦下,原爆開発競争のゴングが鳴った。米英の「マンハッタン計画」に天才科学者が集結し,その情報を盗もうとソ連のスパイが暗躍する。一方で,ヒトラーも原爆製造を進めていた。現在世界に1万6千発以上,私たちの時代を決定的に変えてしまった核兵器開発をスリリングな筆致で綴った,歴史ノンフィクション。各紙絶賛,サイバート賞ほか受賞多数。

66
父と息子の自転車縦断4000キロ
46判 368頁 本体1,900円
チャールズ・R. スコット児島修
2015978-4-314-01123-5
アメリカ人親子が67日間の冒険旅行で出会った日本の自然・歴史・もてなしの心――知床,白神山地,白川郷,京都,しまなみ海道,ヒロシマ,嚴島神社…インテル社で働く著者が,8歳の息子と日本最北端の宗谷岬から九州の佐多岬まで,日本アルプスを越え各地の世界遺産をめぐりながら炎天下の日本列島を自転車で走り抜く。日本人がニッポンを再発見できる本。

67
46判 304頁 本体2,000円
キッチナー・ハーディングモナ・リサ・ハーディング向井和美
2015978-4-314-01128-0
高校を卒業してすぐ結婚したハーディング夫妻は,10人の子どもを学校に通わせずに家庭で教育した。6人が12歳までに大学に入り,年長の子どもたちは様々な分野の専門職として活躍している。次女はアメリカ建築家協会最年少の建築家。三女は全米で最年少の女医のひとり。〈ごく普通の子どもたち〉の才能を開花させることに成功した一家の驚きのノンフィクション。

68
26枚の名画に学ぶ幸せに生きる方法
A5判 312頁 本体2,400円
クリストフ・アンドレ坂田雪子監訳繁松緑
2015978-4-314-01132-7
心のバランスを回復させる瞑想とは――Google,インテルなどの企業が研修にとりいれ,集中力,創造性の発揮やストレス軽減等の効用が注目を集めている「マインドフルネス」のトレーニングを,フランスで人気の精神科医が,モネ,マグリットなどの絵画を読み解きながら,やさしい言葉で紹介する。12か国で翻訳された,フランスで40万部のベストセラー。

69
思考はいかにコード化されるか
46判 472頁 本体2,700円
スタニスラス・ドゥアンヌ高橋洋
2015978-4-314-01131-0
意識は脳内のどのような作用で生じるか――この究極の難問の実証的解明を目指す意欲的論考。「意識は脳全体の情報共有である」という自身の仮説を,実験結果を丹念に積み上げる明快なアプローチで解説する。認知神経科学の世界的な研究者として数々の受賞歴を誇る気鋭が,脳科学と意識研究の最前線を紹介すると共に,その臨床応用や研究の未来についても示す。

70
神経犯罪学への招待
46判 644頁 本体3,500円
エイドリアン・レイン高橋洋
2015978-4-314-01126-6
暴力の生物学的基盤の解明を目指す新たな学問分野・神経犯罪学を確立した著者が,脳,遺伝,栄養状態等の生物学的要因と,生育環境や貧困等の社会的要因,およびその相互作用から,いかに暴力的な性格が形成されるかを解説する。また,最新の研究成果の実用化に際して直面する倫理的・法的問題を指摘し,より暴力の少ない未来の実現へ,具体策を提言する。

71
脳画像で心はわかるのか
46判 332頁 本体2,000円
サリー・サテルスコット・O. リリエンフェルド柴田裕之
2015978-4-314-01129-7
発展途上にある脳科学を実社会で応用する際に生じる問題を鋭く指摘し,社会にはびこる〈神経中心主義〉に警鐘を鳴らす。ビジネス,依存症研究,法廷などで使われる大衆受けしそうな脳科学の成果をメディアが喧伝することによって,心の働きが解明されたと曲解されている現状を,精神科医と心理学者が豊富な事例をもとに解説し,その本来あるべき姿を示す。

72
46判 380頁 本体2,000円
田辺茂一坪内祐三解説
2014978-4-314-01124-2
明治の新宿に生まれ,昭和2年に21歳で紀伊國屋書店を創業。ロードスターで本を運び,ギャラリーを併設した店内で同世代の作家や画家たちと文芸誌を作った若き日から,戦後の再建を経て“夜の市長“と呼ばれた晩年まで。「眼くるめく変貌」を遂げた新宿の地で,文化を発信しつづけた書店主による回想記,待望の復刊。井伏鱒二ら28名の「紀伊國屋と私」収録。

73
46判 328頁 本体1,800円
マーク・サンディーン吉田奈緒子
2014978-4-314-01113-6
お金は幻想である―― にせものの人生は,もうたくさんだ。10年以上一切のお金をかせぐことも,受け取ることも,使うこともせず,アメリカ・ユタ州モアブの洞窟で暮らす男,ダニエル・スエロ。彼が,うつ病や海外放浪を経て,ゲイである自分を受け入れ,何も持たない生き方を選ぶことで自由と心の平安を得るまでの軌跡を描き出したノンフィクション。

74
バブルを駆けた雑誌の2000日
46判 336頁 本体1,900円
椎根和
2014978-4-314-01114-3
「キャリアとケッコンだけじゃ,いや。」――1988年,日本初の女性向けリージョナルマガジンが誕生した。首都圏在住27歳女性を読者に想定したこの週刊誌の編集スタッフはほとんどが年若き女性たち,86年には均等法が施行され,世はバブルの好景気にわいていた。幾多のブームを生み社会現象を巻き起こした雑誌の草創期を,創刊編集長がいきいきと物語る。

75
コダクロームフィルムで見る
A5判変型 152頁 本体2,900円
エリック・L.ミューラー編著ビル・マンボ写真岡村ひとみ
2014978-4-314-01119-8
1942年,日系二世のビル・マンボは,カリフォルニア州の自宅からワイオミング州の強制収容所に連行された。その彼が,有刺鉄線の中で暮らす家族の日常や盆踊り・相撲のような日系人収容所ならではの風物詩を撮影。当時では珍しい鮮やかなカラー写真と研究者による考察,元収容者のエッセイから,収容生活の実際が浮かび上がる。

76
1953-1955
46判 934頁 本体17,000円
トーマス・マン森川俊夫洲崎惠三
2014978-4-314-01111-2
躊躇,逡巡の末,マッカーシー旋風吹き荒れるアメリカから,東西対立がなお市民生活に暗い影を落とすヨーロッパはチューリッヒへと移住。鬱陶しい政治状況,また老いにより衰えゆく力を自覚しながらも,レジョン・ドヌール勲章受章などの「祝宴」に鼓舞され,旺盛に執筆活動を続けるマン。しかし,最期の時は迫っていた。死の2週間前まで書き継がれた,最晩年の日記。

77
46判 160頁 本体1,200円
水島広子
2014978-4-314-01118-1
自信を持てるものが何もない/親の干渉がうるさい/すぐ人と比べてしまう/LINE,Instagram……ストレスなのにやめられない――最近トラブルの増えているSNSとのつきあい方をはじめ,友だちや親との関係など,10代が抱えるさまざまな悩みに対人関係療法の第一人者が答え,ストレスから心を守って自分らしく生きるための「心の原則」を教える。

78
対立を超えるための道徳心理学
46判 616頁 本体2,800円
ジョナサン・ハイト高橋洋
2014978-4-314-01117-4
理性に訴えるリベラルは,感情に訴える保守には勝てない――気鋭の社会心理学者が,従来の理性一辺倒の道徳観を否定し,感情のもつ力強さに着目した新たな道徳心理学を提唱する。豊富な具体例と,進化心理学や生物学,哲学,社会学などの幅広い知見を応用した説得力のある理論で道徳を多角的に分析し,明快に解説した全米ベストセラー。

79
46判 360頁 本体2,200円
フレデリック・ファンジェ高野優監訳内山奈緒美
2014978-4-314-01122-8
自信は,〈自己評価〉〈行動〉〈自己主張〉から成り立っている――自信のメカニズムを理解し,自分で簡単にできる心のトレーニングによって自信を育て,いろいろなことに挑戦する一歩を踏み出すための本。今まで自信がないことが原因で陥っていた悪循環から抜け出す方法を,フランスで人気の精神科医が,豊富な事例と図表でやさしく説く

80
A5判変型 224頁 本体2,000円
デイヴィッド・ブラットナー柴田裕之監訳市川美佐子
2014978-4-314-01115-0
巨大な星,聴こえない音,一瞬で全てを溶かす熱,限りなく短い時間――私たちは,理解しがたいほど大きなものや,肉眼では見えない小さな物質に囲まれて生活しているが,認識できるのはそのごく一部だ。著者は人間の知覚可能範囲を超えた極大と極小の世界の実態をやさしく語りかけるように説明し,読者の想像力を刺激する。図版と雑学ネタ満載の科学読み物。

81
ボノボが教えてくれること
46判 346頁 本体2,200円
フランス・ドゥ・ヴァール柴田裕之
2014978-4-314-01125-9
道徳性は上(神)から押しつけられたものでも,人間の理性から導かれた原理に由来するものでもなく,進化の過程で下(動物が営む社会生活の必然)から生じた――霊長類の社会的知能研究における第一人者が,豊富な図版とともに動物たちの驚きのエピソードを紹介しながら,道徳性の由来に切り込む。著者一流のユーモアと説得力に満ちた,渾身の書。

82
ガザニガ脳科学講義
46判 304頁 本体2,000円
マイケル・S. ガザニガ藤井留美
2014978-4-314-01121-1
認知神経科学の父とも言われるガザニガが,脳研究の足跡を辿るとともに,自由意志と決定論,社会性と責任,倫理と法など,自身が対峙してきた難題を総括する。最高峰の学者だけが教壇に立てる「ギフォード講義」をもとにまとめられた本書で著者は,行き過ぎた科学偏重主義に警鐘を鳴らしつつ,人間の人間らしさを讃えている。

83
A5判 272頁 本体2,200円
戸沼幸市編著青柳幸人高橋和雄松本泰生
2013978-4-314-01099-3
この「まち」の力はどこから来たのか――赤線・闇市・新宿コマ劇場・ゴールデン街・伊勢丹・超高層ビル街・コリアンタウン…内藤新宿以来の歴史をふりかえり,乗降客一日350万人の世界最大のターミナル駅と有数の繁華街を持つまちになるまでどのように発展してきたのかを描き,新宿の近未来像を提案する。カラー口絵・図版90点・年表・まち歩きガイド付。

84
なぜアメリカ人は戦争を選ぶのか
46判 352頁 本体2,500円
リチャード・E. ルーベンスタイン小沢千重子
2013978-4-314-01106-8
1830年代にトクヴィルが見たアメリカ人像は総じて対外戦争を忌避する平和愛好者だった。しかし,以後かの国では戦争が常態化している。愛国心・共同体意識・自衛の概念・開戦事由のレトリック――その歴史から集団暴力が道徳的に正当化されてきた要因を探る。イラク戦争から10年が過ぎたいま,米国の対外戦争を是認してきた日本であらためて読まれるべき1冊。

85
46判 376頁 本体1,700円
森達也
2013978-4-314-01100-6
活字と映像で独自の世界を構築する森達也が,異文化の境界で,憎悪の連鎖する世界で,異国の女子トイレで,妄想と現実の狭間で,生死の淵で,中年クライシスに,連載打ち切りに……逡巡し,葛藤し,煩悶する日々を私小説風に描き,フェイク・ドキュメンタリーを活字で試みる意欲作。

86
“女子"の呪いを解く方法
46判 256頁 本体1,500円
津村記久子深澤真紀
2013978-4-314-01105-1
「女子力のなさ」を商品価値にできてありがたいです――最初の会社をパワハラで退社した芥川賞作家と,150社以上就職・転職活動した経験をもつ企画会社社長が,世間知らず・不器用・KYなままでも,なんとか社会で生き延びていくための技術を語り尽くす。世の中をすいすい渡っていけないことに悩む,すべての女性に捧ぐ。

87
はやりの食べ物クロニクル1970-2010
46判 380頁 本体2,400円
畑中三応子
2013978-4-314-01097-9
チーズケーキ,ティラミス,ペペロンチーノ……「食」は誰もが参加できるポップカルチャーになった! 戦後,経済力を手に入れると,日本人は新しい味を求めて,ファッションのように食を,その情報までをも楽しむようになった。第一線の料理本編集者として時代を駆けた著者が日本人の食文化の変遷から時代を読み解いた,痛快な世相史。年表付。

88
46判 280頁 本体1,800円
シモーナ・スパラコ泉典子室月淳解説
2013978-4-314-01112-9
不妊の末に授かった息子には,出生前診断によって重大な疾患が発見された――選べるはずのないことを選ばされ,孤立感と絶望のあいだを揺れ動く35歳のフリーランス・ジャーナリスト,ルーチェの魂の彷徨を,著者みずからの体験をもとに描いて大きな反響を呼んだイタリアのベストセラー。ローマ賞受賞。イタリア最高の文学賞・ストレーガ賞最終候補作。

89
46判 360頁 本体2,200円
クリストフ・アンドレ高野優監訳伊藤直子臼井美子坂田雪子荷見明子
2013978-4-314-01107-5
21人の精神科医,心理療法士などが,みずからの抱えたうつ病,社交不安障害,パニック障害,閉所恐怖症,薬物依存,パワハラなどの精神的な病や悩みを正直に告白し,どのように対処したかについて綴る。フランスの人気精神科医クリストフ・アンドレが,「この世には弱い人間も強い人間もいない」という考え方に基づいて編纂。

90
万物のデザインを決める新たな物理法則
46判 428頁 本体2,300円
エイドリアン・ベジャンJ. ペダー・ゼイン柴田裕之木村繁男解説
2013978-4-314-01109-9
すべては,より良く流れるかたちに進化する――生物,無生物を問わず,自然界に現れるかたちの全てを決定づける「コンストラクタル法則」という新たな物理法則を提唱する衝撃の書。同法則を物理学の第一原理と位置づける著者は,樹木の形,血管の配置,河川の流れから,空港や道路,スポーツ記録の進化,社会制度や文化の広がりなどもこの法則に従うと主張する。

91
道具を使わずに旅をする方法
46判 320頁 本体2,000円
トリスタン・グーリー屋代通子
2013978-4-314-01110-5
旅する身体を取り戻す――太陽・月・星,頬にあたる風,雲,樹木の形,水たまり,反響音,動物の動き……地図やGPSなど道具に頼らずに,自らの感覚を総動員して「自然」から道を見つけだす技法を,海と空で大西洋を単独横断した探検家がガイドする。英国ナショナル・トラスト最優秀アウトドアブック賞受賞作。

92
46判 400頁 本体2,200円
マイケル・ニールセン高橋洋
2013978-4-314-01104-4
インターネットの出現で,科学の営みは劇的に変わりつつある。17世紀の科学雑誌による知の共有化という第一次オープンサイエンス革命に次いで,現在は第二次革命期にあると主張する著者は,オンラインネットワークを駆使した知の共有化の可能性を検証し,その重要性を訴える。豊富な具体例を挙げてわかりやすく解説した,新時代の科学へのマニフェスト。

93
あなたはどこまで考えられるか
46判 408頁 本体1,800円
ジュリアン・バジーニ向井和美
2012978-4-314-01091-7
「電車の暴走で20人が死にそうなとき,5人だけが死ぬほうにレバーを切り替えられる立場にあるとしたらどうするか」――NHK「ハーバード白熱教室」でも取り上げられた「トロッコ問題」のほか,身体と脳,自意識,生命倫理,言語,宗教,芸術,環境,格差など,多岐にわたるテーマから100の問いをまとめた,哲学的思考実験の見本帳。

94
46判 524頁 本体3,200円
ジェイムズ・ロジャー・フレミング鬼澤忍
2012978-4-314-01092-4
雨乞いの儀式にはじまり,ペテン師たちの暗躍,さまざまな思惑が錯綜する軍事・商用目的の人工降雨,エアコンの発明,天気予報,気象衛星まで――ままならぬ自然の支配を切望した人間の歴史をたどるとともに,地球温暖化を解決しようとSFばりのアイディアが検討される,現代の「地球工学」の政治的・倫理的問題点を衝く。

95
付加価値創造のための基礎実務論
〈改訂版〉
B5判 230頁 本体1,900円
全国大学実務教育協会
2012978-4-314-01094-8
劇的に変化するビジネス環境の中で,ビジネス実務の現状と可能性をとらえる。第1部「ビジネス総論」ではビジネス環境の変化について述べ,第2部「ビジネス実務論」では,企業活動や個々人に必要とされるビジネスセンスを詳説する。図版やチャート類を多用し,キーワード説明も豊富な,実践的テキスト。統計等を最新データにアップデートした改訂版。

96
A4判変型 44頁 本体1,200円
いわいとしお
2012978-4-314-01085-6
『100かいだてのいえ』で絵本作家として大きな注目を集めるいわいとしおさんの原点『どっちがへん?』を新作絵本としてバージョンアップ! 似ているけれどどこかが違うふたつの絵を前に,子どもたちが楽しく話しだす!

97
封印された超常現象の科学
46判 388頁 本体2,800円
石川幹人
2012978-4-314-01098-6
テレパシー,透視,念力などの解明を目指す超心理学は,正統的な科学の手法で研究されているものの,オカルト扱いされてしまう。本書は,日本における第一人者が,その研究内容や成果とともに,学問として受け入れられない背景を明らかにし,科学のあるべき姿を問いなおす「科学論」でもある。渾身の書き下ろし。「用語集」「統計分析の基礎」「読書ガイド」収録。

98
増えるレビー小体型認知症の今
46判 232頁 本体1,600円
小阪憲司尾崎純郎 執筆協力
2012978-4-314-01088-7
アルツハイマー型に次いで多いとされるレビー小体型認知症。90万人と言われる患者数に比して一般に知られていないため,正しい診断と治療を何年も受けられず,「幻視」など特異な症状に苦しみつづける人も多い。本書は,第一人者による病気の平易な解説とともに,家族の体験談なども織り交ぜ,在宅・医療・介護現場などで起こっている問題とこれからの課題に迫る。

99
46判 262頁 本体2,000円
ヴィクトリア・ブレイスウェイト高橋洋
2012978-4-314-01093-1
痛みとは何か? そして魚がそれを感じるとはどういうことか? 魚の「意識」というやっかいな領域に踏み込み,この難問に結論を下した著者は,漁業や釣り,観賞魚などにおける人間の魚への対し方――「魚の福祉」という難題を読者に問いかける。魚類学者のニュートラルな視点からすっきりと論理立て,わかりやすく解説した,問題提起の書。

100
〈意識〉という魅惑の幻想
46判 304頁 本体2,400円
ニコラス・ハンフリー柴田裕之
2012978-4-314-01095-5
〈意識〉は脳内のマジックショーにすぎない――それはいったいなぜ発生し,生物学的にはどのような役割を果たしているのか?神経科学と進化理論を基盤として,哲学や文学の豊富な知見を織り交ぜて書かれた本書は,意識の正体についての独創的な理論を提唱すると同時に,人間の生と魂を讃える――〈知の軽業師〉ハンフリーの刺激的論考。

101
46判 688頁 本体3,400円
タミム・アンサーリー小沢千重子
2011978-4-314-01086-3
9・11――その時はじめて世界は〈ミドルワールド〉に目を向けた。十字軍遠征,植民地時代,そして,9・11――西洋版の世界史の後景に追いやられてきたイスラーム世界ではいかなる物語が進行していたのか。さらにはムスリムは自らの歴史をどう捉え,いかに語り伝えてきたのか。混迷を続けるイスラーム世界の成りたちが見えてくる,もう一つの世界史。

102
46判 288頁 本体1,700円
マーク・ボイル吉田奈緒子
2011978-4-314-01087-0
イギリスで1年間お金を使わずに生活する実験をした29歳の若者が,自らの生活をユーモラスな筆致で綴った体験記。彼は不用品交換で入手したトレーラーハウスに太陽光発電パネルをとりつけて暮らし,半自給自足の生活を営む。貨幣経済を根源から問い直し,人間にとって真の「幸福」とは何かを問いかけてくる,現代の『森の生活』。世界14か国で刊行。

103
女たちの肖像
46判 256頁 本体1,500円
島﨑今日子
2011978-4-314-01078-8
インタビューの名手として知られる著者による,各界を代表する女たち16人のノンフィクション。少女マンガの神様・萩尾望都,高卒OLから巨大企業の会長にまでのぼりつめた林文子,女子プロレスブームを巻き起こした長与千種,日本一ケンカのうまいフェミニスト・上野千鶴子をはじめ,悩みを抱え,もがきながらも各分野で先駆者として活躍してきた女たちの肖像。

104
思春期の心と向きあう
46判 240頁 本体1,300円
水島広子
2011978-4-314-01075-7
いじめ,不登校・ひきこもり,反抗期,性的逸脱,ドラッグ,自殺のリスクも高い思春期うつ病,摂食障害――思春期の問題行動や心の病の奥底には,「自尊心」の低さが潜んでいる。日本における対人関係療法の第一人者で,思春期前後の心の病を専門とする人気精神科医が教える,「自尊心」と「コミュニケーション力」の高い子どもの育て方。

105
46判 264頁 本体1,800円
D.エマーソンE.ホッパー伊藤久子
2011978-4-314-01090-0
トラウマ・ケアの世界的権威として知られるヴァン・デア・コーク博士が創設した米国ボストンのトラウマ・センターで開発された,「トラウマ・センシティブ・ヨーガ」について紹介。トラウマ治療にヨーガを活用し,身体を自分のものとして取り戻すことが大切であることを,トラウマを抱える人,医療者,そしてヨーガ・インストラクターへ具体的に提唱する。

106
J.B.ラインの挑戦
46判 348頁 本体2,200円
ステイシー・ホーン石川幹人監修ナカイサヤカ
2011978-4-314-01077-1
テレパシーなどの超常現象を科学的に探究し続け,超心理学のアインシュタインとも呼ばれたJ.B.ラインの生涯と,その研究所の奮闘を描いたノンフィクション。本流の科学者たちからまともに相手にされない超心理学。この不遇の学問が科学として認められる日は来るのだろうか? そしてまた,超常現象は科学で解明できるのか?

107
サンタフェ研究所講義ノートから
46判 576頁 本体3,200円
メラニー・ミッチェル高橋洋
2011978-4-314-01089-4
ニューロンが脳内で意識を生み出す現象,免疫系やインターネット,国際経済などが自己組織化する構造,アリの集団の統率された行動――これら従来の還元論的手法では説明しきれない事象の解明を目指す,複雑系研究の概説書。基盤となる考え方から,最新の研究,今後の展望まで,第一線の研究者を案内人として,その広大で魅力的な世界を訪ね巡る一冊。

108
〈改訂版〉
A5判 844頁 本体7,500円
ジョン・ロールズ川本隆史福間聡神島裕子
2010978-4-314-01074-0
あらゆる社会は,正義についての約束の上に成り立っている。しかし現代においても,正義の本質について十分明らかにされているとは言えない。本書は,現代リベラリズムの代表的論者が,正義とは何かを徹底的に追求するなかで,社会契約の伝統的理論を一般化し,功利主義に取って代わりうる正義の構想を明らかにする古典的名著である。1999年の原著改訂版を新訳。

109
〈増補新装版〉
46判 232頁 本体1,700円
北山翔子岩室紳也解説
2010978-4-314-01066-5
医療ボランティアとして訪れたタンザニアで恋に落ち,HIVに性感染したひとりの女性。〈死〉への不安,世間の目,職場復帰,両親への告白,新しい恋…。2000年に刊行され,日本人女性による初のカミングアウトとして話題をよんだ感動の手記に,それからの10年を加筆。感染者の妊娠・出産に関する現状も盛りこみ,エイズ問題をあらためて問い直す。

110
紀伊國屋映画叢書
A5判 256頁 本体2,200円
遠山純生
2010978-4-314-01068-9
ポーランド映画界で衝撃的なデビューを飾り「第三の新人」と呼ばれたスコリモフスキは,その後共産主義下の祖国を離れ,世界各地を流浪しながら映画を撮り続けてきた。オリジナル取材に基づく各時期の詳細な作品解説,本人の談話,撮影現場のルポ等,様々な角度からその世界を探究する。作家の全貌をコンパクトに見渡せる,待望のスコリモフスキ研究書。

111
最期の身ぶりによる聖書的物語
46判 972頁 本体6,600円
パトリック・シャモワゾー塚本昌則
2010978-4-314-01067-2
カリブ海の小さな島で,一人の老人が死の床に就いている。彼は,第2次大戦後に世界各地の植民地独立戦争に参加したかつての島の英雄である。今では忘れられたこの男が身ぶりで語るその生涯を,言葉の記録人が必至に書き取っていく。植民地支配に抵抗した男の闘いとは?その闘いの持つ意味とは?クレオール文学を越えた世界的傑作,ついに翻訳! 日本翻訳文化賞受賞。

112
子どもの脳とトラウマ
46判 392頁 本体1,800円
ブルース・D.ペリーマイア・サラヴィッツ仁木めぐみ杉山登志郎解説
2010978-4-314-01061-0
子どもの脳はトラウマからいかに回復するのか――「虐待先進国」アメリカで,カルト教団集団自殺,コロンバイン高校銃乱射事件,9.11など,多くの有名事件でトラウマを負った子どもたちの治療を手がけた児童精神科医が,性的虐待やネグレクトなど深刻なトラウマを経験した子どもの事例を通して,虐待が脳に与える影響と回復への道筋を描くノンフィクション。

113
動物行動学が教えてくれること
46判 368頁 本体2,200円
フランス・ドゥ・ヴァール柴田裕之西田利貞解説
2010978-4-314-01063-4
「共感」こそが混迷の現代社会を救う――世界的な動物行動学者が,豊富な実験や観察例を引きながら,「共感」が進化史上哺乳類に共通の特性であることを明らかにし,この人間の「優しさ」の生物学的ルーツを無視したために壁にぶつかってしまった過度な利益優先社会を,「共感」を基盤とする「まとまりと生きる価値を重視する」新たな社会とするよう提唱する。

114
生物多様性を守るためのアピール
46判 256頁 本体1,900円
エドワード・O. ウィルソン岸由二
2010978-4-314-01064-1
地球の生物種は「第六の大絶滅」と言われるスピードで減少している。科学と宗教が連携してこの危機を回避すべきと説く,生物学の大家ウィルソンによる渾身の自然保護論。豊富な実例から,地球環境や生物のおかれた現状を示し,教育の果たすべき役割や,市民との共同作業による種の調査など,生物多様性保全のためにいま我々ができることを提唱する。

115
神なき時代の哲学
46判 296頁 本体2,000円
アンドレ・コント=スポンヴィル小須田健コリーヌ・カンタン
2009978-4-314-01058-0
政治の時代から道徳の時代,そして精神の時代へ――。宗教の世俗化が世界的に蔓延し,一方で,原理主義的な宗教の信奉による争いもあとをたたない。自ら無神論者であることを選んだフランス哲学の旗手が,人びとが人生の意味を求めてさまざまに彷徨する時代に,神や宗教に倚ることなく,いかにして誠実に,そして自由に生きることが可能かを問いかける。

116
A5判 376頁 本体2,400円
岩崎稔編著上野千鶴子編著北田暁大編著小森陽一編著成田龍一編著
2009978-4-314-01052-8
封印された記憶を言語化する――ようやく語られ始めた戦後史があった。〈戦後〉を問い直すための見取り図を提示するとともに,これまでこぼれ落ちてきた論点をアクチュアルな問題として拾い上げ,特に社会運動に力点をおいて総括するシリーズ第一巻。東京大空襲/憲法/GHQ/復員兵/東京裁判/講和/サークル詩/朝鮮戦争…。各巻に詳細年表付(道場親信編)。

117
A5判 384頁 本体2,400円
岩崎稔編著上野千鶴子編著北田暁大編著小森陽一編著成田龍一編著
2009978-4-314-01051-1
かつて〈革命〉を信じた時代があった―― 〈戦後〉を問い直すための見取り図を提示するとともに,これまでこぼれ落ちてきた論点をアクチュアルな問題として拾い上げ,特に社会運動に力点をおいて総括するシリーズ第二巻。安保/ベ平連/水俣/全共闘/リブ/連合赤軍/沖縄/少年マンガ…。噴出する〈社会運動〉の時代を検証する!

118
行動経済学からみる脳のトラップ
46判 360頁 本体1,600円
マッテオ・モッテルリーニ泉典子
2009978-4-314-01054-2
人は直感が大好き。理屈で考えるより先に無意識に行動する。それは集団をも巻き込み,国家や企業の命運を決める重大な判断や決断さえも左右するのだ。最新の行動経済学は,人の認知のみならず判断や行動に見られるバイアスを明らかにしてきたが,この脳が仕掛ける「トラップ」を理解し,自分の錯覚と他人の策略から身を守る方法を提示する。

119
B5判 208頁 本体1,600円
全国大学実務教育協会
2009978-4-314-10182-0
秘書業務を自ら考えながら学ぶ,体験型テキスト。本書は,秘書が自ら考えて主体的に上司をサポートする能力を身につけることを目的に作成されました。これからの秘書に求められるビジネス教養として,情報セキュリティや企業のコンプライアンス(法令遵守)の重要性にも触れた,秘書実務の最新テキストです。

120
次元を超えて
大人のための数学7
A5判 192頁 本体1,800円
志賀浩二
2009978-4-314-01046-7
集合から線形な構造・空間へ。「線形性」とは「数をたす,かけるという演算ができること」。この「数」を「関数」に置き換え,「線形写像」を使うことで,関数がつくる有限次元の性質のみならず,無限次元の空間の性質まで論じられる。ヒルベルト空間,バナッハ空間の誕生……。無限と有限の橋渡し,代数と解析が手を結んだ瞬間。

121
46判 232頁 本体1,800円
スラヴォイ・ジジェク鈴木晶
2008978-4-314-01036-8
死後25年経った今もなお現代思想の最前線で参照され続けるラカン――本書は,現代を代表する知性のひとりジジェクによるラカン入門。映画や文学,現代政治のエピソードから誰もが出会う日常的な体験まで縦横無尽に論じながら,具体的な事象を「ラカンとともに読む」語り口は,まさにジジェクの面目躍如。難解なラカン思想を軽やかに解きほぐす一冊である。

122
A5判 376頁 本体2,400円
岩崎稔編著上野千鶴子編著北田暁大編著小森陽一編著成田龍一編著
2008978-4-314-01053-5
1995年,日本はここから変わった?! 〈戦後〉を問い直すための見取り図を提示するとともに,これまでこぼれ落ちてきた論点をアクチュアルな問題として拾い上げ,特に社会運動に力点をおいて総括するシリーズ第三巻。ニューアカ/フェミニズム/おたく/ピースボート/ネオリベ/バブル/グローバル化/オウム/9・11/イラク戦争/格差…

123
はじめての行動経済学
46判 322頁 本体1,600円
マッテオ・モッテルリーニ泉典子
2008978-4-314-01047-4
「三つあると真ん中を選ぶ」。人は合理的で,常に自分の利益になるように行動するはずが,実際にはなぜか非合理な選択をしてしまう。そのような人間の心理を解明した「行動経済学」の入門編。問いとクイズ形式で,株式投資からビジネス,レストランでの食事,買い物まで,感情が動かす「心の法則」を,最新の「神経経済学」を交えて紹介する。

124
速度と身体の大衆文化誌
46判 368頁 本体2,400円
原克
2008978-4-314-01035-1
20世紀前半に一世を風靡したデザイン,流線形。スピード化・合理化の時代を象徴するそのイメージは,自動車や機関車にとどまらず,日用品や大衆文化,女性の身体に至るまで感染症さながらに拡大適用されてゆく。本書は,科学/ファッション雑誌等を渉猟し,米国・ドイツ・日本でそれぞれ特徴的に展開した流線形イメージの系譜を比較文化論的に描く。図版170点

125
1951-1952
46判 880頁 本体16,000円
トーマス・マン森川俊夫
2008978-4-314-01048-1
非米活動委員会が政治的・精神的雰囲気を支配していたアメリカに耐えられなくなったマンは,長期のヨーロッパ旅行を繰り返すようになる。一方で,ドイツの過去の清算の不徹底にも批判的であったマンは,「国民の精神的政治的指導者」として帰国してほしいとのドイツからの要請を断り,苦悩の決断としてアメリカでの生活に終止符を打ち,スイスへの移住を決める。

126
現代日本の劇作・英語版 第10巻
B5判変型 320頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2008978-4-314-10181-3
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの最終巻。解説:山口宏子。収録作品:堤春恵『最終目的地は日本』,佃典彦『ぬけがら』,長塚圭史『はたらくおとこ』,岩崎正裕『ここからは遠い国』,畑澤聖悟『背中から四十分』。

127
集合論の誕生
大人のための数学3
A5判 164頁 本体1,700円
志賀浩二
2008978-4-314-01042-9
無限が無限を生む,無限には果てがない――無限の上にさらにそれを上回る無限があるということを,一体だれがなんのために構想したのか。
集合論は,天才カントルひとりの頭脳から生まれた。今から百数十年前のこと,哲学者や宗教家も含む周囲の反発の中,カントルが歩んだ孤独な思考の足跡をたどる。

128
位相空間:20世紀数学のパラダイム
大人のための数学5
A5判 168頁 本体1,800円
志賀浩二
2008978-4-314-01044-3
集合から位相空間へ。集合論の創始者カントルの死後,その夢の実現はハウスドルフらによって達成される。集合の要素のあいだに「距離」を導入して距離空間へ,部分集合のあいだに「近傍」を導入して位相空間へ。位相空間は20世紀の数学へ次第に浸透してゆく。抽象数学誕生のドラマを,カントルやハウスドルフの「生の声」を辿りつつ,再現していく。

129
食人の痕跡と殺人タンパクの謎
46判 360頁 本体2,400円
ダニエル・T. マックス柴田裕之
2007978-4-314-01034-4
ヴェネツィアのある高貴な一族は,謎の不眠症に苦しんでいた。この病気は中年期に発症し,異常発汗や頭部硬直,瞳孔収縮を引き起こし,やがて患者は不眠状態に陥って死亡する。この一族の数世紀に及ぶ物語を軸に,この病が狂牛病と同じプリオン病の一種と判り,その足跡を追ううちに見えてきた,80万年前の人類と食人をめぐる驚異のストーリー。

130
46判 204頁 本体1,800円
尾崎秀樹
2007978-4-314-01030-6
大衆文学は1920年に成立したといわれるが,著者は遡って江戸時代の講談,落語などの大衆文化の中にまで踏みこみ,「大衆とは何か」「大衆の望む面白さとは何か」の問いを軸に,日本人の精神構造にふれる何かをつかもうとする。理論は不要とみなされてきた大衆文学の領域に初めて分析の筆を入れ,日本の文学的伝統の中に正当に位置づけた力作。1964年初版を復刊。

131
現代日本の劇作・英語版 第9巻
B5判変型 464頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2007978-4-314-10160-8
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第9巻。解説:内野儀。収録作品:松尾スズキ『ヘブンズサイン』,ケラリーノ・サンドロヴィッチ『消失』,深津篤史『うちやまつり』,長谷川孝治『アザミ』,高泉淳子/伊沢磨紀『モンタージュ』,土田英生『初恋』。

132
A5判  128頁 本体1,300円
いわいとしお
2007978-4-314-01027-6
作る! 動かす! 物語が生まれる! かわいくてあったかい,親子で遊べる手作りおもちゃ。人や動物のパーツを厚紙に描いて切り抜き,リベット(割ピン)でつなぐ「リベットくん」。その魅力をまるごと紹介するビジュアルブック。

133
46判 288頁 本体1,600円
水島広子
2007978-4-314-01033-7
「わがまま病?」「母親のせい?」「過食を抑えれば治る?」日本では数少ない摂食障害(拒食症と過食症)の専門医が教える「新しい常識」。多くの誤解と偏見を正し,患者とその家族に「治す」ための正しい知識を提供する。数多くの臨床試験で摂食障害やうつ病への治療効果が実証されている「対人関係療法」を紹介。

134
あがり症・内気・社会恐怖の心理学
46判 344頁 本体2,200円
クリストフ・アンドレパトリック・レジュロン高野優監訳野田嘉秀田中裕子
2007978-4-314-01024-5
人前に出るとドキドキして何もできない,人から注目を浴びるのが辛い,初対面の人と話をするのが苦手……対人関係における不安や恐怖(社会不安)を感じる人は多い。何が人をそうした状況に陥らせるのか? 精神科医のコンビが,豊富な実例や図表,楽しいコラムを交えながら,社会不安のメカニズムを平易に解説。タイプや度合いに応じた改善法も提示する。

135
命がけの科学者列伝
A5判変型 224頁 本体1,900円
レスリー・デンディメル・ボーリングC.B.モーダン イラスト梶山あゆみ
2007978-4-314-01021-4
勇気かはたまた…危険も顧みず,自分の体で試すことを決意した科学者や医学者たちの涙ぐましい物語。高温部屋でどれだけ耐えられるかの実験,袋や骨や筒を丸呑みする消化実験,笑うガスを吸う麻酔実験,炭鉱や海中で長時間過ごす実験,心臓にカテーテルを入れた男の話,洞窟でひとり数ヶ月過ごした女性の話,など。

136
21世紀の産業革命
46判 424頁 本体2,400円
J.ストーズ・ホールエリック・ドレクスラー斉藤隆央川合知二解説
2007978-4-314-01022-1
「ナノテクノロジーは,第二の産業革命……第三,第四,第五でないのは,コンピュータやロボット工学などのテクノロジーでもそうした予言はあったが,どれもまだ最初の産業革命を凌いでいないからだ」(E. ドレクスラー)。ナノテクロジーが今後どのように発展し,人々の生活を変えていくのか。衣食住,エネルギー,交通,環境,医療に至るまでコンパクトに解説。

137
数学入門
大人のための数学1
A5判 176頁 本体1,700円
志賀浩二
2007978-4-314-01040-5
数学が「わかった!」という喜びは,ほかの何物にも変えがたい人生の歓喜に通じる。大人だからこそわかる,数学の深い楽しみへ。「数学の森」入門篇。ものを測る量から数という抽象世界へ。分数・小数,0と負の数の導入,「無限の海に浮かぶ実数」,時間の流れと関数概念の誕生,グラフと三角関数まで。

138
〈いのちの柱〉を取り戻せ
46判 256頁 本体1,600円
丸橋賢
2007978-4-314-01026-9
日本人はなぜスポーツが弱くなったのか。若者の不登校と不健康,アレルギー増加,異常な犯罪の続発・・・現代日本の不可解を解く鍵は何か。これらの背後に,急速に進行する日本人の退化があり,食育の乱れが〈生きる力〉の源としての歯を崩壊させているのだと説く。日本人心身改造のための四原則を提唱する。

139
46判 192頁 本体1,500円
エドワード・W.サイードタリク・アリ大橋洋一
2006978-4-314-01013-9
『オリエンタリズム』などの著作で人文諸学の潮流をリードし,死後も絶大な影響を及ぼしている,20世紀を代表する知識人,エドワード・サイードの1994年のインタビュー。生い立ちから自らの思想の軌跡まで平易に語っており,自身の肉声による良質なサイード入門と言える。長年の良き理解者タリク・アリによる序文(追悼文)のほか,年譜,著作リストも付す。

140
火を投げるサルが宇宙を飛ぶまで
46判 320頁 本体4,200 円
アルフレッド・W.クロスビー小沢千重子
2006978-4-314-01004-7
なぜ人類はかくも繁栄したのか。本書はその理由として,直立二足歩行や火を操る能力と並んで,「ものを投げる能力」を挙げる。飛び道具を使って,遠く離れた場所に変化を生じさせることへの飽くなき探究心こそが歴史を形作ってきたのだ。人類進化の足跡から,戦争の様式と軍事技術の変遷,惑星探査や宇宙開発まで,壮大なスケールで描く画期的な人類史。

141
B5判 192頁 本体1,500円
全国大学実務教育協会
2006978-4-314-10159-2
秘書教育の基本教科書である『秘書学概論』を全面改訂。現代の秘書は上司をめぐる人的ネットワークと情報ネットワークのコーディネート役としての機能を持っている。本書はこのコーディネートの役割を軸に全体の分析を試み,ビジネスシーンに即した実践力を身につけることを目的に構成されている。「人と情報の中継基地」としての「秘書」教育の最新教科書。

142
〈新装版〉
A5判変型 138頁 本体2,200円
サルヴァドール・ダリ瀧口修造
2006978-4-314-01014-6
この異様な近代芸術批判は,滔々とながれるモダン・アートのあらゆる抽象的傾向と,かつて有力な拠点であったシュールレアリスムとに対して,ダリ独自の逆説的立場を主張したものである。展開する論理がいちいちダリ的な身振りに満ち満ちた奇文であり,かれの主張する古典主義は怖るべき逆説を孕んだものだということがわかる。――訳者・瀧口修造

143
現代日本の劇作・英語版 第8巻
B5判変型 336頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2006978-4-314-10158-5
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第8巻。解説:今村忠純。収録作品:矢代静一『宮城野』,八木柊一郎『この小兒』,福田恆存『堅塁奪取』,木下順二『沖縄』,田中千禾夫『雲の涯』,飯沢匡『崑崙山の人々』,加藤道夫『思ひ出を賣る男』,三好十郎『胎内』。

144
B6判変型 48頁 本体900 円
いわいとしお
2006978-4-314-01006-1
一見,同じに見えるふたつの絵。でも,どこかがちょっとおかしいぞ。「どっちがへん♪ どっちがへん♪ どっちがどっちがへん♪」と軽快に歌いながら,2枚の絵をピッと見せて,子どもにどっちが変か聞いてみます。親子の楽しい時間を演出する「コミュニケーション・ツール」。

145
B6判変型 48頁 本体900 円
いわいとしお
2006978-4-314-01018-4
「どっちがどっち♪ どっちがどっち♪ どっちが〇〇?」と歌いながら,本をサッと開いてすぐに閉じ,左右どちらのページに何が描いてあるかを聞いてみます。瞬間の「観察力」が勝負!

146
B6判変型 48頁 本体900 円
いわいとしお
2006978-4-314-01019-1
左右どちらかのページで困ったことが起こりそう?! 「ピーンチピンチ♪ どっちがピンチ?」とリズムにのせてこのあと何が起こるか聞いてみます。子どもの「想像力」を楽しむ一冊。プレゼントに最適な「へん?」「どっち?」「ピンチ?」の3冊セット(ISBN978-4-314-01020-7)も!

147
46判 160頁 本体1,500円
いわいとしお
2006978-4-314-01000-9
岩井さんちでは,父と娘が一緒になって,おもちゃを手作りしながら,新しい遊びを考え出します。欲しい物は自分で作る,岩井さん親子の暮らしぶりを見ているうちに,自分の子供と何かしたくなる,そんなフォトエッセイ。

148
その謎を追う
46判 232頁 本体1,800円
岩坂泰信
2006978-4-314-01002-3
遠く中国の奥地から韓国・日本へ,そして太平洋を越えてアメリカ大陸まで,地球を半周する「黄砂」。じつは,この黄砂がさまざまな謎に満ちており,世界の注目の的――黄砂が雨粒をつくるもとになり,地球温暖化の行方を左右していた。太平洋のど真ん中に落ちた黄砂が,プランクトンの餌になり,魚を集めていた。黄砂の謎を求め,韓国・中国へ,敦煌へ。

149
46判 232頁 本体1,600円
ジャン=クロード・カリエール南條郁子
2006978-4-314-01016-0
「アインシュタインが生きていたら話を聞いてみたい」
「アインシュタインはなぜ時間はないって言ったの?」
科学に不案内と思われる女性が「異界の」アインシュタインを訪ね,時間,光,相対性理論,現代宇宙論や超ひも理論について質問していく。ニュートンとアインシュタインの対決も目撃。ファンタジー風科学入門。

150
脳倫理学序説
46判 264頁 本体1,800円
マイケル・S. ガザニガ梶山あゆみ
2006978-4-314-00999-7
記憶を良くし,「賢い」脳をつくり,脳の中の思想や信条を読み取ることが現実のものとなった。脳科学の新時代における倫理と道徳をめぐる問題を,世界を代表する神経科学者が考察。 2001年より米国大統領「生命倫理評議会」のメンバーとなった著者ならではの迫真の内容で,新しい分野,「脳(神経)倫理学」,ついに日本上陸。

151
遺されたB級戦犯妻の記録
46判 280頁 本体1,800円
小林弘忠
2005978-4-314-00987-4
太平洋戦争のB級戦犯に指定された傷痍軍人,本田始。彼は,捕虜監視員時代に捕虜を虐待した罪で起訴され,たった一日の裁判で死刑判決を受けてしまう。そこから,彼の妻・タネの,見つからない真実を追い続ける戦後が始まる。「彼は本当に捕虜を殺したのだろうか?」――今もなお戦後の傷跡を背負って生きる女性の生涯を描くノンフィクション。

152
46判 256頁 本体1,800円
大江志乃夫
2005978-4-314-00976-8
日露戦後,軍馬改良の一環として競馬が奨励され,馬券も黙許された。だが,その利益を当て込んで競馬会が乱立,紛争・不正も続発して,明治41年,馬券競馬は廃止されるに至る。この騒動の片隅で,一見些細だが,やがて来る検察権力の暴走を予兆する事件が起きていた……。近代史研究の大御所が陸軍秘密文書を駆使しながら描く,歴史の裏側に隠されたドラマ。

153
意識の誕生と文明の興亡
46判 640頁 本体3,200円
ジュリアン・ジェインズ柴田裕之
2005978-4-314-00978-2
人類が意識を持ったのは,今からわずか3000年前のことだった。古代文明は,右脳に囁かれる神々の声に従った〈二分心〉の者たちが担ったのだ――人類が意識を持つ前の人間像を初めて示し,豊富な文献や遺物を駆使して「意識の誕生」をめぐる壮大で大胆な仮説を提示する……哲学・心理学,歴史解釈をはじめ多方面で論議を呼んだ画期作,堂々の刊行。

154
西洋篇
A5判 328頁 本体2,800円
荒川紘
2005978-4-314-00995-9
シュメール・バビロニアの神話的世界観からユダヤ教,ギリシア・ローマ,スコラ哲学の世界観・宇宙観へ。ルネサンス以前の五千年に及ぶ世界観・宇宙観の変遷の歴史が,現代に問いかけるものとは? 「外から宇宙をみる西洋,内から宇宙をみる東洋」と言われるが,東西の宇宙観の変遷の歴史を比較文明論的に詳細に辿ることで,その違いを浮き彫りにする挑戦!

155
現代日本の劇作・英語版 第7巻
B5判変型 448頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2005978-4-314-10156-1
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第7巻。収録作品:宮本研『明治の柩』,福田善之『オッペケペ』,秋浜悟史『冬眠まんざい』,秋元松代『かさぶた式部考』,清水邦夫『真情あふるる軽薄さ』,山崎正和『獅子を飼う』。解説:石澤秀二。

156
その科学史上の位置
46判 204頁 本体1,800円
中山茂
2005978-4-314-00985-0
科学的にはナンセンスとみなされている占星術が,なぜこうも人を惹きつけるのか。バビロニアに興り,古代から近世まで文明を支配し,天文・物理・気象等の科学の母体となった占星術の発生と衰退を科学史的に評価する。西洋の占星術のみならず,中国や日本の占星術も同格に扱い,また中世や近世への展開をも充分考慮して,占星術の全体像を捉えた科学思想史入門。

157
46判 288頁 本体2,000円
パトリック・ルモワンヌ小野克彦山田浩之
2005978-4-314-00991-1
小麦粉や砂糖水でも病気が治る「プラセボ(偽薬)効果」とは?医療関係者は,ありとあらゆる病気にプラセボ効果があることを知りながら,公然と口にすることは医学を貶めるとしてタブー視してきた。本書は,フランスの医師が,この現象が医者と患者の絆に強く依存することを明らかにしながら,その秘密に挑み,「もっとこの現象を活用せよ」と訴える。

158
A5判 272頁 本体2,200円
小森陽一編著成田龍一編著
2004978-4-314-00956-0
1904(明治37)年に勃発し,近代日本の進む道を決定づけた日露戦争。その時代と社会をいま,世紀をへだてて改めて問い直す――。メディアと報道,国際社会の中の日本,軍隊と地域,銃後と民衆運動,植民地,記憶と慰霊……第一線の書き手たちがこれまでこぼれ落ちてしまっていた論点に光をあて,現代に通じるアクチュアルな問題を浮き彫りにする野心的な論集。

159
中東問題の始まり 1914-1922
46判 464頁 本体3,800円
デイヴィッド・フロムキン平野勇夫椋田直子畑長年
2004978-4-314-00966-9
中東ではなぜ血なまぐさい抗争が絶えないのか。それを理解するためには第一次世界大戦までさかのぼらねばならないと著者は言う。オスマントルコ帝国の崩壊を見すえ,ヨーロッパ列強はいかなる青写真を描いていたのか。さまざまな思惑が交錯する生々しい人間模様を活写し,近代中東形成の全体像をあぶり出す,大河小説さながらの一大歴史ノンフィクション。

160
中東問題の始まり 1914-1922
46判 544頁 本体3,800円
デイヴィッド・フロムキン平野勇夫椋田直子畑長年
2004978-4-314-00967-6
同上

161
イスラームそして世界の岐路
46判 248頁 本体1,700円
バーナード・ルイス中山元
2004978-4-314-00975-1
高まり続ける反米感情,跡を絶たないテロ,進まない近代化,ちぐはぐな西側の対応……現代イスラームひいては世界全体の危機を,中東研究の重鎮が,イスラームの教義から歴史的経緯,9.11以降の情勢まで幅広く視野に入れながら明解に考察。手際よく論点を整理するコンパクトさと,該博な知識から来る濃密さをあわせ持った,イスラーム理解のための必読書。

162
歴史から図像まで
A5判 628頁 本体4,500円
伊泉龍一
2004978-4-314-00964-5
何百年もの間,時の流れとともに変わり続けてきたタロット。多種多様な絵柄の中には,その時代の空気や人々の世界観が封じ込められている―――タロットの今の姿から始まり,占いと精神世界との関わりの中で育まれたその歴史,各カードの図像解釈まで,豊富な切り口からタロットの世界の全貌を披露する。図版も豊富に掲載され,まさに辞書的な一冊。

163
ラフカディオ・ハーンと女たち
46判 232頁 本体2,100円
西成彦
2004978-4-314-00965-2
ギリシャに生まれ,アイルランド,アメリカ,仏領マルチニーク,日本と渡り歩き,フォークロア収集にのめり込んだ文化横断者ラフカディオ・ハーン。異文化を貪欲に吸収するその創作活動の命綱は,民間伝承の語り部としての女たちだった。ハーンを介さないと聞こえてこない声に耳をすませながら,ハーン研究の新しい地平を切りひらく渾身の論集。

164
46判 256頁 本体1,600円
斎藤美奈子
2004978-4-314-00958-4
商品情報を読むように,小説を読んでみよう。文学の面白さはストーリーや登場人物の魅力だけではない。作品に登場するモノやその描写を見ていくと,思いもかけなかった読み方ができることに気づくだろう。ファッション,風俗,ホテル,バンド,食べ物,そして「貧乏」。9つのテーマをめぐって,村上春樹から渡辺淳一まで読みくらべる,痛快無比の文芸評論。

165
46判 160頁 本体1,500円
佐藤雅彦
2004978-4-314-00963-8
テレビCM,映画,ゲームソフト,経済入門,教育番組……常に新しいジャンルに挑戦し,独自の世界を創造してきた表現者が長年温めてきた,初めての物語集。みずからの原風景とも言うべき「砂浜」を舞台に,少年たちの小さな世界をそのままそっと封じ込める。早乙女道春氏による生き生きとした挿絵,辻村益朗氏による飽きのこない装丁も味わい深い。

166
1949-1950
46判 776頁 本体14,000円
トーマス・マン森川俊夫佐藤正樹
2004978-4-314-00971-3
16年ぶりに祖国ドイツを(東独も)訪問,ゲーテ賞を受賞したマンを待っていたのは,朝鮮戦争と東西冷戦のさなか,マッカーシズムが吹き荒れるアメリカでの「共産主義者」としての迫害だった。FBIの尾行もつくなかで,ヨーロッパへ住居を移すことを思案しはじめるマン。時代の証言者としてのマンの心中は?

167
現代日本の劇作・英語版 第6巻
B5判変型 428頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2004978-4-314-10155-4
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第6巻。収録作品:別役実『病気』,井上ひさし『藪原検校』,唐十郎『少女都市からの呼び声』,佐藤信『阿部定の犬』,太田省吾『小町風伝』,斎藤憐『朝焼けのマンハッタン』,寺山修司『毛皮のマリー』。

168
B6判 192頁 本体1,300円
岡田康子編著
2004978-4-314-00960-7
パワー・ハラスメントとは,職権などの何らかの力を背景にした,職場における嫌がらせ,いじめ,暴力のこと。これがはびこれば,直接の被害者はもちろん,他の社員や組織自体に与えるダメージも計り知れない。この言葉の名づけ親で,窓口相談や啓発活動に従事してきた第一人者が,事例の蓄積を生かしながら実態を分析,様々な視点からの対処法を提案する。

169
46判 376頁 本体2,000円
パトリック・レジュロン高野優監訳野田嘉秀
2004978-4-314-00959-1
仕事が片づかない,ミスが許されない,eメールに時間をとられる,上司とうまくいかない,会社に行きたくない……ストレス要因に事欠かない現代の職場。心身の病気にいたることも珍しくない。いったいどうすればよいのか? フランスの精神科医が,豊富な実例や自己診断テストをまじえながら,基本的なしくみから具体的な対処法まで,ストレスのすべてを平易に解説。

170
46判 240頁 本体1,600円
岡野憲一郎
2004978-4-314-00974-4
英語は苦手,性格は気弱,勤務先は難しい患者が集まる州立病院……。アメリカ中部の田舎町で17年の臨床経験をもつ精神科医が,日々悪戦苦闘する中で,時に大真面目に時にユーモラスに綴った比較文化論風エッセイ。〈目次〉精神病院から見たアメリカ/アメリカ人だって対人恐怖になる/精神科医,このやっかいなもの/やはりヘンだ,日本の父親/他

171
46判 432頁 本体2,800円
ハナ・ホームズ岩坂泰信監修梶山あゆみ
2004978-4-314-00957-7
私たちを取り巻く塵にはいろんなものがある。宇宙の小惑星や彗星由来の塵,遠く中国奥地やアラビア半島から飛来してくる塵,はがれた皮膚や岩石,樹皮や胞子,昆虫の足,セーターの毛糸,タイヤのゴム,バクテリアまで。雨粒の一滴一滴にも塵が含まれている。小さな塵がいかに宇宙や地球の歴史,恐竜たちの運命,人の健康やアレルギーと関わってきたかを紹介。

172
46判 416頁 本体2,400円
マット・リドレー中村桂子斉藤隆央
2004978-4-314-00961-4
遺伝子は神でも運命でも設計図でもなく,環境から情報を引き出し,しなやかに自己改造していく装置だった!
愛,知能,性格,行動などをめぐるゲノム解析の新事実から,遺伝子が環境のなかで柔軟に変化していくことがわかってきた。「生まれか育ちか」の二項対立の図式は誤っていたのだ。 ゲノム時代の新しい遺伝子観・人間観の誕生!

173
A5判 260頁 本体2,800円
ルドルフ・カルナップ遠藤弘
2003978-4-314-00940-9
現代分析哲学に多大な影響を残した意味論研究三部作の第一巻。この書でカルナップは,真理の古典的な概念,とりわけ分析的真理の概念の明晰な解明を行ない,かつ様相論理や確率論に基礎を与えている。意味を持つとは,ある一定の規則に支配されることに等しいという主張にそって展開される形式的意味論の伝統の中で,基本書というべき地位を獲得している。

174
A5判 252頁 本体2,800円
ルドルフ・カルナップ竹尾治一郎
2003978-4-314-00941-6
意味論研究三部作の第二巻(第三巻は『意味と必然性』)。意味論の方法の論理学への応用,すなわち,論理学の形式化の可能性とそれがどの範囲まで及ぶかということ,またその完全な形式化が可能か否かということが問題とされる。また,表題作の他に「論理学と数学の基礎」が収められており,意味論・論理学・分析哲学等に関心のある読者には必読の書であろう。

175
ヨーロッパ覇権をもたらした世界観の誕生
46判 356頁 本体3,500円
アルフレッド・W. クロスビー小沢千重子
2003978-4-314-00950-8
ヨーロッパ帝国主義が成功をおさめたのはなぜか? 理由のひとつは,中世・ルネサンス期に,人びとの世界の捉え方や思考様式が,宗教的なものから普遍的・効率的なものへと変化していたことだと著書は言う。暦法,機械時計,地図,記数法,絵画の遠近法,楽譜,複式簿記……広範な分野で並行して起こった,数量化・視覚化という革命を跡づけてゆく西欧精神史。

176
近代女性の表象と闘い
B6判 320頁 本体2,200円
川村邦光
2003978-4-314-00951-5
与謝野晶子とモダンガール,中原淳一と彼の描く乙女像に熱狂した女子学生,そして美智子妃,樺美智子,大島みち子という「三人のみちこ」,吉永小百合――激動の20世紀に女性の身体やセクシュアリティはいかに表象され,語られたのか。「オトメ」という概念を軸に,女性自身の言葉やメディアの語りの中から,近代日本を生きた女性像の変遷とその闘いを探る。

177
1946-1948
46判 1000頁 本体16,000円
トーマス・マン森川俊夫洲崎惠三
2003978-4-314-00952-2
大病を患い,手術から生還したマンは,それまでにもまして執筆活動に情熱を燃やし,晩年の代表作『ファウストゥス博士』を完成させる。この時期,マンは戦後初めてヨーロッパ各国への旅行を敢行,戦争の傷跡を肌で感じ,講演をして歩くが,母国ドイツへの入国はかなわなかった。

178
現代日本の劇作・英語版 第5巻
B5判変型 382頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2003978-4-314-10154-7
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第5巻。序文:永井愛,解説:衛紀生。収録作品:藤田傳『黒念仏殺人事件』,つかこうへい『熱海殺人事件』,小松幹生『雨のワンマンカー』,山崎哲『漂流家族』,岡部耕大『亜也子』,竹内銃一郎『月ノ光』。

179
酸素原子が語る宇宙の物語
46判 336頁 本体2,200円
ローレンス・M. クラウスはやしまさる
2003978-4-314-00936-2
「宇宙のミステリーを,想像力たくましくやさしい言葉で説明する能力についてはカール・セーガンばりだ」――スティーブン・ホーキング
私たちの吸う息に含まれる酸素原子を主人公に,宇宙のビッグバンから地球に降り立ち,やがて生命の中に宿り,地球消滅後ふたたび宇宙へと旅たっていく壮大なストーリーを描く。

180
46判 272頁 本体2,000円
ユージン・リンデン野中香方子
2003978-4-314-00948-5
錠前はずしが得意なオランウータン,迷路を抜けるタコ,ニワトリと仲良くなったライオン,サッカーを楽しむペンギン,大リーグ投手並みの能力をもつゾウ,飼育係の悲しみをなぐさめるチンパンジー,ゾウの絵と音楽,モーツァルトに曲を教えたムクドリ・・・・・・動物園の飼育係や野外の研究者たちに聞いて集めた,動物たちの驚きにみちた心暖まる実話物語。

181
46判 336頁 本体2,600円
テレンス・ホークス池上嘉彦
2002978-4-314-00915-7
本書は,構造主義と記号論の本質と発展,またその原則と問題点などを取り上げ,この分野の予備知識を持たない人たちでも理解できるように書かれたものである。特に,ソシュール,レヴィ=ストロース,アメリカ構造言語学者たち,ヤコブソン,バルト等の仕事に焦点をあて,詳しく分析している。この分野に携わる人にはもちろん専門外の人にも興味深い一冊である。

182
ある戦場外科医の回想
46判 248頁 本体1,600円
ジーノ・ストラダ荒瀬ゆみこ
2002978-4-314-00929-4
アフガニスタン,ボスニア,クルディスタン,ルワンダなど,世界中の紛争地域で医療活動をしてきた外科医による日記風エッセイ。過酷な野戦病院の現実,地雷や爆撃などで傷を負った患者たちとのふれあい,さまざまなジレンマに悩む医師の心境が率直に綴られ,そこに生きる人々の声がじかに聞こえてくるようで,読む者の心を揺さぶらずにはおかない一冊である。

183
46判 208頁 本体1,600円
緑ゆうこ
2002978-4-314-00911-9
イギリス人と結婚,ロンドン近郊に暮らす作家が出会った,イギリスの本当の姿とは。医療費無料のおかげで受診は一年も先。政府の持ち家政策で国民は借金だらけ。庶民のガーデニングは植えては抜く活け花方式……それでも「イギリスは理想の国」だと信じるイギリス社会を考察した,ユーモアとスパイスの効いたエッセイ集。

184
46判 232頁 本体1,600円
緑ゆうこ
2002978-4-314-00928-7
『イギリス人は「理想」がお好き』に続く第2弾。「イギリスの建前と本音から日本の将来を占う」視点で,ユーロ・家族・教育・若者・老人介護,と“ゆりかごから墓場まで"の各シーンにおけるイギリス社会の建前と本音を,明晰に読み解く。返す刀で「大人の国」ってホントにいいの? と日本人に問いかける,軽快でユーモラス,そしてピリッと辛い比較文化論。

185
46判 298頁 本体1,800円
布施英利
2002978-4-314-00926-3
美は自然に学べ! 外に出て「自然に触れ合う」ことで,美的感性は磨かれ,素晴らしい絵が描けるようになる。本書は,そのための初めてのユニークで楽しいガイドブック。
野山や森,川や海での〈野外実習〉を絵のテーマである光・空間・動き・形と色・生命という5つのレッスンに分けて解説。ダ・ヴィンチ博士流「絵画教室」の完成版!

186
付・薔薇十字基本文書
〈普及版〉
46判 356頁 本体3,600円
ヨーハン・V. アンドレーエ種村季弘訳・解説
2002978-4-314-00931-7
17世紀初頭のドイツ,匿名作者による4つの「基本文書」公刊を機に姿を現わし,全欧に波及した思想運動を担った秘密結社「薔薇十字団」。ゲーテやモーツァルト,フランシス・ベーコンらのちの思想や文学にも大きな影響を及ぼした「基本文書」の全訳から,その謎に迫る。碩学・種村季弘による50頁におよぶ解説「ヴァレンティン・アンドレーエと薔薇十字団」を付す。

187
1944-1946
46判 928頁 本体14,000円
トーマス・マン森川俊夫佐藤正樹田中暁
2002978-4-314-00909-6
第二次世界大戦の嵐が吹き荒れるなか,アメリカに生活の拠点を移したマンは,精力的に活動を続ける。ラジオ放送でドイツへの呼びかけを行い,パレスティーナ白書について声明文を出し,ユダヤ人芸術家への迫害に抗議する――激動の時代のただなかで声をあげ続けるマン。やがてヒトラー・ドイツは崩壊し,ヨーロッパの再建の胎動が始まる。

188
現代日本の劇作・英語版 第4巻
B5判変型 282頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2002978-4-314-10148-6
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第4巻。上演当時の貴重な公演写真も多数掲載している。序文:別役実,解説:西堂行人。収録作品:北村想『寿歌』,川村毅『ニッポン・ウォーズ』,鄭義信『人魚伝説』,岸田理生『糸地獄』,野田秀樹『赤鬼』。

189
46判 208頁 本体1,600円
ジョジアーヌ・ペラン朝比奈弘治岩澤雅利
2002978-4-314-00919-5
少女は,きょうだいの中で唯一母親から執拗にいじめられ続け,医者の通報で保護された。施設のシスターや,同じ境遇の仲間とのかかわりの中で,自身の人生を歩む勇気と智恵を学び,母との決別に至るまでを追想した,フランス人女性の自叙伝。多感な少女群像をみずみずしく描きつつ,児童虐待問題の根絶を願う著者の,切なる思いにあふれた感動の実話。

190
46判 304頁 本体2,000円
マクシム・シュワルツ山内一也監修南條郁子山田浩之
2002978-4-314-00913-3
狂牛病の謎はどこまでわかったか。牛肉やミルクを口にしても平気なのか? 原因とされる異常プリオンの「死の接吻」とは?
予防や治療の可能性は? いま何をなすべきなのか。「狂牛病パニック」のさなか,フランスで出版された最も信頼すべき筋からの発信。パスツール研の元所長が明晰な解説で狂牛病をめぐる俗説や誤謬を斬り捨て,その真実の正体に迫る。

191
意識という幻想
46判 568頁 本体4,200円
トール・ノーレットランダーシュ柴田裕之
2002978-4-314-00924-9
意識は0.5秒遅れてやってくる。デカルトの「我思う,ゆえに我あり」という意識の黄金律は幻想に過ぎなかった。
本書は,数学,物理学,情報科学,実験心理学の成果から,たとえばベイトソン,マトゥーラーナとヴァレーラの思想に至るまでの〈知〉を総動員して,意識という存在の欺瞞性を暴いた力作。原書は母国デンマークのベストセラー。

192
46判 146頁 本体1,800円
中田力
2002978-4-314-00923-2
脳はいかにして心を創るのか。心と意識の謎を解くには,ニューロン一辺倒では限界がある。
ニューロンの「きょうだい」であるグリア細胞がつくる脳内の新しい構造に注目,ここに「複雑系としての脳」から渦理論を樹立する。脳科学のニュー・フロンティアを拓く気迫に満ちた,刺激に満ちた意欲作。『いち・たす・いち』の姉妹篇。

193
人間性の解剖
46判 852頁 本体8,600円
エーリッヒ・フロム作田啓一佐野哲郎
2001978-4-314-00893-8
ローレンツの新本能主義やスキナーの新行動主義の批判を通して,個体及び種の保存に役立つ〈良性の攻撃〉と,人間固有の,破壊性や残酷性を伴う〈悪性の攻撃〉とを峻別。後者を代表するものとして,生命破壊の情熱(ネクロフィリア)とサディズムをとりあげて,スターリンやヒトラーなどの性格分析を展開し,ネクロフィリアと表裏一体の現代社会に警鐘を鳴らす。

194
46判 304頁 本体2,400円
鈴村和成
2001978-4-314-00891-4
なぜ作家は恋愛小説を書き続け,人は読みついでゆくのだろう?
20世紀を代表する小説家,プルーストと彼を信奉していたデュラス――恋愛が重要な主題だった二人の作品を,「逃げ去る女アルベルチーヌ」をもとに,時に『源氏物語』の「宇治十帖」を参照しながら読みなおしていく。詩人にしてフランス文学者の著者ならではの,恋愛論として読む「恋愛小説論」。

195
46判 214頁 本体1,600円
橋本治夢枕獏いとうせいこう
2001978-4-314-00886-0
狂言,講談,琵琶――人気作家による新作台本と対談,エッセイを収録。「日本の芸能のわからなさ」の理由と「わかりかた」の秘密を書いた巻頭エッセイはじめ,対談には丁寧な脚注と写真が入り,入門書としても画期的な一冊。演者の野村萬斎,宝井馬琴,友吉鶴心と各作家の対談は,面白く貴重。古典芸能のファンだけでなく,わかりたい人にもお薦めの本。

196
現代日本の劇作・英語版 第3巻
B5判変型 318頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2001978-4-314-10146-2
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第3巻。序文:別役実,解説:内田洋一。収録作品:渡辺えり子『ゲゲゲのげ』,市堂令『青い実をたべた』,大橋泰彦『ゴジラ』,横内謙介『愚者には見えないラ・マンチャの王様の裸』,鴻上尚史『ララバイ または百年の子守唄』。

197
支配されない ための11章
46判 256頁 本体1,500円
イザベル・ナザル=アガ田口雪子
2001978-4-314-00905-8
相手を支配したい欲求が異常に強い人たち(=マニピュレーター)がいる!――彼らは愛をふりまいて近づいておきながら,ひとたび結婚すれば態度を豹変させ,様々な〈こころの暴力〉によって相手を精神的に追いつめていく。このような人間との生活はどんなものか? 苦しみつつも別れられないのはなぜか? 多くの証言から実態を解明し,対処法も示していく。  

198
46判 196頁 本体1,400円
正高信男
2001978-4-314-00887-7
現行の痴呆検査では,ボケが随分と進行してからでないと,ひっかからない。
著者は,デイケアセンターでの調査から,ボケ始めをチェックする心理テストを考案,ボケの進行を食い止める当人および周囲の対抗策を提案する。
みんなで試そう「ぼけ始め判定テスト」付き。

199
母なる地球の子どもたちへ
46判 286頁 本体2,400円
ダライ・ラマ14世ジャン=クロード・カリエール新谷淳一
2000978-4-314-00874-7
「人間はみな,地球という母の子どもとして,ひとつになるべきです」と,ダライ・ラマは語る。地球規模で進む環境破壊や教育問題,民族紛争,宗教の対立そして「心の科学としての仏教」について,同時代を生きる偉大な知識人であるダライ・ラマが,時にユーモアをまじえつつ,語った1冊。日本の読者へのメッセージも収録。

200
46判 192頁 本体1,600円
水野肇
2000978-4-314-00876-1
財政破綻により,21世紀の社会保障の未来図が描けず,国民に老後の不安が広がっている。
本書は,基礎年金十万円構想を軸に据え,社会保険の一本化,薬価基準廃止・薬代償還制の導入,個人カルテICカード化,家庭医制度の確立など,医療・年金・保険の各改革案を盛り込んだ提言の書である。

201
46判 320頁 本体2,200円
ターハル・ベン=ジェルーン菊地有子
2000978-4-314-00883-9
魅惑の街・タンジェに住む少女ジーナは,成長して不思議な力を発揮し,自分や女たちを傷つけてきた男たちに復讐を始める。はたしてジーナとは何者なのか? 彼女の物語につかまった講釈師やスーフィの5人の謎の男,ジーナに付き従う5人の女の正体は? 物語はやがて,サルマン・ラシュディやアラブの現在に至る,壮大な流れに巻き込まれていく。

202
46判 294頁 本体2,200円
ジェローム・ワイドマン常盤新平
2000978-4-314-00879-2
1920年代のニューヨーク,ヨーロッパからの移民が暮らす貧しい町を舞台に,一人のユダヤ系少年の成長を描いた自伝的小説。愚直に自分の信念を貫く父親や生命力あふれる母親をはじめ,友達や教師,魅力的な町の人々を,少年の目から生き生きと描く。当時の移民コミュニティや大恐慌,戦時下の生活もよくわかる。

203
1937-1939
46判 984頁 本体12,000円
トーマス・マン森川俊夫
2000978-4-314-00855-6
第二次世界大戦前夜から開戦にかけて,緊迫する世界情勢のなかで綴られた日記。「ヒトラーの無血侵攻くらい厭うべきものはなく,それ以外なら何でもいいというほどだ」――政治の推移を見守りつつ,ヒトラーへの激しい怒りを募らせるマンは亡命の身の上からアメリカへの移住に踏み切り,ファシズムとの新たな闘いを開始する。

204
現代日本の劇作・英語版 第2巻
B5判変型 422頁 本体4,000円
日本劇作家協会
2000978-4-314-10139-4
日本劇作家協会の企画・編集による,現代日本を代表する劇作家約60人の作品を90年代から50年代まで遡って英訳するシリーズの第2巻。序文:別役実,解説:七字英輔。収録作品:岩松了『隣りの男』,成井豊『ハックルベリーにさよならを』,柳美里『魚の祭』,宮沢章夫『ヒネミ』,ダムタイプ『S/N』,飯島早苗/鈴木裕美『法王庁の避妊法』,松田正隆『月の岬』。

205
なぜあの人は自分に自信があるのか
46判 388頁 本体2,200円
クリストフ・アンドレフランソワ・ルロール高野優
2000978-4-314-00877-8
自分で自分のことをどう思っているか――すなわち〈自己評価〉は,恋愛,結婚,子育て,友人関係,仕事など,あらゆる場面で私たちの考え方や行動に大きな影響を与えている。あなたの自己評価は高いか低いか? 安定しているか不安定か? 精神科医のコンビが,豊富な実例と図表を使いながらそのメカニズムを平易に解説。自己評価改善法も提示する。自己診断表付き。

206
科学奇想物語
46判 328頁 本体2,400円
ジェイ・イングラム中村和幸
2000978-4-314-00865-5
カナダの科学ライターが集めた,ノーベル賞はとれないかもしれないが,科学の面白さと興奮を伝える未解決問題の逸話集。人はなぜ笑うのか? 精神病院に正気の人を送り込んだら? 百人のオーダーを覚えられるウェイトレスの脳とは? ジャンヌ・ダルクの神のお告げをめぐる現代精神科医の見解は? アルキメデスの鏡兵器を追試する,など21話。

207
科学的探究の論理
46判 322頁 本体品切円
ノーウッド・R.ハンソン野家啓一渡辺博
2000978-4-314-00870-9
我々は日々どのように〈もの〉を見ているのであろうか。著者は,〈見る〉ことに関するさまざまな理論を検討しながら,〈見る〉とは「理論を背負って」見ることであって,「なまの現実」などないという。眼の背後にある言語的構造を斬新な語り口によって明らかにし,科学的に見ることの本質,事実と理論の関係等を説いていく,まったくユニークな科学哲学入門。

208
科学的探究の論理
46判 376頁 本体3,200円
ノーウッド・R.ハンソン野家啓一渡辺博
2000978-4-314-00871-6
同上

209
生殖技術と家族の行方
46判 336頁 本体2,200円
ロビン・ベイカー村上彩
2000978-4-314-00875-4
人工授精,代理出産,体外受精,凍結精子,代理卵巣,クローン人間……。生殖技術の進歩は「不妊」を次々に解決するだろうが,それ以上に我々の性行動や家族の形を根本から変えてしまう力を持っている。未来のテクノロジーと市場原理,そして太古以来の人類の欲望が結びついたとき,いったい何がおこるのか? これまでの生命観・家族観をゆるがす驚愕の未来予想図。

210
生殖医療がビジネスになった日
46判 320頁 本体2,300円
ローリー・B. アンドルーズ望月弘子
2000978-4-314-00878-5
「あなたのクローンがつくられても取り締まる法律はない」 ネット上の精子ドナー探し,死者・昏睡状態の人からの精子採取,体外授精で残った胚の大量処分……「クローン人間誕生」が間近に迫る生殖医療の現場ではいま何が起きているのか。 米国大統領に「ヒト・クローン研究禁止」を決断させた,著名な女性法律家による戦慄の現場報告。

211
46判 516頁 本体3,800円
アンドレ・コント=スポンヴィル中村昇小須田健C.カンタン
1999978-4-314-00837-2
「あらゆる徳は二つの悪徳のあいだの頂である。勇敢さは臆病と蛮勇とのあいだに,矜持は卑屈と身勝手とのあいだに,温和さは怒りと無感情とのあいだに……」。本書は,礼儀正しさから愛にいたる18の徳をあげ,それらの調和のなかで「人間らしく生きようと努力すること」こそが徳であると説く。価値相対化の時代をよりよく生きるための指針の書。

212
46判 448頁 本体4,200円
稲葉振一郎
1999978-4-314-00848-8
リベラリズムは,「自分が唯一の存在であり他者もまたそうであると認める」倫理を内包する唯一の制度である。著者はそう主張し,リベラリズムの価値を追求する。ホッブズ,ロックの社会契約論,ノージックの最小国家論,アレントの記憶の政治学など,歴史的かつアクチュアルな論点に取り組み,現代社会におけるリベラリズム思想の見取り図を描く渾身の力作。

213
西欧と日本
A5判 348頁 本体(品切)円
西村三郎 
1999978-4-314-00850-1
ユーラシア大陸の東端と西端,日本と西欧でともに近世に絢爛と花ひらいた博物学-博物趣味の大流行の謎を,地球的・世界史的スケールで比較文明論的に考察した画期作!!
東西の博物学の本格的な通史でありながら,読みごたえのある物語性で,両者の内実の違いを実証,江戸博物学終焉の謎に迫る。各紙誌・書評誌,絶賛の書。

214
西欧と日本
A5判 384頁 本体3,200円
西村三郎
1999978-4-314-00851-8
同上

215
46判 264頁 本体2,600円
ジャック・ザイプス吉田純子阿部美春
1999978-4-314-00835-8
おとぎ話を子供の手に取り戻さなくてはならない。グリム兄弟やシャルル・ペローが加えた改変や,神話を持たない若い国・アメリカでディズニー映画はおとぎ話をどう変えたのか。また「オズの魔法使い」がアメリカ現代文学について与えた影響などを検証し,現代社会に必要な「本当のストーリーテリング」を考える。昔話研究の第一人者による画期的な1冊。図版多数。

216
46判 268頁 本体2,400円
フィリップ・コルブ権寧
1999978-4-314-00847-1
マルセル・プルーストと,彼の最愛の人,母との書簡集。16歳の時に最初のものを書き,母の死によって交信が永遠に途絶える彼の34歳までの149通を収録する。これらの手紙は,人格形成の重要な時期におけるプルーストの内面生活の深いところまで,われわれを導くものであり,彼が生長していった環境を十全に物語ってくれる修正なしのポートレートである。

217
46判 240頁 本体1,800円
ターハル・ベン=ジェルーン堀内ゆかり
1999978-4-314-00838-9
《これらの物語は愛についてしか語っていません。愛,すなわち孤独や秘密,それが生み出す無理解について/著者の言葉から》。アラブの男女の愛を描きつづけている,モロッコ人初のゴンクール賞作家による,16の愛の物語。夫を共有しようとした二人の女の企みの結末や,嫉妬に狂った男の選択――愛を求めて,互いに求め続ける男女の性愛を描いた待望の短編集。

218
人を傷つけずにはいられない
46判 336頁 本体2,200円
マリー=フランス・イルゴイエンヌ高野優
1999978-4-314-00861-7
巧妙にも自分の手は汚さずに,言葉や視線,ほのめかしや意味ありげな仕草で相手のこころを傷つけていく行為=モラル・ハラスメント。家庭で職場で日常的に行なわれるこの「見えない暴力」は,被害者をうつ状態のスパイラルへと陥らせ,ひどい場合は自殺に追い込むという。本書は豊富な臨床体験に基づいて,その実態を徹底分析。有効な対処法も提示する。

219
〈増補改訂版〉
A5判 528頁 本体5,600円
C. G. ユング林道義
1999978-4-314-00840-2
人間のこころには,フロイトのいう個人的な無意識だけでなく,人類に共通の集合的無意識がある…ユングの独創であり,卓見である「集合的無意識」とそのパターンとしての「元型」をめぐるユング自身の理論的文章をすべて収録。古今東西の該博な知識に裏づけられたユングの名文を長年の研究に基づいた丁寧な訳注・解説を付け,日本語で再現。

220
〈第3版〉
A5判 472頁 本体4,200円
砂川重信
1999978-4-314-00854-9
マックスウェルによって完成された電磁気学は自然現象の理論的記述としてもっとも完全な体系のひとつである。本書は,この電磁気学の理論を現代物理学との関連において組織的・体系的に解説することに重点をおき,その本質的理解に迫る。この分野の最高の入門書・教科書として高い評価のある旧版に例題を多数とりこむなど25年ぶりの改訂。

221
46判 304頁 本体2,200円
マルク・ソーテ堀内ゆかり
1998978-4-314-00826-6
『ソクラテスのカフェ』の続編となる本書では,ガリレオからコペルニクス,マルクスなどを挙げながら思想史を問いなおす一方,現代をギリシャ時代の反復とみなし,おもな哲学者に再考を加えつつ,哲学の重要性を訴える。社会の困難を前にして,哲学にいったい何ができるのか? 1998年3月,急死した著者の遺作ともいうべき本。

222
歴史的転換の位相
46判 266頁 本体2,000円
天児慧
1998978-4-314-10130-1
政治・経済から社会,環境問題,価値観,民族意識,安全保障まで,専門家6人が,歴史を辿りつつ現在のアジアを読み解き,21世紀を見通す。
本書が展開する多方面からの検討はアジア理解の指針となるであろう。

223
小B6判 240頁 本体1,600円
田中貴子
1998978-4-314-00822-8
あまりにも自然なために,日本では見逃されてきた父娘関係を「源氏物語」や「無名草子」「とはずがたり」など女性が書いた古典文学から読み解く。天皇と皇女の危うい関係から女が女を躾る「女訓書」の世界まで,精密な読解と大胆な切り口で考察する。現代に通じる,家父長制や婚姻制度が整った中世,父の力はどのように娘たちを支配していたのか。画期的な文学史論。

224
"芸術創造の プログラミング"
A5判 320頁 本体3,800円
パメラ・マコーダック下野隆生
1998978-4-314-00830-3
絵の具を混ぜ,時には薄めながら自律的に絵を描き,二度と同じ絵を描かないコンピュータ,アーロンの誕生は芸術と哲学の世界に大きな波紋を投げかけた。芸術の創造性はどこへいくのか。美を理解しているといえるのか。それをつくったのは著名な画家ハロルド・コーエン。本書は,画家と彼が開発したアーロンが「成長」していく様を感動的に描いた二人三脚の物語。

225
46判 376頁 本体3,400円
日本マラマッド協会
1998978-4-314-00820-4
『モダン・タイムス』『マルコムX』など,日本でもよく知られたアメリカ映画35本を,アメリカ文学者が読みとく評論集。映像,ストーリー,社会の反応などから,時代時代の空気を読みとり,統計などの資料によって,アメリカ社会の現実と対応させながら論じている。それぞれの作品の見方を深めるとともに,アメリカ社会を知る入門書としても楽しめる。

226
46判 396頁 本体3,600円
E. フラー・トリー他岡崎祐士監訳岡崎万紀子
1998978-4-314-00818-1
分裂病,躁うつ病などの精神病はいつ,なぜ始まるのか? 「生まれか育ちか」をめぐる長年の謎から,ふたご研究という方法論が登場して60年,ついに大規模な研究が実施された。一方は分裂病を発病しているのにもう一方は健常であるペアを中心に,66組の一卵性双生児を,関連分野50数人の研究者が検査・分析。その成果をまとめた,この分野の画期的著作である。

227
ルポ医療技術最前線
46判 192頁 本体1,600円
信濃毎日新聞社
1998978-4-314-00833-4
医療と生命の技術が,あきらめるしかなかった問題を解決する半面,生き方や死に方との「きしみ」をも生み出している。
出生前診断,遺伝子診断,DNA親子鑑定,性転換手術,終末医療など,身近になった先端医療の「選択」と「決断」に直面した人たちをルポし,その悩みと葛藤に迫る感動のヒューマン・ドキュメント。アップジョン賞受賞作。

228
グリズリー・ヒグマ・クロアメリカグマ・ シロアメリカグマ・ホッキョクグマ
シートン動物誌
A5判 468頁 本体3,500円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1998978-4-314-00754-2
「動物たちは獰猛で危険」という偏見から自由であったシートンが,自らの観察,猟師や牧場主の体験,膨大な資料の渉猟を通して,野生動物たちの真実の姿を克明に描き出す。4巻はグリズリー,ヒグマ,ホッキョクグマなどクマの仲間を扱う。「クマがゆかいな道化師であることを示唆する事実を,山のように見つけることができた」(本書より)

229
アライグマ・ハナグマ・カコミスル・アメリカアナグマ・ スカンク・クズリ・フィッシャー
シートン動物誌
A5判 492頁 本体3,500円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1998978-4-314-00755-9
どんなときに「においの銃」を発射するのか。ユーモア感覚に富むシートンは,さまざまな謎解きを楽しんでいた。5巻はアライグマ,カコミスル,アナグマ,スカンク,クズリなどの仲間を扱う。「スカンクに囲まれて過ごしたあの遠い日々は,バラ色をおびた青春の思い出。彼らがもたらした喜びのスリルを,なんとことばで表現していいかわからない」(本書より)

230
テン・ミンク・クロアシイタチ・アメリカオコジョ・ アメリカイイズナ・ラッコ・カナダカワウソ
シートン動物誌
A5判 448頁 本体3,500円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1998978-4-314-00756-6
こんなに真近な距離でシートンは動物たちを観察していたのか。野生動物のありのままの姿を見ることで,動物たちの小さな心のあり様をとらえようとする。6巻はテン,ミンク,イタチ,ラッコ,オコジョなどを扱う。「四本足で森を駆けぬける生きもののなかで,カワウソほど気高い魂をもつものはいない,と私は考える」(本書より)

231
ワピチ・シンリントナカイ・ツンドラトナカイ・ ヘラジカ
シートン動物誌
A5判 468頁 本体3,500円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1998978-4-314-00757-3
アメリカやカナダの各地から北極圏まで,動物の消息を訪ねて旅をしたシートンの冒険と探検の記録。7巻はワピチ,トナカイ,ヘラジカなどを扱う。「私は,広く分散してくらすトナカイの夏の群れを毎日,一日じゅうみることができた。そのときに書いた,あぶらで汚れてしみだらけの北極探検の日記には,この光景を目にした深い,至福の満足が記されている」(本書より)

232
オジロジカ・ミュールジカ・オグロジカ・ プロングホーン
シートン動物誌
A5判 476頁 本体3,500円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1998978-4-314-00758-0
恋のドラマと雄たちの闘いの儀式,妊娠と出産,母の愛情あふれた子育て,森のカレンダーを彩る動物たちの営み。8巻はオジロジカ,ミュールジカ,プロングホーンなどシカの仲間を扱う。「私は多くの動物について,走るときの一分当たりの跳躍数を数え,ついで雪上などについた足跡のあいだの距離をはかって,走るスピードを計算した」(本書より)

233
シロイワヤギ・ビッグホーン・ジャコウウシ・ バッファロー・ペッカリー
シートン動物誌
A5判 572頁 本体3,800円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1998978-4-314-00759-7
大平原を埋めつくす黒い巨大なバッファローの群れ,なぜ彼らは消えていったのか。9巻はイワヤギ,ビッグホーン,ジャコウウシ,ペッカリーなどを扱う。「バッファローのつけた踏み分け道がインディアンの道となり,インディアンの道が荷を運ぶ交易の道となり,交易の道が白人の道となり,白人の道が鉄のウマである機関車の線路の水先案内になった」(本書より)

234
ハイイロリス・キツネリス・アメリカアカリス・ シマリス・ジリス・プレーリードッグ
シートン動物誌
A5判 600頁 本体4,000円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1998978-4-314-00760-3
食物貯蔵のためだけではない。食いしん坊に思えたリスたちの行動に,子孫の幸福のために木を植えるという崇高な目的が隠されていた。10巻はリス,シマリス,プレーリードッグの仲間を扱う。「アカリスの最高の存在価値は,その生き生きとしたくらしぶりにある。この小さなわんぱくものが走りまわる姿が見られなくなったら,どれほどさびしいことだろう」(本書より)

235
ウッドチャック・マーモット・モモンガ・ ホリネズミ・ビーバー・マスクラット
シートン動物誌
A5判 588頁 本体3,800円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1998978-4-314-00761-0
人知を超えたビーバーのダム建築の能力と賢さ。ダムの大きさや運河の長さをシートンは測量して確かめる。11巻はウッドチャック,モモンガ,ビーバーの仲間を扱う。「ダムの水を抜き,専門の技師を呼んで水もれ口を探させたが,徒労に終わった。このダムに二頭のビーバーが移ってきた。かすかな水流を感じたのだろう,手ぎわよく,もれ口をふさいだ」(本書より)

236
カナダヤマアラシ・ナキウサギ・カンジキウサギ・ ジャックウサギ・ワタオウサギ・アルマジロ・オポッサム
シートン動物誌
A5判 604頁 本体3,800円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1998978-4-314-00762-7
子どもたちにこそ,動物たちの真実の心の声を伝えたい。動物たちは私たち人間の友だちなのだから。21世紀へ語り継がれるべきシートンのメッセージ。12巻はヤマアラシ,ウサギ,アルマジロ,オポッサムなどを扱う。「オポッサムは根っからの不戦主義者だ。抵抗しないのが信条であり,敵にはいつも,ぐにゃぐにゃの死体みたいに力を抜いてしまう」(本書より)

237
〈新装復刊版〉
46判 292頁 本体2,200円
チャールズ・ベルリッツ小江慶雄小林茂
1997978-4-314-00797-9
数千年前の古地図に南極大陸が精確に書かれていた秘密。シベリアの冷凍マンモスの口中に残る南方植物の謎。ベーリング海峡を渡った人々の残した痕跡。洪水伝説と地球大激変をめぐる古代人の記述等。31か国語を解する水中探検家が,古今東西の文献を渉猟し,自ら水底都市の遺跡に潜って,古代文明のミステリーに迫る。

238
完本
46判 464頁 本体4,800円
モーリス・ブランショ重信常喜橋口守人
1997978-4-314-00796-2
不在を存在させなければならない言語の宿命,それに賭ける文学者の虚構への熱情,これらが無を有に,否定を肯定に変え,沈黙から言葉を,死から生を生む。また,そのためにこそ,肯定を否定に,言葉を沈黙に,生を死に変えなければならない。揺れうごく作家の魂を文学の〈焔〉のなかにこそ見出そうとする,フランス批評の孤峰ブランショの珠玉の評論集。

239
A5判 622頁 本体5,700円
テリー・イーグルトン鈴木聡
1997978-4-314-00790-0
ジョイス,ワイルド,バーナード・ショー――ヨーロッパの辺境,アイルランドから,なぜかくも偉大な文学者たちが輩出したのか? 文学作品を大胆に読み解きながら,アイルランドの文化的・歴史的風土の根底に刻みこまれたイギリスによる苛酷な植民地支配の記憶に迫る。文化研究,ポストコロニアル批評にすぐれた示唆を与える力作。

240
46判 264頁 本体2,200円
ラファエル・コンフィアン恒川邦夫
1997978-4-314-00813-6
クレオール文学の若きリーダーである著者が,「シャバン」(混血児)と呼ばれる自らの少年時代を,闊達な文章で描いた話題作。カリブ海のマルチニックに育った少年が,奴隷だった自分たちの歴史を知り,やがて作家への道を選ぶまでを,カーニヴァルの喧騒や不思議な風習,魅力的な人物たちをめぐるエピソードとともに語る。カサ・デ・ラス・アメリカナス賞受賞作。

241
〈新装復刊版〉
46判 368頁 本体2,500円
ラザフォード・プラット梅田敏郎石弘之西岡正
1997978-4-314-00800-6
水は身近にありふれている。海,川,雲,雨,雪,そしてなによりも私たちのからだはほとんど水でできている。
地球になぜ水が誕生したのか? 水が生命誕生のドラマに果した役割とは? 自然と生命の日々の営みの中で水の働きとは?水をキーワードにその不可思議な性質から,地球と生命,環境破壊の話題まで,興味深いエピソードをまじえて解説する。

242
人間と自然との共生をはかる
A5判 256頁 本体3,300円
G. T. プランス岩槻邦男
1997978-4-314-00789-4
20年以上もアマゾンの熱帯雨林に入り,植物調査を重ねてきた著者によるアマゾンレポート。アマゾンの自然とそこに住む人びとの生活が美しい写真とともに紹介される。
本書はまた,アマゾンの森と人びとの共存をはかるために,悲観論に陥らず,冷静にその将来像を提示している」。
花の万博記念「第1回コスモス国際賞」受賞記念出版。

243
ボブキャット・オオカミ・ホッキョクオオカミ・ コヨーテ・サバクコヨーテ
シートン動物誌
A5判 440頁 本体3,500円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1997978-4-314-00752-8
野生動物の殺戮が頻発するなか,アメリカ大陸の野生の「最後の目撃者」として,動物たちののびやかなくらしぶりを記録。2巻はオオカミ,コヨーテなどのイヌの仲間を主に扱う。「騎士道精神をわかりやすい角度からみると,性的欲求なしに男が女に示す思いやりと定義できる。この見方からすればオオカミのあいだにも騎士道精神はある,といってよい」(本書より)

244
ホッキョクギツネ・アカギツネ・スイフトギツネ・ キットギツネ・ハイイロギツネ
シートン動物誌
A5判 364頁 本体3,100円
アーネスト・T. シートン今泉吉晴監訳
1997978-4-314-00753-5
優れた記述家であり,野生を表現する画家でもあったたぐいまれな観察者シートンが,たった一人で30年もの歳月をかけてまとめあげた渾身の作品。3巻はホッキョクギツネやアカギツネなどのキツネの仲間を主に扱う。「キツネの家族生活は,理想的に見える。こと子どもに関するかぎり,キツネの親ほど愛情ぶかく献身的な動物はまずいない」(本書より)

245
46判 336頁 本体2,330円
川名英之
1996978-4-314-00748-1
オゾン層破壊,地球温暖化,酸性雨被害,砂漠化,熱帯雨林激減,核汚染,有害化学物質汚染,人口爆発の難題等,地球環境破壊は,私たちの想像以上に進行している。環境ジャーナリストである著者は,この現状は病気にたとえれば合併症で,全身に症状が現れており,もはや対症療法ではしのげないと警告する。地球環境破壊の問題点を総ざらいした一冊。

246
46判 298頁 本体2,427円
荒川紘
1996978-4-314-00726-9
雨を降らせ農民を助ける,心やさしい日本の龍。皇帝のシンボルとなった中国の龍。邪悪の象徴,西洋のドラゴン――。なぜ人類は,かくもさまざまな龍をうみだし,神話や伝承の中で語りつたえてきたのか? 世界各地の神話・伝承から,旧石器時代の土器の文様まで,豊富な資料と多数の図版を用いて,龍をうんだ人類の想像力に迫る! スリリングな文明史の冒険行。

247
文化人類学叢書
46判 566頁 本体5,800円
J. クリフォードG. マーカス春日直樹足羽與志子橋本和也多和田裕司西川麦子和迩悦子
1996978-4-314-00586-9
人類学のポストモダンの旗手・クリフォードらによって提出された,文化人類学に対する根底的な批判の書。デリダ哲学,文学理論,歴史学などを交錯させながら,それまで自明とされてきた民族誌の方法論,そして人類学のあり方を根底から問い直す。社会科学,文化研究などさまざまな分野において,多大な影響をあたえてきた重要文献。

248
46判 268頁 本体1,748円
バルバラ・サムソン鳥取絹子
1996978-4-314-00749-8
1994年4月,フランスのTV番組「エイズ・アクションの夕べ」に登場したバルバラは何百万人という視聴者に大きなショックを与えた。初めての恋でエイズ患者になった彼女は,同世代に向けて自分の経験を語ったのだ。彼女は言う。「私は自分のことを〈今世紀の子供の告白〉のシンボルだと感じている」。現代フランスの青春記としても貴重な本。

249
小B6判 252頁 本体1,748円
大河内昭爾
1996978-4-314-00745-0
文芸評論家として,数多くの新人を発掘し,また作家からの信頼も篤い著者が,思い出の本について語る。「昔の本には,いうにいわれぬ匂いがあった。単なるカビの匂いかもしれないが,なつかしい匂いである。その匂いを求めて,本の思い出をたどってみたい」。近代文学を中心とする名作を数多くとりあげ,文学案内としても,格好の一冊。

250
コレクション◆知慧の手帖◆
A5判変型 48頁/図版21点(カラー) 本体1,165円
アルベール・ジャッカール池内了
1996978-4-314-00740-5
20世紀はまさに「科学の世紀」だった。その一方で,各分野の専門化が進み,教養としての科学教育の大切さが語られるようになっている。本書では,孔子からアインシュタイン,プリゴジンなどによる,科学についての名言を,星座やDNAの貴重な写真とともに編集した。

251
コレクション◆知慧の手帖◆
A5判変型 48頁/写真・図版24点(カラー) 本体1,165円
フランソワ= グザヴィエ・エリー荒俣宏
1996978-4-314-00741-2
古代エジプトに連綿と伝えられてきた,数千の格言「教訓メドゥ・メテル」。神の言葉をあらわすヒエログリフ(神聖文字)で書かれたこれらの知恵には,隣人愛,公平,友情,労働,夫婦愛などあらゆる道徳規範が記されていた。現代の私たちへの希望のメッセージ。

252
コレクション◆知慧の手帖◆
A5判変型 48頁/写真22点(カラー) 本体1,165円
ブノワ・デゾンブル中井久夫松田浩則
1996978-4-314-00742-9
広大な領土と人々を治めたローマ帝国。セネカ,キケロ,エピクテートス,マルクス・アウレリウス等,皇帝の哲学も奴隷の知恵も,人としての大きさで評価するのがローマ人だった。古代ローマの格言の数々を,ポンペイの遺跡にのこされた,美しい壁画の写真とともにおくる。

253
人間を知るために
科学選書
46判 228頁 本体1,748円
松原謙一中村桂子
1996978-4-314-00720-7
私たち人間のからだの細胞(脳細胞であれ腸の細胞であれ)ひとつひとつに30億文字のDNAがある。このゲノムDNAの情報すべてを読み解こうとするのが「ヒトゲノムプロジェクト」。それは今どこまで進み,これからどこへ行くのか。ゲノムを読むことでいったい何がわかり,何がみえてきたのか。全体像を知るリーダーが自ら書き,本の形で世に問う話題作!!

254
46判 224頁 本体1,748円
ジャン・ボードリヤールマルク・ギヨーム塚原史石田和男
1995978-4-314-00699-6
消費社会が飽和して均質化された空間が支配する今日でも,「他者」はかならずシステムにつきまとってくる。それはまた,今日のヨーロッパにつきつけられた重い問いでもある。フランスの現代思想を代表する二人が,「驚くべき他者」としての日本にも言及しながら,今日の国際社会における,そして世紀末を迎えたこの時代における「他者」の重要性を語りあう。

255
A5判 752頁 本体6,500円
リチャード・ローズ神沼二真渋谷泰一
1995978-4-314-00710-8
人類史上の重大事といえる原子爆弾はいかにつくられ,なぜ広島と長崎に投下されたのか。原爆をめぐる国際政治の動き,科学者たちの熱狂と苦悩……その全貌を,膨大な文献調査と300人を超えるインタビューで完璧なまでに再現した,ピューリッツァー賞受賞作。

256
A5判 752頁 本体6,500円
リチャード・ローズ神沼二真渋谷泰一
1995978-4-314-00711-5
同上

257
46判 264頁 本体1,748円
井上章一
1995978-4-314-00705-4
「木戸幸一日記」の一文を手がかりに,天皇制の背後にあった精神鑑定の〈影〉を探っていく。元・女官長島津ハルの不敬容疑,虎ノ門事件,皇居をさわがした煙突男,二・二六事件,田中正造直訴事件などを追いつつ,〈狂人〉のレッテル貼りの始まりの謎と,それら歴史上の事件の裏側を読んでいく。驚くべき推理で,天皇制と精神鑑定の関係に鋭く迫った話題作。

258
文化人類学叢書
46判 552頁 本体5,631円
M. カリザスS. コリンズS. ルークス厚東洋輔中島道男中村牧子
1995978-4-314-00707-8
「人」や「自分」という概念は自明なように見えて,実は時代や文化によってさまざまに変容している。このことを指摘し,それは哲学や心理学の問題である以上に社会的・イデオロギー的な問題だと述べたのが,マルセル・モースだった。本書は,このモース論文をめぐって開催されたシンポジウムの記録であり,実に多様な分野の研究者たちがその展開を試みている。

259
46判 178頁 本体1,553円
シモーヌ・ド・ボーヴォワール杉捷夫
1995978-4-314-00697-2
「つらい仕事である。死ぬことは。生をこんなに強く愛しているときは」。突然倒れた母親の病名は癌だった――ボーヴォワールが自身の母の入院からその死にいたる,4週間の出来事を書き綴った身辺記。愛する母を看取る苦悩の中で,それでも「母の死」という普遍的な問題に作家としての厳しい眼差しを向け,「人にとって死とは/つまり生とはなにか」を問いかける。

260
1940-1943
46判 1280頁 本体11,650円
トーマス・マン森川俊夫横塚祥隆
1995978-4-314-00717-7
戦乱のヨーロッパを追われたマンは,米西海岸で新生活を始める。本書に収められた1940年から1943年の4年間,マンはかつてない集中力と影響力をもって自身の時代のために活動し,「デモクラシーの巡回説教師」として講演活動を続け,ローズヴェルト大統領とも面談を果たした。激動の時代のただなかにあって記録された,歴史ドキュメントの傑作。

261
46判 248頁 本体1,359円
西田公昭
1995978-4-314-00713-9
人はだれでもマインド・コントロールされる! 日本の元カルト信者を実際に調査した気鋭の社会心理学者が,カルト集団の誘いのテクニックから,組織内での心理操作,脱マインド・コントロールまで,豊富な実例と心理的実験をあげながら,その原理を明快に解き明かす。今,すべての人が実学として知るべきマインド・コントロールのすべて。浅見定雄氏推薦。

262
46判 256頁 本体2,800円
シオラン出口裕弘
1994978-4-314-00694-1
80歳代も近くなったシオランが,みずからの老い,そして死に向きあいつつ著わしたこの本が,彼の最後の作品となった。皮肉と毒舌に満ちた断章の連続はあいかわらずだが,ここには暗さ,激しさよりもむしろ,人間の最も暗く醜い部分をも軽やかに嘲笑う枯れたユーモアが漂っている。
入魂の名訳でおくる「シオランの到達点」。

263
熊沢蕃山と本多利明
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 190頁 本体1,748円
中沢護人森数男
1994978-4-314-00671-2
日本近代化の原動力としての「開明思想」「開物思想」の源流をたずねて,熊沢蕃山,富永仲基,本多利明の思想を当時の社会の中に位置づける。また一方ではアジアの開物思想に言及しヨーロッパに対して「アジア」という意識をもたらす要因の一つになったその思想について述べる。中国,朝鮮,日本。それぞれの場所で起きた思想の潮流を鋭く読む。

264
B6判 224頁 本体1,456円
銀座和光
1994978-4-314-00686-6
薔薇色,青磁色,マリンブルー,雲色――さまざまなジャンルで活躍する48人が,一つの色を選んで書いたエッセイをまとめたアンソロジー。女優が舞台で切り裂く絹の紅色,作家が出会った桜色の思い出,演出家が舞台に咲かせる緋色の花々――が語りかけてくるものは? それぞれの「人」と「色」がくりひろげる,魅惑の世界。

265
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 232頁 本体1,748円
森田喜郎
1994978-4-314-00639-2
西鶴,近松とならぶ近世文学の巨匠,上田秋成の小説の世界を,『春雨物語』の再評価を軸にして独自の視点から,秋成の文学観と人間観を浮彫りにする,気鋭の野心作。巻末に秋成の詳しい年譜も収録。
〈内容〉上田秋成の生涯/秋成の浮世草子/雨月物語/春雨物語/上田秋成年譜/秋成をより深く研究する人のために

266
夢と郷愁の詩人
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 200頁 本体1,748円
秋山清
1994978-4-314-00636-1
独特の女絵と宵待草のうたで一世を風靡した大正の画家・詩人竹久夢二。その人気は根強くつづき,今日また“夢二リバイバル”といわれ,一向に衰えることがない。あの耽美な詩と絵が何故こうもわれわれの郷愁をさそい,心をなごませるのか。著者はこの秘密を,単なる懐古趣味とみることなく,彼の生きた大正という時代の現実の中にさぐろうとする。秀逸の夢二論。

267
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 216頁 本体1,748円
北川透
1994978-4-314-00635-4
昭和初年代の,奇妙に無秩序な青春像の中で,中原中也は,秩序への違和とそこからくる挫折を,鋭敏な言語感覚で自由奔放にうたいあげた。本書は,著者自らの中也体験から,中也の抒情の真摯な表情とその不幸な耀き,更に,風土と近代との裂け目で苦しい告白を強いられたその詩の根拠を,詩の言語を通して,見事に浮彫りにする。

268
リアリズムの論理
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 192頁 本体1,748円
杉山康彦
1994978-4-314-00620-0
芸術は人間にとって何故によろこびであるか。この問いにマルクス主義的反映論でもって答えることはできない。芸術は,食い,作り,産み,奪うといった人間の実践とのかかわりにおいてはじめて,その正体を露わにする。この意味から著者は,まず人間とは何かということ自体を疎外論の視点から問い直し,それとのかかわりにおいて芸術の本質にせまろうとする。

269
わが聖地行
46判 320頁 本体1,942円
松永伍一
1994978-4-314-00693-4
エーゲ海に臨む半島の端にある「修道院国家」アトスは,地上の天国ともいわれ,千年もの長きに渡り静かな時を刻んできたギリシャ正教の聖地。一方,エルサレムはユダヤ,キリスト,イスラムの三つの宗教の聖地がせまい市の中で混在し,血で血を洗う混乱と戦争が続いてきた。「静」と「動」。「純」と「濁」。「単」と「複」。対極をなす二つの聖地で詩人が見たものは……

270
紀伊國屋数学叢書 32
A5判 284頁 本体10,700円
辰馬伸彦
1994978-4-314-70135-8
本書はPontryagin双対定理,淡中双対定理を統合した一般局所コンパクト群の双対定理理論を解説する。Pontryagin双対定理は,フーリエ変換の理論とも関連し,応用範囲の広い定理であり,淡中双対定理はコンパクトリー群の複素化理論の基本となった。この本では,局所コンパクト群およびそのユニタリ表現の一般論を述べ,双対定理の証明,周辺の話題を解説。

271
46判 230頁カラー口絵8頁 本体1,922円
西田利貞
1994978-4-314-00688-0
アフリカ野生チンパンジーを追いかけて30年の記録。新しい発見がいっぱい。まるで人間,自分を見ているよう。珍しい写真100点余りに,トピックが満載!
<内容から>チンパンジーの味覚とは?/狩りをするチンパンジー/チンパンジーの薬草?/嫁いびりと子殺しの原因/「もてる」雄・雌の条件/リーダーの条件/集団リンチ事件の真相etc.

272
ボルネオ探訪記
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 216頁 本体1,748円
岡野恒也
1994978-4-314-00657-6
世界唯一の野生オラン・ウータンの棲息地ボルネオ。本書は,一心理学者がこの島で観察したオラン・ウータンをはじめとする各種動物の生態記録と現地の人々の生活の記録である。
〈内容〉ボルネオへ/旧都サンダカン/死の森ラボック・ロード/海賊の恐怖/ラハダトの町/最果ての岬/ジャングル歩き/オラン・ウータン発見/ラハダト周辺/テングザル 他

273
種の問題を中心に
精選復刻 紀伊國屋新書
46判 192頁 本体1,748円
徳田御稔
1994978-4-314-00650-7
科学史上にコペルニクス的転回をもたらしたラマルク,ダーウィンの進化論は,現代においていかに解釈されるのだろうか? 本書は,日本の著名な進化論者,徳田御稔が,近代生物学の知見をもって生物進化論の再検討を行ない,進化学の基礎を与えた本である。生命の誕生から人間への進化のメカニズムを,種と環境の立場から解説し,貴重な問題提起をした進化学入門書。

274
科学選書
46判 292頁 本体1,942円
小木和孝
1994978-4-314-00689-7
軽いスポーツの後の〈さわやか疲労〉。引っ越しや時間に追われた仕事の後の〈ぐったり疲労〉。疲労にこの二つのタイプがあることを手がかりに,疲労の構造にはじめてメスを入れた,評価の高い本の増補版である。現代生活におけるさまざまな疲労の特徴をとりあげ,どうして過労になるのか,疲労とうまくつきあうための処方箋を明示。

275
46判 280頁 本体3,400円
シオラン金井裕
1993978-4-314-00600-2
〈取り返しのつかぬものに酔い痴れた私の精神の眼を覚すのは,どんな夜明けだろうか〉――祖国からパリに移り3年。のちにフランス語による著作で「暗黒のエッセイスト」の名を馳せる著者が,母国語で書いた最後の一冊。熱狂的なリリシズムに溢れ,パリ文化の影響を受けて東欧的な激情から変遷していくシオランの軌跡がうかがえる。

276
ポストモダニズム批判への途 1971-1986
46判 560頁 本体4,660円
フレドリック・ジェイムソン鈴木聡篠崎実後藤和彦
1993978-4-314-00594-4
現代アメリカ随一のマルクス主義批評家ジェイムソンの,フランクフルト学派,ポスト構造主義まで見通す豊饒な知が,みずからの批評方法の表明から,ロラン・バルト,ジャック・ラカン,さらに現代建築やSF,60年代論まで幅広いテーマを扱った,知的刺激の尽きない論文集。後期資本主義の世界システムの未来を問いつつ,ユートピアへの変革をあくまで模索する。

277
言語から見た人間の心
A5判 800頁 本体9,000円
ジョージ・レイコフ池上嘉彦河上誓作
1993978-4-314-00575-3
アメリカ言語学界の大家である著者は,従来の意味論を支配してきた「客観主義」を批判し,人間主体に焦点をあてる「認知意味論」を唱える。言語学にとどまらず人文科学のありかたそのものに大きな影響を与え,認知科学においても重要な書となった,認知言語学の旗手による記念碑的大著。

278
近代女性イメージの誕生
B6判 256頁 本体1,825円
川村邦光
1993978-4-314-00606-4
明治末から昭和初期にかけて,登場したばかりの女性雑誌を舞台に,オトメたちがつくりあげてきた不思議な共同体とは? 独自の文体を駆使した投稿文や当時の雑誌記事,広告,写真をもとに〈少女たちのワンダーランド〉の秘密をときあかす。女性にとっての近代の意味,ひいては「近代におけるオトメのディスクール」を,今,問いなおす。図版・資料も多数掲載。

279
B6判 248頁 本体1,456円
山崎浩一
1993978-4-314-00585-2
女が強くなった,男がダメになった,というのは本当か? 今の社会は男に有利か女に有利か? 性差別のない社会はどうしたら可能か?――フェミニズムから恋愛論まで,母性的日本社会から情報資本主義まで,気鋭のコラムニストが「男と女」をめぐる同時代の事象を,快刀乱麻・軽妙洒脱に切り捨てる。「男と女」という最も身近で深遠なテーマに挑んだ,会心の時代戯評!

280
科学と哲学の間で
科学選書
46判 236頁 本体1,748円
吉永良正
1993978-4-314-00605-7
楽しい絵がいっぱいの,新しいサイエンス・エッセイ誕生! 身近な問題から宇宙の話まで,科学のホットな話題から哲学的根本問題まで,縦横無尽に話を展開しつつ,ものの見方・考え方,人間のこと,地球環境などを思索する,18篇のエッセイ集。〈内容〉理系と文系/始まり/次元/体/ウソ/大きさ/偶然/受験/砂漠/問い/夢/水辺/星/見えるもの/不可能/地球/終わり etc.

281
文化人類学叢書
46判 496頁 本体4,757円
E. J. ホブズボウムT. レンジャー前川啓治梶原景昭
1992978-4-314-00572-2
古くから受け継がれてきたと思われている「伝統」の多くは,実は近代になってから人工的に創られたものだった――英国王室の華やかな儀礼式典,スコットランドのタータン文様やバグパイプ,さらにウェールズからインド,アフリカ,ヨーロッパ全般にも目を配り,「伝統」の創出がナショナリズムのイデオロギー構築に果たした重要な役割を明るみに出す重厚な歴史書。

282
46判 232頁 本体1,748円
田中貴子
1992978-4-314-00578-4
人はなぜ〈悪女〉をつくりたがるのか? 〈悪女〉というのに,悪男とはなぜ言われないのか?
新進気鋭の国文学者である著者は,中世における悪女伝説を取り上げ,悪女が作りあげられていく過程をたどってゆく。そこには,男たちの権力的な眼差しが見え隠れしている。悪女について類型的イメージを抱く現代日本人への果敢な挑戦状!

283
紀伊國屋数学叢書 31
A5判 432頁 本体16,400円
伊藤雄二浜地敏弘
1992978-4-314-70134-1
エルゴード変換の群作用からフォン・ノイマン環を作ると,そこに可測力学系の軌道構造がもたらす非可換構造の解析が浮かび上がってくる。本書は,可測力学系の軌道同型に関連して提起されたエルゴード理論における新しい諸問題を紹介し,他方でフォン・ノイマン環に関心をもつ読者にエルゴード理論的考えを提示する。

284
モロッコ人トゥハーミの肖像
文化人類学叢書
46判 340頁 本体3,600円
ヴィンセント・クラパンザーノ大塚和夫渡部重行
1991978-4-314-00562-3
これは,一人のモロッコ人の物語である。かわら職人のトゥハーミは女の精霊と「結婚」しており,性愛生活を完全に支配されている。著者はトゥハーミへの度重なるインタビューを通して,その幻想的な心理世界に分け入ってゆく――オリエント的なエロティシズム,イスラム世界の精霊信仰,そして従来の民族誌の約束事を逸脱する実験性がみなぎる奇書。

285
紀伊國屋数学叢書 33
A5判 400頁 本体15,200円
佐藤健一
1991978-4-314-70136-5
確率過程のなかで最も基本的なクラスである加法過程についての基礎的知識を体系的にまとめる試みである。加法過程は,数学的な意味でのブラウン運動,ポアソン過程,フラクタル構造をもつ安定過程のほか,多くのものを含むが,それらがどんな構造をもち,時間とともにどんな挙動をとるか,解説する。マルコフ過程論および確率過程入門書でもある。

286
科学選書
46判 296頁 本体1,942円
信濃毎日新聞社
1991978-4-314-00568-5
千数百グラムの脳という名の小宇宙の中に,人間が透けてみえてくる――私たちの精神や行動のすべてを支配する脳の謎は,いまどこまでわかったのか? 脳の正体を求めて,探検の旅に出る。コーヒーやアルコールなどの身近な話題から,脳内麻薬物質,記憶や学習,ぼけの話まで,脳に急接近する。好評を博した新聞連載を一冊に収録。

287
46判 440頁 本体3,700円
ガヤトリ・C.スピヴァック鈴木聡大野雅子鵜飼信光片岡信
1990978-4-314-00868-6
著者スピヴァックは,インドという第三世界の出身であり,女性であり,デリダの英訳者であり,かつマルクス主義者でもある。多面的な存在である彼女は,現代アメリカを代表する批評家のひとりと評価されながら,同時にさまざまな「異文化」を体現する「他者」でもある。本邦初訳である本書は,現代社会に潜在する権力関係を暴き出した過激な論文集である。

288
科学選書
46判 274頁 本体2,000円
中村重信
1990978-4-314-00542-5
「恍惚の病」としての“ぼけ”――その正体はどこまで分かったか。本書は,長年の診療体験を踏まえ,“ぼけ”の実像に迫っていく。“ぼけ”と一口に言っても様々な種類があること,手術や薬で容易に治る“ぼけ”もあること,“ぼけ”とまちがえやすい病気など,その見分け方,原因,予防法や治療法,ケアのあり方まで丁寧に解説する。“ぼけ”をめぐる役立つ情報が満載!

289
アメリカ・インディアンの宗教運動と叛乱
文化人類学叢書
46判 306頁 本体6,100円
ジェイムズ・ムーニー荒井芳廣
1989978-4-314-70138-9
「ゴースト・ダンス」とは,19世紀末,アメリカ・インディアンの諸部族のあいだに広まった千年王国的な宗教運動のこと。本書は,運動の展開や儀礼の詳細を直接の観察にもとづいて描き出した実地調査報告である。インディアンへの迫害とそれに対する叛乱にも詳しく触れており,アメリカがいかに成立したかを知る貴重な資料。

290
1935-1936
46判 760頁 本体8,000円
トーマス・マン森川俊夫
1988978-4-314-00498-5
急展開をみせるヨーロッパの情勢。チューリヒの仮住まいを生活の拠点としながら,執筆の合い間にプラハ,ヴィーン,アメリカなどでの講演活動を続けていたマンだったが,ヒトラー政権がその非人間的性格を露呈するにつれ,ドイツに戻る可能性を断念。「人間愛」の思想に立ち返り,ついに亡命の意思を表明,国籍を剥奪される。

291
幾何学における数論的方法
紀伊國屋数学叢書 29
A5判 238頁 本体9,000円
砂田利一
1988978-4-314-70132-7
多様体上の大域解析学の重要な対象にラプラシアンと呼ばれる基本的な楕円型偏微分作用素がある。本書は,そのラプラシアンのスペクトルと多様体の幾何学的構造(特に基本群)のあいだの関係を,著者自身が開発した数論的方法で明らかにしようとする意欲作。幾何学,解析学,数論などの各分野が大域解析学のもとで相互作用する現場を見ることができよう。

292
紀伊國屋数学叢書 30
A5判 270頁 本体10,200円
伊藤清三
1988978-4-314-70133-4
理想境界の概念は,主としてリーマン面の理論,とりわけその上のポテンシャル論で有効に用いられている。本書では,偏微分方程式の視点から,優調和函数の概念とマルチン境界・倉持境界の構成とそれらの性質,調和函数・優調和函数の表現定理などを解説する。本書によって,ポテンシャル論と偏微分方程式論との有機的な関連を見ることができよう。

293
叢書・脳を考える
46判 276頁 本体2,000円
朝長正徳
1988978-4-314-00505-0
年をとると,脳の中で何が変わるか。ぼけは,脳の中のいかなる現象と対応しているか。ぼけはなぜ起るのか。本書は,脳の老化とそれと表裏の関係にあるぼけの二つに焦点をしぼり,幅広い視野からかつ深く掘り下げて解説する。脳の老化をめぐる知見からぼけの正体にどこまで迫れたかをよく分かるように解説し,その予防と治療の将来的展望を見通す。

294
数学本来の姿を求めて
46判 232頁 本体2,800円
モーリス・クライン雨宮一郎
1987978-4-314-00481-7
数学は何のためにあるのか――ギリシャ時代から現在に至るまで,多くの哲学者や科学者が頭を悩ませたこの難問に対し,著者は「数学は単なる記号操作の技術ではなく,その目標は自然から知識を引き出すことにある」という立場から,自然界の構造探究に応用される数学の歴史を辿りつつ,そこに横たわる問題を照射し,その知の本質に迫る。

295
A5判 196頁 本体2,600円
飯高茂代表著者/岩堀長慶代表著者/
1987978-4-314-00476-3
学生に親しみのもてる線型代数の教科書作りを目ざし,豊富な例題と懇切丁寧でかつユーモアあふれた解説が魅力のテキスト。学生がつまずきやすいところでの工夫や数学的センスをつけるための話が随所にみられる。
〈目次――全体が3部構成〉第1部 行列なんか怖くない/第2部 ベクトル空間論/第3部 行列のアプリケーション

296
紀伊國屋数学叢書 27
A5判 478頁 本体18,100円
西島和彦
1987978-4-314-70130-3
素粒子の性質を記述するための文法体系としての「場の理論」はいったいいかなる発展を遂げてきたのか。場の量子論からゲージ場理論の導入に至る「場の理論」を,その数学的構成のみならず,歴史的に種々の理論や模型がいかなる観測結果に基づいて発展してきたか,ていねいに解説する。この分野の世界的権威による読みごたえのある本格的な解説書。

297
紀伊國屋数学叢書 28
A5判 256頁 本体9,700円
鈴木通夫
1987978-4-314-70131-0
有限群はすべて単純群を積み重ねて得られる。本書は,最近ついに証明された有限単位群の「分類定理」を使って,さまざまな単純群の性質を明らかにし,一般有限群の構造の解明を試みた本である。群論の初歩の知識で十分に理解でき,有限群論が新鮮な形でていねいに展開されている。テキスト,参考書として好適。

298
46判 264頁 本体3,200円
エーリッヒ・フロム佐野哲郎佐野五郎
1986978-4-314-00459-6
自由に,生き生きと,そして系統だてて平易に――フロム自らが直接読者に語りかけ,多くの聴衆に深く印象を残した,1971年から79年までのドイツ・ラジオ放送での講演と対談を収録。「私たちの社会の過剰と倦怠」「攻撃の発生源について」「生きることの名において」「人間とは何者か」…フロム思想の全体がここにある。

299
46判 256頁 本体2,600円
ポール・M. チャーチランド村上陽一郎信原幸弘小林傳司
1986978-4-314-00478-7
われわれの日常的・経験的な知識と科学的な知識とのあいだに本質的な違いはない――科学的実在論の主張をもとに人間の〈心〉を再考,現在の常識による理解に根本的改変を迫る。本書は科学哲学の視野から心身問題に独自にアプローチしたものであり,自然科学に基づく新たな認識論の提唱である。また,心を対象とする科学に哲学的枠組を与える一冊でもある。

300
大学理工系の代数・幾何
A5判 328頁 本体2,800円
中岡稔代表著者/服部晶夫代表著者/
1986978-4-314-00474-9
高校における「代数・幾何」の取り扱いを踏襲し,線型代数を単なる代数的側面のみならず,幾何学的側面との結びつきを重視して分りやすく解説する。第1部では2次元,3次元に関連した事項を幾何学的直観と結びつく形で解説し,第2部で一般の次元へ拡張する。多数の例題と,やさしく基本的な問題を豊富に入れた使いやすい教科書。

301
紀伊國屋数学叢書 26
A5判 324頁 本体12,300円
三村護
1986978-4-314-70129-7
リー群の構造と性質を位相幾何学的に簡明に説明するとして,ホップ空間の理論が最近注目を集めている。ホップ空間とは,「連続な積を持ち(位相群で要求される)単位元の存在がホモトピーの意味で成り立つ位相空間」と定義されるが,位相幾何学の発展につれて次第に解明されてきたホップ空間の基本的性質から最近の結果までを詳述する。

302
1933-1934
46判 736頁 本体8,544円
トーマス・マン岩田行一浜川祥枝森川俊夫
1985978-4-314-00456-5
1933年2月,講演旅行に出たままナチ政権下のミュンヒェンに戻る途を閉ざされたマン。1929年にノーベル文学賞を受賞し,世界的な名声を得ていたとはいえ,やがて58歳を迎えようとした年に,帰るべき家をなくしたマンの不安と焦燥と怒り。マンはスイス・チューリヒにひとまず居を定め,帰国の可能性を模索しながらも,小説『ヨゼフとその兄弟たち』の執筆を続ける。

303
紀伊國屋数学叢書 24
A5判 240頁 本体9,100円
小田忠雄
1985978-4-314-70127-3
実アフィン空間内の凸図形の幾何学と代数幾何学とを関連づけるものとして,トーリック多様体の理論が誕生した。本書は,その理論の基礎から今日までを統一的に解説したものである。凸図形の一種である扇から複素解析多様体が容易に構成でき,扇の初等幾何学で代数幾何学や複素解析学の種々の側面が理解できる。この分野への判り易い入門書となっている。

304
紀伊國屋数学叢書 25
A5判 294頁 本体11,100円
村松壽延
1985978-4-314-70128-0
不等式は解析学において不可欠の手段だが,補間空間論は不等式を系統的に作り出す理論であり,偏微分方程式論やフーリエ解析,函数空間論など解析学の各分野に広く応用されている。本書は,この理解の基礎から近年の成果までを系統立って記述し,さらにその応用として線型作用素の諸問題まで平易に解説する。函数解析の初歩の知識で十分に読めるだろう。

305
叢書・脳を考える
46判 192頁 本体1,700円
杉下守弘
1985978-4-314-00446-6
人間は言葉を自由自在に使いこなすことで豊かな文化を創造してきた。しかし言葉と一口に言っても,その中には話す,聞いて理解する,読み書きなど様々な複雑な働きがある。一体脳はいかなる仕組でこうした言語活動を操っているのだろうか。本書は,言語と脳をめぐる様々な興味深い知見を一般の人にもわかるようにやさしく解説した本である。

306
文化人類学叢書
46判 272頁 本体2,700円
エドマンド・リーチ鈴木聡
1984978-4-314-00435-0
イギリスを代表する社会人類学者である著者が,『神話としての創世記』の中でとりあげた問題の延長線上に本書は位置している。聖書神話の分析に人類学的手法を適用し,独創的かつ刺激的な洞察にとんだ五篇の論文から成る。また,付録という形で,構造主義的分析方法とは何かを簡潔に述べたエイコック氏の二論文も併せて収めている。

307
46判 448頁 本体4,200円
オーガスティン・ブラニガン村上陽一郎大谷隆昶
1984978-4-314-00430-5
科学の歴史は発見の歴史である。しかしそもそも発見とは何か。クーン,ハンソン,マートン等の科学的発見に関する理論を紹介しつつ著者は,彼らの方法は論点先取りであり,しかも学習やユーモアと区別できないと批判する。ある出来事が「発見」という身分をおびる社会的プロセスを,メンデルの法則の再発見,ピルトダウン人の偽発見等の例をあげつつ探求する。

308
紀伊國屋数学叢書 23
A5判 194頁 本体7,300円
望月清
1984978-4-314-70126-6
散乱の数学的理論はフリードリックスにはじまり,既に40年近くの歴史をもつ。成果は膨大で,方法も多岐にわたるが,本書では対象を古典的な波動伝播問題にかぎり,エネルギーの方法によって散乱理論の主要な問題を解説した。偏微分方程式(特に楕円型方程式)やスペクトル解析の初歩的部分を学習してあれば,初学者にも十分読みこなせるものである。

309
46判 238頁 本体4,800円
梶山雄一
1983978-4-314-70137-2
「序――インド仏教哲学史撮要」「存在と知識――仏教哲学諸派の論争(説一切有部の立場,軽量部の立場,瑜伽行中観派の立場)」「インド仏教の論理学」「インド論理学の基本的性格」の四編の論文から成る本書は,インド仏教の認識論・論理学を詳細に分析・解説したものであり,この分野の基本的文献ともいえる1冊。

310
現代数学の思想と展望
46判 192頁 本体1,800円
竹内外史
1982978-4-314-00384-1
数学基礎論を専攻する一数学者が,学問的状況,彼の数学観,世界観を日常生活と関連させながら,平易に語ったものである。第一部では,ゲーデルの不完全性定理の意味するところ,直観論理,量子論理などの話題を分かり易く説明し,第二部では,数学的直観,具象と抽象,創造と自由,無限と永遠,数学教育の問題点などについて「数学者の夢と現実」を語る。

311
A5判 204頁 本体2,200円
マーティン・ガードナー上島建吉
1982978-4-314-01080-1
「宇宙で玉突き」「海王星の巨大な環」「惑星カプラの怪」「タイタンの大胆な紋様」「時間を追い越す電話」「2556年から送られてきた雑誌」…SF仕立ての設問による,数学パズル集。語句遊び,論理学から幾何学,トポロジー,対数まで全36問。『アイザック・アシモフSFマガジン』の人気連載。

312
紀伊國屋数学叢書 22
A5判 256頁 本体9,700円
小泉正二
1982978-4-314-70125-9
本書は,一般のアーベル多様体の解析的理論としてのテータ函数の基礎的内容を解説する。偏極アーベル多様体のモジュライ空間としてのジーゲル上半空間,複素トーラス上の因子の同値理論としての双対複素トーラス,テータ関係式構成の統一的方法,テータ変換公式,アーベル多様体の定義方程式などを詳述する。この方面の研究を始めようとする方への良き入門書。

313
〈新装版〉
46判 222頁 本体2,600円
阿部年晴
1981978-4-314-01108-2
アフリカ諸部族に言い伝えられた,豊穣で魅力的な創世神話の世界――智慧と生命力,善と悪,祭儀と芸術,神と精霊,混沌と秩序,性と創造,時間と永遠――この宇宙や人間社会はいかにはじまったのか。欧米圏の概念では明確に把握できない,その独自の意味と構造を解釈するとともに,神話とは何かを問い直した若き日の文化人類学者による論考。

314
メラネシアのカーゴ・カルト運動
文化人類学叢書
46判 424頁 本体4,600円
ピーター・ワースレイ吉田正紀
1981978-4-314-00345-2
近代ヨーロッパ文化との接触は未開社会に何をもたらしたか。本書は,南太平洋メラネシア全域で展開された大規模な宗教運動であるカーゴ・カルト(積荷崇拝)運動と,それによる社会変化を幅広く考察する。異文化と直面した時,メラネシア人が変容する自分達の世界をどのように合理的に捉えようとしたかを明らかにし,未開社会と文明の問題を考える。

315
A5判 190頁 本体3,500 円
カール・F. ガウス飛田武幸石川耕春
1981978-4-314-01082-5
確率論,天文学,測地学などの分野で先導的役割を果たしてきた,ガウス誤差論を初集成。偉大な科学者ガウスは自然現象からいかにして豊かな数学的法則を導きえたのか。科学史のある一頁ではなく,パイオニアとしてのアイデアと提言に満ちた,「創造する科学者」の姿が浮かび上がる。

316
紀伊國屋数学叢書 21
A5判 192頁 本体7,200円
丹羽敏雄
1981978-4-314-70124-2
数学と物理学の多くの分野にまたがる力学系の理論がもつ魅力とこの理論に登場する様々なテクニックを紹介し,学習の理解を助ける。まずこの力学系の理論を歴史的な流れにそって概観する。次に力学系の局所的な理論として,特異点のまわりの標準化と線形化,分岐理論を扱う。最後にHamilton力学系の幾何学理論として,特に可積分系とその摂動論を解説する。

317
文化人類学叢書
46判 392頁 本体4,000円
アルフレッド・シュッツ森川眞規雄浜日出夫
1980978-4-314-00279-0
ウェーバーの理解社会学とフッサールの超越論的現象学を統合し,新たな領域を切りひらいたシュッツは,生活の場で出会う他者とのコミュニケーションの可能性を追求し,異文化理解の方法を明らかにし,文化人類学にとって貴重な示唆を与えた。「他者理解」の基礎理論を構築したシュッツの思想の全体を編んだ,必ず読むべき基本文献。

318
〈新装版〉
46判 212頁 本体1,900円
諏訪優
1980978-4-314-01081-8
ケルアック,ギンズバーグ…保守的な価値観を全面的に拒絶し,人間性の原点に立ち返ろうとした,ビート・ジェネレーションたち。50年代半ばのアメリカに突如「詩をたずさえて登場した」ムーブメントを,現地との交流を通して同時代的に日本に紹介しつづけた著者が,「わが国の一人の詩人のビート観」として,運動終息後の1965年に考察した,基本の書。

319
実作品にみる撮影と編集の技法
A5判 800頁 本体8,000円
ダニエル・アリホン岩本憲児出口丈人
1980978-4-314-00292-9
「私たちの時代の偉大な映画はまだできていないのだ。それを作りだす一人になってみようではないか」――脚本,撮影,カット,編集などの技法を,著名な映画のシーンほか約1500点の図版を用いて分析し,実務的な立場から「映画の“語り方”」を集大成した,映像に関わる人すべてに必携の一冊。

320
紀伊國屋数学叢書 18
A5判 272頁 本体10,300円
柏原正樹河合隆裕木村達雄
1980978-4-314-70121-1
代数的手法による解析学の研究は現代数学の一つの重要な主題であり,とりわけ線型偏微分方程式論には革命的な影響を与えつつある。本書は,その中心となるmicrofunctionの理論と量子化接触変換の理論について,初学者にも判り易い形で基礎から解説し,最後には方程式系の構造定理にまで読者を導く。微分方程式論,理論物理学等の応用面にも配慮がなされている。

321
リー群論的方法による序説
紀伊國屋数学叢書 19
A5判 212頁 本体8,000円
岡本清郷
1980978-4-314-70122-8
対称空間上の調和解析,リー群論のユニタリ表現論,保型関数論,量子力学,場の量子論など多くの分野に発展している等質空間上の解析学におけるリー群論方法の基本原理を解説する。球面,上半平面や単位円板の等質空間としての構造から始めて,最後にはBorel-Weil-Bottの理論まで,具体的な計算を通じて学部学生にも分かるように詳述する。

322
紀伊國屋数学叢書 20
A5判 196頁 本体7,400円
竹内外史
1980978-4-314-70123-5
直観主義的集合論についてなされた世界で最初の系統的な著述であり,その基本的事項を詳しく厳密に述べることに重点がおかれている。位相の代数的一般化である完備ハイティング代数からはじまって,直観主義的集合論の構成,その上での直観主義的解析学について述べたあと,二,三の応用について言及している。この分野に関心をもつ人々にとって恰好の入門書。

323
コンパクト リー群の理論から例外群へ
紀伊國屋数学叢書 14-2
(下)
A5判 226頁 本体8,500円
戸田宏三村護
1979978-4-314-70117-4
同上

324
非線型数理物理入門
紀伊國屋数学叢書 16
A5判 166頁 本体6,300円
田中俊一伊達悦朗
1979978-4-314-70119-8
KdV方程式は,水の波動を記述するものとして前世紀末に登場した非線型の微分方程式である。この分野は近年目ざましい発展をとげ,この進行波解に由来するソリトンは物理科学の基本的概念となった。本書は,KdV方程式を中心とするソリトン理論の数学的基礎から,戸田格子,Sine-Gordon方程式を散乱理論とアーベル積分で解いてゆく,非線型数理物理学への入門書。

325
紀伊國屋数学叢書 17
A5判 258頁 本体9,800円
伊藤清三
1979978-4-314-70120-4
本書は,熱伝導や拡散現象を記述して,確率過程論でも重要な拡散方程式とそれに対応する楕円型方程式を扱う。拡散方程式の基本解を古典的方法で構成し,その基本解から楕円型作用素のグリーン函数・ノイマン函数を構成し,初期値・境界値問題,調和函数の性質やベクトル解析の話題にも言及する。函数解析の予備知識をほとんど必要とせず,理工系の参考書に最適。

326
民俗学的アプローチ
46判 228頁 本体2,400円
松永伍一
1978978-4-314-01120-4
子守唄のあの哀調はなぜか――各地に残された記録を辿った著者は,民俗学的なアプローチで,唄い継いだ名もなき女性たちの心情を探る。眠らぬ子に手を焼いて唄われたさまざまな子守唄の分析によって,その背景にあった庶民生活,風習,出稼ぎ,間引き,人身売買,故郷への慕情,社会諷刺,エロスなど,底辺に生きた人々の愛と悲しみが照らし出される。

327
紀伊國屋数学叢書 12
A5判 272頁 本体10,300円
島倉紀夫
1978978-4-314-70113-6
楕円型偏微分方程式の理論は,数学および自然科学のいろいろの分野に現われる。変分問題を扱う場合に,非常に重要な役割をはたす。本書は,この理論の1960年代前半までに確立された主要な結果を,初歩の段階からていねいに叙述したもの。
〈内容〉基本解の構成と評価/解のなめらかさ/ヴィシク‐ソボレフ問題/一般境界値問題/退化した楕円型作用素……

328
拡張定理
紀伊國屋数学叢書 13-1
(上)
A5判 226頁 本体8,500円
山崎泰郎
1978978-4-314-70114-3
上巻ではほぼ完成された内容をもっているといわれる拡張定理について,また下巻では(ローレンツ不変性も含め)不変測度について,著者自身による新しい結果を折り込みながら詳しく体系的に解説する。無限次元空間の測度論は,従来確率論との関連で進められてきた結果,無限測度の研究はあまり行なわれなかった。この分野では初の待望の書であろう。

329
不変測度
紀伊國屋数学叢書 13-2
(下)
A5判 274頁 本体10,400円
山崎泰郎
1978978-4-314-70115-0
同上

330
線形代数からKO-群の周期性へ
紀伊國屋数学叢書 14-1
(上)
A5判 244頁 本体9,200円
戸田宏三村護
1978978-4-314-70116-7
リー群は,微分幾何学,微分トポロジーはもちろん,函数解析,代数学等の諸分野にわたって現われる極めて一般的な研究対象である。本書は,このリー群やその等質空間の位相についての諸結果を総合して,一つの案内書にしようとしたもの。上巻では,古典群の位相的性質を論じ,下巻では,コンパクトリー群の一般的性質,特に例外群について調べる。

331
紀伊國屋数学叢書 15
A5判 358頁 本体13,600円
大森英樹
1978978-4-314-70118-1
本書は,近年とみに重要性が強調されている無限次元リー群論の最初のまとまった教科書であると同時に,この理論を通じて切り拓かれるべき幾何学の諸分野についても,群論の見地から言及した他に類をみない独創的な本である。この本を通じて読者は,幾何学,特にグローバル・アナリシスの最前線とその問題意識にいちはやく出会うであろう。

332
A5判 288頁 本体2,500円
シャーマン・K.スタイン三村護三辺ユリ子
1977978-4-314-00165-6
日常生活の平易な話題から人間の創った宇宙=数学の花園へ案内する格好のガイドブック。中学生から大人まであらゆる人に読めるように丁寧な叙述で周到に構成されている。豊富な練習問題も適当に配置され,読者の理解を確かめてくれる。〈内容〉素数/タイル張り/記憶の輪/数の表わし方/合同/ふしぎな代数/可能性/15パズル/地図の色わけ/無限集合……

333
A5判 240頁 本体2,500円
シャーマン・K.スタイン三村護三辺ユリ子
1977978-4-314-00166-3
同上

334
紀伊國屋数学叢書 10
A5判 250頁 本体9,500円
宮寺功
1977978-4-314-70111-2
本書は,主としてバナッハ空間における非線形半群の理論を詳しく丁寧に解説している。関数解析の基礎知識があれば充分読むことが可能で,読者は本書により,現在発展途上にあり,今後の豊かな成果が期待されている,非線形の半群と発展方程式の基礎を理解し,その将来への展望を獲得することが可能となるだろう。この分野では本邦初の労作である。

335
紀伊國屋数学叢書 11
A5判 194頁 本体7,300円
森川寿
1977978-4-314-70112-9
古典不変式論やリー変換群の理論は,現代に展開されている数学の母体である。本書は古典不変式論への手引きであるとともに,その発想やアイディアが,現代の幾何学や解析学にもはなはだ有効であることの例示を目標とする。具体的には古典的手法を形式的巾級数に拡張することにより,保型形式,線型微分方程式の不変式,曲線の射影不変量などを統一的に取り扱う。

336
46判 360頁 本体3,800円
デイヴィド・バカン岸田秀久米博富田達彦
1976978-4-314-01056-6
人間の両性性の概念,近親相姦願望とそれに対する罪悪感,夢判断の技法,象徴の解釈…。フロイド理論の多くの側面は,意識的または無意識的に,ユダヤ神秘主義思想と深くつながっていた。フロイドの著作や書簡とユダヤ思想の文献を詳しく対比させながら,フロイド的思考の起源に迫る。人間フロイドの内面を照射した,ひとつの思想の形成の物語。

337
A5判 272頁 本体2,500円
H. ステインハウス遠山啓
1976978-4-314-00145-8
豊富な写真や絵を使って,数学を視覚化した<眼で見る数学>の本である。村で学校はどこに建てるか? シャボン玉はなぜ丸いか? ケーキの公平な分け方は? 動く相手を効果的に追跡する方向は? といった暮らしに身近な問題から,数学の世界へ誘う。ポーランドが生んだ世界的数学者ならではの,華麗なる解法や発想のきらめきが随所に見られる楽しい一冊。

338
解析接続の問題
紀伊國屋数学叢書 8
A5判 202頁 本体7,600円
渋谷泰隆
1976978-4-314-70109-9
位相幾何学・代数幾何学・多変数関数論などの研究が進むにつれて,微分方程式の研究にも次々と有力な手段が提供されるようになった。本書は,できるだけ本質的なものに焦点を合わせて,複素領域における線型常微分方程式の問題を説明する。
〈内容〉Riemann面における解析接続の構造/Birkhoffの問題/超平面のSingularitiesに関連した確定特異点の特徴づけ……

339
表現と応用
紀伊國屋数学叢書 9
A5判 208頁 本体7,900円
飛田武幸櫃田倍之
1976978-4-314-70110-5
ガウス過程は,時間の推移とともに変化する偶然現象の数学的モデルである確率過程の中で最も重要な位置を占める。本書は基礎概念から最近のトピックまでの一貫した理論を展開する。特に,標準表現,マルコフ性や定常性に詳しく,予測理論や信号検波の問題等への直接の応用も詳細に述べてある。この方面としては,本邦初の格好の入門書となっている。

340
生物科学としての心理学
A5判 440頁 本体3,000円
ドナルド・O. ヘッブ白井常他訳
1975978-4-314-00130-4
脳の生理化学の急速な進歩により,心理学は人間の心を明確な科学的対象として探求することが可能になった。ここに,広義の人間の行動学,すなわち意識・情報・学習・思考を生理的に扱う学問が成立した。本書は,アメリカ心理学界の第一人者であるヘッブが,生物学を含む関係者に〈生物科学としての心理学〉を紹介した最高の入門書。第二版を大幅に改訂。

341
紀伊國屋数学叢書 3
A5判 368頁 本体13,900円
戸田宏三村護
1975978-4-314-70104-4
ポアンカレーにはじまるホモトピーの理論は,その後ますます発展をとげ,それ自身華麗な体系にまとめ上げられるとともに数学の多くの分野に深く浸透して,めざましい成果を上げている。本書は,一般ホップ準同型,H空間,分類空間,K群とその応用,球面ホモトピー群など,ホモトピー論の興味深いトピックスを詳説して,読者を現代数学の最前線へ案内する。

342
紀伊國屋数学叢書 5
A5判 244頁 本体9,200円
福島正俊
1975978-4-314-70106-8
ポテンシャル論とマルコフ過程論は,古くから相互の関連が認識されながらも別々に発展してきた。本書は,1950年代末に定式化されたディリクレ形式の理論と標準マルコフ過程の理論の各々を入門書的に解説しつつ,とりわけディリクレ形式の理論がマルコフ過程や拡散過程の研究にどのように役立つかを明らかにする。この方面の必読書。

343
紀伊國屋数学叢書 6
A5判 230頁 本体8,700円
増田久弥
1975978-4-314-70107-5
今日の解析学の主流をなし,物理数学等への応用面でも重要な発展方程式の基礎と応用を詳述する。第Ⅰ部では基礎と吉田・ヒレ,加藤,田辺等の理論の解説。第Ⅱ部では応用として生成作用素の局所表現定理,三つの型(一階双曲型,二階放物型,準線型)の偏微分方程式のコーシー問題,擬微分作用素等を扱う。関数解析の基礎さえあれば読めるユニークな入門書。

344
紀伊國屋数学叢書 1
A5判 254頁 本体9,600円
永田雅宜
1974978-4-314-70102-0
可換環論は,数学の種々の分野に現われる可換環(函数や整数のなす環など)及びそれらの上の加群の一般的扱いが重要な発展の動機となって進展してきている現代数学の基礎的分野の一つである。本書は,主としてイデアル論の立場から,代数幾何学,抽象代数学,整数論などと密接な関連をもたせつつ,広く数学を学ぶ人を対象にていねいに解説した好著。

345
紀伊國屋数学叢書 2
A5判 211頁 本体8,000円
内田伏一
1974978-4-314-70103-7
コボルディズム論は近年,微分位相幾何学,代数的位相幾何学双方に深い影響を与えているが,この方面の研究者にとって適当な参考書は非常に少ない。本書は,群作用をもつ多様体について,同変コボルディズム論の立場からの研究方法を解説したもので,読者はこれによって,コボルディズム論の初歩から最近の成果まで知ることができる。この分野待望の書。

346
ある女の回想4
46判 272頁 本体2,300円
シモーヌ・ド・ボーヴォワール朝吹三吉二宮フサ
1973978-4-314-00108-3
自伝四部作の完結篇。1963年以降の彼女の著作活動,読書生活,日本をはじめ中東,東欧,ソヴィエトなどへの旅行,友人たちとの交流,五月革命や女性解放運動への対応などとともに,現代の政治や文化のさまざまな問題に言及しながら,作家としての彼女の活動を自己の人生に明確に位置づけている。

347
ある女の回想4
46判 224頁 本体2,000円
シモーヌ・ド・ボーヴォワール朝吹三吉二宮フサ
1973978-4-314-00109-0
同上

348
技術の人間化をめざして
〈改訂版〉
46判 240頁 本体2,600円
エーリッヒ・フロム作田啓一佐野哲郎
1970978-4-314-00065-9
機械化され,大量生産と消費に覆いつくされた現代社会では,人間自体が機械系の一部と化すとともに,力が,法と秩序が,官僚主義が横行し,人間の感情は枯渇してゆく。フロムは問う。こうした情況下で人間の自由はいかにして回復可能かと。現代社会の病理を鋭く分析,人間が主体性を取り戻すための行動提起の書。

349
A5判 176頁 本体2,200円
ヘルマン・ヴァイル遠山啓
1970978-4-314-00062-8
美術,建築,デザイン,生物学,化学など多彩な素材を駆使し,芸術や自然の世界に伏在する「シンメトリー」という事実を拾い上げ,その間をつらぬく統一的原理を探り,現代数学における「群」概念を説明する。世界的大数学者であるヴァイルの長いあいだ心に暖めた思想が見事に結晶した,単なる数学書を越えた世界的名著である。

350
A5判 628頁 本体6,500円
アーネスト・ジョーンズ竹友安彦藤井治彦
1969978-4-314-00058-1
フロイトは峻烈な心理の探究者であるとともに,極めて人間的な弱さをも内蔵していた。心理学の黎明期から完成にいたるまでの彼の苦闘の歴史を生涯と克明に照合しながら浮彫りし,業績の再評価を行った,フロイト伝の決定版。
〈内容〉少年期・思春期/医学生/婚約/結婚/ブロイエル期/フリース期/自己分析/夢の解釈/孤立からの脱出/大戦の期間/ウィーン

351
A5判 448頁 本体3,500円
ウィリアム・フェラー国沢清典監訳
1969978-4-314-00055-0
本書は,確率論の本格的教科書として世界に不動の位置を占めている。Ⅱ巻は,Ⅰ巻の筆致を受け継ぎ,現在までの斯学における高度の理論的集大成である。
〈内容〉指数密度と一様密度/確率測度と確率空間/r次元空間における確率分布/大数の法則/無限分解可能な分布と半群/マルコフ過程と半群/ラプラス変換/調和関数……

352
46判 200頁 本体3,000円
E.M.シオラン出口裕弘
1967978-4-314-00037-6
「人間は自分の遂行した一切の征服行為を,『歴史』の中での一切の前進の歩みを,やがては償わねばならないのである」――自称「狼狂」の思想家が,世界に蔓延する楽園願望への強烈な皮肉と呪詛をこめて,資本主義と社会主義双方の陥穽を衝く。著者初の邦訳書にして代表作。

353
ある女の回想3
46判 308頁 本体2,500円
シモーヌ・ド・ボーヴォワール朝吹登水子二宮フサ
1965978-4-314-00029-1
回想はようやく戦後に入る。フランスの代表的知識人として世界で注目を浴びるようになった二人。しかし彼らを取り囲む環境は厳しい。朝鮮戦争,アルジェリアの独立戦争,ドゴール政権の誕生。一切の俗物精神と果敢に闘いつつ,若々しい情熱をもって労作を生んでゆく彼らの姿は,単なる個人的回想にとどまらず,優れたフランス戦後文学史・社会史ともなっている。

354
ある女の回想3
46判 400頁 本体2,800円
シモーヌ・ド・ボーヴォワール朝吹登水子二宮フサ
1965978-4-314-00030-7
同上

355
A5判 160頁 本体2,800 円
アンドレ・モーロアニコ・ジェス写真朝吹登水子
1959978-4-314-01065-8
「〈パリの女〉であって〈パリジェンヌ〉ではないのだ」。女学生,市場のご婦人,お針子さん,バレリーナ,女優……。シャンソンに,映画に,ファッションに,そして小説に,個性の花を咲かせるパリの女たち。女を愛し,その才能を力いっぱい発揮させる女の都パリ。モーロアの麗筆とニコ・ジェスのカメラが1950年代に生きたパリの女たちの哀歓を豊かにうたいあげる。

356
46判 276頁 本体2,600円
ポール・アザール矢崎源九郎横山正矢
1957978-4-314-00003-1
大人が子どもの気持ちを理解せず,夢のない教訓だらけの本を与えてきたことを警告し,子どもの想像力を空高く飛翔させるためにどのような本を与えればよいかを,機知に富んだ軽妙洒脱な名文で具体的に説いた児童文学論。文学史の大家が古今東西の児童書を題材に,陽気な皮肉と風刺をまじえながら語った,子どもにかかわるすべての大人必読の古典的名著。
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