作品発表の場所も多様化し、雑誌、新聞歌壇、同人誌、ウェブサイト、SNSなどさまざま。
作品や歌集を讃える賞も多く実施されています。
このたび、2023年2月に刊行された菅原百合絵さんの第一歌集『たましひの薄衣』が第49回現代歌人集会賞・第24回現代短歌新人賞のふたつを受賞しました!これを記念し、書肆侃侃房から刊行された歌集のなかで、数ある賞を受賞した歌集を集めました。
書肆侃侃房で開催している新人賞「笹井宏之賞」の受賞をきっかけに編まれた歌集も並べています。
第49回現代歌人集会賞・第24回現代短歌新人賞
『たましひの薄衣』
菅原百合絵
一生は長き風葬 夕光(ゆふかげ)を曳きてあかるき樹下帰りきぬ
※ウェブストアでご注文のお客様には、特典小冊子をお付けいたします!
『たましひの薄衣』刊行時の菅原百合絵さんの書き下ろしエッセイペーパーの再録など、『たましひの薄衣』と併せて読みたい小冊子です。
👑 受賞歌集の復刊!現代短歌クラシックス 👑
第8回現代短歌新人賞・第10回駿河梅花文学賞
『乱反射』
小島なお
講堂で賛美歌うたう友達のピアスの穴を後ろから見る
第18回日本歌人クラブ新人賞
『あの日の海』
染野太朗
生徒らの脳に蛍があふれいて進学試験の教室ぬくし
第42回現代歌人協会賞
『寒気氾濫』
渡辺松男
樹は内に一千年後の樹を感じくすぐったくてならない春ぞ
第57回現代歌人協会賞
『窓、その他』
内山晶太
分かり合うという幻想の絶景に胸ひらきおり桜花のごとく
👑 栄えある受賞歌集! 👑
第60回現代歌人協会賞
『忘却のための試論』
吉田隼人
名のうちに猛禽飼へば眠られぬ夜に重み増す羽毛ぶとんは
第65回現代歌人協会賞
『Lilith』
川野芽生
うつくしいパルフェをくづし混沌の海よりひとが取りだすミント
第42回現代歌人集会賞
『羽虫群』
虫武一俊
この夏も一度しかなく空き瓶は発見次第まっすぐ立てる
第47回現代歌人集会賞
『水の聖歌隊』
笹川諒
椅子に深く、この世に浅く腰かける 何かこぼれる感じがあって
第48回日本歌人クラブ賞
『自由』
大口玲子
見せることあらねど見せしめのごとき死を死ぬのか人は目隠しをされ
第28回日本歌人クラブ新人賞
『工場』
奥村知世
実験室の壁にこぶしの跡があり悔しい時にそっと重ねる
第3回塚本邦雄賞
『青い舌』
山崎聡子
あなたの青い胸をずたずたにする人もいる世界へとはやくおいでよ
第70回芸術選奨文部科学大臣賞・第31回斎藤茂吉短歌文学賞
『石蓮花』
吉川宏志
パスワード******と映りいてその花の名は我のみが知る
第73回芸術選奨文部科学大臣賞
『牧野植物園』
渡辺松男
われがわが耳道へ入る錯覚に鍾乳洞の入口にたつ
第26回若山牧水賞
『ひかりの針がうたふ』
黒瀬珂瀾
生なべて死の前戯かも川底のへどろ剥がれて浮かびくる午後
第11回中日短歌大賞
『リリカル・アンドロイド』
荻原裕幸
わたくしの犬の部分がざわめいて春のそこかしこを噛みまくる
第14回中日短歌大賞
『ハビタブルゾーン』
大塚寅彦
車椅子の君どこまでも押しゆかむ死も患ひも振り切るまでに
第12回日本一行詩大賞
『カミーユ』
大森静佳
曇天に火照った胸をひらきつつ水鳥はゆくあなたの死後へ
第56回造本装幀コンクール東京都知事賞
『柴犬二匹でサイクロン』
大前粟生
この痣を月に結んで大丈夫とびひざげりの妄想をする
笹井宏之賞は、歌人・笹井宏之さんの没後10年を迎えるにあたり、2019年にはじまった短歌賞です。
短歌連作50首を選考対象とし、大賞受賞作は副賞として書肆侃侃房から第一歌集が刊行されます。また、毎回全5名の選考委員による個人賞も授与、新たな作り手の発掘の場となっています。これまで、柴田葵さん、榊原紘さんなどが新たにデビューしました。
👑 笹井宏之賞から生まれた歌集 👑
第1回笹井宏之賞大賞
『母の愛、僕のラブ』
柴田葵
バーミヤンの桃ぱっかんと割れる夜あなたを殴れば店員がくる
第2回笹井宏之賞大賞
『予言』
鈴木ちはね
堤防を上りつめたらでかい川が予言のように広がっていた
第2回笹井宏之賞大賞
『悪友』
榊原紘
雪の染みた靴から君が伸びている そんな顔で笑うやつがあるか
第2回笹井宏之賞永井祐賞
『地上絵』
橋爪志保
ボーダーを着てボーダーの服買いに行くのはながいきのおまじない
第3回笹井宏之賞染野太朗賞
『羽と風鈴』
羽と風鈴
乗り過ごして何駅目だろう菱形のひかりの中につま先を置く
第4回笹井宏之賞神野紗希賞
『結晶質』
安田茜
戴冠の日も風の日もおもうのは遠くのことや白さについて