本書は、三上章(1960)『象は鼻が長い』を出発点として、言語学の問題「主語・目的語って何だ?」に取り組みます。調査の結果、日本語の主語も目的語も、「カメレオン」でした。カメレオンが周囲の色に応じて体の色を変えるように、主語も目的語もさまざまな助詞をかぶって変装しています。さらに、小・中・高の国語・英語の教科書も調査し、「主語・目的語の教科間の揺らぎ」や形容詞・副詞の謎も明らかにしていきます。
研究者に焦点を絞った認知言語学の概説書。著者お得意のメタファー論はもとより、メトニミー、カテゴリー論、イメージ・スキーマ論、多義論、フレーム意味論、構文文法、虚構移動、力動理論、移動の類型論、捉え方、ベースとプロファイル、認知文法、スキーマとプロトタイプ、メンタルスペース、融合理論と盛りだくさんの内容になっている。取り上げる著者は、レイコフ&ジョンソン、フィルモア、ラネカーら7人。
理論言語学と英文法学習、英語教授法の橋渡しを試みた一冊。英米語の文法的な違いに始まり、欧米の英文法書と日本の学校英語文法との違い、5文型に関する議論や意味順の紹介、時制、相(語彙的相、視点相)、法の他、名詞句の解釈、代名詞類、比較、否定繰り上げ、否定極性項目などを解説する。英語のからくりについてもう一歩理解を深めたい、理論言語学を勉強してみたい人への招待状。
「文型は英文法のアルファであり、オメガである」、「文型がわかれば、英語がわかる」という信念のもとに8文型を提唱した、本邦初の英語文型論の本格的モノグラフ。第1部は序論、第2部で、基本文型を扱い、第3部では、何らかの変形を加えて派生される派生文型を扱う。常になぜかを追究し、I’m tired is all.のような破格構文といえども、それが英語の事実である以上、明快な説明が与えられる。
「意識」という言葉は身の回りに溢れかえっているのに、それは何かと聞かれると、答えるのはなかなか難しい。しかし私たちがそれぞれ持っている外国語学習論の根底には、意識の役割に対する各々の認識が垣間見える。また意識と言語の問題は、私たちの世界の見方とも関係する。複雑だが魅惑的な意識の謎を、認知科学や言語学、哲学との接点から平易に解き明かし、読者を知的興奮に誘う。
本書は、英語のさまざまな文にかかわる「謎」を解き明かそうとしたものである。ネイティヴ・スピーカーがさまざまな文を実際にどのように使い分けているか、それぞれの文がどのような条件のもとで適格となるかを、多くの例から具体的に示そうとした。そのために本書では、適格な表現と不適格な表現を比べ、その裏に潜んでいる規則を浮きぼりにする。
なぜ皆、こんなにも「させていただいて」いるのか?さまざまな分野の言語学者が各々の視点から語る、「させていただく」研究のフルコース!
豊富な例と丁寧な解説で、ひとりでも読める言語学の入門書。大学のテキストとしても使いやすい全14章構成。言語学の基本的な分野に加え、社会言語学と心理言語学もカバー。各章末には内容理解を確認して発展的な学びにつなげるための「問題」と「読書案内」付き。5つのコラムでは興味深いトピックを解説。
なぜnameは「ナメ」ではなく「ネイム」と発音されるのか?なぜ‐lyをつけると副詞になるのか?なぜIf I were a birdとなるのか?なぜHelp me!とは叫ぶがAid me!とは叫ばないのか?なぜアメリカ英語ではrをそり舌で発音するのか?「なぜ?」を解き明かしながら、英語の歴史を学ぶ。
方言を話す登場人物(方言キャラ)は、多様な創作物―ドラマや映画、ミュージカル、落語、小説、マンガやアニメ、ゲーム、ラップ、LINE方言スタンプ、ゆるキャラなど―に現れる。本書では、その理由と背景を探索する。
近代言語学の父ソシュールを、『一般言語学講義』を、そしてコトバのしくみを知るための最良の入門書。
部首の意味がわかると同時に、漢字の基本的な意味も理解できます。幅広く286項目の部首を収録。現在出版されている漢和辞典に収録の部首はほぼすべて掲載。例として取り上げる漢字は、常用漢字、人名用漢字をすべて含む5000字余り。専門用語を使わない、“読みもの”として楽しめるような、わかりやすい記述。巻頭に「部首画数索引」、巻末に「部首名称索引」と「漢字音訓索引」を用意。
引きやすい、読みやすいレイアウト。言語学の基礎から専門知識まで学べる、約330項目。新しい概念を多く取り込み、言語学の世界を大きく広げる。言語学に親しみ、言語学を学ぶための1冊!
日常の言葉を中心に約四、五〇〇語を収録。語源(説)・由来・語史を簡潔に記述。先行研究をふまえ、用例をあげた分かりやすい解説。「化学」「科学」「会社」「哲学」などの翻訳語・和製漢語も収録し、語史面から解説。
著者が編修代表を務める『例解新国語辞典』の“方言”欄を充実させ、イラストもまじえ詳しく解説。共通語と同じ語形だが、じつは地域独特の意味があるという項目を五十音順に181項目掲載。学校方言や食の方言、交通安全・防犯対策で活躍する方言など、テーマ別のコラムも20点。
「言語学とは何か」。日本語をはじめとする豊富な例で学べる入門書。基礎を学び、整理できる11のチャプター。学習効果を高め、楽しめる20の「コラム」。
ことばの本質をとらえた語釈と用例。ことばの変化をとらえた最新改訂版。新語はじめ収録項目を大幅増補。項目数79,000。アクセント辞典を上回る9万を超えるアクセント表示。「かぞえ方」欄を拡充、付録に「数字の読み方」を新設。
なんでも「1個」「1つ」と数えていませんか?箸は1膳、鱈子は1腹、長持は1棹、蚊帳は1張り、蔵は1戸前、屏風は1双、日本語の豊かな“数え方文化”に触れる。ジャンル別に数え方の特徴をまとめたカラー口絵や「助数詞・単位一覧」も掲載。
中国の故事に由来することばを主に、日本・西洋の故事によることばも含めて、870語を収録。人物関係をていねいに説明し、故事成語ができたいきさつがよくわかる解説。「故事成語ってどんなもの?」「酔っ払いたちの故事成語」など、故事成語のさまざまな側面がわかる10編のコラム。巻末には、「愛」「怒り」「危機」「出会い」などのキーワードから、知りたい故事成語を探せる分類索引。
1億語を超える国立国語研究所の日本語コーパスを全面的に活用!だから、生きた日本語の“現在”がわかる!!読むだけで楽しい、ひと目でわかるグラフつきのコラムが255。最新の時事用語、カタカナ語など日常生活に必須の言葉が7万1000。コーパスを活用した見出しや表記欄。大好評の類語対比表も1000。
日本人として知っておきたい懐かしい日本語2100語を収録。適宜、著名な文学作品や歌舞伎、落語などの用例を添えました。「雨の名前」「風の名前」「雲の名前」「雪の名前」「空の名前」など自然と深い関わりのある美しい日本語を、和歌・俳句などの実例とともに収録しました。日本語を特色づけていることば「擬音語・擬態語」を「あいまい」「すべる」「笑う」など、様子・状態別に分類して示しました。
新しい言葉400年史、ジュニア向け決定版
「ニッポン!」は江戸時代の流行語だった! その意味は「カッコイイ」。毎年、話題になる「新語・流行語」の世界。1984年に大賞が創設される前から、さまざまな言葉が生まれてきました。この本は、江戸時代から令和まで、人びとが生み出してきた新語・流行語を紹介! お父さん・お母さん世代も知らないような、でも、おじいさん・おばあさん世代は「なつかしい!」と、おもわず顔がほころんでしまう言葉がいっぱいです。 今は使わなくなった死語や、外国の新語・流行語も掲載し、「言葉は生きている」という、国語の授業では教えてくれない庶民の言語世界の「ありのまま」を知ることができます。楽しいマンガページもいっぱい! 名探偵・佐栗新吾と、かわいいアシスタント源琴葉ちゃんと一緒に、新語・流行語の世界を冒険しよう!
地下50メートル以上」=「地下50メートル以下」という不思議、「消防署長」と「消防署署長」の不思議な関係。「味わわせる」か「味あわせる」か、「1日おき」に飲む薬を2日後(48時間後)に飲む不思議、など、Q&A20題。
本書では、いかに人間が自由自在に世界を“カット&ペースト”しているか、また自由自在とはいいながら、背後にどれほどしっかりとした規則性があるかということを、人間の最も身近な身体から身の回りの空間、そしてその空間に位置するモノの切り分け方にしぼって、検証した。
「カタツムリ」の方言分布は本当に同心円か?柳田国男の方言周圏論で有名な「カタツムリ」「マイマイ」「ツブリ」等の分布も、ていねいに検証してみると疑問点が…。川や海の交通網、家族制度、人口密度など、多彩な視点から「土地」と「ことば」の結びつきの謎に迫り、方言研究の新たな地平を切り拓く。
英語の歴史をたどれば、現代英語の「なぜ」の起源が見えてくる。英語の「進化」の過程をひもとくと、元々あった「規則」が現れます。例外が多い英文法がすっきり腑に落ちる、謎が解ける1冊。
「ワマナ」さんと「サタカ」さんは、どちらが優しく、どちらが気が強くサバサバしているだろうか?聞いたことの無い名前からでもその印象を感じることができる。この現象は「音象徴」と呼ばれ、ことばの音と意味の関係を考える上でいま注目を集めている。本書では、「メイド喫茶のメイドさん」「ポケモン」「ピコ太郎」などの身近な題材を例にしながら、音の科学である「音声学」という学問へと誘う。これまでにない楽しく分かりやすい音声学入門。
目次
ことばに対する考え方:科学的な方法とは
ことばの獲得の不思議:合理主義と経験主義
普遍文法って何?
ことばの部品:語彙範疇と機能範疇
文法の核心:統語構造
構造の一般化:Xバー理論
文の構造を考え直す
意味役割の果たす役割
能動と受動:格というものの存在意義
名詞らしくない名詞:数量詞と代名詞
目に見えない主語:コントロールと上昇
目的語のような主語
主語の本当の出所
動く主要部
文頭に現れる語:Wh疑問詞と題目の移動
言語学とマンガ学。一見、関連性が無いように見えるが、実はどちらも「視点」がキーワードとなっている。描かれたものを「どこから見ているのか」、「何が見えているのか」、マンガは、言葉だけで構成される小説よりも文字通り「一目瞭然」であるため、細やかな視点の分析が可能となる。マンガ学の理論を援用して言語分析を行う、その可能性を探るのが本書の目的である。
目次
形態論・活用論から見る「した」
時制形式の有無と副詞節のタイプ
現代日本語のテンス・アスペクト体系におけるテンス表示部の機能について
染み込み速度と「た」―さまざまな現象の中で
現代日本語の「した」の成立過程
東北方言から見る「した」とムード
英語の「した」
日・英語物語談話における時制形選択
テイルの1つの意味
体感度の高さに動機づけられる「て(い)る」「た」に関する覚え書き―世界モデルへの潤色を通して
無標の否定形式としてのシテイナイ
現代日本語のムードを表す形式についての一考察
アスペクト研究における形式と意味の関係の記述方法を問い直す―テイルの発達を踏まえて
動かない車の中で、「あ、ブレーキ踏んでる!」は車内の誰でも言える。「あ、ブレーキ踏んでた!」は運転手にしか言えない。この運転手の「特権性」はどこから、どのように生じるのか?社会学・哲学のコミュニケーション観の根底を問い直す。
ことばの面白さは、フェルマーの最終定理と同じ!?知っているようで知らない言語にまつわる話が満載。第3回JAPAN PODCAST AWARDベストナレッジ賞/リスナーズチョイスW受賞!