1日に2500頭の牛が食肉処理される産業屠殺場―その現場に政治学者が覆面労働者として潜入し、現代社会における監視と権力、暴力の恩恵を受ける多数者の矛盾と欺瞞、そして(視界の政治)の輪郭を浮かび上がらせる。
第1章 敬語のとらえ方―現代日本語を中心に(敬語の理論・考え方;敬語体系;敬語行動;敬語の機能;敬語の周辺)
第2章 敬語の多様性(敬語の変遷;方言の敬語;敬語の年齢差;敬語の男女差;敬語の職業差;場面と敬語;外国語の敬語との対照)
第3章 敬語の研究法(敬語の調査;敬語の数量化の手法;敬語研究史)
第4章 敬語の教育(学校の敬語教育;日本人の敬語の誤用;敬語政策;日本語教育における敬語;韓国人の敬語の誤用;アメリカ人の敬語の誤用)
第5章 周辺分野との関連(自然言語処理と敬語;文化人類学と敬語;心理学と敬語;社会心理学と敬語)
詩人が「文学探偵」として唐戯曲の迷宮のありようを鋭く解き明かす、画期的批評。
失明、孤独、自殺未遂、10年の放浪、そして波止場へ…。つねに社会の最低辺に身を置き、働きながら読書と思索を続け、独学によって思想を築き上げた“沖仲士の哲学者”が綴る情熱的な精神のドラマ。
中国近代文学の第一人者である魯迅は、日本の教科書でも取り上げられ、多くの人がその名を知っている。しかし実際に作品を読んだことのある人は少ない。本書は魯迅の代表作品を、文学の知識や素養を踏まえながら解説し、今こそ問うべき「文学の意義」に迫る。
「もっと普遍的で、美しくて、圧倒的な何か」それを追いかけ、海の中での潜水のごとく、ひとつのテーマについて皆が深く考える哲学対話。若き哲学研究者にして、哲学対話のファシリテーターによる、哲学のおもしろさ、不思議さ、世界のわからなさを伝える哲学エッセイ。当たり前のものだった世界が当たり前でなくなる瞬間。そこには哲学の場が立ち上がっている!さあ、あなたも哲学の海へ!
大手メディアも驚くほどの速さと正確さで次々にスクープを飛ばし、いまや世界中から注目される調査報道ユニット“ベリングキャット”。シリア政府の戦争犯罪をあばき、ロシアの暗殺者の身元を特定し、ウクライナで民間機を撃墜した黒幕をも突き止める。いったいかれらは何者なのか。なぜそんなことが可能なのか。始まりは、キッチンテーブルで見た“アラブの春”の現地動画だった。ここはどこだ、映っているのは本物なのか。オンラインゲームにはまっていた著者は、ネット上に集った仲間とともに、独学でまったく新しい調査手法を作り上げてゆく。かれらが使うのは、SNSの投稿や流出した名簿など公開された情報のみ。フェイクもプロパガンダも混在するウェブ情報のなかから、権力者たちが望まない真実へたどりつくのだ。権力者は平然と、見えすいたウソをつく。その虚偽を覆すことは私たちにも可能だ―。ポスト真実の時代に生まれたデジタルハンターたちの活躍を描く。
ウクライナ戦争はなぜ起きた? プーチンの「演出家」の告白をもとに、ロシアの権力の歴史をリアルに描く政治小説。バルザック賞受賞。
フランス啓蒙思想の金字塔『百科全書』。全28巻に及ぶ、この壮大な出版プロジェクトの全貌と、編集長・ディドロの八面六臂の活躍を、精緻で生き生きとした分析により描き出す大著。
“である”と“です・ます”、二つの文末辞の違いを掘り下げていった末にたどり着いたのは、全く異なった二つの世界像=哲学原理だった。日本語からの哲学は可能か?文末辞からはじまる画期的な哲学入門。
トランス女性である著者が、トランス嫌悪的な社会で生きるトランスジェンダーの現実を幅広い調査や分析によって明らかにする。これまで自伝や研究書に偏っていたトランスジェンダーを扱った書籍の中で、事実に基づき社会変革に向けて開かれた議論を展開する画期的な一冊である。トランスジェンダーの実態を何ら顧みない、排除のための偏見に満ちた言説が拡大される中、日本における「トランスジェンダー問題」を考える上でも必読の書。
世界の恒久的平和はいかにしてもたらされるべきか。カント(1724‐1804)は、常備軍の全廃、諸国家の民主化、国際連合の創設などの具体的提起を行ない、さらに人類の最高善=永遠平和の実現が決して空論にとどまらぬ根拠を明らかにして、人間ひとりひとりに平和への努力を厳粛に義務づける。あらためて熟読されるべき平和論の古典。
読むのが遅い。時間がない。続かない。頭が悪い。お金がない。やる気が出ない。何を、どう学べばいいか迷ったときの羅針盤。「自分を変えたい」すべての人へ。
いま、あなたとの会話で起きたことは、いったい何だろう?マンスプレイニング、コミュニケーション的暴力、会話の引き出し、言語的なポリティクス、アイデンティティと一人称、人々をつなげる言葉、誠実な謝罪と不誠実な謝罪…。難しくて切実で面白い「言葉とコミュニケーション」を、「哲学」と「私」のあいだのリアルな言葉で綴るエッセイ。
『資本論』を引き継ぎ、生産様式から交換様式への移行を告げた『世界史の構造』から一〇年余、交換様式から生まれる「力」を軸に人類史の歩みを再考し、柄谷行人の全思想体系の核心を示す。戦争と恐慌の危機を絶えず生み出す資本主義の構造と力を明らかにし、呪力(A)、権力(B)、資本の力(C)が結合した資本=ネーション=国家を揚棄する「力」(D)を見据える。