キノベス!2023
(2021年12月〜2022年11月出版の新刊/第20回)
キノベス!2023 第1位『汝、星のごとく』
凪良ゆう さん 特別寄稿お報せをいただいたとき、たまたま『汝、星のごとく』の担当さんと一緒にいました。担当さんがスマホを見てこらえきれないほどの笑顔になっていくので、どうしたのかと訊くと、まさかまさかの「キノベス!2023」第1位に選ばれたとのこと。言葉を扱う仕事をしていながら「嬉しい」しか出てこず、担当さんとおめでとうを言い合いました。
紀伊國屋書店は、わたしにとって特別な本屋さんです。
今から三年ほど前のこと。ボーイズラブでデビューして十年、一般文芸では二冊出していたけれど、残念ながらその二冊はあまり売れず、わたしはほぼ無名の作家でした。自分の本が書店に置いてあることのほうが珍しい、そんな中で、初めてわたしの本のコーナーを作ってくれたのが紀伊國屋書店梅田本店さんだったのです。担当さんに連れられ、緊張しながら挨拶にうかがった梅田本店で、初めて自著のコーナーが作られているのを見たとき、感激して泣いてしまったのを覚えています(振り返ると少し恥ずかしい……。)
あのあと刊行した『流浪の月』、『わたしの美しい庭』も紀伊國屋書店からはずっとあたたかな応援をいただき、二年前の『滅びの前のシャングリラ』では「キノベス!2021」第1位をいただきました。なので今回ふたたび第1位に選出いただけたのは思いもよらない喜びでした。
長年ボーイズラブで男性同士の恋愛を描いてきたわたしにとって、初めて男女の恋愛に正面から取り組んだ『汝、星のごとく』は、原点であると同時にチャレンジでもあります。人を愛する気持ちを軸に、生きていく中で起きる様々な問題、それらをどう選択し、どう自らの人生を生きていくか。それらを青臭いほどの直球で問いかけた本作に評価をいただけたことは今後への大きな励みになりました。
紀伊國屋書店のみなさま、本当にありがとうございました!
凪良ゆう(なぎら ゆう)
京都市在住。2007年にBLジャンルで書籍化デビュー。代表作に21年に連続TVドラマ化された「美しい彼」シリーズなど多数。17年、文芸作品である『神さまのビオトープ』(講談社タイガ)を刊行し高い支持を得る。19年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で本屋大賞を受賞。同作は22年5月に実写映画が公開された。20年刊行の『滅びの前のシャングリラ』で2年連続本屋大賞ノミネート。最新作『汝、星のごとく』は第168回直木賞&2023年本屋大賞候補、2022王様のブランチBOOK大賞、そして「キノベス!2023」第1位などに選ばれている。*プロフィールは当時のものです。
▶2023 小冊子 PDF版/Kinoppy電子書籍版 ▶贈賞式 2023年2月28日*受賞者コメント動画
キノベス!2023
(2021年12月〜2022年11月出版の新刊/第20回)
*推薦コメントの執筆者名に併記されている所属部署は当時のものです。現在は閉店している店舗もあります。