紀伊國屋書店:【3Fフェア】「人種」から見る世界と歴史 フェア

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【3Fフェア】「人種」から見る世界と歴史 フェア

日時
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明石書店の新刊

『人間狩り』グレゴワール・シャマユー著

『黒人と白人の世界史』オレリア・ミシェル著(10月刊行予定)

の刊行を記念してフェアを開催いたします。

監修:中村隆之氏

協力:平田周氏、吉澤英樹氏、中山俊氏

※監修いただいた中村隆之氏のコメントと共にフェアの書籍を下記に掲載いたします。

※一部品切れの書籍もございますがご容赦くださいませ。

アリストテレスの意図はともかく、生まれつき奴隷に向いている人間がいるという先天的奴隷説の論拠となった記述が本書にはあります。この問題について掘り下げた本には『アリストテレスとアメリカ・インディアン』(岩波新書、現在品切)があります。

当時のローマ貴族がどのように奴隷を利用していたのかがわかります。

本書は、奴隷船と奴隷貿易をめぐる人間模様を多角的に描きながら、ヨーロッパ近代を支えた大西洋奴隷貿易システムの開始から終焉までを一望します。奴隷貿易・奴隷制の歴史の入門書に最適です。

アフリカからアメリカス(北米・中南米)に連れて行かれた人々の記録であり、奴隷主、水夫たちにとっての奴隷船を多角的に描きます。奴隷船研究の基本書です。

奴隷制の思想史をロックからマルクスまでたどり、人間の疎外をもたらす現代の奴隷制から逃げる方法までを提示する、知的冒険に満ちた書です。

大西洋奴隷貿易と奴隷制が当時のイギリスにもたらした富を経済史の観点から研究した名著です。本書が提示した奴隷制が産業資本主義をもたらしたというテーゼはあまりにも有名。

「世界の一体化」以降の世界の歴史をグローバルな視点から捉える最適の入門書です。この本を手がかりに「世界システム」という捉え方の基盤となるエマニュエル・ウォーラーステインの『近代世界システム』(名古屋大学出版会)を紐解くと良いでしょう。

コロンブスの「新大陸発見」後、西欧人の入植が生態系に大きな影響を与えました。作物から人間まで、あらゆるものが移動し、交換されたのです。これを「コロンブス交換」と呼ぶことがありますが、このことを主題にしたのが本書です。

国家統治から逃れる技法を編み出した民の「歴史」なき歴史を描く、挑戦的な民族誌です。文明化を是としてきた「世界システム」と国家からの積極的離脱を呼びかける、野生の人類学の記念的著作と言えます。

黒い肌をもつことがもたらす悩みを懸命に生き、真に人間であることを考え続ける、みずみずしい思索の書。とはいえ背景知識を必要とする本ですので、まずはNHKの「100分de名著」のテキストを入門におすすめします。

アメリカ合衆国で黒人として生まれるとはどういう経験であるのかを知る原点の書。原著は1903年刊。アフリカ系アメリカ人の精神世界を見事に描いた名著です。

本書のプロローグ「生きのびることの意味」をぜひともお読みください。このプロローグのなかに奴隷制を生き延びてきたアメリカスの黒人の経験の核心が記されています。そして、この本には幾人もの黒人女性の声が響いています。

現代ブラック・アメリカを代表する書き手による息子に宛てた手紙形式の自伝的エッセイ。合衆国における黒人に対する構造的差別の実態が生々しく伝わってきます。

16世紀、スペイン人のインディオ虐殺の実態を告発する、ドミニコ会修道士ラス・カサス渾身の書。インディオを同じ人間とは見なさず、悪逆非道にあけくれる当時の人々の姿は恐ろしくあります。

元奴隷がみずからの経験を語る形式をスレイヴ・ナラティヴと言いますが、この本はその原型と言われる本です。原著は1789年出版で、大西洋奴隷制研究の基礎文献のひとつです。

奴隷商人にとっての大西洋奴隷貿易とは何だったのか。加害者の側の視点から人類史上の犯罪をたどる異色の歴史書です。

有名なスレイヴ・ナラティヴのひとつで、奴隷にされた女性が苦難の経験を振り返ります。原著は1861年刊。手頃なものとして、抄訳版『ある奴隷少女に起こった出来事』(新潮文庫)があります。

黒人奴隷の逃亡を助ける秘密組織「地下鉄道」で活躍した黒人女性タブマンの評伝です。彼女自身もまた逃亡奴隷でした。

奴隷制時代の黒人女性が白人農園主の性奴隷であったこと、1960年代ブラック・パワー運動のなかの家父長制的思考のことなど、レイシズムの歴史をフェミニストの観点から更新する重要書です。この本から学ぶことは多いはずです。

フランス語圏で黒人であることのアイデンティティを肯定した詩人セゼール晩年のインタビューを中心とした本です。本書でセゼールに興味をもたれたら、主著『帰郷ノート/植民地主義論』(平凡社ライブラリー、品切)にぜひ挑戦してください。

ブラック・ライヴズ・マター運動の共同創設者のひとり、カラーズがどのように自己を認識し、アクティビストとしての自己形成を遂げていったのかが本書の読みどころです。BLM運動共同創設者であるアリシア・ガーザ『世界を動かす変革の力』(明石書店)との併読がおすすめです。

人種主義の歴史をコンパクトにたどる、この分野での基本書です。

歴史の片隅に追いやられてきた日本人奴隷の実態を究明する注目書です。

ラテンアメリカのあるインディオの村に通い続ける「フィールド派歴史学」という立場からこの大陸の歴史を包括的に語ります。歴史を学ぶとはなにか、という根本的問いかけをふくむ名著です。

イスラーム社会のなかでの奴隷制の歴史を知るにあたり、コンパクトに知ることのできる良書です。

あまり知られていませんが、地域別に見た場合、アフリカ人が奴隷として送られた最大の地域はブラジルでした。にもかかわず、北米やカリブ海地域と比べた場合、黒人の文化的存在感はそれほど大きいとは思えません。本書はこうした問題を考えるのに数少ない貴重な文献です。

本書は人種主義をテーマにしたものではありませんが、人種主義と等しくこの社会に埋め込まれた、障害者差別と種差別という構造的差別を可視化する重要作です。

20世紀後半のフランスを事例に人種主義(レイシズム)の複雑さを考える書です。レイシズムを理論的に考える第一部を出発点に、鵜飼哲ほか著『レイシズム・スタディーズ序説』(以文社、2012年)へと読み進めるとよいでしょう。

19世紀後半の社会ダーウィニズムの時代には人種は生得的なもので、人種間には優劣があるのだと科学的に述べられてきました。いまでも一般通念には科学的人種イメージは存在すると思います。この本は分子生物学者の立場から科学的にな人種概念の無効を論じています。

フランス現代思想において要注目の思想家シャマユ-のデビュー作。人間の身体を解剖するという行為の歴史を思想史的にたどる労作です。

科学ジャーナリストである著者が10代の頃から書きたいと思ってきた、渾身の人種科学批判エッセイです。自身の体験をもとに描かれる章も多く、現代に存在する人種問題をリアルに考えることができます。

人種の生物学的決定論から知能測定まで、人種の問題を中心に論じた名著です。

人種間には身体能力の優劣があるというのも社会ダーウィニズムの亜種であると言えます。本書はスポーツにおける「黒人神話」を検証します。

本書は、スポーツが「文明」として植民地における現地民の規律化や同化に大きく作用したことを歴史的に振り返ることから始まります。人種、セックス、ジェンダー、セクシャリティ、ナショナリズム……スポーツを考えることはフーコー的な意味での生権力と統治と切り離せないことが明らかとなります。

シャマユーの最新の訳書。副題にある「狩猟権力」とは、動物の狩猟のように、強いものが弱いものを圧倒的な力で狩る、そうした権力の一形態を指します。権力論といえばフーコーの「司牧権力」が有名ですが、シャマユーは別の権力モデルから現代世界に至る歴史を読み解きます。

国家権力に自発的に隷従する政治家、官僚機構、さらにはそれを支える大衆の心理を考えるための古典。このテクストが、モンテーニュの友人である16世紀のフランス人が書いたのだから驚きです。

私たちの生きる現代を規定するネオリベラリズムがもたらす統治のあり方をフーコーの統治性をめぐる思考を手がかりに論じた、いまもなお今日的な思想書です。

とくに第3部の「近代的なものの生政治的範例としての収容所」は、例外状態や剥き出しの生を生み出す国家の政治的技法を論じており、非常に今日的です。人種概念もその範疇で捉えられます。バウマンの『近代とホロコースト』とともに読むと理解が深まるでしょう。

地球温暖化、深刻な経済格差、さらにはパンデミックという何重もの危機的状況にある人類の現在を考えるため、著者は、その危機の根源を世界市場経済が確立した19世紀ヨーロッパに見て取り、現在を診断するための系譜学的作業をおこないます。思想家・原宏之の最新にして最後の仕事です。

差別は良くないことだと誰しもが分かっているのに、差別がなくならない理由を〈野蛮〉をキーワードに考えたのが本書です。人種差別と優生思想がどのように生まれてきたのか、その差別の言説の蓄積を講義形式でたどります。

戦後の欧米における重要な思想的課題はナチズムに対する反省を徹底することでした。ポリアコフのこの本は、ナチのアリーア人種至上主義が生まれた思想的水脈を明らかとする古典です。

本書はナチズムの底流に西欧の非公認文化としてのオカルティズムがあるという確信のもとに書かれています。純粋なアーリア人=ゲルマン人種という妄想の影の部分に光を当てます。

人種差別(レイシズム)を考える最良のテクストのひとつが本書です。娘に語るという形式で、レイシズムという複雑な現象にともなう初歩的な誤謬から本質的な問いまでを、著者は誰にでもわかる言葉で届けます。

文明と野蛮の相関性を論じたホルクハイマー+アドルノ『啓蒙の弁証法』(岩波文庫)の考察をさらに深化させ、近代文明こそがホロコーストの条件であり、私たちの社会のなかに潜在するホロコーストを気づかせるバウマンの主著です。

フランスの第三共和政期といえば「文明化の使命」の名のもとにフランスが植民地事業を推し進めたことが知られています。本書はこの時期の言説を「渡世のディスクール」として読み解きます。

フランスの移民史研究の第一人者の主著です。移民社会フランスを知るために欠かせない分析と資料を提供してくれます。

両大戦間期パリにおける黒人文化表象に着目した共同研究に基づく論集です。フランス語圏のアフリカ系文化を論じた先駆的仕事として位置づけられます。

菊と刀』の日本人論で知られる著者のレイシズム論で、何よりも原著が1940年に刊行されている点が重要です。人種の概念はホロコースト以後は科学的正当性を失効しますが、それ以前に書かれている本書では遺伝と形質の知見も重視されています。歴史的な視点で読むと、多くのことが学べます。

ユネスコの「現代科学が取り組む人種問題」のシリーズとして1952年に刊行された「人種と歴史」はこの問題を考えるにあたっての出発点です。「人種と文化」は1971年にユネスコの雑誌に掲載されたものです。後者でもレイシズム批判は変わらないのですが、集団遺伝学の成果を肯定したことにより物議を醸しました。「人種」を考えることの難しさを改めて浮き彫りにします。

竹沢泰子先生を中心とする批判的人種研究の共同プロジェクトに基づく全3巻の論集の第1巻目です。日本、アジア、ヨーロッパ、アジアと多岐にわたる事例に基づく国際比較研究であり、人種研究には必携の書です。

レヴィ=ストロースとドゥルーズ+ガタリを思考基盤とするブラジルの人類学者が描く「多自然主義」は、西欧型の近代的プロジェクトとは異なる、先住民の叡智から導出される、新たな関係のヴィジョンへと私たちを誘います。

日本でのヘイトスピーチとトランプ大統領誕生の衝撃を受けて編まれた「日本を問い直すアメリカ史」。理念的なアメリカの自画像とは異なる、人種、民族、ジェンダー、性的アイデンティティなどに基づく差別と排除の歴史を描きます。本書を読むと、そのアメリカの歴史の鏡に映る日本の差別と排除の歴史に気づかされます。

アメリカ合衆国という国民国家の基本的イデオロギーを「アメリカニズム」と捉えたところから、アメリカ史と現代アメリカにおける人種主義を多角的に取り上げた重要な論集です。

1920年代にニューヨークのハーレム地区を中心に起こった黒人意識の文化運動についての総合的研究書です。黒人の人種意識はアイデンティティであり、奴隷としての数世紀の歴史と切り離すことはできません。

1992年のロス暴動を受けて出版された本です。「黒人」が人種的真正性に立脚することなく、黒人であることをあくまで「政治的・倫理的概念」として捉えるべきだという視座を提示する、重要な問題提起の書です。

2020年はBLM運動と大統領選によって米国が改めて注目された年となりましたが、そのタイミングで出版されたこの本は、米国保守層の白人至上主義の信条と実態を浮き彫りにし、話題となりました。

2016年の米国大統領選でトランプが勝利した背景を考えるうえで、白人至上主義のもっとも強烈な団体クー・クラックス・クランの歴史を本書で知ることは重要です。

現代世界の想像域を支配する〈アメリカ〉的なものを批判的にまなざし、相対化するための批評のレッスンとして、本書の意義はたいへん大きいです。

本書によれば、部落差別問題は「人種」のアナロジーとして語られてきたことから、「人種」の観点から改めてこの問題を照射する試みです。部落差別問題について多くの著書がありますが、中上健次と部落の問題を論じたのは本書が初めてであるそうです。

日本中世の雑兵(身分の低い兵士)たちが村々で男女を捕まえ、戦争後に奴隷として売る、ということをおこなうなど、一般には知られざる事実を資料によって読み解いた重要作です。

黄色人種として捉えられる日本人、中国人が欧米列強に脅威を与えるという考え方を「黄禍論」と言います。これは19世紀末の帝国主義時代に見られましたが、著者はこれが現在の中国脅威論やパンデミックにおけるアジア人差別という形で続いていると指摘します。

2013年は、関東大震災による朝鮮人虐殺から100年目に当たります。100年前の東京の路上で起きた虐殺の現場を現在に呼び起こすのが本書です。優れた歴史語りの一つです。

世に多くのフィクションが存在しますが、管見のかぎりでは笙野頼子の「だいにっほん」シリーズを凌ぐ政治小説は存在しません。本書はシリーズ最新作であり、奴隷大国「にっほん」すなわち、奴隷社会として幻視される日本社会の現在進行形ディストピアを描きます。

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