紀伊國屋書店:【3階フェア】こころを運ぶ小さすぎる物語たち 東畑開人が選ぶフェア

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【3階フェア】こころを運ぶ小さすぎる物語たち 東畑開人が選ぶフェア

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東畑開人さんの新刊『心はどこへ消えた?』(文藝春秋社)を記念してフェアを開催いたします。

東畑さんに選書していただき、ひとつひとつの書籍にコメントをいただきました!!

待望の新刊ともにお楽しみいただけるフェアとなっております。

※コメントと共にフェアの書籍を下記に掲載いたします。

東畑開人さんの著作

「ハルマゲドンの後で」に登場した進学校の劣等生の心を描いた傑作。ご存知の通り、受験戦争後の主人公のうつを周囲の大人が見過ごし続け、それが悲劇につながっていく物語。うつの描写が美しくもせつない。

無限にエピソードが発生する物語で、こういう本をいつか書いてみたい(無理だと思うけど)。人と人とが一緒にいるのに、ただただ独語と孤独を抱え続けるエピソードが積み重なる。私たちの日常も本当は同じようなものかもしれない。

バジー文体の生みの親である著者の伝説の冒険の書。どんな結末になろうとも、何かに取り組むならば必ず物語が生まれてしまうことがわかる一冊。衝撃の結末をご覧あれ。

「ニコチンパンジー殺し」の章では、禁煙失敗の記録を書いたが、この本では、突如キリストに「出会って」禁煙に成功する物語が描かれている。「回心」のディティールを描いた物語群をご覧あれ。

「学者の味噌汁」に出てくるK先生の臨床心理学史に燦然と輝くレジェンド本。特に本書のカウンセリングの事例は素晴らしい。少年と河合が自転車で走るシーンや、河合の家の窓に少年が石を投げるシーンなど、詩とドラマに溢れている。

今回連載を引き受けるにあたり意識した本。平易な文章を読み進める中で、ふと心を振り返ってしまう文体に感嘆する。日本が豊かだった時代の心を描いたこの本に対抗して、リスクだけが増えた時代の心を書こうとしたのが今回の本である。

「孤独の形」の元ネタとなっている本。何かを失うとき、心は仕事を始める。何かを手に入れることばかりが語られる時代に、読まれるべき古典と思う。

「余はなぜジャニーズ退所に夢中になりしか」など何度か芸能ネタを扱っていたのだが、そのときの元ネタになっていたのがこの本。芸能人の裏の顔をスクープする週刊誌は、まさに「見るなの禁止」を侵犯するメディアだと思う。裏を見られてから、いかに生きるか。これは人間関係の普遍的な問いだと思う。

「心はどこへ消えた?」のクライエントの物語は、基本この著者の叙述から学んだ文体で書かれている。心と心が出会うとは、混乱と苦しみの最中でのことだと教えてくれる。

「心は二ついる」の元ネタであり、カウンセリング場面を描く文体を提示し、私もずっと模倣し続けている一冊。松木の本とは異なり、二人が同じ部屋にいて、それでも孤独であるときに、逆に孤独な心と孤独な心が出会っているのだと教えてくれる一冊。

「中学受験の神様」に登場する恩師の一冊。この本に出てくる「樹」の事例は心理療法が「いかに生きるか」をめぐる物語の仕事であることを教えてくれる

「午前四時の言葉たち」に出てくる大教授の一冊。子どもとの臨床を書いた本なのだが、臨床心理学がいかに物語の仕事なのかよくわかる。後世に多大な影響を与えた古典でもある。

「巨匠からの手紙」で登場。中学生の頃から何度読んだかわからない名作で、締め切りがいかにつらいかが盛んに語られていたが、週刊連載は本当につらかったので、著者から手紙が来たときには大変幸せな気持ちになった。続編の「愛・・・しりそめし頃に・・」もぜひ。

「憑依と劇場」で登場する狐狸庵先生。「沈黙」や「女の一生―キクの場合」は私の愛読書なのだが、やはり人間の弱さを描いているところが素晴らしい。小説ではそういう弱さは醜く描かれ、それがカタルシスになっていくのだが、エッセイではコミカルに描かれる。それもまた素晴らしい。

物語が始まるまでに熱海の旅館に缶詰めにされて、あまりに文章が書けないので「死んだふりをしてみた」という記述があることに度肝を抜かれた一冊。バジー文体の隠れた師匠である。

「未来を冷遇する」は糖尿病の物語を書いたのだけど、身体疾患もまた人が生きることについての物語を生み出すことを示した古典中の古典。同じ著者の「臨床人類学」は私のすべての仕事の元ネタなのだが、残念ながら絶版。ぜひ再版してほしい。

「補欠の人格」に出てくる小説。人と関わろうとして、怖くて関われない心を描いている。これは現代人の多くの心の奥に潜んでいる臆病な自分だと思うので、今でも色あせない一冊だと思う。

「オレンジの傘で」や「憑依と劇場」は女性について書いてきた信田さよ子の仕事の影響が大きい。様々な名著がある著者だが、「性なる家族」の事例の叙述はめまいがするほど生々しく、それが問題の切実さを伝えてくれる。臨床心理学にとって文体が本質的であることを教えてくれる一冊。

「ウヒウヒグマのズバババー」「ニコチンパンジー殺し」の元ネタになっている依存症臨床のトップランナーの本。一つ一つの知見に、治療者の個人の物語が宿っていることがよくわかる。

「紙を崇めよ」や「脳のせいなのね」で心理学は神なき時代をいかに生きるかのための知であることを書いたが、それを余すことなく教えてくれる本。はじまりの心理学者たちは、自分自身の人生の物語を苦しみ、生き抜くことで、心についての一人称の理論を作り上げていったことがわかる。

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