現代短歌パスポート2 恐竜の不在号
■価格 ¥1,100(本体¥1,000)
■サイズ 四六判変形/ページ数 112p
寄稿歌人の収録作品と著書から、一首ずつご紹介!
※書肆侃侃房様が選んでくださいました。
■岡野大嗣
雨模様のハンカチを振って遠ざかる野原へ地下鉄を通したい(恐竜の不在号収録「foil」より)
二回目で気づく仕草のある映画みたいに一回目を生きたいよ(歌集「たやすみなさい」より)
■川野芽生
水はみな海へと流れいくたびもいきものは陸に見切りをつけぬ(恐竜の不在号収録「恐竜の不在」より)
曇天は雷に満つるを息とめてわが引く藍いろのアイライン(歌集「Lilith」より)
■大森静佳
黒いワンピースに似合うハンガーを探しに海の底へゆくのよ(恐竜の不在号収録「オーガンジー」より)
ずっと味方でいてよ菜の花咲くなかを味方は愛の言葉ではない(歌集「カミーユ」より)
■小島なお
夜の渚、漂着ごみのうすあかり。あかりのひとつになれば寒いな(恐竜の不在号収録「群か星」より)
講堂で賛美歌うたう友達のピアスの穴を後ろから見る(歌集「乱反射」より)
■我妻俊樹
一生があればうるさい虫たちは同じところを話し続けた(恐竜の不在号収録「海岸蛍光灯」より)
渦巻きは一つ一つが薔薇なのに吸い込まれるのはいちどだけ(歌集「カメラは光ることをやめて触った」より)
■安田茜
なみだにはきっと小さな水源がそして水源にも来た場所が(恐竜の不在号収録「森なんてない」より)
戴冠の日も風の日もおもうのは遠くのことや白さについて(歌集「結晶質」より)
■伊舎堂仁
あなたがまだ今よりももっと早口でマジでいきなり笑ってたころ(恐竜の不在号収録「も可」より)
人が人にふつうに冷たいときがある 竜巻 (ボールペンだけで描く)(歌集「感電しかけた話」より)
■寺井奈緒美
成し遂げた人の多さよお茶漬けにカリカリ棒を入れた人とか(恐竜の不在号収録「わんたんたんか」より)
路上にはネギが一本落ちていて冬の尊さとして立て掛ける(歌集「アーのようなカー」より)
■北山あさひ
伸ばす・摑む・曳く・抑え込む・ぶん投げる 取り戻したい動詞のすべて(恐竜の不在号収録「板子一枚下は地獄、今度会えたら笑ってよ」より)
がんばったところで誰も見ていない日本の北で窓開けている(歌集「崖にて」より)
■谷川由里子
ローソンはなんの略なのローソンはこころゆくまで正式名称(恐竜の不在号収録「残暑」より)
愛してる・シー・ユー・レイター・また明日 天気がよければ笑ってほしい(歌集「サワーマッシュ」より)