村上春樹、6年ぶりの最新長編1200枚『街とその不確かな壁』ついに発売!
弊社スタッフの春樹さんへの熱い思い、本書の感想を掲載しています!
※読了後の感想はサイトの上部にございます。
ネタバレしないような感想ですが、読了後のコメントである点、あらかじめご了承くださいませ。
読了後の感想あり!
なんとなく教師になりたいと考えていた一人の高校生が、国語の教科書に載っていた「七番目の男」に惹かれ、受験勉強の息抜きを口実に書店でなんとなく手にしたのが『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』。この作品に衝撃を受けた彼は、読書の合間に受験勉強をするようになり、あえなく浪人。しかしまったく懲りることなく、予備校に通うときの昼食代500円を200円に抑えることで、2日で1冊文庫を購入できるシステムを構築し、ひたすら物語の沼にはまり込んでいく。気づけば、教育学部は受験すらせず、現代文学が研究できる文学部へ進学し、卒論ももちろん『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』。そしてこれまた気づけば紀伊國屋書店に就職。入社時は社会分野のカウンターだったのに、何の縁か『1Q84』が発売されるときには梅田本店という日本を代表する書店の文学担当になっており、あの熱狂を味わう。梅田本店から異動するときの挨拶で、「書店員としてこれ以上の興奮を味わうことはもうないと思います」、なんてことを話して10数年。新刊タイトル『街とその不確かな壁』の文字を見て、前言撤回を表明。そして改めて宣言。「2023年4月13日が自分にとって書店員としてのピークです。」
【読了後の感想】
『街とその不確かな壁』。皆さんもう読まれましたか?
「『街と、その不確かな壁』もそれを習作とした『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』も散々読んだし、それの書き直しなら、あんまり期待しない方がいいのかも」とお考えの方がもしいらっしゃったら、全力で説得に当たりたいと思います。
『街とその不確かな壁』は全く別物の作品です、と。この作品は3部構成となっており、確かに物語の序盤は書き直しと言っても良いと思いますが、第2部、そして第3部まで読めば、これは全く別の作品であるということに疑いの余地はないと思います。そして、書き直したと言える第1部においても、決定的な相違点があるのです。それは…ぜひご自身の目でお確かめください。
全く個人的な感想ですが、作品全体を通して、何度も頭をよぎったのは『海辺のカフカ』でした。もちろん『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のほうがよりこの作品と密接な関係であることは間違いのないところですが、それでも『海辺のカフカ』が頭から離れませんでした。それは「影」について考えさせられる場面が多いからだと思います。「影」とは一体何なのか。「影」を、それがたとえ一部だとしても、失った人とは一体どんな存在なのか。そして、「ナカタさん」と「佐伯さん」のことを何度も考えました。
また、もう1冊挙げるなら『カンガルー日和』。この短編集に収録されている「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」。これは結構有名な短編で、『1Q84』はこの短編から派生して生まれた物語というトリビアもあったりするんですが、この『街とその不確かな壁』もそれに近いイメージを持ちました。
「100%の恋愛小説」というキャッチコピーがついていたのは『ノルウェイの森』ですが、自分としてはそのキャッチコピーは今回の『街とその不確かな壁』のほうが…いや『1Q84』のほうがふさわしいか。蛇足でした。とても哀しい物語です。でも、それ以上に優しい物語です。今この時代に読むことができて、心からよかったと思いました。村上春樹自身にとっても「大切な意味を持つ」作品、『街とその不確かな壁』。たくさんの方に届きますように。
これまた蛇足ですが、自分はこの物語がまだ続く方にベットしたいと思います(笑)
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【世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉】
【世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉】小澤康基 徳島店
読了後の感想あり!
「遅れてきた春樹読者」で未読の作品も多いですが、『ねじまき鳥クロニクル』には深く感銘を受けました。「悪」とはなんだろうか。自分の中にもあるであろう何ものか。そんなことをふとした折に考えるようになったのは明らかにこの作品の影響のように思われます。
【読了後の感想】
「ポップミュージックの使命は人間存在の肯定であり、大衆への奉仕」。山下達郎さんの言である(2022年6月25日「読売」)。
読み進めるにつれ幾度かこの言葉が脳裏をよぎった。
「奉仕」という言葉をどうとらえるかはさておき――これを書いている私は奉仕「される」側なのかどうか、という問題をかんがえなければならないがそれはここでの主題ではない――、「人間存在の肯定」という言葉は、この作品にふさわしいもののひとつであるように私には思われる。
かといって、何もかもを包み込んでくれるような強さややさしさに満ち溢れているのではない。その人物固有の苦しさやもがきから明確に逃れえるのでもない。そんな中で自らを失わずに生きようとする、そう、最近私が耳目に触れなおした言葉を借りるなら、“decency”とでもいうべきものが、ここにはあると思われた。
私に、そしてあなたに、まとわりつきすぎずつきはなしすぎず、でも確かに寄り添ってくれる、そうした「物語」を私たちは手に入れたのだ。●他にもこちらがお薦め!
【パン屋再襲撃】大籔宏一 ゆめタウン徳島店
2017年の『騎士団長殺し』から6年。年号が変わり、テクノロジーは進化し、コロナがあり、戦争がありました。激変していく時代の中で、村上春樹さんが今どんな物語を見せてくれるのか、自分自身がどんなことを受け取れるのか楽しみです。
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『職業としての小説家』Y.T 西武東戸塚S.C.店
春樹作品といえば、長編!長ければ長いほどテンションあがる稀有な作家さん。春樹さんの紡ぐもう一つの世界への埋没が楽しみです。想いを語るのに、本当に私たちの言葉がウィスキーであったならと思います。
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【世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉】
【世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉】「ねじまき鳥クロニクル」「1Q84」へと続く春樹ワールドの原点!とも呼べる小説です。
Y・Y 新潟店
『風の歌を聞け』を姉の本棚のすみから発掘してすっかり村上作品にはまった学生生活を過ごしました。作品読了後は脳内会話の文体が「村上構文」から抜け出せず、その時に手紙を書くととんでもない有様でした。
全ての村上作品を読んでしまうのが惜しくて新作が出るまで作品ストックを残しておくという学生時代の決め事も、月日は流れ「自分の命があるうちに読めるものは読んでおこう」と変わり、今はストックもない状態ですので新作心待ちにしています。●他にもこちらがお薦め!
【村上春樹、河合隼雄に会いにいく】河合さんとのお話の中で、ひとりの「人間」としての村上春樹さんに触れられる本だと思っています。
ファンとして、「こんな姿を見せてもらえるなんて...!」という驚きとともに読みました。松井志穂 鶴見大学ブックセンター店
村上春樹さんの小説を通じて色んな本に出会う事ができました。物語の中に出てくるカラマーゾフの兄弟、アンナカレーニナ、赤と黒…等々。村上さんも読んだ本だと思うと特別に思えて何度も読み、今も大切に保管しています。4月13日発売のタイトルは『世界の終りとハ-ドボイルド・ワンダ-ランド』と繋がっているのかなどと連想してまい、期待でいっぱいです!
村上さんの本が新たに発売され、手に取って読めることに感謝します。●他にもこちらがお薦め!
【国境の南、太陽の西】最初は不思議なタイトルだと思ったが、読みすすむうちにナット・キング・コールの曲のタイトルだとわかった。
主人公の『僕』は小学生の時にこの曲と出会う。その僕が経験する孤独、葛藤、後悔を村上春樹が静かに描き、
リアルに表現する。作中に出てくる音楽にも惹かれ、何度も読みたくなるはず!ラフロイグ 玉川学園ブックセンター店
なぜだろう。旅をするとき、いつも私は、村上春樹の「風の歌を聴け」を持っていく。サンフランシスコ、イスタンブール、南インド…異国の地の風を受けて、ジーンズのポケットですっかりくたびれたその文庫本を、私は死ぬまでにあと何度読むのだろう。 どれだけ言葉を尽くしたところで、村上春樹の魅力を伝えるにはきっと村上春樹を読んでもらうのが一番なのだと思う。同時代に生き、リアルタイムで新刊が読めることの幸せを感じながら、じっくりと味わいたい。
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【風の歌を聴け】池田匡隆 ゆめタウン下松店
「ノルウェイの森」以来の村上さんのファンです。
村上さんの小説は、淡々とした文章の中に熱いものが脈打っていて、それでいて私の心にいつもそっと寄り添ってくれる気がします。
村上さんのエッセイに、大事なことは「自分を少しでもまともに保つこと、誰かを少しでもまともに愛すること」という言葉があります。迷ったときは、「まとも」なことは何かと自問自答するようにしています。
新作、とても楽しみです。
同じ時代に、リアルタイムで新作が読める幸せを感じています。●他にもこちらがお薦め!
【世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉】
【世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉】この物語は、高い壁に囲まれ、外界との接触がない静謐な幻想的世界の「世界の終わり」とやみくろや怪しい人たちが出てくる現実?世界の「ハードボイルド・ワンダーランド」の二つの物語が同時進行で語られます。
二つの物語はどう繋がっているのか?
そして二つが繋がった時、私は物語のラストをワクワクして読みましたがその期待は見事に裏切られました。今でも、私は村上さんの小説の中でこれが一番好きです。
次回作のタイトルが「街とその不確かな壁」と知って「世界の終わり~」と何か関係があるのでは、と期待したのは私だけではないはずです。その後が何か語られるのか、それとも…。
また、期待は裏切られるのかもしれませんがその裏切られる感じがまた、好きなのかもしれません。岡本泉 関西営業本部 営業促進課
学校の図書室で「何か分厚い本が読みたい!」という、単純な気持ちから手にとったのが『ねじまき鳥クロニクル』でした。読み始めると不思議かつ濃厚な世界観にどっぷり。読後の心地よい疲労感を未だに覚えています。恥ずかしながらまだまだ読んでいない作品はたくさんありますが、村上春樹作品が大好きな友人が出来ましたので、先ずは彼女のおすすめをカティサーク片手に楽しもうと思います。
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【ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 】
【ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 】
【ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 】突然姿を消した妻、次々と現れる謎の人物たち。現在と過去、日本や満州、ソ連そして井戸の穴...全3巻なんて一瞬です。濃厚な読書体験を約束します。
説明しろと言われるととても難しい。でもそれ以上に面白い。深夜のデニーズから広がる今までにない体験。チキンサラダとカリカリのトーストをお供にどうぞ。
玉本千幸 新宿本店
新刊発売お待ちしておりました。またハルキワールドに行けるかと思うとワクワクします。
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【村上さんのところ】ランゲルハンス島のトモコ 関西ライブラリーサービス部
村上春樹の書籍を売るために書店員をやっていると言っても過言ではないので、新作の情報を聞いたときの喜びはなにものにも代えがたいものでした。『騎士団長殺し』では「こんな春樹が読みたかった!」と歓喜したものです。今回の新作もいやがうえにも期待値が高まっています。もうタイトルが最高…。
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【蛍・納屋を焼く・その他の短編】ミステリアスで穏やかならざるヒヤリとする感覚。春樹の短編を読むとよくそういう感覚に襲われます。
地に足がちているようでついていない、世界は動いているのに自分だけそこに取り残されてしまったような、別の世界に入り込んでしまったようなそんな感覚。
「納屋を焼くんです」という告白が始まった瞬間にそのヒヤリとしたものが姿を現す。私たちを飲み込まんと大きな口を開けて。
そして私は飲まれてしまった。焼かれる納屋に意識を持っていかれ、焼かれる納屋を見ないことには終われない。だから私は永遠にこの作品を手放せないのです。匿名 新宿本店
村上春樹作品との最初の出会いは家の古本の山の中。若かりし頃父から贈られたことをすっかり忘れ、母が読まずに捨てようとした『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』をあの時救い出して、ほんとうに、ほんとうに良かった。
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【ノルウェイの森〈上〉】
【ノルウェイの森〈下〉】新宿本店の近くにジャズ喫茶「DUG」というお店があります。『ノルウェイ~』を読んだ方ならきっとピンとくるのではないでしょうか。
n.o 新宿本店
”書店員になった理由”として、今まで聞いた中で1番多いのが「村上春樹の新刊を自分の手で並べたい」だ。その夢を語る書店員は多い。1店舗に1人はいるかもしれないし、いないかもしれない村上春樹の新刊を並べたい書店員。
それを発売日に並べられる機会は、人生の中できっとそんなに多くない。私は彼らの夢が叶うことを願っている。発売日には思う存分、心ゆくまで村上春樹の新刊を並べてほしい。邪魔はしないでおく。だから来る4月13日、私は休むべきだ。私は彼らのために家にいて、村上春樹の新刊を読みたいと思う。
……と店長に向けて言った。店長はPCの画面から目を離すことなく呟く。「私はね、村上春樹の新刊を並べたい書店員には会ったことがないの。読みたい人は多いけれどね」そして私の目をまっすぐ見据え「結局のところあなたなのよ。発売日に、それを並べることになるのは。」
このままでは4月13日、私は『街とその不確かな壁』を目の前にして、読むこともままならず、ひたすら積み続けるほかない。求ム、村上春樹の新刊を並べたい書店員。香川幸恵 ゆめタウン廿日市店
タイトルを見て、本を手に取って最初のページをめくるまでの時間までもが、もはや作品の一つになっている気がします。今まさにその至福の瞬間を味わっています。
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【中国行のスロウボート】個人的に一番好きな短編「午後の最後の芝生」が収録されています。学生のころカバンの中に常に持ち歩いていました。一番好きなのですがその理由を上手く説明できない、不思議な魅力を持った小説だと思います。
この中に収録された短編「月曜日のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」が特におすすめです。この一文に、村上春樹のエッセンスが詰まっていると思いませんか?
冒頭の「初めに」の一文、「誰も抜かないし、誰にも抜かれない、回転木馬のデッドヒート」この言葉がすごく好きです。「今は亡き女王のための」とか「嘔吐1979」とか好きな作品が多い短編小説集です。
ノルウェイの森の中にエピソードとして登場する話が「蛍」という短編として収録されています。個人的にノルウェイの森と独立した一つの短編として、短編としての完成度が一番高い小説だと思っています。
花田吉隆 久留米店
久しぶりの新刊楽しみです。
早く春樹ワールドに浸りたい!●他にもこちらがお薦め!
【海辺のカフカ〈上〉】
【海辺のカフカ〈下〉】aomame 関西LS部
久しぶりの新刊楽しみです。
新刊が発売されると聞いた時、「やったー!」と思わず声が出ました。
村上春樹さんの作品は、時代の空気感をしっくりと纏っていて、「今」を考えるきっかけを与えてくれます。比喩表現が完璧で、ユーモアもあって、でも目を向けるべきことを伝えてくれる、そんな村上さんの小説。
新刊、ワクワクしますね。一緒に楽しみましょう!
あと、村上さんの作品って、装丁もすごく素敵で、単行本ついつい集めちゃってます。吉松萌々子 天王寺ミオ店
ついに発売となりました。学生の頃初めて読んだ時は「?」だった春樹作品。10年以上たって「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を読み、何故かハマってしまいデビュー作から読み耽りました。これに準ずる作品とのこと、楽しみです!
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【世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉】
【世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉】武田真樹子 さいたま新都心店
お近くの紀伊國屋書店でお待ちしております!