現代短歌パスポート1 シュガーしらしら号
■価格 ¥1,100(本体¥1,000)
■サイズ B6変判/ページ数 112p/高さ 19cm
寄稿歌人の収録作品と著書から、一首ずつご紹介!
※書肆侃侃房様が選んでくださいました。
■榊原紘
苦笑いの苦さをおれに舐めさせて室温に近づく炭酸水(シュガーしらしら号収録「Classic」より)
ことばから補助輪が外されてなお漕ぎ出した日のことを言うから(歌集「悪友」より)
■伊藤紺
頰と頰くっつけて撮ったその写真のその一点をすごく知ってる(シュガーしらしら号収録「雪の匂い」より)
フラれた日よくわからなくて無印で箱とか買って帰って泣いた(歌集「肌に流れる透明な気持ち」より)
■千種創一
ポケットの切符に触れる ちゃんとある 自分を赦せるのは自分だけ(シュガーしらしら号収録「White Train」より)
骨だった。駱駝の、だろうか。頂で楽器のように乾いていたな(歌集「砂丘律」より)
■柴田葵
着膨れた私が一番うつくしい笹かまぼこのような影して(シュガーしらしら号収録「おさしみ」より)
飽きるほど誕生日してめくるめくまっ白な髪を抱きしめあおう(歌集「母の愛、僕のラブ」より)
■堂園昌彦
親族の墓のあいだで踊っても陽光それはそれはまぶしい(シュガーしらしら号収録「春は水さえとろけさせる」より)
美しさのことを言えって冬の日の輝く針を差し出している(歌集「やがて秋茄子へと至る」より)
■谷川電話
生活は才能に負けないことをテディベアの背を縫いながら言う(シュガーしらしら号収録「夢を縫う、たき火を保つ」より)
終電の連結部分で恋人を異常なぐらいじっくりと見る(歌集「恋人不死身説」より)
■菊竹胡乃美
愛してるってどんなことなんだろう子犬がこんなところまでなめる(シュガーしらしら号収録「火のぬいぐるみ」より)
独身のからだでどこまで行けるだろうずっと遠洋の漁船の灯り(歌集「心は胸のふくらみの中」より)
■宇都宮敦
子供のころ漫画はぜんぶ歯抜けで買っててなんでそれでよかったんだろうね(シュガーしらしら号収録「羊毛期の到来(ウール、ウール、ウール)」より)
だいじょうぶ 急ぐ旅ではないのだし 急いでないし 旅でもないし(歌集「ピクニック」より)
■初谷むい
ゆうやけ色のグミ落ちたけど拾って食べた だいすきな人よ永遠であれ(シュガーしらしら号収録「天国紀行」より)
それはたとえば、百年育てて咲く花を信じられるかみたいな話?(歌集「わたしの嫌いな桃源郷」より)