紀伊國屋書店:書物復権 2023 復刊書目決定!

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書物復権 2023 復刊書目決定!

日時

2023年10社共同復刊27

[ごあいさつ]

 2023 年、第27 回目の10 社共同復刊、今回も多数のリクエストをいただきありがとうございました。2 月28 日までの期間中に、紀伊國屋書店内公式サイト、復刊ドットコムの特設サイトおよびFAX で、受けつけたリクエストは総数約6,617 票、最多書籍には141 の票が寄せられました。いただいたコメントには、それぞれの書目に対しての皆さまからの熱心な要望が伝わっており、各発行出版社はこの結果を元に、復刊書目の選定をいたしました。今回の共同復刊で実現できなかった書目からも、各社独自の方法で復刊を予定している場合もあり、1 点でも多くの品切れ書の復刊の実現にむけて努力してまいりますので、今後の各社の復刊情報にご注目くださるようお願いいたします。

 今回、各発行出版社の判断により復刊を決定した書目は41 点41 冊。書籍は5 月下旬より全国約200 の協力書店店頭にて展示されますので、足をお運び頂けましたら幸いです。
※2023年のブックフェアは終了いたしました。

 今年も充実した復刊ラインナップができました。来年以降も、読者の皆様のご期待に添えるように活動を継続させて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

書物復権2023 復刊書目

哲学・思想・言語・宗教
社会
歴史・民俗
心理・教育
文学・芸術
法律・経済・政治
自然科学・医学

<書物復権2023> リーフレット(PDF)はこちら
リクエスト募集時のページはこちら

※内容についてのお問い合わせは発行出版社までお願いします。

 

「みをつくし読書帖」

三中信宏

(みなか・のぶひろ)1958 年生まれ。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構を経て、現在は東京農業大学客員教授。東京大学大学院農学系研究科博士課程修了(農学博士)。専門分野は進化生物学・生物統計学。主な著書に『読む・打つ・書く』(東京大学出版会)、『読書とは何か』(河出書房新社)など、訳書にエリオット・ソーバー『過去を復元する』(勁草書房)、マニュエル・リマ『系統樹大全』(ビー・エヌ・エヌ新社)などがある。

 私の研究室にはおそるべき量の本が堆積している。そのほとんどが私費購入本なので、今春の退職に際してはすべて片付けないといけない。年度末はその梱包と搬出でてんてこまいである。長年にわたって本を買い蒐めた報いだと後ろ指を刺されているが、当の本人はたいして気にせず、腰をさすりながらも連日本を運び出している。

 本棚をごそごそ掘り起こすとたまに長年見つからなかった本に再会し、「お前、ずっとここにいたのか」としばし時を忘れてたたずむことがある。西田龍雄『西夏文字─その解読のプロセス』(1967 年、紀伊國屋書店)はそんな本だ。本書は「紀伊國屋新書」なる今ではもうなくなってしまった新書の一冊として出された。京都の河原町にあった駸々堂書店(ここもすでにない)で本書を手にしたのは、私がまだ高校生の頃だった。「西夏文字」なる外見は漢字に似ているがやたら画数が多い複雑怪奇な文字体系に私は魅了され、本書をめくりながら西夏文字を書く練習までしたほどのめりこんだ。

 半世紀も前に私がたまたま西夏文字と出会ったのは偶然だったにちがいない。どうしてこんな本を買う気になったのか、今となってはまったく記憶がさだかではないからだ。将来進むべき道などまだ何も見えていなかった時代の読書が自分のその後の人生をどのように方向づけたのかは、ずっとあとになって初めて気づくのかもしれない。

 著者のいる京都大学文学部に進まなかったのは私の人生の選択だった。しかし、"みを"としての本と出会い、その後はいったん別れても、歳月が経ったのちに思いがけずまた再会することはあるだろう。今世紀になり、伊藤悠の連載漫画『シュトヘル』(小学館、全14 巻) を手にして何十年ぶりかで西夏文字の世界を再訪し、かつて経験した熱を思い出した。この西夏文字は現在ではユニコードを使えばコンピューター入力さえできるという。

 出会いと別れと再会は読書経歴では珍しいことではない。本を読んでもそのほとんどは忘却の彼方へと霞んでいってしまうからだ。そう考えると西田龍雄『西夏文字』は実はひとつの"澪標みをつくし"として私の人生を導いてくれたのかもしれない。

 昨年の〈書物復権〉では、まさにこの『西夏文字』が復刊候補本の一冊としてリストアップされていた。残念ながら選ばれはしなかったが、きっとまた復刊のチャンスはやってくるにちがいない。ガンバレ、西夏文字!

 

読者からのメッセージ

■読みたいなと思っていた本が、この企画で復刊されたことを知りました。本との出会いが増える素晴らしい企画だと思います。(20 歳・大学生)

■毎年楽しみにしています。絶版になっていたシオランの書物が復刊され、何度か購入させていただきました。今回のリストに『水と夢』が入っており、とても嬉しく思います。復刊された暁には購入させていただきたいです。

■本屋で見たことのある本が候補になっています。意外な思いとともに、このような形でしか復刊しないのを寂しく思います。(58 歳・公務員)

■特に『神と人のはざまに生きる』の復刊を強く希望いたします。フランスという西洋思想の代表のような国の著者が、日本の憑依という文化を紐解く大変貴重な考察とドキュメンタリー資料で、古本は法外な高値によって読むことができないのは残念極まりない。(54 歳)

■絶版になっているものが多く、高価で学生には手が出せない。(20 歳・大学生)

■私が復刊を希望した書籍は、いずれも現代哲学の前提や背景を提供してくれる古典です。これらの作品を読まなければ、若い哲学愛好家は議論の基本となる文脈を詳しく知らないまま、空をつかむような体験を繰り返してしまうかもしれません。もしも復刊されましたら、私も必ず購入しますので、検討していただきたいです。(30 歳)

■毎年楽しみにしています。興味関心は年とともに変わるので、新刊時に興味がなくてもその後興味を持つジャンルもあり、その際に様々な書物が絶版となっているのは残念な気持ちです。このような機会に復刊していただくのは、本・著者だけでなく読者にとってもとても有益だと思います。

■買いそびれてしまい、絶版になってしまい、古書で高額になって悔しい思いを何度味わったことか。復刊されることで知的チャンスに恵まれる機会を頂き、感謝の気持ちで一杯です。(68歳・会社員)

■このような企画は私のように学問を始めるのが遅かった学生にとって救いであり、大変ありがたいです。出版不況と言われて久しいですが、私は本の重さ、紙の香りに触れながら無意識的にページを繰る時間が好きです。そのような時間に浸るためにも、書店を何気なく散策する中で少し古い良作と触れ合える環境が続いて欲しいと思います。(19 歳・学生)

■ロラン・バルト『喪の日記』の復刊は以前より強く強く希望しておりましたので、このような機会をいただけてとても嬉しいです。バルトのこの著作は彼の言語による感情表現の水晶のようなもので、亡くなった母への尽くしきれない哀しみがひしひしと表れています。バルトの著作の中では有名なものではありませんが、間違いなく重要な著作だと思います。ぜひ復刊していただきたいです。(51 歳)

■現在では入手困難な書籍が手に取って読める機会が設けられるというのはとても大切なことだと思います。今後ともこのような機会が継続されることを切にお願い申し上げます。(51 歳)

■スマートフォンで何でも気軽に調べられる昨今、じっくりと考えながら読み進めるような本を、一生のうちに一冊でも多く読みたいと思っております。貴重な作品を復刊していただけるありがたい企画です。(53 歳・会社員)

■著された豊かな知を後世まで受け継ぐことは、重要なことかと思います。(32 歳・書店経営者)

 

書物復権 参加出版社

■ 岩波書店
〒101-8002
千代田区一ツ橋2-5-5
TEL 03-5210-4113
■ 紀伊國屋書店
〒153-8504
目黒区下目黒3-7-10
TEL 03-6910-0519
■ 勁草書房
〒112-0005
文京区水道2-1-1
TEL 03-3814-6861
■ 青土社
〒101-0064
千代田区神田猿楽町2-1-1
浅田ビル1F
TEL 03-3294-7829
■ 創元社
〒101-0051
千代田区神田神保町1-2
田辺ビル
TEL 03-6811-0662
■ 東京大学出版会
〒153-0041
目黒区駒場4-5-29
TEL 03-6407-1069
■ 白水社
〒101-0052
千代田区神田小川町3-24
TEL 03-3291-7811
■ 法政大学出版局
〒102-0073
千代田区九段北3-2-3
TEL 03-5214-5540
■ みすず書房
〒113-0033
文京区本郷2-20-7
TEL 03-3814-0131
■ 吉川弘文館
〒113-0033
文京区本郷7-2-8
TEL 03-3813-9151

哲学・思想・言語・宗教

ファシズムの悲惨を経験した20世紀という時代を体現するハイデガー哲学の読解に政治思想史の領域から果敢に挑んできた著者の集大成。

20世紀の言語学はソシュールによって一大転回をなした。言語学の範囲にとどまらず、他の諸科学の方法にも大きな影響を及ぼした記念碑的名著。

「日常生活に役立たない哲学は意味がない」――1992年にパリで始まった「哲学カフェ」。生みの親が、その活動内容を生き生きと伝える。

ヘロドトスから、デカルト、カント、ヘーゲル、トインビーらに至る歴史観の変遷を踏まえながら、独自の歴史哲学を構想した哲学的思索の結実。

分析哲学の基本的アイデアが何であり、どのように形成されたのかを19~20世紀の哲学の文脈に探る。現象学派との同根性を確認する。

道徳的な葛藤を解決する妥当な議論とはどのようなものか。『道徳の言語』で確立した普遍的指令主義の立場から功利主義へ進んだヘア理論の新展開。

事実に反する仮定を使って何事かを述べるとき、私達は何を意味しているのか。可能世界論によってこの問いに理論を与えた画期的名著。

「アキレスと亀の逆説」「他我問題」を解消し、過去世界の実在をも疑わしめる臨界へと至る、澄明な思考の軌跡。

現代思想の核心を衝く諸問題を縦横に論じて、現代の〈知〉にとってなにが最も重要な課題なのかを鮮明に浮き彫りにする。

「白高」のお告げをうけ、憑依する神々と助けを求める人々との仲立ちをする巫者として生きた女性を通して、日本近代の豊穣な民間信仰の姿を描く。

著名な「博識と学者」「自分で考えること」「女について」など12篇の小品の他に本邦初訳の詩を含む。天才思想家を満喫できるエッセイ集。

非人間的な近代産業に反逆したはずの十九世紀芸術家たちが、テクノロジーに毒されていたことを喝破。「視覚の支配」などを批判した文化史の傑作。

古代から現代に至る諸思想あるいは数学や言語に及ぶ諸問題を批判検討しつつ、「過ちから学ぶ」という基本的態度で批判的合理主義を唱道、ポパー哲学の基流を示す。

原初の生命に力を与えた、無限に生々流転する物質、水。詩句や神話に表現された水の想像力への分析が、新しい批評の時代を予見させたバシュラールの名著の新訳。

分析哲学の分野に多大な影響を与え、現世紀最大の天才と称される著者の傑作『トラクタートゥス』完訳とあわせ、『哲学探究』抄訳を収む。

『野生の思考』、『神話論理』へと結実する論文集。言語、宗教、神話、芸術を分析し、構造主義人類学の方法論を説いたマニフェストとなっている。新装で復刊。

母の死から書き起こされた断章が、母の写真をめぐる『明るい部屋』を生みだす。悲しみをエクリチュールに組みこもうともがくバルトの懸命の物語。新装で復刊。

〈現われ〉とは、〈あいだ〉とは、アイヒマン論争の真意とは何か。20世紀を代表する政治哲学者の言葉のありかと、〈思考の現場〉を、精密に追跡。新装で復刊。

インドに生まれた仏教は、新しい要素を多分に含み込みながら日本へと伝来した。仏教が日本文化の形成に果たした役割を解き明かす。

社会

非力なものを組織化によって強力なパワーを発揮させるためにはいかにすべきか。組織者オルグを養成するための実践的指導書。

AV女優の労働を見つめなおし、性の商品化の現場で真に商品化されている「何か」を解体していくことで、自由意志論を机上から解き放つ。

歴史・民俗

台湾統治における衛生行政を起点とし、各地で展開されたマラリア対策の問題を抉り出し、東アジアの統治秩序や広域秩序の形成への影響を検討する。

ベトナム戦争終結から40年後に刊行された書。アメリカ軍による軍事作戦と民間人殺戮の詳細、そして軍司令部と国防総省による事実隠蔽を初めて描く。新装で復刊。

平安中期以降、兵(つはもの)の家は、諸国に進出し、中央では政治的地位を向上させる。武士政権が成立過程を、職能論と在地領主の両面から解明。

近年の研究によって、新時代を切り拓く「革命児」といわれた信長像が揺らいでいる。史料を丹念に読み解き、信長権力の実態を解明。

島崎藤村が幕末期の人間模様を描いた『夜明け前』。その舞台である地域の人々の、小説よりも多様な姿や物語の歴史的背景を描く。

アジア・太平洋戦争期に軍部の注目を集めた戦争神経症。様々な医療アーカイブズや医師への聞き取りから忘却されたトラウマに迫る。

心理・教育

精神的成長という「往く人の少ない路」をいかに歩むかー全世界で広く読まれた古典的名著『愛と心理療法』を、新たに訳し起こした、待望の全訳版。

文学・芸術

古今東西の錯視アートの最高傑作を200点収載。エッシャーからオカンポまで、絵画、写真、CGまでも網羅した、永久保存版。

マグリット作品とその世界観を明らかにする百科事典。各国美術館所蔵の作品や資料をもとに国際的なマグリット研究家たちが詳説。

神話や古代史の人物を主人公とする9篇の物語。古代ギリシアへの嗜好、古代的に美化された同性愛への偏愛などが瑞々しいかたちで読みとれる。

絶海の孤島では「眠る人魚の誘惑」が、工場では「王殺しの冒険」が物語られてゆく――ヌーヴォー・ロマンの第一人者の「原風景」を描いた処女作。

故郷から遠く離れたメキシコの地で、酒に溺れていく元英国領事の悲喜劇的な一日を、美しくも破滅的な迫真の筆致で描く。清新な新訳。

映画を拡張し続けた溝口健二に対峙し、ショットを分析記述し、資料調査から学際的に横断する画期的研究。

「画家としての自分の感情と願望をさらけ出すようにつとめたい。」『ダンス』、『ジャズ』、ヴァンスの礼拝堂…… 作品とともに磨かれ深まる言葉。新装で復刊。

法律・経済・政治

「責任がある」「責任を間う」とはどのようなことなのか。重みと痛みを伴う、もろく危い責任実践の保障を核とした法制度の構想。

帝国拡大の原因とメカニズムを、政治指導者や外交当局の構想・論理・決定の視角から浮き彫りにし、近代日本の外交と対外政策の真相を解明する。

他者に対して〈寛容〉であるとはどういうことなのか。倫理的美徳や道徳的価値として推奨される言葉に内在する、その規制的で生産的な権力作用を解剖する。

自然科学・医学

鏡のように他者の行為を映す神経細胞の発見は、様々な分野に衝撃を与えた。ミラーニューロンの秘める可能性を、発見者自らが科学的に解き明かす。

漢方の歴史から治療方にいたるまで、斯学の権威がわかりやすく解き明かした入門書

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