キノベス!2017 第1位『翻訳できない世界のことば』
エラ・フランシス・サンダースさん 特別寄稿すばらしい日本の読者のみなさんへ
『翻訳できない世界のことば』にいただいた熱烈な反応に、私はすっかり舞い上がってしまいました。 私たち人間がお互い似ていることを知ってほしい、という願いから、この本は生まれました。 つまり、育った場所が南でも北でも、または乾いた砂漠地帯でも海のそばでも、同じことを感じるのです。 この本は、見知らぬ人との会話を理解するための手引書です。 ページをめくりながら、小さな自信 ――誰かをその目で見て、よく知らない手を握り、上を向いて進むための―― が生まれたら、と願っています。
今は、以前よりもまして、「恐れ」によって判断をくだしてはならない時代です。この本に紹介されている言葉は、世界中の人々に共通の感情を映し出しています。「恐れ」は知らないことから生まれます。また、自分以外のことが見えなくなっている不快さから生まれます。この本を通じて、「愛」が私たちをつねに明日へと導いてくれることをお伝えできたらと思いました。52個の単語は、辞書や本、話し言葉、私の経験の中から見つけました。そして、この2年の間に、まるで私の家族のようになりました。私の日々の暮らしに埋め込まれているのです。
この本のためにイラストを描くと決心することは、難しくありませんでした。これらの言葉は、純粋で心のこもった方法で称えられるべきだと思ったし、イラストが、その唯一の方法だと思ったのです。絵は私たちの心にすっと本能的に入ってきます。だから、シンプルで誠実なイラストを、複雑な多文化、多言語の世界に添えることは、ヴィジョンを作り出す力強い方法だと思いました。
私の作品を理解してくださって、そして時間をさいてくださって、また、愛情をありがとうございます。
©Gareth Iwan Jonesエラ・フランシス・サンダース
エラ・フランシス・サンダース(Ella Frances Sanders)は20代の著者、イラストレーター。 さまざまな国に住んだことがあり、一番最近ではモロッコ、イギリス、スイスなどフリーでスタイリッシュなイラストレーションの仕事をしながら、本を作りたいと思っている。
ホームページ:ellafrancessanders.com*プロフィールは当時のものです。
キノベス!2017
(2015年12月〜2016年11月出版の新刊/第14回)
*推薦コメントの執筆者名に併記されている所属部署は当時のものです。現在は閉店している店舗もあります。