2023年の児童書・絵本ベスト10
「キノベス!キッズ2024」
(2022年12月~2023年11月/第3回)
「キノベス!キッズ」は2022年「キノベス!キッズ 私が抱きしめた一冊~いつまでも残しておきたい、読み継がれてほしい児童書・絵本ベスト10~」として、紀伊國屋書店で働く全スタッフから公募した推薦コメントをもとに、児童書・絵本のオールタイムベスト10を選ぶ企画から始まりました。翌年からは、過去1年間に出版された新刊児童書・絵本からベスト10を決定。新人作家さんや埋もれがちな新刊を応援し、大人の方にも気軽に手にとっていただくきっかけとなるような賞を目指しています。当社のスタッフが自分で読んでみてほんとうに面白いと思った児童書・絵本ばかりを自信を持っておすすめします。 店頭で、ぜひお手にとってご覧ください。
キノベス!キッズ2024 第1位『メメンとモリ』
ヨシタケシンスケさん特別寄稿この度はキノベス!キッズの第1位に選んでいただき、本当にありがとうございます。
この本は、この数年間、私がぼんやり思っていたことを一冊にまとめたものです。私はもともと心配性で、全てのことにおいて「うまくいかなかったらどうしよう」「思い通りにならなかった時、自分はどれほどガッカリしてしまうんだろう」などと、そんなことばかり考えてしまう心の癖があります。自分がガッカリすることを極度に恐れる「ガッカリ恐怖症」とでもいえるものです。思い通りにならなかった時、どう考えればちょっとでも気持ちが楽になるか、事実をどう受け止めたら、ガッカリしている時間を少しでも短くできるか。そんな自分自身に対する一つの答えが、今回の本、「メメンとモリ」です。
小さいお子さんにとっては意味がわからず、「?」となってしまう箇所がいくつかあると思います。でも、そのわからない部分を心の奥のどこかにしまっておいてもらえたら。5年後、10年後のある瞬間に「これのことか!」と思い出してもらえたら。さらに「メメンとモリって、ラテン語の格言『メメントモリ』のダジャレだったのか!」と苦笑いしてもらえたら。そんなことを夢見ています。
逆に言えば、今のお子さんたちには、「メメンとモリ」の内容が何一つピンとこない、おおらかで楽しい子供時代をおくってもらいたい、との願いもあります。私が作家になってからこの10年、本当に「思ってたのと違う!」出来事ばかりで、子供たちに対して我々大人が「楽しそうな未来」や「いい加減でもどうにかなる社会」や「考え方や生き方の具体的な選択肢」を見せてあげられていないことは、本当に申し訳なく思っています。「ガッカリ恐怖症で、いろんなことから逃げ続けてきたけれど、ひょんなことから40歳で作家になり、たくさんの人に本を読んでもらえたおじさんだっている」。そのことを、伝えていけたら本望です。ヨシタケシンスケ
1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』(講談社)、『りゆうがあります』(PHP研究所)、『にげてさがして』(赤ちゃんとママ社)、『その本は』(ポプラ社)など様々なジャンルで多数の著作がある。
▶2024 小冊子 PDF版 ▶キノベス!2024 ▶紀伊國屋じんぶん大賞2024
▼「キノベス!キッズ2024」選考委員が選ぶ!2023年の収穫
ベスト10を選んだ選考委員に、キノベス!キッズ2024では惜しくもランク外になってしまったものの個人的にはとってもオススメしたい1冊を挙げてもらいました。
キノベス!キッズ2024
(2022年12月~2023年11月/第3回)